「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」といったように「よろしかったでしょうか」と使う場面は多くあります。一見丁寧な表現かと思いますが、違和感を感じてしまう方もいらっしゃると思います。そこで今回は「よろしかったでしょうか」は正しい表現なのか、解説していきます。ビジネスシーンにおいて正しい敬語は大切なスキルです。何が正しい敬語なのかしっかり理解しておくようにしましょう。
「よろしい」は「よい」を丁寧にした語です。 この「よろしい」を過去形にした形が「よろしかった」となります。 飲食店などで注文の際に、「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」「◯◯でよろしかったでしょうか」と店員さんに聞かれたことがある方も多いと思います。「よろしかったでしょうか」は”バイト敬語”と呼ばれます。 「よろしかったでしょうか」「よろしかったですか」は間違った敬語になります。 理由としては、過去のことではないのに、過去形で聞いているからです。 「よろしかったでしょうか」に違和感を感じるのは、直前の行為に対して「よろしかった」と過去形にしているからです。 「よろしかったでしょうか」は過去形なので、前提となる内容があって、それに対して確認の意味で用いるのが適切な使い方になります。ですので、何の前提もない状態で「よろしいでしょうか」を使うと不自然です。
「よろしかったでしょうか」の誤用の例文
”バイト敬語”とは、アルバイト店員が多数を占める飲食店やサービス業において、接客時に用いられる言葉遣いのことです。 別名、ファミリーレストランやコンビニエンスストアの頭文字をとって”ファミコン敬語”とも呼ばれます。 「よろしかったでしょうか」も”バイト敬語”として浸透しています。 ”バイト敬語”は一見丁寧に聞こえますが、敬語としては誤っているので注意する必要があります。 特に、ビジネスシーンで使ってしまわないように気をつけましょう。
(誤)1万円からお預かりします (正)1万円お預かりします *「1万円から計算してしまいますよ」とニュアンスをもつため、お客側としては「急かされている」「決めつけられている」と不快に感じてしまう (誤)コーヒーのほうをお持ちしました (正)コーヒーをお持ちしました *「ほう」は”方向・方角・方位”を表しているので、付ける必要がない (誤)お名前を頂戴できますか (正)お名前をお伺いしてもよろしいですか *「頂戴」は「もらう」の謙譲語のため、「名前をもらっても良いですか」という意味になってしまう (誤)こちらがメニューになります (正)こちらがメニューでございます *「~になる」は変化を表す表現。この場合は何かがメニューに変わることはないので、「です」「ございますが」と言うのが正しい (誤)了解しました (正)承知しました、かしこまりました *「了解しました」は丁寧な言い方ですが、軽い印象を与えてしまうため、目上の相手に使うのは失礼にあたる
「よろしかったでしょうか」を使って正しい場合は、過去の行為を確認するときです。 「よろしかったでしょうか」は、事前に聞いてあったことを確認する場合に使用するのが適切になります。 例えば、事前に◯月△日に会う約束をしていたとして、改めてその約束を確認したいときに「お約束は◯月△日でよろしかったでしょうか」と言った場合、これは確認の意味で使っているので正しいです。 「よろしかったでしょうか」は現在起こっていることに対して使ってしまうと不快感を与えてしまう可能性があります。また、事前に何も聞かれていないことを「よろしかったでしょうか」と確認してしまうと、当然の事として聞こえてしまうので、大変失礼です。 「よろしかったでしょうか」を使う際は、正しく使える場面なのか、不適切になってしまうのかしっかり確認してから使用するようにしましょう。
「◯◯でよろしかったでしょうか」と尋ねられたときに、何て返事をすれば良いのか迷いますよね。 「◯◯でよろしかったでしょうか」と聞かれた場合は、
と返すのが適切になります。 また、親しい間柄の相手に対しては、
と返すのが良いでしょう。 「◯◯でよろしかったでしょうか」と聞かれた場合に「はい、よろしいです」と返すのも間違いではありません。ただ、「△△さんはいらっしゃいますか」と聞かれたときに「はい、いらっしゃいます」と返事をしないのと同じで、「よろしいです」だと違和感を与えてしまうのでなるべく使用は避けた方が良いでしょう。
現在進行している事に対して「◯◯でよろしかったでしょうか」を使うのは、誤りであることを上記で紹介しました。 しかし、北海道や東北地方の一部では、過去形の「◯◯でした」を用いることで丁寧さ、または婉曲さを表す方言が存在するそうです。 実は「よろしかったでしょうか」も具体的な出処は明らかになっていませんが、北海道弁が発祥であると言われています。
北海道では、電話に出るときに「はい、△△です」と名乗るところを「はい、△△でした」と言います。 「◯◯でした」という表現は単に過去を表すだけでなく、なるべくソフトに尋ねようと気遣う北海道独特の表現が元になっています。 したがって「よろしかったでしょうか」も、柔らかさを持たせようとする働きがある表現と考えられます。
「よろしいでしょうか」の意味は「問題ないでしょうか」「差し支えないでしょうか」となります。 「よろしいでしょうか」は、「いいですか」「いいだろうか」と同じ意味ですが、これらよりも丁寧な表現になります。
「よろしいでしょうか」は相手の意志を確認したり、同意・許可を求めるときに使う表現です。 「◯◯してもよろしいでしょうか」という形で使われます。 例えば「来週休みをいただいてもよろしいでしょうか」といった場合は、許可を求める言い方になり、「今お時間をいただいてもよろしいでしょうか」といった場合は、相手に支障がないか尋ねる言い方になります。
「よろしいでしょうか」はビジネスメールでも使うことが多く、「明日の会議で使用する資料は、以下の内容でよろしいでしょうか」などと相手に確認を取りたいときに使用します。 「よろしいでしょうか」は電話対応などでもよく使われ、忙しい相手に急を要する用件を伝える時に「お時間少しだけよろしいでしょうか」と使うことができます。
「よろしかったでしょうか」の英語表現は、
Is this alright with you?
Is this fine with you?
などと表現します。 前置詞「with」を使うのがポイントとなります。
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「よろしかったでしょうか」について理解できたでしょうか? ✔︎「よろしかったでしょうか」は基本的に誤用 ✔︎「よろしかったでしょうか」は、事前に決めたことを再度確認する場合に使うのが適切 ✔︎「よろしかったでしょうか」は”バイト敬語”と呼ばれる ✔︎ ”バイト敬語”は丁寧に聞こえるが、敬語としては間違っている表現
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