「憶測・臆測」という言葉をご存知でしょうか。「憶測に過ぎない」「憶測でものを言う」などと使います。では、「憶測・臆測」はどのような意味なのでしょうか。日常会話でも使うことが多いので、だいたいの意味をイメージできるかと思います。また、「憶測」「臆測」と2通り書くことができますが、どちらが正しいのでしょうか。色々と疑問に思うことが多いですよね。言葉を正しく使うためには、意味をしっかりと覚える必要があります。そこで今回は「憶測・臆測」の意味や使い方、「推測・予測」との違い、類語について解説していきます。「憶測・臆測」を適切に知って、上手く使えるようにしましょう!
「憶測・臆測」は<おくそく>と読みます。 「憶測・臆測」の意味は「物事の事情や相手の気持ちなどを、確かな根拠もなくいい加減に推し量ること」です。 はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけることを表します。 「憶・臆」は「物事を推し量ること」、「測」は「あれこれと推量すること」を意味します。
「憶」は音読みで「オク」、訓読みで「おもう」と読みます。 「憶」は「物事を推し量ること」を意味します。 「憶」を用いた言葉には「記憶」「追憶」「憶説」などがあります。 「臆」は音読みで「オク」と読みます。 「臆」は「物事をあれこれと推し量ること」を意味します。 「臆」を用いた言葉には「臆病」「臆断」「臆面」などがあります。 「憶測」と「臆測」は同じ意味で、同じように使うことができます。 なぜ2通りの表記があるかというと、最初は「憶」だけが常用漢字として使われていて、その後改定されて常用外漢字だった「臆」も常用漢字化したからです。 改定後は辞書でも「憶測(臆測)」と表記されていたのが、「憶測・臆測」と併記されるようになりました。 「臆」とは違い、「憶」には「記憶」「追憶」と使われているように「思いやる。心に留める」という意味が含まれます。 「あれこれと推し量る」という意味を持つ「臆測」と書くのが本来は正しい、ということになります。 ただ、文化庁が発表した『国語に関する調査』では「憶測」を使う方が良い人が65%、「臆測」を使う方が良い人が24%という結果が出ています。「臆測」と表記するのが望ましいですが、「憶測」が使われていることが多いです。
不確かな事を元にして、自分で勝手に物事を推し量るという場合に「憶測・臆測」を使います。 元にする材料としては、自身の記憶や経験といったものになります。判断するための事柄は正しいものではなく、不明確なものが当てはまります。 「憶測・臆測」は「深く考えず無責任に推し量る」という意味合いなので、マイナスなイメージを伴います。 言い回しとしては、
などとなります。 「揣摩憶測・揣摩臆測(しまおくそく)」という表現もよく使われます。 これは「根拠なしに、事情や気持ちを推し量ること」を意味します。「揣摩」の意味は「物事の事情をあれこれと推量すること」で、同じ意味の「揣摩」と「憶測・臆測」を重ねることによって意味を強調することができます。
例文
「推測」の意味は「ある情報や物事を元にして、推し量って考えること」です。 「推」は「考えをおし進める。おしはかる」、「測」は「おしはかる。推量する」を意味します。 「憶測・臆測」は「はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけること」 「推測」は「ある事実や情報を基にして、未知の物事について見当をつけること」 「推測」はある事柄に対して、データや得られた情報に基づいて『こうではないか』『◯◯では?』とあれこれ考えるという場合に使います。 「憶測・臆測」は「確かでない証拠から、あれこれといい加減に物事を推し量ること」という場合に使います。 どちらも「推し量ること」ですが、「憶測・臆測」には「いい加減」という意味合いが含まれます。 「推測」は「憶測・臆測」よりも信憑性が高いです。
例文
「予測」の意味は「情報やデータに基づいて、未来の状況や出来事をあらかじめ推し量ること」です。 「予」は「前もって」、「測」は「おしはかる。推量する」を意味します。 「憶測・臆測」は「はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけること」 「予測」は「何かしらの情報を元にして、ある物事の成り行きや結果などを前もって推し量ること」 どちらも「推し量ること」ですが、「憶測・臆測」と「予測」では意味合いが異なります。 「予測」は「正確なデータに基づいて、未来の物事をあらかじめ見当をつけること」です。 しっかり情報を元にしているので、推し量る内容は具体的になります。 「野菜の収穫量を予測する」「100年後の日本の人口を予測する」などと使います。 「憶測・臆測」と違い、「予測」には真実味があります。
例文
「想像」の意味は「実際には経験していないことを、知っている事柄を元にして思い浮かべること」です。 「想」は「心に思いめぐらすこと」、「像」は「心の中に思い浮かべるイメージ」を意味します。 「憶測・臆測」は「はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけること」 「想像」は「経験ない事柄を、こうではないかと頭の中で思い巡らすこと」 「憶測・臆測」と「想像」の意味は全く異なります。 「想像」には「実際の世界ではあり得ないようなことを、頭の中で思い浮かべる」という意味も含まれます。 「憶測・臆測」は現実的であるのに対して、「想像」は現実的なことから非現実的なことも表します。 「想像」は「その人の考えや直感によって、制限を設けることなく思い巡らすこと」です。 「憶測・臆測」よりも「想像」の方が、自由なイメージとなります。
例文
「忖度」は<そんたく>と読みます。 「忖度」の意味は「他人の気持ちや考えを推しはかること」です。 「忖」は「心に手を当てて人の気持ちを推し量ること」、「度」は「心の様子」を意味します。 「憶測・臆測」は「はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけること」 「忖度」は「相手が心に留めている本音を察すること」 「憶測・臆測」と「忖度」の意味は全く異なります。 「忖度」は「相手の本心を探り出すため、気持ちや考えること」で、プラスなイメージを伴います。 「憶測・臆測」は「勝手に推し量ること」で、マイナスなイメージを伴います。 「忖度」は親しい間柄の相手に対して使えますが、少々堅苦しい印象がある言葉なので日常会話ではほとんど使いません。
例文
「目測」は<もくそく>と読みます。 「目測」の意味は「目分量でおおよその長さ・広さ・高さをはかること」です。 「目」は「目で見ること。目配せすること」、「測」は「おしはかる。推量する」を意味します。 「憶測・臆測」は「はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけること」 「目測」は「目で見ることによって、ある物のだいたいの距離や大きさなどをはかること」 「憶測・臆測」と「目測」では意味が全く異なります。 「目測」は「床から天井までの長さを目測する」「家からバス停までの距離を目測する」などと言います。 きっちりと正しいかは分からないが、ある程度の距離や長さなどを見た感じではかるという場合に「目測」を使います。
例文
推考 (意味:物事の事情を推し量って考えること) 「しっかり推考することが大切だ」 推察 (意味:物事や心情を推し量ること) 「だいたい推察がついた」 憶説 (意味:事実ではない仮定に基づいた考え) 「あくまでもそれは憶説だからね」 当て推量 (意味:確かな根拠なしに推し量ること) 「当て推量で色々と言われても」 当てずっぽう (意味:確かな根拠なく、事を進めること) 「当てずっぽうで回答したが正解だった」 見通す (意味:目に見えない何かを推し量ること) 「彼女の心の中を見通す」 予見 (意味:事が始まる前に、その事を推し量ること) 「その人が成功することを予見する」 予知 (意味:物事をあらかじめ知っておくこと) 「予知能力がある」 想定 (意味:ある状況を仮定して思っておくこと) 「地震を想定して、避難セットを準備しておく」 見越す (意味:将来のことを見通しておくこと) 「先を見越して用意する」 仮想 (意味:仮に予想しておくこと) 「仮想通貨が流行る」 推定 (意味:だいたい物事を推測して決めること) 「推定年俸は1億円だ」
確認 (意味:物事をそうだと決めること) 「確認作業が終わる」 断定 (意味:物事をはっきりそうだと判断すること) 「本人だと断定する」 特定 (意味:それであると定めること) 「犯人を特定する」 同定 (意味:同じだと決めること) 「はっきりと同定した」 決めつけ (意味:物事を一方的に判断すること) 「彼女は勝手に決めつけていた」 突き止める (意味:確かなことだと決めつけること) 「やっと正体を突き止めることができた」 見極める (意味:物事の本質を確認する) 「事故の原因を見極める」 見定める (意味:物事をそれだと確信する) 「見定めるまでは時間がかかる」
「憶測・臆測」について理解できたでしょうか? ✔︎「憶測・臆測」は「はっきりとしていない証拠に基づいて、物事や心情に見当をつけること」を意味 ✔︎「憶測」でも「臆測」でも間違いではないが、一般的には「憶測」を使う ✔︎「憶測・臆測」はマイナスなイメージを伴って使うことが多い ✔︎「憶測・臆測」の類語には、「推考」「推察」「当てずっぽう」などがある
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