「頓挫」という言葉をご存知でしょうか。「計画を頓挫する」「事業を途中で頓挫する」などと聞いたことがあると思います。日常会話ではあまり使わない言葉ですが、正しい意味をしっかりと理解しているでしょうか。ビジネスシーンやニュースなどで「頓挫」は頻繁に使われています。意味を知っていないと、話の内容はわかりませんよね。読み方も漢字も難しいですが、適切に「頓挫」を覚えておきましょう。そこで今回は「頓挫」の意味や使い方。読み方、類語「挫折・蹉跌」との違い、反対語について解説していきます。
「頓挫」は<とんざ>と読みます。 「頓」は音読みだと「トン」、訓読みだと「とみに・ひたすら」と読みます。 「頓」は「その場にとどまる。落ち着く」を意味します。 「挫」は音読みだと「ザ」、訓読みだと「くじく・くじける」と読みます。 「挫」は「途中でつまずく。くじける」を意味します。 「頓挫」の意味は「中途で行き詰まって、くじけること。計画や事業などが中途で進展しなくなること」です。 勢いが急に弱まってしまう様子・計画や事業などが途中で行き詰まって遂行できなくなることを表します。 このように、「頓挫」はそれまで続いていた勢いや姿勢というものが変調を示していることを伝えます。
「頓挫」は計画やプロジェクトが途中で急に駄目になったり、勢いが弱まるという場合に使います。 例えば、「人材不足で企画が頓挫した」といった場合は「人材不足で企画が途中で駄目になった」という意味になります。 他にも、「資金不足のため、自転車日本一周計画は頓挫することになった」といった場合は「資金不足のため、自転車一周計画は途中で遂行できなくなったこと」を表します。 「頓挫」は『完全に終わった』という場合にも、『弱まった』という場合にも使うことができます。 どちらの意味で使われているかについては、前後の文脈によって判断しましょう。 言い回しとしては、
などとなります。 それでは例文を見ていきましょう。
例文
「挫折」は<ざせつ>と読みます。 「挫折」の意味は「中途でくじけ折れること。駄目になること」です。 「挫」は「くじいていためる」、「折」は「途中でくじける。くじく」を意味します。 「頓挫」は「中途で行き詰まって、くじけること。勢いが急に弱まってしまうこと」 「挫折」は「事業や計画などが途中で失敗し、だめになること」 「頓挫」と「挫折」はほぼ同じ意味ですが、意味合いが少々異なります。 「挫折」には「中途で失敗し駄目になったせいで、意欲や気力をなくす」という意味が含まれます。 「挫折を味わう」「人生に挫折する」というように、「頓挫」よりも「挫折」の方が失望感が強いです。 また、「頓挫」は「計画が頓挫する」「事業が頓挫する」といったように対象が「もの」の場合に使うことが多いですが、「挫折」は「彼女は挫折した」「人生に挫折する」といったように対象が「人」の場合に使うことが多いです。
例文
「蹉跌」の意味は「つまずくこと。失敗すること」です。 「蹉」は「つまずく。失敗する」、「跌」は「足を踏み外す。つまずく」を意味します。 「頓挫」は「中途で行き詰まって、くじけること。勢いが急に弱まってしまうこと」 「蹉跌」は「失敗して行き詰ること。つまずくこと」 「頓挫」は「くじけること」、「蹉跌」は「つまずくこと」でほぼ同じ意味になります。 「事業計画は資金不足のため頓挫した」ということも「事業計画は資金不足のため蹉跌した」ということもできます。 ただ、「蹉跌」は難しい漢字を用いているということもあって、なかなか相手に意味が伝わりにくいです。 他にも、同音異義語に「砂鉄」があるため、「蹉跌」を使うとややこしくなってしまいます。 このように、「蹉跌」でも「頓挫」でも基本的に問題ありませんが、「頓挫」を使う事が一般的に多いです。
例文
中止 (意味:途中でやめること。いったん計画しながらやめること) 「雨天のため運動会は中止になった」 立ち消え (意味:物事が中途でやんでしまうこと) 「計画はいつのまにか立ち消えとなってしまった」 キャンセル (意味:取り消すこと。契約や予約を破棄すること) 「予定が合わなくなったのでチケットをキャンセルした」 沙汰止み<さたやみ> (意味:沙汰の止むこと。計画などが中止されること) 「新しい事業は沙汰止みとなった」 おじゃん (意味:事が不成功に終わること。駄目になること) 「出掛ける予定がおじゃんになった」 台無し (意味:物事がひどくいたみ汚れること。めちゃくちゃになること) 「君のせいで計画が全て台無しだよ」 中倒れ (意味:計画などが途中で駄目になること) 「不祥事のせいでプロジェクトは中倒れとなった」 空中分解 (意味:計画などが中途で駄目になること) 「目論見が全部空中分解となった」 水の泡 (意味:努力などが無駄になること) 「せっかく頑張ったのも全て水の泡だ」
貫徹<かんてつ> (意味:貫き通すこと) 「どんな時でも要求を貫徹する」 成し遂げる (意味:物事をし遂げる。完成する) 「彼女は偉業を成し遂げた」 果たす (意味:なしとげる。しおおせる) 「やっと宿題を果たした」 全うする (意味:完全にはたす。なしとげる) 「任務を全うする」 やり通す (意味:最後までやる。やり遂げる) 「宣言したことは全てやり通す」 完遂<かんすい> (意味:完全に遂行すること。やり遂げること) 「事業を完遂した」 やり抜く (意味:物事を終わりまですること、やり遂げること) 「最後までやり抜く覚悟は十分にある」
「頓挫」は医療用語としても使われます。 この場合も、「頓挫」の一般的な「勢いが急に弱まる」という意味で用います。
などの使い方をします。 これらは「痙攣が弱まる」「発作が突然止まる」という意味になります。 ただ、「頓挫」は「予想や期待に反して勢いが弱まる」という意味なので、期待通りのことが起きていることに対して「痙攣が頓挫」や「発作が頓挫」などと「頓挫」を使うのは変だという声も多くあります。 ですので、通常は「頓挫」ではなく「おさまる」や「とまる」などと表現するのが無難です。
競馬用語として使われたりもします。 馬の調整が途中でうまくいかなかくなり、馬が試合に出場できなくなることを意味します。 「初めての骨折で今回の試合を頓挫することになった」「期待していた馬が頓挫した」などと言います。
「抑揚頓挫」は<よくようとんざ>と読みます。 「抑揚頓挫」の意味は「言葉の調子をおさえたり高めること。また、急に勢いを変えたりすること」です。 「抑揚」は「音声や音楽文章などの調子を上げたり下げたり、強めたり弱めたりすること」を意味します。 一般的に「頓挫」は「途中で行き詰まって遂行できなくなること」という意味で使われていますが、「抑揚頓挫」の場合は「勢いが急に弱まる」という意味で使われます。 この2つの言葉がくっつくことによって、「文や声の調子を上げ下げしたり、勢いを変えたりして、全体的な効果をはかること」を表すようになります。 「抑揚頓挫が巧み」「抑揚頓挫な話し方」「単調ではなくて、文は抑揚頓挫するように」といったように使います。
例文
「沈鬱頓挫」は<ちんうつとんざ>と読みます。 「沈鬱頓挫」の意味は「詩文に深い意味を込めすぎたせいで、意味がなかなか理解できないこと」です。 「沈鬱」は「気分が沈みふさぐこと」、「頓挫」は「勢いが急に弱まる」という意味になります。 ポエムやエッセイなどで筆者が主張や感情を込めたせいで、読み手に内容が伝わらないことを表します。
例文
「一頓挫」は「順調に進んだ事が突然に停滞すること。事業や計画に突然支障が出て見通しがなくなること」です。 「頓挫」だと「中途で行き詰まって、くじけること」をいう意味ですが、「一頓挫」には「スムーズに進んでいた事がいきなり行き詰まる」という意味になります。 「頓挫」と「一頓挫」は同じような使い方ができますが、途中まで物事が快調だった場合には「一頓挫」を使うのが良いでしょう。
例文
「頓挫薬」とは「勢いが急に弱まる薬」を表します。 主な「頓挫薬」としては「トリプタン系薬剤」が挙げられます。 「トリプタン系薬剤」とはトリプタミン誘導体の医薬品の一種で、片頭痛や群発頭痛などの治療に用いられています。 通常の鎮痛薬であったら、すでに起きた炎症を抑えることを目的としていますが、トリプタンは炎症を抑えるだけでなく、脳の血管や神経に作用して片頭痛の根本的な要因を抑えるという効果を発揮します。 トリプタン系薬剤には、錠剤・口腔内速溶・崩壊錠・点鼻薬・注射薬などがあります。
「頓挫」の英語表現を見ていきましょう。 「abort」で「(計画など)を途中で終わらせる」という意味になります。「abortion」では「中絶」という意味にもなります。 また「be at standstill」で「物事が完全に停止」してしまうことを表します。 「experience a setback」「suffere a setback」で「後退に苦しむ」という意味になります。
Our plan was aborted at the very last minute.
最後の最後で我々の計画は頓挫してしまった。
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「頓挫」について理解できたでしょうか? ✔︎「頓挫」は「とんざ」と読む ✔︎「頓挫」は「勢いが急に弱まってしまう様子。中途で行き詰まって、くじけること」を意味 ✔︎「頓挫をきたす」「頓挫する」といったように使う ✔︎「頓挫」の類語には、「中止」「キャンセル」「水の泡」などがある