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「散見」の意味と使い方、類語、対義語、英語表現

「散見」という言葉をご存知でしょうか。「散見される」「散見する」などと使います。では、「散見」はどのような意味なのでしょうか。あまり日常会話では使わないため、分からないという方も多いでしょう。しかし、字面から「見ること」を表す言葉であることはイメージできますよね。普通の表現よりも堅い感じがしますが、どのような場面で使うのでしょうか。「散見」を知っておくと、いざという時に使うことができます。そこで今回は「散見」の意味や使い方、類語、対義語について紹介します。「散見」を正しく覚えて、上手く使えるようにしましょう!

「散見」の意味

「散見」の意味は、「あちこちにちらばっている物を見かける」「時間をおいて何度か見かける」になります。 ちらばっている程度や見かける頻度に関しては話者の主観なので、具体的な数字に関してはなんとも言えません。 「散」は「四方にちらばる。ばらばらになる」、「見」は「みる。みえる」を意味します。 「散見」とすることで、あちらこちらにちらほらと見えること・あらゆるところで物事が目に留まることを表します。

「散見される」は誤用?「散見」の正しい使い方

「散見」を使う場合、主語になるのは「人」ではなく「もの」になります。 「人が見る」ということではなく、「ものが見られる」ということを表します。 「散見される」は本来は誤用です。「散見」は「見られる」ということなので、「れる」を付けると意味が重複してしまいます。 「散見される」とすると、「あちらこちらに見えられること」「ちらちらと目に触れられる」という意味になってしまいます。 ただ、間違った使い方ではありますが、「散見される」は現代は認められています。 主に、「散見」は「◯◯が散見される」「◯◯に(で)散見する」といった形で使います。 一般的には「〜が散見される」が多く使われていますが、より適切に表現したい場合は「〜に散見する」と使いましょう。

「多く散見する」は二重表現

「散見」という言葉自体に「何度か見かける」という意味が含まれているので、「多く散見する」としてしまうと、頻度の表現が重なってしまい、二重表現となります。 二重表現とは、同じ意味の語を重ねる言葉の技法のことです。 正しくは、「散見する」もしくは「多く見る」「数多く見られる」「至る所に見られる」などと使います。

「散見」の例文

  • 筆者の素晴らしい観察力が、作品のあらゆるところに散見されている。
  • あの通りにあるアーケードには、すでに店じまいしている店が散見している。
  • 新しい企画についての意見には批判的な声が多くあったが、評価する声も散見した。
  • あなたの考えは間違いが散見されているが、だいたい正しいだろう。
  • 新しい企画を実施するには、未解決の課題が散見される。
  • 一般的にはあまり有名でないコンビニではあるが、町の至る所で散見する。
  • 仕事に夢中になってしまい、結婚する時期を逃してしまうという人が散見される。
  • 君の作成したレポートには、常識や知識不足が散見される。
  • A社では何かと、顧客と会社との間でトラブルが散見されている。
  • その計画は大きな失態はないものの、細かいミスが散見される。
  • 実写映画では、原作には一切登場しない独自のキャラクターが散見される。

「散見される」と「見受けられる」の違い

「見受け」の意味は、

  • 見てとる。見て判断する
  • 見かける。目にとまる

です。 「見受けられる」は「見受け」+受け身を表す「られる」なので、「見られる。見てとれる」という意味になります。 「見受けられる」は「見られる」よりも堅い表現です。主に、第三者に説明するときに使われます。 『だいたい◯◯だろう』『◯◯のようだ』といったように、推測や推定を表す場合に使うことが多いです。 「散見される」は「あちこちにちらばっている物を見かける」という意味で、実際に目に見えたものに関して使います。 一方で、「見受けられる」は実際に見えたもの以外にも、何かを推測する場合にも使われます。 例えば、「この事件は、被害者の身内の犯行であることが見受けられる」とは言いますが「この事件は、被害者の身内の犯行であることが散見される」とは言いません。

例文

  • お祭りでは、浴衣姿の女性も見受けられた。
  • 体調が悪いと聞いていたが、少し見た感じだとだいぶ元気になっているように見受けられた。
  • 今回起きた事件の犯人は、現場からそう遠くはない場所に住んでいる人物であることが見受けられる。

「散見する」の類語

往々(おうおう)にある

「往々」の意味は「繰り返し起こるさま。ところどころに物事があるさま」です。 「往々にある」とした場合は「よくある」「しょっちゅうある」ということになります。 頻度が多い、起こる可能性が高いということを表します。 「散見」は「往々」に置き換えて表現できます。 例えば、「あなたの考えには間違いが散見されているが、だいたい正しい」という文を「あなたの考えには間違いが往々にあるが、だいたい正しい」などと言い換えれらます。

例文

  • 物事を進めていく上で、ちょっとした失敗というものは往々にある。
  • 今回のような事例は往々にあるから、あまり落ち込まないほうがいいよ。

ちらほら見える

「ちらほら」の意味は「あちらこちらに少しずつあるさま。散発的に認められるさま」です。 「あちらこちらに少しずつまばらにあるさま」などと少しずつではあるがある様子を表す場合は、「ちらほら」を使います。 例えば、「お客さんがちらほらいる」「ちらほらと花が咲いている」などと言います。 「ちらほら見える」とすることによって、「まばらであるが見える」「少しずつではあるが見える」という意味になります。

例文

  • 連絡されていなかったので必要なものを持ってくるのを忘れたが、忘れ物をしている人はちらほら見えた。
  • 知らない人ばかりかと不安に思っていたが、中には馴染み深い顔がちらほら見えた。

窺(うかが)える

「窺う」の意味は「のぞいて様子を見るさま。そっと様子を探るさま」です。 じっと観察するといったことではなく、そっと静かに様子を見るというイメージです。 「窺える」は「多く推察できる。感じ取れる」という意味になります。 ものごとから何かがわかるというような場合に「窺える」を使います。 例えば、「聞こえてくる音から、中に人がいるのが窺える」「外の気候から夏が訪れているのが窺える」などと言います。 同じ読みですが「伺える」と表記しないように注意しましょう。「伺う」は「聞く」「問う」の謙譲語です。

例文

  • 通りの桜がポツポツと咲いてきて、だんだんと春の様子が窺える。
  • 聞こえてくる音やら声やらで、中に大勢の人がいることが窺える。

「散見」の対義語

まず最初に「散見」の対義をどのように定義するのが、問題になります。 「散見」の対義を「頻繁に見られる」と定義するならば、この意味の熟語はありません。 「頻見」などという熟語も日本語には存在しません。 よって、「散見」の対義語は存在しない、ということになります。

「散見」の「聞く」バージョンは「散聞」?

「散見」の「聞く」バージョンである「ちらほらと聞く」という意味の熟語はあるのでしょうか? 「散聞」という言葉は日本語には存在しません。 一番近い言葉は「仄聞/側聞」になります。 「そくぶん」と読みます。 「少し耳に入ること」という意味になります。 何人もの人を伝ってきた話を小耳に挟んだという場合に使います。 「仄聞したところによると」「側聞したところでは」というフレーズで使うことが多いです。

例文

  • 仄聞したところによると、あの人は不倫しているらしいよ。
  • 側聞したところでは、彼はエリートぶってはいるが裏でかなり悪いことをしているらしい。

「散見」の英語

「see ... here and there」「There is ... here and there」など

「散見」の英語表現は、「here and there」という表現を使います。「あちこちに」という意味になります。

  • see ... here and there
  • There is ... here and there

という形になります。 「定期的に見かける」というニュアンスならば、

  • see... regularly
  • see.. at regular intevals

などと表現します。

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この書籍は誤字脱字が散見される。

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まとめ

「散見」について理解できたでしょうか? ✔︎「散見」は「あちこちにちらばっている物を見かける」「時間をおいて何度か見かける」という意味 ✔︎「散見される」は本来は誤用だが、現代では浸透されているので使っても問題ない ✔︎「散見する」の類語には、「往々にある」「ちらほら見える」などがある ✔︎「散見」の対義語は存在しない

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