「資する」という言葉をご存知でしょうか。「向上に資する」「改善に資する」などと使います。日常会話で使うことはめったにないため、初めて聞いたという方もいるかと思います。「資する」は主に、公文書やビジネスで使われる文書で使われることが多いです。聞いただけではなんとなく堅苦しい感じがして、意味が分かりませんが、覚えておくといざという時に使うことができます。そこで今回は「資する」の意味や使い方、「寄付する・質す」との違い、類語について解説していきます。「資する」を適切に知って、上手く使えるようにしましょう!
「資する」は<しする>と読みます。 「資する」の意味は、 1.たすけとする。役立てる 2.費用を給する。もとでを与える です。 あることをするのに役立つこと・たすけになること・貢献することを表します。 「資」は「もと。もとで。財貨。もとでや力などを与えて助けること。性質」を意味します。 「生計の資」「研究の資」などと使われています。
上記で説明したように、「資する」には2つの意味がありますが、1の「たすけとする。役立てる」という意味で使うことが多いです。2の「費用を給する。資本を与える」という意味ではほとんど使いません。 主に、「◯◯は△△に資する」といった形で使います。「◯◯は△△をするために役立つ」という意味です。 「資する」を使う場合、主語は「ひと」ではなく「もの」となります。 「△△」の部分には、何か向上や改善が求められている事柄が当てはまります。 例えば、「予防接種はインフルエンザの流行抑制に資する」「ボランティア活動は地域の活性化に資する」などと言います。 言い回しとしては、
などとなります。 「資する」でも問題ないか確認したい場合は、「助けとなる」「役立つ」「貢献する」などと置き換えてみると良いでしょう。 ただ、会話や平易な文章であったら、「資する」よりもこれらの言葉が適すので、上手く使い分ける必要があります。 「資する」は公的な文章や新聞記事など、ややかしこまった文章で使われることが多いです。
例文
「寄付」は「公共事業または社寺などに金銭や物品を贈ること」です。 「寄付金」「寄付を募る」「寄付をお願いします」などと言います。「寄附」と表記することもできます。 「寄付する」は「公共の団体や社寺に金品などを贈ること」 「資する」は「あることをするのに役立つこと。貢献すること」 「寄付する」は金銭や物品を贈ることに対して、「資する」は情報やものを与えることになります。 「寄付する」も「資する」も「何かを与えて援助する」という意味合いですが、与えるものに違いがあります。 例えば、「母校に財産を寄付する」とは言いますが、「母校に財産を資する」とは言いません。 「寄付する」と「資する」は似ていますが、しっかりと使い分けるようにしましょう。
例文
「質す」は<ただす>と読みます。 「しっす」「しつす」などとは読まないので注意しましょう。 「質す」の意味は「問うてたしかめる。質問する」です。 例えば、「真意を質す」「意向を質す」「方針を質す」などと使います。 よく「問い質す」などと言いますが、これは「不明な点を尋ねてはっきりさせること」を意味します。 「質す」は「質問すること。不明な点を尋ねて明らかにすること」 「資する」は「あることをするのに役立つこと。貢献すること」 このように、「質す」と「資する」は全く意味が異なります。漢字が似ていますが、「質する」とは言わないので注意してください。
例文
「図る」の意味は、
です。 「図る」は「計画を立てて、実現を目指すこと。目的を達成できるように、企てること」 「資する」は「あることをするのに役立つこと。貢献すること」 「図る」と「資する」では意味が異なります。 「図る」は目的を達成するために、「資する」は物事に役立つようにするためにという意味です。 「資する」は「◯◯のために...」というニュアンスを伴います。 例えば、「図る」は「便宜を図る」「解決を図る」「再起を図る」などと言います。 このように、「図る」はある目的のために物事を考えたり、もくろんだりする場合に使います。
例文
「供する」は<きょうする>と読みます。 「供する」の意味は、
です。 「供する」は「役に立つようにすること」 「資する」は「あることをするのに役立つこと。貢献すること」 「資する」はすでに使って効果があることですが、「供する」ははっきりと役に立っているのかは曖昧です。 「資する」の方が、世の中のために物事が役に立っている度合いが強くなります。 このように、「資する」と「供する」は少々意味合いに違いがあります。 また、「供する」には「食べてもらえるように差し出す。たてまつる」という意味もあります。「資する」にはありません。
例文
「資する」に一番近い意味を持つ言葉は「貢献する」になります。 「貢献する」の意味は、「力を尽くすこと。あずかって力あること」です。 例文:「少しでも社会の進歩に貢献する」 その他にも「資する」の類語はありますので、紹介します。 導く (意味:そうなるように仕向ける。ある状態に至らしめる) 「アドバイスをして彼を成功に導く」 手助け (意味:他人の仕事を助けること。手伝うこと) 「やれるべきことはやって、家事の手助けをする」 役立つ (意味:役に立つこと。使って効果があること。間に合うこと) 「ずっと前に書いたメモが役立った」 尽くす (意味:他のもののために努力する。尽力する) 「世の中のために精一杯尽くす」 益する<えきする> (意味:利益を与える。役に立つ) 「社会の発展に益する事業を進める」 割に合う (意味:骨を折っただけの利益がある。損得を比べて得の方が多い) 「きついのに賃金は安い、割に合わない仕事だ」 ためになる (意味:何かの役に立ったり利益になったりすること) 「ものすごくためになる話だった」 利する (意味:ためになる。また、ためになるようにすること) 「利することが多い職である」 便益をもたらす (意味:都合がよく利益のあるものを持ってくること) 「日頃の行いが良いと、便益をもたらすだろう」
「資する」は英語で「contribute」になります。
などの言い回しがあります。
Tourism contributes greatly to Japan's economy.
観光業が日本の経済に大いに資する。
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「資する」について理解できたでしょうか? ✔︎「資する」は「しする」と読む ✔︎「資する」は「あることをするのに役立つこと・たすけになること」を意味 ✔︎「発展に資する」「改善に資する」「活性化に資する」などと使う ✔︎「資する」の類語には、「貢献」「益する」「ためになる」などがある