「朴訥」という言葉を知っていますか? あまり見かけない漢字ですよね。 今回はそんな「朴訥」について分かりやすく説明します。 正しい意味と使い方を例文付きで解説します! また、類語や対義語・英語表現も紹介します。 人柄を表す「朴訥」は褒め言葉なのでしょうか? 正しい日本語を学びましょう!
「朴訥」は「ぼくとつ」と読みます。 漢字は、木偏にトで「朴」と言偏に内で「訥」です。
「朴訥」の意味は「飾り気がなく無口であること、実直で素朴であること」です。 あまり見かけない2つの漢字から成り立っている言葉です。 それぞれの漢字の意味を説明します。 「朴」という字は、元々は擬声語で「ボクッという音」を表していました。 そのため、「ボクっという音のする厚い木の皮」を意味する「朴」という字が成り立ちました。 そこから、同じ読みである「樸」という字と同じ意味を持つようになり「素直」「飾り気がない」といった意味も持つようになりました。 「訥」は漢字の成り立ちの通り「言葉が内にこもること」、要するに「言葉が巧みではない様子」を表した漢字です。 口下手や話下手を表す漢字です。
「朴訥」が用いられていることわざに「剛毅木訥は仁に近し」があります。 「ごうきぼくとつ は じん に ちかし」と読みます。 意味は「意思が強く素朴で口数が少ない人物こそ、道徳の理想である仁に最も近い者である」です。 「剛毅」は「意思が強固で気力があり、何事にも屈しないこと」といった意味があります。 「仁」は道徳で理想とされる観念です。 この言葉は、『論語・子路(しろ)』に記されています。 ちなみに、このことわざの対義語に「巧言令色鮮し仁」があります。 「こうげんれいしょく すくなし じん」と読みます。 意味は「言葉巧みで表情を取り繕っている人は、かえって仁の心がかけているものである」です。 「巧言」は「言葉を飾って巧みに言うこと、口先だけうまいこと」といった意味があります。 「令色」の「令」は善を表し「色」は人の顔色を表しており、「人に気に入られるようにこびて顔色を繕い飾ること」といった意味があります。 言葉がうまく誰にでも愛想をふりまく人には誠実な人間が少なく徳がないことを表しています。 このことわざは『論語・学而(がくじ)』『論語・陽貨(ようか)』に記されています。
ことわざ「剛毅木訥は仁に近し」からも分かるように、本来「朴訥」は褒め言葉として使われていたものです。 飾り気がなく寡黙で、昔の日本であれば余計なことを言わない方が良しとされていました。 そして「朴訥」は、真面目で素朴であることも表しています。 年配の方からすれば「朴訥」な人は信頼でき、褒め言葉であると認識するでしょう。 しかし、現在では「朴訥」言われても褒められているとは感じずに、むしろ欠点を指摘されているような気持ちになる人も多いかと思います。 それは「飾り気がないこと」「寡黙であること」「素朴であること」が良いものではないと思う人が多いからです。 若者は特に、「飾り気がない=見た目が良くない」「寡黙である=コミュニケーション下手」「素朴=ダサい」などのイメージがあるのではないでしょうか。 ましてや「真面目」と聞いても「つまらない」「冗談が通じない」と言われているように思う人も多くいます。 言葉の裏をかきすぎて、若干悲しさも覚えるほどですが、、、 そのため、相手に対してやその場にいない人に対して「朴訥」と人柄を表す際は注意しましょう。 褒め言葉である場合は、褒め言葉として使っていることをしっかりと伝える必要があります。 ただ言葉というのは、特に人柄を表現する場合は人によって受け止め方が異なります。 本心で素朴なところが良いと思っていても、本人はそれがコンプレックスでもっと派手になりたいと思っているかもしれません。 「朴訥」は、本来褒め言葉として用いられていたものですが十分に注意しましょう。
「朴訥」とは人柄や人の言動について使う言葉です。 そのため、物事などには用いることはできません。 また、先ほども少し説明しましたが「朴訥」は誤解を招きやすい言葉です。 褒め言葉として使用する場合は、相手や他人にしっかりと伝わるように注意しましょう。 「朴訥」の言い回しは
などです。 詳しい使い方はいくつか例文を参考にするので参考にしてください。
「彼は冗談などを言わずに見るからに朴訥そうな人だった」 「自然に囲まれて育ったんだなと分かるほど朴訥な青年だった」 「その朴訥とした表情からは何を考えているかはわからなかった」 「父はとても真面目で朴訥とした人である」 「彼女のその朴訥とした話し方や仕草が好きだ」 「部長は無口だが仕事に真面目で飾らない性格から、みんなに『朴訥おじさん』と呼ばれ親しまれている」
○純朴 意味:素直で飾り気のないこと、偽りやけがれのないこと ○素朴 意味:ありのままで飾り気のないこと、自然のままであること ○質実 意味:飾り気がなく、真面目であること ○寡黙 意味:言葉数が少なくて黙りがちなこと、おしゃべりではないこと、無口なこと ○無口 意味:言葉数が少なく黙りがちであること、寡黙なこと ○実直 意味:真面目で正直なこと、陰日向無く誠実なこと ○素直 意味:飾り気がなくありのままであるさま、心が正しいさま
○饒舌 意味:よくしゃべること、多弁 ○巧言 意味:言葉を飾って巧みに言うこと、言葉が巧みで実意がない口先だけうまいこと ○軽薄 意味:考えが浅はかで言動に慎重さを欠くこと、価値が少ないこと ○派手 意味:態度や行動が人目を引くほど大袈裟であること、仰々しいこと ○大胆 意味:度胸があって普通の人が恐れることでも平気で行うさま、図々しいこと
「朴訥」の英語は、
などの表現があります。 「gentle」は「物静かで紳士」という意味でポジティブなニュアンスがあります。 「shy」は「内気で恥ずかしがり屋」という意味で、プラスかマイナスかは話者次第。 「shy away」は「控えめに行動する」という意味の動詞。「shy away from...」で「...を避ける」と具体的に言うこともできます。 「quiet」は「静か」を意味する最も一般的な言葉で、あまり感情はなく物理的に音がしない状態を指します。
He was such a gentleman that he did not make any dirty jokes.
彼は朴訥な人なので、下品な冗談などは言わなかった。
She shies away from taking risk in her life.
彼女は朴訥な人で、人生でリスクを取ることからは無縁の人だ。
難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!
TOEIC320点の英語素人が、NHKラジオのネイティブ講師に「誰でも英語が話せる方法」を聞く、という企画本です。「a」と「the」で悩んだらどう言うべきか?プライベートでもビジネスシーンでも使える挨拶とは?など具体的な悩みを解決してくれる一冊です。
英会話ペラペラビジネス100
こちらのベストセラー書籍は、ネイティブスピーカーである著者がビジネスシーンで使える"本物の英語"を紹介しています。最も応用性の高い100通りのフレーズを厳選しており、「お忙しいところ申し訳ありませんが」「ぜひよろしくお願いいたします」など独特の日本語表現の英訳も分かりやすく解説されています!
ビジネスシーンで英語が必須な方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きました。興味のある方はぜひご覧ください。
「朴訥」について理解できたでしょうか? ✔「ぼくとつ」と読む ✔意味は「飾り気がなく無口であること、実直で素朴であること」 ✔本来は褒め言葉だが、相手の受け取り方次第ではマイナスに取られることも ✔類語は「巧言」「軽薄」