「感銘を受ける」という表現は聞いたことがある人がほとんどだと思います。しかし正しい意味と使い方を理解していますか?何気なく使っている日本語もしっかり理解したいものです。今回は「感銘を受ける」という言葉の正しい意味とふさわしい使い方を解説します。
「感銘を受ける」の意味は「忘れられないほど深く感動し心に刻むこと」「後々まで印象に残り続けるほど感動する」です。 人生における選択や考えに影響を及ぼすほど感動したといった意味で用いられるので、とても良い響きのある音葉として使われています。
「感銘」の漢字について説明します。 「感」には「深く心が動くこと」という意味があり、「感心」「感激」などといった言葉が連想されます。 「銘」は「銘菓」「座右の銘」などのように「特に優れたもの」、または「心に刻みついて忘れないこと」という意味があります。 それらが組み合わさり「忘れられないほど深く感動し心に刻むこと」などといった意味になります。 さらに「感銘」は「肝銘」という漢字で書くこともあり、どちらも正しい表記です。しかし「感銘」という漢字の方が圧倒的に多く使われているので、基本的にはこの漢字を使うのが良いでしょう。
「感銘を受ける」の意味は「深く感動し、心に刻むこと」です。 そのため、小さなことやちょっとした感動に使うのは不適切です。 先程も説明しましたが、人生における選択や考えに影響を及ぼすほど感動したことや、忘れられないほど感動したことに対して使うようにしましょう。 「感銘を受ける」ことをより強く伝えたい場合には、「強く感銘を受ける」「とても感銘を受ける」「深く感銘を受ける」など程度が大きいことを表す言葉を前に入れることで、感動の度合いを強調することができます。 ちなみに「感銘」は必ずしも「受ける」とセットなわけではなく、様々な言い回しがあります。
などと使われています。 さらに「感銘」は感動したときのみに使う言葉と思いがちですが、悲しい感情を表す言い方もあります。 「感銘に見舞われる」という表現です。 「見舞われる」は「災難、好ましくないものに遭遇する」という意味です。 つまり「感銘に見舞われる」とは「感動的ではあるけれど、非常に悲しいものに遭遇する」ということを示します。 「悲しい感銘に見舞われる」と表現したりもします。 あまり使われる表現ではないですが、覚えておくと良いでしょう。
「部長の働き方に感銘を受けてから、仕事に取り組む姿勢が変わりました」 「この書物の中に、私が感銘を受けた言葉が書いてあります」 「オーケストラを初めて鑑賞した彼は強く感銘を受け、楽器演奏者を志した」 「最近何かに感銘を受けることがなくなった」
履歴書や志望動機で「御社の理念に感銘を受けた」と伝える学生が多いですが、会社側としては「そうですか」と思うだけです。 また他に志望動機や褒めるところがないのか、と感じることもあります。 さらに「感銘を受けた」とはとても強い表現なので、言い過ぎなのではと疑われる可能性もある言葉です。 そのため「企業理念に感銘を受けた」と伝える場合は、企業理念のどの部分に感銘を受けたのかを一つ一つ理由を書くことで説得力が増します。 「感銘を受ける」という言葉を使うときには、それに見合った理由や説明を書くようにしましょう。 また履歴書や面接で「感銘を受けた出来事/言葉/本は何ですか?」などと質問されることもあります。 この場合もちろん深く感動したことを話すのですが、就職を希望する会社や働き方に繋がるように書くようにしましょう。 例えば「オーケストラの素晴らしい演奏に感銘を受けました」と書いても、会社側からすれば「だからどうしたの?」となってしまいます。 「オーケストラを鑑賞した際に人の心を震わせる素晴らしい演奏に感銘を受け、私も人の心を震わせることが出来るようなサービスの開発がしたいと思うようになった」などと書くと良いでしょう。(会社側がサービス開発の会社の場合) その他詳しい使い方は例文を参考にしてみてください。
「御社の企業理念の『お客様に尽力する』といった部分に感銘を受け、私もお客様を一番に考え商品を開発するために知識を付けられるよう、御社で経験を積んでいきたいと思ったことが志望動機です。」 「高校生の頃に友人から仲間外れにされ何もかもが嫌になっていた時『逆境があるほど面白い』という言葉に感銘を受け、どんな事があっても乗り越えていける強さを持って前を向いていようと思うようになりました」 「志望動機は、御社の社長○○さんの講演会に行く機会があり、その際に仰られていた『お客様が喜べばいいわけではない、社員が満足すればいいわけではない、世界を変えていかなくてはならない』という言葉に感銘を受けたことです」
上下関係がある場合、「感銘」は基本的に目下の人が目上の人に対して使う言葉です。 ただし「感銘」単体の言葉に敬語表現は含まれていません。 そのため、目上の人に使う場合は「感銘を受けました」「感銘いたしました」のように丁寧になるようにひと工夫するといいでしょう。
「課長の仕事に対する姿勢に感銘を受けました」 「社長の言葉に感銘いたしました」 「先輩のお客様への丁寧な対応に感銘を受けました!」
▶「感銘」 意味:
目上の人に使うことのできる言葉 その場合は「感銘を受けました」「感銘いたしました」と使う ▶「感動」 意味:
目上の人に使うことのできる言葉 その場合は「感動いたしました」と使う ▶︎「感心(かんしん)」 意味:
目上の人に使うべきではない言葉 「すごいな、偉いな」と思うことなので、一般的に目上の人から目下の人に使う ▶︎「脱帽(だつぼう)」 意味:
目上の人に使うべきではない言葉 「相手を上だと認める」といった上から物を言うニュアンスがあるため、一般的に同等か目下の人に対して使う ▶︎「感服(かんぷく)」 意味:
目上の人に使うことの出来る言葉 その場合は「感服いたします」「感服しております」 ただし「敬服」の方が尊敬の度合いが強く目上の人に使うには適している ▶︎「敬服(けいふく)」 意味:
目上の人に使うことのできる言葉 その場合は「敬服いたします」「敬服しております」
6つの言葉の違いは以上の通りです。 これらの中で最も気を付けなければならないのは、「感心」という言葉です。 「感動する、深く心に感じること」といった意味で、人の行動や物事が優れていると思った時に用いる褒め言葉です。 これには上から目線で評価を下しているような印象があります。 目上の人の言動に感動した場合は「感動いたしました」「感銘を受けました」「敬服いたしました」と使うようにしましょう。 ただ、尊敬の度合いとしては「敬服」が一番強いので、目上の人の直接的な言動に対して言葉をかける場合は「敬服」を使うのが適切でしょう。 「感銘を受けた」だと「人生の影響を与えるほどの感動」といった意味で大げさに取られてしまう場合があるので気を付けましょう。 「感動」も、目上の人の直接的な言動に使うと軽く感じる人もいるので「目上の人が関わったサービスやプロジェクトの成功」などに対して使うのが適切でしょう。 その他「脱帽」「感服」「敬服」「感心」についてはこちらの記事も参考にしてみてください↓
先程も志望動機における「感銘」について話しましたが、ここでは「共感」との意味や使い方も含めて解説していきます。 まず「共感」は「他人の意見や感情に、自分自身もその通りだと同じように感じたり理解すること」です。 それに対して「感銘」は「深く感動して忘れないこと」です。
就職をする際の志望動機に企業理念を用いる場合に、主に「企業理念に感銘を受けました」や「企業理念に共感しました」などと使います。 では、企業理念に対して「感銘」と「共感」を使う場合、どういった違いがあるのでしょうか? 「感銘」を使う場合は、企業理念に強く感動をした時に使います。そのため、同じような気持ちがあったわけでなくても使うことができます。 企業理念の言葉や考え方に感動し、自分もそうなりたいと思った場合に「感銘」を使います。 それに対して「共感」を使う場合は、企業理念に同じような考えや気持ちを持っていたり、その通りだと感じた時に使います。そのため「感銘」のように強く感動をしていなくても使うことができます。 しかし「志望動機は企業理念に感銘を受けたからです、共感したからです」と言っても、企業側には何も伝わりません。むしろ「それしかないのか」と低評価に繋がることもあります。 そのため企業理念に感銘を受けたり共感したことを伝えたい場合は、先程も述べたように企業理念のどの部分に感銘を受けたのかを一つ一つ理由を書くことで説得力が増します。
● 強く印象に残る 意味:感動が後々まで強く残ること、いつまでも忘れられないこと ● 胸に響く 意味:人の言動や物事に印象深く伝わること、心を揺り動かされること ● 琴線に触れる 意味:人間の心の奥深くにある感じやすい心情に触れて感動すること、感動を与えること ● 衝撃を受ける 意味:意外な出来事などにより、強く心を揺り動かされること ● 魂が震える 意味:ある物事により深く心を揺り動かされること ● 目に焼きつく 意味:ある物事や感覚が忘れられなくなること、印象に残ること ● その後の人生を左右する 意味:ある物事や人と出会いが、自分の人生観や価値観などが変わるほどの出来事であること
「彼の演奏は強く印象に残っている」 「彼女の一言が、私の胸に響いた」 「彼らの表現力豊かな演奏は観客の心の琴線に触れた」 「小学生の彼からそんな歌声が響くなんて、衝撃を受けた」
● 心掛ける 意味:忘れることのないように常に気に留めておくこと ● 心に刻む 意味:深く心に留めて忘れないようにすること ● 胸に刻む 意味:心に刻むと同じ意味、心にしっかりと留めること ● 肝に銘じる 意味:決して忘れないように心に留めておくこと ● 心に留める 意味:常に意識して忘れないでおくこと ● 脳裏に焼き付ける 意味:忘れないようによく覚えておくこと ● 留意する 意味:ある物事に心を留めて気をつけること ● 銘記する 意味:しっかりと心に刻み込んで忘れないこと
「冷静沈着であることを心掛ける」 「私はプロジェクトが成功した日に部長に言われた『君が最後まで諦めずに丁寧に作り上げてくれたおかげだ』という言葉を胸に刻み、初心を忘れず尽力している」 「僕は二度と同じ間違えを起こさないと、肝に命じた」 「今日のことはよく心に留めて、忘れないようにする」
● 強烈な 意味:刺激が強いこと ● ショッキングな 意味:思いもよらないことで心に強い衝撃を与えるような ● 目の覚めるような 意味:思わず驚嘆するさま、目をみはるほど衝撃をうけるさま ● 印象的な 意味:強く心に刻みつけられるような、強い印象を与えられるような ● インパクトが強い 意味:影響や印象がとても強いこと
「あの場面が最も印象的だった」 「震災後の現場はあまりにもショッキングな光景だった」 「あれは目の覚めるような出来事だった」 「この料理は強烈な匂いがする」
● 無感動 意味:心が動かされないこと ● 無感心 意味:全く感心がないこと、興味を持たないこと ● 失望 意味:期待はずれでがっかりすること ● 幻滅 意味:空想や憧れが現実とは異なりがっかりすること
「感銘を受ける」は英語表現を説明します。 「感銘を受ける」は英語で 「be impressed by...」:「...に感銘を受ける」 となります。 例文です。
I was impressed by the beauty of the nature.
自然の美しさに感銘を受けた。
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正しいxxxxの使い方
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「感銘を受ける」について理解できたでしょうか? ✓意味は「忘れられないほど深く感動し心に刻むこと」 ✓敬語として使う場合は「感銘を受けました」「感銘いたしました」 ✓類語は「胸に響く」「琴線に触れる」など