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「進める」「勧める」「薦める」「奨める」の意味の違い

「進める」「勧める」「薦める」「奨める」という言葉をご存知でしょうか。全て「すすめる」と読みます。では、それぞれの意味についてしっかりと理解しているでしょうか。日本語には同じ読みでも意味が異なる言葉、同音異義語が存在します。「すすめる」もその中の一つです。よく使う表現でも、文章で書くとどれを使えば良いか分からないということがあります。正しく使うには、意味についてきちんと知っておくことが必要です。そこで今回は「進める」「勧める」「薦める」「奨める」の使い分けについて解説していきます。適切に覚えて、上手く使い分けできるようにしましょう!

「進める」「勧める」「薦める」「奨める」の違い

「進める」・・・前方に移動させること、物事を順調に仕上がるようにすること 「勧める」・・・相手にある物事を行うように促すこと、相手にものを渡して飲食や使用を促すこと 「薦める」・・・ある人やものが適しているとして、他の人に採用してもらうようにすること 「奨める」・・・人を指導する立場にある人が、相手にそれを行うように促し励ますこと

「勧める」と「奨める」はほとんど同じ意味ですが、「勧める」の方が「相手の意志を動かすように働く」と強めな意味合いとなります。 また、「奨める」は人に指導する立場にある人が促すことを表しているので、一般的には「勧める」を使うことが多いです。 「進める」は「前進」、「勧める」は「勧誘」、「薦める」は「推薦」、「奨める」は「奨励」と覚えておきましょう。

「進める」の意味と使い方

「進める」の意味は、

  • 前の方へ行かせる、前方へ移動させること
  • 物事の具合を高める、地位を高くすること
  • 物事や仕事が順調に仕上がっていくこと
  • ある事を行うという意欲が湧くこと
  • 他のものと比較して、状態が先にあること

です。 「進」は「前に行くこと、高い階級に上がること、差し出すこと」を意味します。 前方へ動かすこと、前の方へ行かせること、物事の程度をあげることを表します。 「進める」は人の行動に対しても、ものに対して用います。 「進める」を用いた言葉には、「膝を進める」「歩を進める」といったものがあります。「膝を進める」は「興味を持つ、身を乗り出す」ということを意味します。 「物事を順調に仕上げる」という意味では、「話を進める」「計画を進める」などと使います。 「食欲を進める」といったように使う場合は「欲を刺激されて、盛んになること」という意味になります。 また、「位を進める」「段を進める」と「階級を上げる」という意味で使うこともできます。

例文

  • 目的を達成するためには、すぐにでも計画を進める必要がある。
  • その時計は五分遅れているので、針を進めて今の時間に直す。
  • 一人一人がしっかりと案を出せば、スムーズに話し合いを進めることができるだろう。
  • 少しでも早く終わるように、スムーズに作業を進めていく。
  • そろそろ準備を進めないと、本番に間に合わないだろう。
  • プロジェクトを円滑に進めるためには、みんなで話し合う時間が必要だろう。
  • 彼はサッカーの話には興味を示さなかったが、野球の話になると膝を進めてきた。

「勧める」の意味と使い方

「勧める」の意味は、

  • 相手にそうするように働きかけること
  • 相手にものを差し出して、使ったり食べたりするように促すこと

です。 「勧」は「人を励ましてすすめること」を意味します。 自分が良いと判断したものを、他の人にも行ってもらうように誘いかけることを表します。また、ものを差し出してそれを食べたり使ったりするように促すことも表します。 「グループに入るように勧める」「ケーキを食べてもらうように勧める」といったように使います。 「勧める」は人の行動に対して用います。『是非、◯◯してみてください』といったことを伝えたい場合に「勧める」と表現します。 例えば、「後輩に入部を勧める」だったら「後輩に部活に入るように促すこと」を表します。相手に促すことなので、ただすすめるだけではなくて行動を伴う場合もあります。

例文 「相手にそうするように働きかける」という意味

  • 友達に好きなグループのファンクラブに一緒に入ろうと勧めた。
  • フィットネスクラブの入会を友人に勧めたが、断られてしまった。
  • 彼は運動神経が良くて能力があるので、チームに入ってもらうように勧める。
  • 彼の使っているシューズがボロボロなので、買い換えるように勧める。

「相手にものを差し出して、使ったり食べたりするように促す」という意味

  • 初めて買ったお菓子が美味しかったので、家族にも食べるように勧めた。
  • 娘にお風呂に入ることを勧めたが、面倒くさがってなかなか入らない。

「薦める」の意味と使い方

「薦める」の意味は「ある物事に適している人や物事の良い部分を述べて、採用を促すこと」です。 「薦」は「人を取り上げて使ってもらうように申し述べること」を意味します。 ある物事や人を取り上げて用いてもらうように、他の人に進言することを表します。 「薦める」は人に対しても、ものに対しても用います。 ある物事や人を褒めて、他の人に採用してもらうように促すことを表す場合に使います。無理矢理すすめるというよりも、良いと思ったものをすすめるということなので、柔らかいイメージとなります。 「薦める」は理由や保証があって、相手に推薦することです。ただ相手にすすめるだけなので、行動を伴うことはありません。 例えば、何か活動においてリーダーを決める場合に、優秀である・気遣いができるといった理由でAさんを推薦することが「薦める」となります。

例文

  • クラスメイトのほとんどが、彼を学級委員長に薦めている。
  • 生徒会長の候補として彼女を薦めたが、本人は全く興味がないようだ。
  • ほとんどの人がAさんを役員に薦めたが、結局Bさんに決まってしまった。
  • 会社の移転地に◯◯を薦めたが、上司に却下されてしまった。
  • みんなが彼女をAさんの後任に薦めたおかげで、無事決定された。
  • 彼を会長になるように薦めたが、本人はそんなつもりは一切ないようだ。
  • 彼女は人に教えることが上手で、優しいので後輩の教育係に薦めた。

「奨める」の意味と使い方

「奨める」の意味は「相手にそうするように働きかけること」です。 「奨」は「助けて元気をつけてあげること」を意味します。 自分が良いと判断したものを、他の人にも行ってもらうように誘いかけることを表します。また、ものを差し出してそれを食べたり使ったりするように促すことも表します。 「奨める」には「こうした方が良い」と、相手を励ますニュアンスが含まれます。 「奨める」は人の行動に対して用います。 人を指導する立場にある人が、物事を評価してそれを行うように励ますことを表す場合に使います。教師から生徒、上司から部下、などにある物事をすすめる場合に用います。 「奨める」は努力しないと達成することが難しい内容や、頑張らなくてはいけない事柄の場合に使うのが適します。 例えば、「ある研究を奨める」「新しい活動を奨める」「生活の見直しを奨める」といったように使います。

例文

  • 優秀な彼に、今までにない新しい研究を奨めてみた。
  • 彼に来月行われるイベントに参加してもらえるように、私たちから奨める。
  • 栄養士の資格を持っている彼女は、色々な人に野菜を多く食べることを奨めている。
  • 最近体調が悪いので先生に相談してみたら、バランスの良い食事をするように奨められた。
  • 新商品の開発を奨められたが、なかなかそう簡単には思いつかないものだ。
  • 太ったことに悩んでいる彼に、ダイエットをすることを奨めてみる。
  • 彼に早寝早起きを奨めてみたら、今までよりも体調が良くなったそうだ。

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