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「承服」は敬語?意味と使い方、類語「承知・承諾」との違い、反対語、英語表現を解説

「承服」という言葉をご存知ですか?日常生活ではあまり耳にすることがない言葉ですが、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用することができるので使い方をマスターしておくと便利です。今回は「承服」という言葉の意味と使い方を例文付きで紹介します。また、「承服」と「承認」など類語のとの違いや英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「承服」とは

「承服」の意味は「納得して引き受けること」

「承服」の意味は「納得して引き受けること」です。 「承」は「うける」「うけつぐ」「ひきうける」という意味があります。 「服」は「したがう」「受け入れる」という意味のある漢字です。 したがって、「承服」は似た意味を持つ漢字が組み合わさってできた熟語です。 同じ意味を組み合わせることで「従う」というニュアンスを強調しています。

「承服」の読み方は「しょうふく」

「承服」の読み方は「しょうふく」です。 「承」は、音読みで「ショウ」訓読みで「うけたまわる」と読みます。 「服」は、音読みで「フク」とよみます。 古くは「しょうぶく」「じょうふく」などと読まれていましたが、現在では「しょうふく」と読まれるのが一般的な読み方となります。

「承服」の漢字は「承伏」とも

「承服」の漢字は、「承伏」と書くこともできます。 「伏」という漢字を見るとヒトヘンに犬です。 「伏」は犬が人に付き従う様子を表した漢字であり、「したがう」という意味があります。 したがって、「承伏」でも同じ意味の漢字を組み合わせた熟語になります。 意味も「承服」と全く同じです。 しかし、「承服」と書くのが一般的であると言えるでしょう。

「承服」の使い方と敬語

「承服いたしかねます」などと否定文で使うのが一般的

「承服」は、「承服いたしかねます」などと否定文で使うのが一般的です。 相手の意見や要望に対して、賛同できない・納得することができないという場合に、相手に失礼なくその旨を伝えることができます。

  • 承服できない
  • 承服しがたい
  • 承服しかねる

といった言い回しで使用されることがほとんどです。 「承服/承伏」の「伏」は「伏す(ふす)」で「地面にひざをつくなどして頭を深く下げる」という意味です。「伏してお願い申し上げます」などと使います。他にも「降伏」などの言葉でも使われています。 「服」も「心から従う」という意味で「心服」「思服」などの熟語があります。 よって「承服/承伏」には「相手に有無を言わず完全に同意する」というかなり強い意味を持つことがわかります。 なので否定文で使うことで「完全に同意することはできない(少しなら同意できる部分もあります)」という婉曲表現になり謙虚な気持ちを表すことが可能です。 「正しくない」と言うよりも「完全に正しいわけではない」と言った方が遠回しな表現になるのと同じですね。 単に「賛同できない」というよりも「承服できない」と言った方が意味的に丁寧ということになります。 「承服」には「承る(うけたまわる)」という漢字が入っており、謙譲語と捉えることができます。 しかし、熟語として使う場合、音読みになり、謙譲語の響きが薄れるため、慣習的に謙譲語の補助動詞と組み合わせて使います。 「承服しかねる」に「いたす」を加えて「承服いたしかねる」という形で頻繁に使用します。 「承服いたしかねる」を二重敬語だと主張する人もいますが、広く使用されているため許容です。 かなり堅い語なのでビジネス文書で使うのが一般的で、口語ではあまり使用しません。

例文

  • 先日ご提案していただいた件ですが、弊社では承服できないという結論に至りました。
  • プランを変更したいということですが、出国1週間前の変更は承服いたしかねます。
  • こちらとしては、支払い残高が残っている状態での解約は承服しがたいですね。
  • 新規プロジェクトの予算案を拝見しましたが、承服できません旨お伝えいたします。
  • 特許の拒絶理由が承服できないため、意見書を提出する。

意味が色々ある敬語「致す」「いたす」の使い方、「申し上げる」との使い分け

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「承服しました」などと肯定文では使用しない

「承服」は「承服しました」「承服いたします」などと肯定文では基本的に使いません。 相手の意見や要望を受け入れる時に使用できないわけではありませんが、かなり大袈裟な聞こえ、ビジネスシーンにおいては不自然です。 ビジネスシーンなどで、相手の意見や要望に対して納得し引き受ける場合は

  • かしこまりました
  • 承知しました

といった返事をするのが一般的です。 「承知」の意味と使い方、「承服」との違いは下記で解説します。

「かしこまりました」の意味と使い方、類語「承知しました」の違いは?

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「承服いただく」も不自然

「相手にこちら側の意見や要望を受け入れてもらう」という場合に、「承服いただく」と使うのも不自然です。 「相手にこちら側の意見や要望を受け入れてもらいたい」という場合は、「承諾いただく」が自然な敬語表現であると言えます。 「承諾」の意味と使い方も下記も解説します。

「いただく」と漢字「頂く」「戴く」の意味の違いと使い分け

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「承服」の同音異義語「招福」

「承服」の同音異義語に「招福」という言葉があります。 「招福」は、「福を招くこと」という意味の言葉です。 自分にとって幸福なことや、幸運を招き寄せることを「招福」と言います。 福を招き寄せる置物として有名な「招き猫」は、「招福猫(しょうふくねこ)」と言われることもあります。

例文

  • 今年の初詣では、無病息災と共に招福を祈願しました。
  • お店も繁盛し、まさに招福のご利益があったと言えるだろう。

「承服」の類語との違い

「承諾」「承知」「了解」「了承」の意味の違いと使い分け

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承知

「承知」には、

  • 事情などを知ること、わかっていること
  • 依頼・要求などを聞き入れること
  • 相手の事情などを理解して許すこと

の3つの意味があります。 ビジネスシーンなどでも、何か依頼を受けたり、相手の話を理解したことを伝えたいときに「承知しました」という言葉を使うのが一般的な使い方です。 「承服」は、相手の意見や要望を「受け入れる」というニュアンスのある言葉になりますが、「承知」は、相手の意見や事情を「聞き入れる」というニュアンスがあります。

例文

  • 時間変更のことにつきまして、承知しました。
  • 承知しました。 書類は明日までに準備いたします。
  • 明日までに仕上げをご提出していただけるということで、承知いたしました。

承諾

「承諾」には2つの意味があって、

  • 他人の要求・依頼をもっともと思い、引き受けること
  • 申し込みの意思表示と結合して契約を成立させる意思表示

となります。 「承諾」は依頼を引き受ける場面、特に取引や契約を結ぶ際に使われることが多いです。 例えば、「〜してほしい」と頼まれた場合に、それをしっかり理解して受け入れることを「承諾する」と言います。相手の依頼に対して「OK」と返事したことになります。 また、「承諾」は「先輩から承諾を得る」といったように、個人の行為に対して使うことがほとんどです。 「承服」と「承諾」の違いは、「承諾」は、ただ引き受けるだけではなく、「積極的に引き受ける」というニュアンスが含まれるということです。 「承服」には、「快く」「前向きに」という意味合いは含まれません。

例文

  • 就業中ではあったが、上司からの承諾を得て外出する。
  • 明日の時間変更を承諾してもらった。
  • 未成年者がバイトをするときは保護者の承諾が必要だ。

承認

「承認」の意味は「ある事が正当・事実であると認めること」です。 「承認」は、例えば、「契約会社の承認を得る」というように、企業など組織に公に認められたということを言い表す言葉として使用され、「正しいことか判断がついていないものに対して、正しいと認める」という場面で使用する言葉です。 「承服」は、相手の要望や意見に対して「納得して引き受ける」という意味の言葉であり、「正当・事実を認める」とはニュアンスが異なります。

例文

  • 社長は、移動販売の車両が敷地内に入ることを承認することにした。
  • やっと市の承認がおりて、部活の練習で近隣のグランドを使用できることになった。
  • 契約を結んだということは、このやり方が承認されたということなのだろう。

承引

「承引(しょういん)」の意味は、「承諾して引き受けること」です。 相手の要望や要求を、承知して引き受けることを「承引」と言います。 上述した「承諾」と同義であると言えるでしょう。 「承服」との違いも、ただ引き受けるだけではなく、「快く・前向きに」引き受けるという意味が含まれているという点があげられます。 また、「承引」は「承引くださいますよう〜」というように、「認めてほしい」というお願いをする場面で使用することができるという違いがあります。 「承服」は「承服してくださいますよう」とお願いをする場面で使用することはできません。

例文

  • 代表になってほしいとお願いされ、承引することにしました。
  • 未成年の結婚は気持ちが本物であっても両親に承引され難い。
  • お忙しいとは思いますが、何卒ご承引のほどお願い申し上げます。

了承

「了承」は「理解して、相手の意向を受け入れる」という意味です。 相手の主張や申し入れを事情を理解したうえで承知をするという場合に使用される言葉で、「受け入れる」「認める」ということに重点を置いています。 「承服」との違いは、「了承」は「許可する」という意味合いがあるため、上から目線のニュアンスが含まれてしまうためことです。 「了承」は目下の相手に使用するのにふさわしい言葉ですが、「承服」は「従う」というニュアンスの強い言葉なので、問題なく目上の相手に使用することができます。

例文

  • 予め有給休暇取得の了承を求めることが必要だ。
  • この企画についてはあらかじめ部長の了承を得ています。
  • 事前に了承を得ずに残業することは禁止されています。

了解

「了解」には、

  • 事情を思いやって納得すること・理解すること・飲み込むこと
  • 無線などの通信で、通信内容を受け取ったことを表す語
  • ディルタイ哲学で文化的・歴史的なものを生の表現とみなし、その生を追体験によって把握すること

という3つの意味があります。 「了解」は何か頼まれたときに、「理解した」という意味で使用されることが多く、友人に対してなど日常的に使用される言葉です。 したがって、「承服」とは違い「了解」は敬意が感じられず目上の相手に対して使用するには不適切であると言えます。

例文

  • それは親の了解を得る必要がある。
  • 了解しました。また明日話しましょう。
  • 私は彼女がその会議に出席できないことを了解しました。

「承服」の対義語

「承服」の反対語は「不服」

「承服」の反対語を一つ挙げるとしたら「不服」です。 「不服」は「ふふく」と読みます。 「不服」には、 ①従わないこと ②納得しないこと の2つの意味があります。 2つ目の意味で使うことが多いです。 「不服を申し立てる」「不服な顔をする」などと使います。 「行政不服審査法」などと法律の分野でも「不服」はよく使用される言葉です。

「承服」の反対語には「拒否」「拒絶」「不満」「不満足」などもある

「承服」の反対語にはその他にも、

  • 拒否
  • 拒絶
  • 不満
  • 不満足

なども含まれます。

「承服」の英語

agree to

「agree to 提案」で「提案に賛成する」という意味です。 「承服」という日本語の英訳にも「agree to」が使えます。 「agree with 人」の形でも使います。 前置詞「to」か「with」かによって、後に続く名詞の種類が変わりますので注意しましょう。

I cannot agree to that condition.

その条件は承服できない。

They are unlikely to agree to these new plans.

彼らはこれらの新しい計画を承服しないだろう。

accept

「承服」は「受け入れる」を意味する「accept」を使って表現することも可能です。 「accept」の形容詞は「acceptable」です。 「敬服できない」と否定形にするには「unacceptable」とすればよいでしょう。

With these unacceptable terms, we can't even start a conversation.

これらの承服しがたい条件では、話し合いを始めることすらできない。

まとめ

いかがでしたか? 「承服」という言葉について理解していただけたでしょうか。 日常生活ではあまり使用することがないと思いますが、ビジネスシーンなどで使用することができる言葉なので、覚えておくと便利な表現です。 ✓「承服」の意味は「納得して引き受けること」 ✓「承服」の読み方は「しょうふく」 ✓「承服」の漢字は「承伏」と書くこともできるが、「承服」が一般的 ✓「承服しました」などと肯定文では使用しない ✓「承服いたしかねます」などと否定文で使うのが一般的  など

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