「お越しいただき」という敬語表現をご存知でしょうか。相手にこちらえ来てもらうという場面でお礼を伝えたり、「来てほしい」とお願いをする場面で使用することができる言葉です。 今回は「お越しいただき」の正しい意味と使い方を、依頼をする場面・感謝する場面にわけて例文つきで解説します!また、類語や英語表現も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「お越しいただき」は、相手に来てもらうことを丁寧に言い表した言葉です。 つまり、「来てもらう」を丁寧に表現した言葉が「お越しいただき」という言葉になります。 「お越しいただきありがとうございます」など、相手に来てもらったということにお礼を述べる場面で使用される言葉です。 特に遠方から足を運んでもらった場合には相手に対する労いの言葉になります。
「お越しいただき」という敬語表現は謙譲語にあたります。 「来る」の尊敬語である「お越し」に、「もらう」の謙譲語である「いただく」を使用した表現です。 「相手に来てもらう」ということを、相手に対して敬意を示しへりくだった表現にしているため、謙譲語という敬語表現が使用されます。
「お越しいただき」と「お越しくださり」は、ともに「相手が自分の元へ来てくれる」ということを言い表した敬語表現です。 例えば、来てくれた相手に対して「お越しいただきありがとうございます」と伝えても、「お越しくださりありがとうございます」と伝えてもどちらも正しい表現です。 では、どのような違いがあるのかというと、「お越しいただき」と「お越し下さり」の違いは、「謙譲語」であるか「尊敬語」であるかという点にあります。 「お越しいただき〜」は上述したように、謙譲語であるため、「来てもらう」という自分をへりくだって表現しています。 一方、「お越し下さり」は、「相手が来る」ということに敬意を示して尊敬語にした表現です。 つまり、主語を自分としているのは「お越しいただき〜」相手が主語である場合は「お越くださり」であるということがわかります。
「お越しいただき」を漢字で表記する場合は、「お越し頂き」となります。 しかし、「お越しいただき」の場合ひらがなで表記されますので、ビジネスメールなどの文面で「お越しいただき」を使用する場合は、平仮名で表記しましょう。
「お越しいただき」を平仮名で表記するのは、この場合の「いただく」が補助動詞として使用されているためです。 「いただく」を平仮名表記として使う場合は、補助動詞として使用するときになります。 ひらがなで「いただく」と書く場合は、「何かを~してもらう」という意味で使う場合で、例えば「ご覧いただく」「お越しいただく」「ご足労いただく」といったようになります。 したがって、「~していただく」はひらがなで書くのが正解です。「〜して頂く」「させて頂く」は誤りになります。
相手に来てもらうことを依頼する場合、「〜していただきたい」という表現は直接的な表現であるため、使用することは避けましょう。 「〜いただきたい」は、「〜もらう」の謙譲語「いただく」に願望の「〜したい」という言葉を使用して「〜していただきたい」という希望を伝える表現にしています。 文法に誤りはありませんが、とくに目上の人に使用する表現としては丁寧さに欠ける表現です。 目下の人や同等の立場の人に対して「直接説明させてもらいたいので一度お越しいただきたいのですが…」というようにお願いをするぶんには問題ありません。
「お越しいただきますようよろしくお願いいたします/申し上げます」は、「〜してくれるようお願いします」というお願いをする丁寧な表現です。 「〜してもらう」の謙譲語である「お(ご)〜いただく」という表現に、さらに丁寧語も「ます」に「よう」で、「お(ご)〜いただきますよう」という言い回しを使用しています。 「〜ますよう」という表現は、断定する意味を避け柔らかいニュアンスでお願いをするために使用されています。 「お願いいたします/お願い申し上げます」は、相手に何かを依頼するときに使うフレーズになります。 「お願いいたします」は「お願いをする」の謙譲語であり、「お願い申し上げます」は、「お願いを言う」の謙譲語であるため、ニュアンスの違いはありますが大きな意味の違いはありません。 ただ「お願い申し上げます」は日常会話では使用頻度が低い言葉なので、よりフォーマルな響きがあるのは事実です。 ビジネスシーンで立場が上の人に対してや、厳粛な場面では「お願い申し上げます」と言う方が適切でしょう。ただ目上の人でも親しい間柄の相手には「お願いいたします」の方がむしろ自然で、「お願い申し上げます」と言うと少し堅苦しい印象があります。
「お越しいただきたく存じます」は、「来てもらいたいと思います」という意味の言葉を丁寧に言い表した表現です。 「存じます」の意味は「思います」「知っています」で、「いただきたく存じます」は「◯◯してほしいと思います」という意味になります。 「いただく」は「もらう」の謙譲語で、「たい」は希望を表す助動詞です。 「いただきたく存じます」は、目上の人に対してお願いをする場合に使う言い回しであるため、「お越しいただきたく存じます」で相手に敬意を示して相手に来てもらうことをお願いすることができます。
「可能でしょうか」は、「〜できますか」という可否を確認する言葉です。 「〜いただくことは可能でしょうか」は、「〜もらう」の謙譲語である「いただく」を使用しているため文法的に誤りがあるわけではありませんが、威圧的で「上から目線だな」と思われてしまう可能性のある表現です。 つまり、お願いをする表現としては丁寧さには少々欠ける表現であるということです。 「お越しいただくことは可能でしょうか」であれば、「お越しいただけますか?」「お越しいただいてもよろしいですか?」といった表現のほうが丁寧で好ましいです。
「お越しいただけますでしょうか」は、二重敬語にあたる表現であるため文法としては誤りです。 二重敬語とは、同じ種類の敬語を1つの文章で2回以上使用することを指します。逆にいったら、違う種類の敬語を同時に使っても二重敬語にはなりません。 「いただけますでしょうか」は慣習的には結構使われているので、使用してもそこまで相手に違和感を与えることはありませんが、二重敬語は正しい日本語ではないので、使用を避けるようにしましょう。本来、二重敬語は目上の人に対しても失礼にあたります。 上記でも紹介した通り、「いただけますか」と使うのが正しい表現となります。
「来てもらった」ということに対するお礼の気持ちを伝える場合は、「お越しいただきありがとうございます」という表現が基本となります。 「〜いただきありがとうございます」は、「〜してもらいありがとうございます」という意味の謙譲語で、来てもらったときの相手への挨拶や、お礼を伝える場面で使用されます。
頭に「遠路はるばる」や「わざわざ」などとつけるとより丁寧になります。 「遠路はるばる」は、「えんろはるばる」と読み、長い道のりによって隔てられている様子や、長距離を苦労して移動する様子を意味する言葉で、遠くから足を運んでくれた相手にたいする労いの言葉にもなります。 「わざわざ」は、
という二つの意味がある言葉です。 主に「わざわざ◯◯してくださり、ありがとうございます」と相手が何かを特別にしてくれたことに感謝する場合に使います。 この場合は、「その事だけのために、特に行ってくださり、ありがとうございます」という意味合いになります。「わざわざ」の前後に気をつければ、敬意を表せます。 しかし、使い方によって好印象を与える場合と不快感を与える場合があるため使用する際には注意が必要です。 「しなくてもよかった事をしようとして、迷惑です」と相手は受け取ってしまう場合があるため、嫌味だと思われることがないよう気をつけましょう。
「お越しいただいた皆様〜」など結婚式などで足を運んでくれた出席者に対するお礼の言葉としても使用されます。 結婚式では、新郎または父親により謝辞の言葉で、ご列席いただいた皆様に対してお礼の言葉を述べます。 基本的に謝辞では、出席者に対して、忙しい中時間を作って足を運んでくれたことに対するお礼を、新生活の抱負、今後のお付き合いのお願いが述べられます。
「おいでいただき」は、「お越しいただく」と同様に、「来てもらう」を敬って表現した尊敬語です。 「お越しいただき」のほうが使用するほうが一般的であり、頻度の高い表現ではありますが基本的にはどちらの表現を使用しても同じ尊敬語であるため間違えということはりません。 例文
「ご足労」の意味は、「相手にわざわざ足を運んでもらう」です。 「労」には「ねぎらう」という意味があり、「ご足労」は「足を運んでいただきありがとうございます」というニュアンスがあります。 「ご足労いただき」という表現は、「してもらう」の謙譲語である「いただく」をつけた丁寧な敬語で、足を運んでもらったことあとにお礼をして使う言葉です。 例文
「ご来社」「ご来訪」「ご訪問」も相手に来てもらうことを表現する言葉です。
「ご来社」は「目上の人が自社に訪ねて来ること」を意味します。 「ご来社」の「ご」は尊敬を意味する接頭語で、類語には「お越し下さる」「おいでになる」「いらっしゃる」などがあります。 取引先などに自社に来てもらった感謝のメールをする際は、「ご来社の御礼」などと件名に書くことも多いです。 例文
「ご来訪」は「ご来社」とほぼ同義です。 違いは、「ご来社」は目上の人が自分の会社やオフィスに来る際に限定されるのに対し、「ご来社」は会社だけではなくカフェやイベントなどの商談場所に来てもらう際も使うことができる点です。 類語には「お越しになる」「ご足労いただく」などがあり、先方に会社に来てもらう場合は「ご来社」を使うことの方が一般的です。 例文
「ご訪問」は、自分自身が目上の相手を訪ねる場合にも使用されますが、「お(ご)〜いただく」という形で「相手に訪問してもらう」という意味の謙譲語になります。 つまり、「ご訪問いただきありがとうございます」で、「訪問してもらい、ありがとう」という意味になるということです。 例文
「お立ち寄りいただき」は、「立ち寄ってもらい〜」という意味の謙譲語です。 「立ち寄る」という、「目的地へいく途中、ついでに訪れる」といった意味の言葉「〜してもらう」の謙譲語である「お(ご)〜いただく」という表現をつけた言葉です。 したがって、「お立ち寄りいただきありがとうございます」とすると、「立ち寄ってもらいありがとう」という意味になります。 例文
「いらっしゃってください」は「来てください」の敬語表現です。 「いらしてください」をより丁寧にした表現なので、目上の人に対しては「いらっしゃってください」を使うのが良いでしょう。 「いらっしゃる」は「居る」の尊敬語ですが、「来てください」と同じ意味で使います。 ただ、「いらっしゃる」は「居る」という意味のため、使用場面や前後の文章によって「居てください」の敬語表現であると誤解を招いてしまう場合もあるので、使う際には気をつけるようにしましょう。 例文
「お越しになる」は「来る」という意味なので、
などでOKです。
「わざわざ、はるばる」は「all the way」で表現することができます。
Thank you for coming all the way.
お越しいただきありがとうございます。
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「お越しいただき」という言葉について理解していただけましたか? ✓「お越しいただき」の意味は「来てもらい」 ✓「お越しいただき」の敬語は謙譲語 ✓「お越しいただき」の「いただき」は複助動詞なのでひらがなで表記 ✓頼むときは、「お越しいただきますようよろしくお願いいたします(申し上げます)」 ✓お礼を言うときは「お越しいただきありがとうございます」が基本 など