「昏い」という言葉をご存知でしょうか。「昏い道」「昏い過去」などと使います。では、「昏い」についてしっかり意味を理解しているでしょうか。読み方すらわからないという方も多いかもしれません。「昏い」は「くらい」と読みます。読み方を聞くと、なんとなく「昏い」の意味についてイメージできますよね。「昏い」とはどのような場面で使うのでしょうか。また、「暗い」や「冥い」などと何か違いはあるのでしょうか。色々疑問に思うことがあります。そこで今回は「昏い」の意味や使い方。類語との違いについて解説していきます。「昏い」を正しく覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「昏い」は<くらい>と読みます。 「昏」は音読みで「コン」、訓読みで「くらい・くれ・くらむ」と読みます。 「昏」は「日が暮れてあたりがぼんやりとしていること。見えないこと。目がくらくらすること」を意味します。 「昏」の意味は使い方によって異なり、「昏れ(くれ)」は「夕暮れ」、「昏む(くらむ)」は「目が回ること」を意味します。 「昏」を用いた言葉には、「昏睡状態」「昏昏」「昏迷」「昏倒」などがあります。 「昏」は、「人」を表す「氏」と、「太陽」を表す「日」で成り立っています。 「人の足元に日が落ちた様子」から「日が暮れること」を意味する「昏」という漢字ができました。
「昏い」は、 1.日が暮れてあたりがぼんやりと、はっきりしなくなるさま 2.物事に疎いこと。その方面の知識が不足しているさま 3.くもっていて晴れやかでないこと。ぼんやりと陰気であるさま です。 「日が暮れ暗い様子」から、転じて、常識や心がぼんやりしているさまを表すようになりました。 日没を迎えると光の量が少なくなり、はっきりせずものがよく見えなくなりますよね。 「昏い」は全く光がない状況ではなく、日が暮れてやや明かりが少なくなってきたときに使います。 また、「昏い」にはある分野や知識がよく分かっていないことや、物事がぼんやりとしているさまも表します。 あるジャンルの知識が身に付いていない、習っていない、もともと知らないことを言います。
「昏い」はだんだんと明かりが減ってくる状態や、ものがはっきりと見づらい状態を表す場合に使います。 「昏くて何も見えない」などと光が全く見えていない状況ではなく、少しばかり光が残っている様子を表す場合に「昏い」と表現します。 「昏い」はある分野において、よく分からない状況を表す場合にも使います。 例えば、「その分野には昏い」と言います。これは「その分野においては知識が不足している、詳しくない」という意味になります。 「ぼんやりしている」という意味では「昏い気持ち」「昏い過去」などと、曖昧で明確ではないことを表します。 「昏い気持ち」と言った場合は、「かげりがあって、足元が落ち着かない不安な気持ち」を意味します。 このように、「昏い」は光の度合いを表す他にも、色々な場面で使うことができます。
「日が暮れてぼんやりしているさま」を意味
「物事に疎いこと」を意味
「ぼんやりと陰気であるさま」を意味
「昏」という漢字は「黄昏」という熟語でよく使われますよね。 「黄昏」とは、 1.日が暮れて、夕方の薄暗いとき 2.人生の最盛期を過ぎて、衰えのみえる頃 です。 辺りが暗くなるとなかなか顔を区別できないため、『誰そ彼(だれそかれ)?』と尋ねたことが「黄昏」の始まりです。 元々は「夕暮れで薄暗くなること」を表していましたが、比喩的に「ピークを超えて終わりに近づく」という意味で使うようになりました。 「ぼーっとしている」「物思いに耽る」という意味で「黄昏る」を使っている人が多いですが、間違いです。 正しい「黄昏る」は、「薄暗くなってくる」「盛りが過ぎて終わりが見える」という意味になります。 放心している人に向かって『黄昏てんな』などと言うのは、本来誤りなので注意しましょう。
例文 「夕暮れ」という意味
「ピークを過ぎ衰えがみえる頃」という意味
「暗い」の意味は、 1.光が少なくて、ものが見えなくなるさま 2.物事に疎いこと。その方面の知識が不足しているさま 3.くもっていて晴れやかでないこと。ぼんやりと陰気であるさま です。 「暗」は音読みで「アン」、訓読みで「くらい・ひそかに・そらんずる」と読みます。 「暗」は「くらいところ。光がないさま」を意味します。 「暗い」には3つの意味があります。「昏い」もどれも同じ意味合いで使うことができます。 「暗い」と「昏い」の違いは、「暗い」の方がより光がない状態を指します。 「暗い」と「昏い」では、物理的に「暗い」の方が暗いです。 「その領域には暗い」と「その領域には昏い」を比べても、前者は「全く知識がない。ほとんど知識がない」ことを示しますが、後者は「あまり詳しくない」という意味になります。「その領域には昏い」=「その領域には明るくない」になります。 「気分が暗い」と「気分が昏い」を比較しても、前者の方がより気持ちが落ち込んでいる状態を表しています。 読み方が同じで意味も非常に近いですが微妙なニュアンスの違いがあるので、覚えておきましょう。
例文
「冥い」の意味は「光が全くない」という意味になります。 「冥い」は、「昏い」「暗い」よりも、もっと暗い状態を示します。 「冥い」は「真っ暗」に近いです。 「冥」は音読みで「メイ・ミョウ」、訓読みで「くらい」と読みます。 「冥」を用いた言葉に「冥界」などがあるように、「死後の世界」という意味もあります。 よって、「冥い」はただ真っ暗なだけではなく、スピリチュアルで不可思議なニュアンスも含まれます。
例文
「闇い」は「全く光がない状態」を意味します。 「闇」は音読みで「アン」、訓読みで「やみ・くらい」と読みます。 「闇」を用いた言葉には「闇取引」「闇市」「闇夜」などがあるように、「社会的に正しくない。不正」などの意味も含まれます。 「闇い」はそもそも光があることを想定できないほどくらいことを表します。「昏い」「暗い」よりも暗いことを示します。 「冥い」と「闇い」は暗さは同等ですが、上記で説明した通りニュアンスが異なります。
例文
暮れ方 (意味:夕方の薄暗いとき) 「すぐに暮れ方になる」 日暮れ (意味:夕日が暮れようとするとき) 「日暮れどきは涼しい」 夕方 (意味:日が暮れようとするとき) 「夕方は風が通って気持ちが良い」 夕刻 (意味:薄暗くなる時刻) 「夕刻に集合しよう」 晩方 (意味:薄暗くなるとき) 「晩方になると、外が静かになる」 夕闇 (意味:夕方の薄暗いとき) 「夕闇が迫ってきたから早く帰ろう」
疎い (意味:よく知らないこと) 「彼女は今時の映画に疎い」 物を知らない (意味:その物事の知識が欠けていること) 「君はまだ物を知らないようだね」 見識がない (意味:物事を対して知らないこと) 「見識がないからもっと勉強をしなくては」 無知 (意味:知識が不足していること) 「無知な人間にはしっかり教えないと」 浅学非才(せんがくひさい) (意味:知識が浅くて能力がないこと) 「彼女は浅学非才だからね」 学が浅い (意味:学問や知識をよく知らないこと) 「学が浅いから何を言っても無駄だ」
ぼんやり (意味:記憶が正確ではなく霞んでいること) 「記憶がぼんやりしているので詳しいことは分からない」 朧気(おぼろげ) (意味:ぼーっとしている様子) 「その日については朧気に覚えている」 モヤモヤ (意味:ぼんやりしている様子) 「モヤモヤと案が浮かんできた」 不透明 (意味:実際の事柄がよく見えないこと) 「この事故には不透明なことが多い」 漠然 (意味:ぼんやりとしていること) 「新しい企画については漠然と考えている」 呆然(ぼうぜん) (意味:何かが抜けたようにぼんやりする様子) 「彼はずっと呆然としていた」
朝方 (意味:明るいうち) 「朝方運動をする」 暁(あかつき) (意味:太陽が昇る前の明るい頃) 「暁に起きるのはとても気持ち良い」 薄明(はくめい) (意味:日の出前の明るい状態) 「薄明はキラキラと輝いている」 明け方 (意味:夜が明けようとする頃) 「いつも明け方に起きてしまう」
詳しい (意味:隅々までよく知っていること) 「彼は法律に詳しい」 物知り (意味:幅広く事柄を知っていること) 「彼は物知りで信用できる」 知識豊富 (意味:ある事柄を詳しく知っていること) 「君は本当に知識豊富だね」 博識(はくしき) (意味:細かいところまで知っていること) 「博識な人を目指す」 博学 (意味:広いジャンルに渡ってものごとを知っていること) 「博学な人に憧れる」 熟知 (意味:物事を細かく知っていること) 「君は彼女のことについて熟知しているね」
はっきり (意味:正確で間違いないこと) 「何だか君の答えははっきりしないね」 くっきり (意味:非常にはっきりとしているさま) 「ここからだとくっきりと見えるね」 明瞭 (意味:はっきりとしていること) 「意識はまだ明瞭だ」 判然 (意味:物事がはっきりとしているさま) 「真実が判然とした」 明らか (意味:物事がはっきりとしていること) 「彼が犯人なのは明らかだ」 自明 (意味:説明しなくてもはっきりとすること) 「その事は自明している」
「昏い」の英語の英語は、
などになります。 「詳しくない」という意味では、
などの英語表現があります。
It's getting darker around here, so we should go home soon.
あたりが昏くなってきたので、もう帰るべきだ。
She is not familiar with English literature.
彼女は英文学に疎い。
科学的に正しい英語勉強法
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正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。 タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。 イラストや例文などが満載なので、これを機会にスラング英語をマスターしちゃいましょう!
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米津玄師の歌「Lemon」にも「昏い」が出てきます。この歌は「人の死」が夢ならば良かったという旨を伝えています。 「言えずに隠していた昏い過去もあなたがいなきゃ永遠に昏いまま」という歌詞があります。 ここでの「昏い」は「ぼんやりしている」という意味だと解釈できます。 なので、この歌詞の意味は「君に隠していた過去を、素直に全部話さなくてはいけない。けれど、その君はもう存在していない」という意味です。
「昏い」について理解できたでしょうか? ✔︎「昏い」は「くらい」と読む ✔︎「昏い」は「日が暮れてぼんやりする様子。物事に疎いこと。くもっていて晴れていない」という意味 ✔︎「昏い」は「全く光が見えない様子」ではなく、「光が少しあり薄暗い様子」を意味 ✔︎「昏い」よりも「暗い」の方が、「光が全くなくてものが見えないさま」を意味