「迎合」の意味と使い方を解説していきます。「迎合」は「他人の考えを迎えてそれに合うように行動したり考えたりする」ことを意味する言葉ですが、様々な場合で近年使われています。「迎合」がどのように使われているのか詳しく見ていきましょう。また、類語や対義語、英語表現なども後半に紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
「迎合」は<げいごう>と読みます。 または、<あど>と読む場合もあります。 「迎合」を「あど」と読むのは、「迎合を打つ(あどをうつ)」という慣用句の場合のみですので、基本的には「げいごう」と読みます。
「迎合」の意味は、「他人の意見に合うようにすること」です。 「迎合」には「相手に合わせて相づちをうつ」というニュアンスがあります。 この「相づち」には、ただ単に話を聞きながら頷いたり返事をするということだけではなく、「相手が気に入るように、自分の考えを捨てでも相手に合わせる」といったような意味合いがあります。「他人の意向を迎える」という意味がコアな意味になります。 「本当は反対の意見だけれど、本当のことを言えば機嫌を損ねるかもしれないし、賛成と言っておこう」といったような場面を、相手に迎合すると言います。 一般的には「媚びをうる」というイメージで使われています。
「迎合」は、「~に迎合する」や「~に迎合して」または「~に迎合しない」というような使い方をします。 「上司に迎合する」のように目的語に人物を取ります。 また、「社会に迎合する」や「社会の風潮に迎合する」などと人物以外にも「自分の意見を曲げてでも同調する」という場面には使用することができます。 「~に迎合して、~にをする」といったような使い方以外にも、「迎合しない性格」のように否定文にも使うことができます。 ビジネスシーンなどで、迎合するような場面が多いと思いますが、媚びを売ったり、相手の機嫌をとるような意味合いのある「迎合」を実際に目上の人などに使ってしまうと失礼にあたることが多いので注意しましょう。 使い方は例文を参考にしてください。
「迎合を打つ」は「あどをうつ」と読みます。 「迎合する」など、「げいごう」と読まれることが多い言葉ですが、「迎合を打つ」では、読み方が変わるので注意しましょう。 「迎合」<あど>とは、狂言の主役に対する相手役のことを指しており、その相手役が相づちを売ったり、相手の話に調子を合わせて返事をすることを意味しています。 「迎合を打つ」の他にも、「迎合を打つようだ」といった言い回しがあります。 「迎合を打つようだ」とは「迎合」に、比況<他と比べること>、例示<例として示すこと>、推定<推測して決定する>の助動詞である「ようだ」をつけた使用方法です。
「大衆迎合主義」は「たいしゅうげいごうしゅぎ」と読みます。 「大衆迎合主義」とは、知的な市民や知性のあるエリート階級ではなく、一般大衆の思想や願望を重視する政治という意味です。 つまり、社会的権力のある人々が話し合いを重ねて決定していく政治ではなく、一般大衆のその時その時の感情や願望を政治に反映させるという政治体制ということになります。 また、そういった一般大衆の意志を尊重した政治体制を作り上げることを「ポピュリズム」といいます。 一般大衆の気にいるように努めるといった点で、「迎合」という言葉が使われ「大衆迎合主義」と言われていると考えられており、単に「迎合主義」ということもあります。
「阿附迎合」は、「あぶげいごう」と読みます。 「阿附」には、「おもねること」「へつらい従うこと」という意味があります。 「おもねる」とは、「機嫌をとって相手の気に入るようにすること」ということで、「へつらう」は「人の気に入るように媚びを売る」という意味の言葉です。 つまり、「阿附迎合」とは、「阿附」の相手に気に入られようと媚びて機嫌をとることと、「迎合」の他人の意見を受け入れることの二つの意味を表現した四字熟語です。 「迎合」と同様に、「阿附迎合する」といったような使い方をします。
「迎合的」は、名詞である「迎合」に、接続語の「的」をつけた表現です。 「迎合的」とは、自分の意見を曲げてでも相手に合わせて意見を受け入れるような性質を表しています。 「的」には名詞に付けると「その性質を帯びる」または「その状態をなす意」という意味になります。 「迎合的な~」や、「迎合的だ」というような使い方をします。
「共感」は「きょうかん」と読みます。 「共感」の意味は、「他人の体験する感情や心的状態、または人の主張などを自分も全く同じように感じたり理解すること」です。 他人が感じている喜びや悲しみを、実際に体験していなくても同じように感じるということです。 「迎合」とは、「相手に合わせて調子を合わせること」なので、実際に自分自身は相手と同じように感じなくても、相手に合わせて返事をするということなので、実際に相手と同じように感じているという意味のある「共感」と「迎合」は意味合いが違います。
「協調」は、「きょうちょう」と読みます。 「協調」の意味は、性格や意見の異なった者同士が、互いに譲り合って調和を図ることです。 「協調」はどちらか一方だけではなく、お互いが調和をはかるように、意見を合わせることです。 「迎合」は、どちらか一人が、相手に気に入られるように媚びを売る・合わせるという意味があるので、「協調」とは意味合いが違ったものになります。
「同調」は、「どうちょう」と読みます。 「同調」の意味は、「調子が同じこと・他と調子を合わせて自分の意見や主張を一致させること」です。 「迎合」は、媚びを売るように、自分の意見を変えて相手に合わせるという意味合いがあり、良い意味では使われない言葉ですが、「同調」は、他人の意見や主張に無理に合わせるのではなく、「賛同する」といったような意味合いになるので、悪い意味として使われません。
「迎合」の類語をいくつか紹介します。
などがあります。 いくつかピックアップして紹介します。
「ゴマをする」とは、自分の利益を図る為に他人に相手の機嫌をとることです。 すり鉢ですったゴマが、すり鉢のあちこちにくっつく事から、人にへつらうという意味で使われるようになった言葉です。 商人が頼みごとをする時に手を揉む姿が、ゴマをする様に似ていることから、「ゴマをする」と言われるようになったともいわれています。
「媚びを売る」とは、「相手に気に入られるようにられようと機嫌をとり、へつらうこと」です。 また、「商売女などが客の相手をする」という意味もあり、女の人が男の人に良く思われるようと色気をつかって接客をするといったような意味合いもあります。 「媚びを売る」という言葉は良い意味で使われる言葉ではありません。
「お先棒をかつぐ」は「おさきぼうをかつぐ」と読みます。 「お先棒をかつぐ」の意味は、先の事を考えずに軽々しく人の手先となることです。 また、権力のある人の手先になって働く事をさしています。 「手先になる」とは、自分の上に立つ人の言いなりになるということです。 つまり、「先棒」は軽率に上の人の手先になって、ひょいひょい何でもしてしまうということになります。 「先棒」とは、二人で駕籠<かご>をかつぐとき、棒の前のほうをかつぐこと、その棒をかついでいる人の事をいいます。
「反抗」は、「さからうこと・従わないこと」という意味です。 権力に手向かったり、命令や言いつけに従わない時などに使用する言葉です。 例えば、子供が親の言うことを聞かないという時に、「子供が親に反抗する」といったような使い方をします。 相手の機嫌をとるために、何でも言うことを受け入れる「迎合」とは反対の言葉になります。
「批判」とは「物事の成否や価値などを評価・判定する」ことをいい、特に「物事の誤りや欠点を指摘し、否定的に評価・判定する」という意味で使われることがほとんどです。 誰かが意見を述べた時に、それに対して否定的な意見を述べる場合などに、「~の意見を批判する」といったような使い方をします。 また、逆に批判をされるような場合は「批判を受ける」という言い回しになります。 「迎合」の、相手の思考や意見を何でも受け入れるという意味とは逆に、誤りや欠点を指摘するという言葉が「批判」です。
他人に迎合せずに生きる為には、まず「自分の軸をしっかりと持つ」ということが大切です。 「自分の軸」とは、自分自身が何を好きで、何が嫌いか、そして考え方や、これだけは絶対に曲げられないという意思をきちんともち自分自身に自信をもつことです。 自分の軸を中心に、強い信念をもつことで相手に迎合しない生き方ができることでしょう。
目上の人や、取引をするの相手など、相手に気に入られたいという思いがある場合に相手に迎合してしあうといったことはよくあることだと思います。 その場合に、相手に謙虚な姿勢で接することは大切なのですが、「~させていただけませんか?」などと下手にですぎてしまうと、「この人は自分の言うことをなんでも聞いてくれるんだな」と思わせてしまいます。 そうなることで、相手に自分の意見を伝えづらい環境になってしまうのです。 謙虚な姿勢を見せつつも、できるだけ対等な立場で話ができる環境をつくることで、迎合せずとも良い関係を築きあげることができることでしょう。
「迎合しない」ということは、「相手の考えを否定すること」ど感じてしまい、特に目上の人などには迎合するべきなのではないかと感じている人も多いのではないかと思います。 しかし、「迎合しない」ということは、相手の思考や意見を否定するということではありません。 相手の思考や意見を尊重しつつ、自分の意見を述べることは物事をよりよくする為の「協調性」に繋がるのです。 相手の考えを完全に否定するような言い方をしてしまうことは、失礼にあたりますが、相手の考えを受け入れる姿勢を見せながら「私はこのように考えていますがいかがですか?」といったように相手にも自分の意見を受け入れてもらいやすい環境をつくることが、迎合せずに分かり合える方法だと言えるでしょう。
「...に迎合する」は英語で「cater to...」「pander to...」「go along with...」などと言います。 「cater」という単語は、日本語でも「ケータリング」という形で実は使っています。「料理をまかなう」という意味から転じて「人の要求などに応じる」という意味でも使います。 ちなみに「大衆迎合主義」は英語で「populism」「opportunism」などと言います。
He goes along with others' ideas so easily that no one trusts him.
彼は他人の考え方をすぐ迎合するので、誰も彼を信用していない。
News shows cater to popular tastes on the whole.
ニュース番組は全体的に一般の趣味に迎合している。
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「迎合」について理解していただけたでしょうか? 日常会話では、なかなか聞きなれない言葉で意味までは知らなかったという方も多いのではないでしょうか。 意味をよく理解せずにビジネスシーンなどで使用してしまうと失礼にあたってしまう場合がある言葉なので、正しい意味や使い方を覚えておくといいでしょう。 ✓「迎合」は「げいごう」と読み「あど」と読む場合もある ✓「迎合の意味」は「自分の考えを捨てででも相手に気に入られるように合わせること」 ✓「迎合する」「迎合して」「迎合しない」といった使い方をする ✓「迎合する」の類語は「ゴマをする」「媚びをうる」など