「少なからず」という言葉をご存知でしょうか。「少なからず喜ぶ」「少なからず思っている」などと使います。「少なからず」は日常会話でもビジネスシーンでもよく使われている言葉です。では、「少なからず」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。使われていることが多い「少なからず」ですが、正しい意味で使っている方は少ないでしょう。実は「少なからず」は間違えた意味で使われていることが、よくあります。適切に使うためには、意味を正しく覚えておくことが必要です。そこで今回は「少なからず」の意味や使い方、「多少なりとも、少なくとも」との違い、類語について解説していきます。
「少なからず」は<すくなからず>と読みます。 「少なからず」の意味は、
です。 「少なからず」は簡単に言うと「かなり」「たいそう」「たいへん」ということになります。 「少なからず」は曖昧な表現のため、状況によっては「適度」または「多いに近い」という場合があります。 「少なからず」は「少なし」の未然形「少なから」+打ち消しの助動詞「ず」で成り立っています。
「少なからず」を「その件に関して怒っている人は少なからずいるはずだ」といったように、「少ない、わずか」という意味で使われていることがありますが、間違いです。 「少なからず」は「ちょっと、わずか」などと、低い割合を表す語ではありません。
「少なからず」はものの数や程度が、たくさんあることを表す場合に使います。 他にも、ある程度時間をおいて、同じ状況や行いが何度も重なって起こるさまを表す場合にも用います。 例えば、「その喧嘩はAさんだけではなく、Bさんにも少なからず反省するべき点がある」と言います。これは「喧嘩が起きたのはAさんに責任があるが、Bさんも反省するべき点がかなりあること」を表します。 「この練習で怪我をする人は少なからずいる」だったら「怪我をする人が多い」という意味になります。 「少なからず」は少々回りくどい表現のため、複雑な印象を与えてしまうことがあります。状況や相手によっては、「少なからず」ではなく「多い」や「だいぶ」など他の表現に言い換えるのが無難です。 使い方としては、
などとなります。
例文 「かなりある」という意味
「繰り返される」という意味
「多少なりとも」の意味は「わずかであること、少しであること」です。 「多少なりとも」は、「少し」を意味する「多少」+断定を表す「なり」+接続助詞「とも」で成り立っています。 「多少なりともダメージを受けている」「多少なりとも改善している」などと言います。 「少なからず」と「多少なりとも」は反対の意味を表します。 「少なからず」は程度が大きいこと、「多少なりとも」は程度が小さいことを意味します。 例えば、「少なからず怒っている人がいる」だったら「怒っている人が多くいる」、「多少なりとも怒っている人がいる」だったら「怒っている人が少ないがいる」という意味になります。
例文
「少なくとも」の意味は、
です。 「少なくとも」は「少ない」+数量や程度の限界を表す「とも」で成り立っています。 「もっとも少なく考えても」という意味では「計画を成功させるには少なくとも3ヶ月はかかる」、「最低限」という意味では「少なくとも週5回は練習した」と使います。 「少なからず」と「少なくとも」は意味が異なります。 「少なからず」は「程度が大きいこと」を、「少なくとも」は「最低限するべき事に言及する、最低限の望み」を表します。 例えば、「少なくともルールは守る」「少なくとも三日はかかる」とは言いますが、「少なからずルールは守る」「少なからず三日はかかる」とすると不自然です。
例文
「少なからず」の反対の言葉には「多からず」があります。 「多からず」の意味は「程度や数量がわずかであること、少ないこと」です。 「多からず」は「少ないこと」を回りくどく表す場合に使います。 「多からずいる」「多からずある」「多からず怒っている」などと言います。 「多からず少なからずある」と使ったりもします。「多くもなく、少なくもなく、ちょうど良いこと」を意味します。
例文
だいぶ (意味:程度がそれなりであること) 「今日はだいぶ寝てしまった」 いとも (意味:程度が普通を超えていること) 「いとも簡単に解けてしまった」 相当 (意味:程度が普通を超えていること) 「今回の作品は相当上手に出来た」 大いに (意味:たくさん、たいそう) 「彼にプレゼントあげたら大いに喜んでいた」 非常に (意味:程度が普通を上を行っていること) 「非常に喜んでくれたから、気分が良い」 思いきり (意味:十分にすること) 「思いきり楽しもう」 余程 (意味:程度がはげしいこと) 「余程のことがない限り助けない」 たんまり (意味:はなはだしいこと) 「彼はお金をたんまりと持っている」 かなり (意味:普通の程度の上を行っていること) 「今日の彼女はかなり体調が悪いようだ」 すこぶる (意味:ある程度を超えていること) 「その話に関して、彼はすこぶる不満そうだ」 ずいぶん (意味:並外れていること) 「彼は彼女に対してずいぶん失礼なことを言っている」 たいそう (意味:程度がはげしいこと) 「今日はたいそうな寒さで震えてしまう」
わずかに (意味:程度が小さいこと) 「わずかに合格点に届かなかった」 少し (意味:程度がちょっとであること) 「もう少しで彼らも来るはずだ」 いくらか (意味:程度が大きくないこと) 「いくらか体調が良くなった」 ほのか (意味:程度が少しであること) 「ほのかにシャンプーの香りがする」 いささか (意味:程度が少ないこと) 「いささか彼の助けが力となったのだ」 いくばく (意味:程度が少しであること) 「お金はいくばくか残っている」 なけなし (意味:ほんのちょっとしかにないこと) 「なけなしのお金を使ってしまったら何もかも無い」 若干 (意味:少しであること) 「参加者は若干いるようだ」 多少 (意味:程度が少ないこと) 「彼らは多少実力に差がある」
「少なからず」は、
などと言います。 日本語の「少なからず」は副詞的に使いますが、英語の「not a little」「not a few」は形容詞的に使います。その違いに注意してください。 「little」と「few」の違いに関していうと、「little」は不可算名詞を、「few」は可算名詞を修飾します。
His words and deeds caused not a little tension among the classmates.
彼の言動がクラスメイトの間に少なからず緊張を与えた。
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「少なからず」について理解できたでしょうか? ✔︎「少なからず」は「数や程度がかなりあること、何回か同じ事が繰り返されていること」を意味 ✔︎「少なからず驚かされた」「少なからず衝撃を受けた」「少なからずある」などと使う ✔︎「少なからず」は「少ない、わずか」という意味で使うのは間違い ✔︎「少なからず」の類語には、「だいぶ」「たいそう」「大いに」「かなり」などがある