「食指が動く」という言葉をご存知でしょうか。「料理を見て食指が動く」「新しい漫画に食指が動く」などと聞いたことがあると思います。では、「食指が動く」とは具体的にどのようなことを表しているのでしょうか。そもそも「食指」が何なのか、意味がわかりづらいですよね。実は「食指が動く」は使い間違いが多い言葉です。正しく使えるようにするには、しっかりと確認しておく必要があります。そこで今回は「食指が動く」の意味や使い方、類語、「食思」と「触手」との違いについて解説していきます。「食指が動く」を適切に知って、上手く使えるようにしましょう!
「食指が動く」は<しょくしがうごく>と読みます。 「食指が動く」の意味は「食欲が起こる。転じて、物事を求める心が起こる」です。 「食指」は「ひとさしゆび」、「動く」は「ある目的のために行動を起こす」を意味します。 何かに対して欲が湧いて、それが欲しいと人差し指を動かす様子を表しています。 元々は「食欲が起こる」という意味から、「興味や関心を持つ。してみたい気持ちが起こる。手に入れたくなること」ということも意味するようになりました。
中国の史書『春秋』の「春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)」が由来です。 「食指が動く」は「鄭の子公の食指が動いたら、御馳走が出てくる前兆」という言い伝えからきています。 昔、中国の周時代に子公(しこう)という人物がいました。 子公は縁起を担ぐ人で、自分の人差し指がピクピクと動いた日は絶対に御馳走が出てくると祈ります。 ある日、霊公を訪ねるために家を出た時に、人差し指が動いたので、同行者に「これは御馳走が出てくる前兆だ」と言いました。実際、霊公の家では大きなスッポンが用意されていたのです。 このことから、美味しい御馳走にありつける前兆を「食指が動く」と言い、それから転じて「してみたい気持ちが起こる。物事を求める気持ちが起こる」という意味で使われるようになりました。
正しくは「食指が動く」ですが、非常に間違いが多いです。 誤用としては、
などが挙げられます。 この中でも特に使われているのが「食指がそそられる」です。「食欲がそそられる」が適切な使い方となります。 「そそる」は「心を浮き立たせる。揺する」という意味なので、「食指をそそる」でも合っている感じがしますが、本来の使い方ではありません。 文化庁が発表した「国語に関する調査」では、「食欲が起こる。物事を求める心が起こる」ということを表現する場合、本来の使い方「食指が動く」を使うのが38%、誤用である「食指がそそられる」を使うのが31%という結果が出ています。 このように、「食指が動く」は誤用が多いですが、正しく使えるように覚えておきましょう。
物事の探究心や、知りたいと思う気持ちがふつふつと湧いてくるという場合に「食指が動く」を使います。 何かを行うために行動するということではなく、「食指が動く」は心の中の動きを表します。 主に、「◯◯することに食指が動く」「◯◯を見て食指が動く」といった形で用います。 例えば、「あの料理はとても美味しそうで食指が動く」といった場合は「あの料理はとても美味しそうで食欲が湧いてきた」という意味になります。 他にも、「おいしい話に食指が動く」「綺麗なネックレスを見ると食指が動く」「新しいドラマに食指が動く」などと言います。 「食指が動く」は欲に目がいったり、興味が湧いてくるということであったら、食べ物以外でも何にでも使うことができます。 『欲しい!』『やりたい!』などとストレートに言うと軽い感じがするので、「食指が動く」と言い換えるのが無難です。
例文
欲が湧く (意味:欲しいと思う心が生じる。むさぼり欲しがる心が生まれる) 「色々と見ているうちに、欲が湧いてきた」 求める (意味:手に入れようとして探すこと。欲しがること) 「何としてでも最新式の携帯を求める」 欲張る (意味:欲を出す。欲深く求めること。過度に貪ること) 「あまり欲張りすぎると、あとでバチが当たるよ」 購買意欲が湧く (意味:何らかの商品を購買したいと思う意欲が生ずること) 「友達の美味しいそうにしている顔を見ると、購買意欲が湧いてくる」 がっつく (意味:がつがつすること。むやみにほしがること) 「そんなにがっつかなくても、もう一つ用意しているよ」 無闇に欲しがる (意味:前後を考えないで欲しいと思うこと) 「無闇に欲しがるようなものではないよ」 色気を出す (意味:自分がやれば成功すると思い、分不相応なことに手を出したりすること) 「事業の立ち上げに色気を出す」 山っ気を出す (意味:万一の幸運を頼んで、思い切って事をしようとする心が生じること) 「山っ気を出して行なったとしても、成功するとは限らないよ」 ガツガツする (意味:貪欲に物事を行うさま。むやみに欲しがるさま) 「あの人はお金にがつがつしている」
「食指」は「ひとさしゆび」を意味します。 主に、「食指が動く」という形で使います。 ちなみに、親指は「拇指(ぼし)」・中指は「中指」・薬指は「无名指(むめいゆび)」・小指は「小指」と言います。 「食思」は「食欲。くいけ」を意味します。 「食思不振に陥る」「食思がない」などと言います。これは「食欲不振にはまり込む」ということを表します。 「食思が動く」とはなかなか言いません。 「触手」は「各種の無脊椎動物の、主に口の付近にある、細長くて活発に運動する発起」を意味します。 例としては、ウズムシ・イソギンチャク・ゴカイ・ナマコなどに触手が見られます。 「触手が動く」という言葉があります。これは「野心を持ち、何かに働きかけようとする気持ちが起こること」を意味します。 他にも、「触手を伸ばす」という言葉があり、「野心をいだいて、徐々に行動を移すこと」を表します。 「食指(しょくし)」「食思(しょくし)」「触手(しょくしゅ)」とそれぞれ発音が似ているため、「食思が動く」「触手が動く」などと間違えがちですが、意味が異なるので注意しましょう。
「食指が動く」は「してみたい気持ちが起こる。手に入れて見たくなる」を意味する慣用句です。 この他にも、「欲しくてたまらないさま」を表す慣用句があるので紹介します。
「喉から手が出る」:欲しくてたまらないたとえ 「生唾(なまつば)を吞み込む」:目の前にあるものが欲しくてたまらない様子 「喉を鳴らす」:人が美味しそうな料理を見て思わず唾を飲み込むこと 「涎(よだれ)を垂らす」:欲しくてたまらないさま 「垂涎(すいぜん)」:あるものを非常に強く欲しがること。食べ物を欲しがってよだれを垂らすこと 「垂涎の的(すいぜんのまと)」:思わずよだれを垂らしてしまうほど、そのものを羨ましがり欲しがること
「食指が動く」は、
などと表現します。
Looking at so many dishes on the table makes me hungry.
テーブルにあるたくさんの料理を見て、食指が動かされる。
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「食指が動く」について理解できたでしょうか? ✔︎「食指が動く」は「しょくしがうごく」と読む ✔︎「食指が動く」は「食欲が起こること。物事を求める心が起こること」を意味 ✔︎「美味しそうな料理に食指が動く」「儲け話に食指が動く」などと使う ✔︎「食指が動く」の類語には、「欲が湧く」「がっつく」「山っ気を出す」