「あたかも」という言葉をご存知ですか?「あたかもその通りである!」というように耳にすることもある言葉かと思います。今回は、「あたかも」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。また、類語と英語についても解説しますので、参考にしてみてください。
「あたかも」の意味は二つあります。 「あたかも」の意味一つ目は、「あるものが他に似ている意」です。 「さながら」「まさに」「ちょうど」「まさに」というような意味合いをもち、「特に対象となるものを、何かに見たてて表現する場合」に使用します。 多くの場合が、「あたかも」の後に「~のようだ」などを伴います。 二つ目の意味は「ちょうどその時」です。 ある時刻や時期にちょうどあたる意を表し、「ちょうどその時」というニュアンスをもちます。 この場合は「時あたかも午前零時」というように、「時あたかも」という使い方をします。
「あたかも」は漢字で,「恰も」または「宛も」と書きます。 「恰」は、音読みで「こう・かっ」訓読みで「あたかも」と読み、人命常用漢字なので名前に使用することもできる漢字です。 「あたかも」以外では、「恰好」や「恰幅」というように、外から見た姿や状態を意味する言葉に使用されます。 「宛」は、音読みで「えん」訓読みで「あてる・ずつ・あたかも」と読みます。 どちらも「あたかも」と読める人のほうが少ないと考えられますので、「あたかも」を使用する場合は平仮名で表記することが望ましいです。
「あたかも」は、物事の形・ありさま・性質などをほかの言葉やたとえを言い表す「~のようだ」「~のような」といった形容する言葉を使用して、「あたかも〜ようだ」「あたかも〜ような」の形で使用します。 「あたかも~のようだ」「あたかも~のような」は、「あたかも」と組み合わせて使うことが最も多い言葉です。 「ようだ」「ような」は、例えば「その美しさは、あたかも宝石のようだった」というように、似た物に例えるという表現方法になります。 同じように形容する言葉の例として「あたかも〜かのように」があげられます。 「あたかも~のように」は、「あたかも兄弟かのように仲が良かった」といったように、動作や状況を例える場合に使用される言葉です。
「あたかも」は、「あたかも〜ごとく」「あたかも〜ごとし」の形でも使われます。 「ごとく」「ごとし」は漢字で「如く」「如し」と書きます。 「ごとく」「ごとし」は、「~のようだ」という意味で、比喩的な表現をする時に使用される言葉です。 例えば、「汗が滝の如く流れでる」というように使用し、「汗が滝のように流れでる」という意味になります。 同じく「あたかも」と一緒に使用し、比喩的な表現になる言葉に「あたかも〜かのごとく」があります。 「かのごとく」は、動作や状況を他のものに例える場面で使用されます。 「彼らは嵐のごとく過ぎ去っていった」というような使い方をします。
「あたかも」は、あまり口語表現では使用されません。 理由として、「文法的に使用方法があまり理解されていない」ということがあげられます。 「あたかも~のようでだ」という例えも難しいものが多いので、堅苦しい表現になりがちです。 「あたかも」は、どちらかというと文語表現に近いとされています。 あまり使われない表現方法ではありますが、「あたかも」は敬語表現としても認められている言葉なので目上の人やビジネスシーンでも使用することができます。 しかし、堅苦しい表現方法なので、「まるで」や「さも」など状況によって言い換えてもいいでしょう。
「時あたかも」は、日常的にはあまり使われません 「時あたかも」という言葉を知らないひとのほうが多いという理由が考えられます。 「時あたかも」を使用するよりも、「12時ちょうど」というように、「ちょうど」や「ぴったりに」という言葉を使用したほうが、意味が伝わるからです。 難しい言葉を使用するよりも、相手に分かりやすい表現で伝えたほうが、会話がスムーズにいき印象もいいです。
「あたかもこの世の終わりのような顔をしている」 「彼女はあたかも恋人がいるような口ぶりで話をしていた」 「あたかもそれが本当に真実であるように人を洗脳させるのが上手かった」 「時あたかも19時、最終の夜行バスが出発した」
「あたかも」の類語は、形状・様態・性質などが、似ている物事にたとえて形容する語があげられます。 いくつか代表的なものを紹介します。
「まるで」の意味は、「ほとんど同じようであるさま」です。 「まるで」は、漢字で「丸で」と表記します。 「彼の笑顔はまるで太陽のようだ」というように、「まるで」を使用する場合は後に「ようだ・みたいな」といった比況表現を伴います。
〇「まるで」を用いた例文 「彼の運転さばきは、まるでレーサーのようだった」 「彼女はまるで歌手のように歌がうまい」 「まるで恋人のような距離の近さ」
「言わば」は、「言ってみれば」「しいて言うならば」という意味です。 「言わば」は、「言う」の未然形に接続詞の「ば」をつけたものです。 例えを示してわかりやすく言い換えたり、極端に結論として示したりする場合に使用されます。 「いわば~だ」のといった使い方をします。
〇「言わば」を用いた例文 「言わばその行動は将来の自分に繋げる為の行動なのに!」 「それを可能にするのは言わば神しかいないだろう」 「仕方がないよ、言わば彼にとっては遊びでしかなかったんだから」
「ちょうど」の意味は、「数量・大きさ・時刻などが、過不足なく一致する様」です。 また、「その時と、ある物事が行われている時と重なるさま」を「ちょうど」といいます。 「ちょうどその時」といった使い方をすることができ、「ぴったり」というニュアンスを持ちます。 例えば、「年が明けたちょうその時、わたしはキッチンにいた」というような使い方をします。
〇「ちょうど」を用いた例文 「電車に乗ろうとしたちょうどその時、扉が閉まった」 「午前10時ちょうどに出発するから遅刻しないでね!」 「私が家に入ったちょうどその時、雷が落ちたようだ」
「折しも」は、「おりしも」と読みます。 「折しも」の意味は、「ちょうどその時」です。 副詞的に用いられる場合が多く、「しも」は、本来強めの助詞として使われる言葉です。 例えば、「折しも月が雲に隠れた」というような使い方をすると、「ちょうどその時、月が雲に隠れた」という意味の文章になります。
〇「折しも」を用いた例文 「折しも彼はすでに眠りについていた」 「家を出ようとしたのはいいが、折しも雨が降ってきてしまった」 「折しも出発予定時刻に間に合わないと連絡がはいったのだった」
「まさに」の意味は、「あることが起こる・行われる直前であるさま」です。 また、「ぴったりと当てはまるさま・ちょうど」という意味や、「疑いのないさま・確かに」という意味があります。 「まさに太陽が沈むとき」というような使い方をすると、「太陽が沈むちょうどその時」というような意味合いになります。
〇「まさに」を用いた例文 「まさに完成しようとしていたパズルを落としてまった」 「ゴールしたまさにその瞬間を写真に撮ることができた」 「今まさに歴史が変わった瞬間だといえるでしょう」
「いかにも」の意味は、「物事の認定が、ぴったりと一致しているという気持ちをあらわす」です。 「どこからどう見ても」や「どう考えても」といったニュアンスです。 また、「相手の言葉をうけて、その通りだと同意する意」という意味もあります。 「いかにも」は、漢字で「如何にも」と表記します。 例えば、「如何にもその通りである」というような使い方をした場合、「まったくその通りである」というようなニュアンスになります。
〇「いかにも」を用いた例文 「富士山の山頂の白さは、いかにも冬の訪れを感じさせた」 「集合時間の1時間前に到着するのは、いかにも早すぎる」 「いかにもその通りなので返す言葉がありません」
「さながら」は、「他に例えるならば、それがぴったり」という意味です。 多くの場合が比況の表現を伴って使用される言葉です。 「さながら」を漢字で表記すると「宛ら」となります。 「さながら~のようだ」「さながら~のように」といったように使用します。
〇「さながら」を用いた例文 「さながらプロ野球選手のような試合を続けてる」 「子どもの寝顔はさながら天使のようである」 「本番さながらに、音を出してリハーサルをした」
「あたかも」の英語は「as if」です。 主語+動詞+as if+主語+動詞 の形で使います。
She speaks as if she knows everything.
彼女はあたかも全てを知ってるかのように話す。
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「あたかも」という言葉について理解していただけたでしょうか? ✓「あたかも」の意味は、「あるものが他に似ている意」「ちょうどその時」 ✓「あたかも」を漢字で書くと「恰も」「宛も」 ✓「あたかも」は言語表現にはあまり適さない など