「念のため」という言葉をご存知でしょうか。「念のため」はビジネスシーンにおいてよく使われていますよね。例えば、自身の記憶が曖昧なときに「念のため、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」などと言います。ただ、この「念のため」という表現は敬語として適切なのでしょうか。目上の人に使用しても問題ないのでしょうか。そこで今回は「念のため」の意味や使い方、英語表現について解説していきます。「念のため」を正しく理解して、ビジネスの場で適切に使いこなせるようにしましょう。
「念のため」は
の2つの意味があります。
「ため(為)」は”形式名詞”と呼ばれます。 ”形式名詞”とはそれ自身では実質的意味を表さず、連体修飾語を受けて名詞としての機能を果たす語のことです。例えば、「日記をつけることにする」の「こと」、「今から出掛けるところだ」の「ところ」が”形式名詞”に当たります。 ”形式名詞”はひらがなで表記するのが、通例となっています。 ですので、「為」と漢字にせずに「念のため」と表記するのが正しいです。
漢文調の古い言葉に「為念」という言葉があります。 これも「ねんのため」と読み、意味は「念のため」「念の為」と同じです。 漢文調の文章などでしばしば見られます。 時々、インターネット上の文章でもスラングや隠語のように使われますが、一般的にはあまり使われていません。
「念のため」は敬語ではありませんが、目上の相手に使うことができます。 ただ、「念のため」に続く文章を敬語にする必要があります。
例文
「念のためですが」は丁寧語になります。 目上の人に使う場合、より丁寧な表現になります。 また「念のため〜ですが」と使うこともできます。
例文
「一応」の意味は「ひととおり」「ひとまず」「とりあえず」、「とりあえず」の意味は「まず」「今のところ」「さしあたって」です。 ただ、この2つはビジネスシーンには適していません。 特に目上の人に対して「一応」や「とりあえず」ですることはありません。 「一応ご連絡します」とは使わずに「念のためご連絡します」と使いましょう。 上司など目上の人が「一応これもやっておいて」「とりあえず○○から済ませておいて」と使うことはありますが、この場合でも「念のため」を使うととても丁寧になります。
「念のため」は主に口語で使います。 改まったビジネス文書やビジネスメールで使用するのは避けましょう。
「念のため」には曖昧表現の「一応〜やってみます」と、「念押ししてやっておく」の2つの意味があります。 そのため、「念押ししてもう一度しっかりと確認するため」と言った意味で「念のため」と使っても、相手に「一応やってみる」といった意味で伝わってしまうと、仕事を「とりあえず」やっていると誤解されてしまうことがあります。
相手に対して「念のため」を多用すると、相手を信用していない印象を与える可能性があります。 たとえば相手に対して「念のためもう一度確認します」と言った場合「念のために確認されなくてもちゃんとやっているよ」と思われてしまうことがあります。 自分自身が忘れていないか入念に確認する場合で使い、相手に対して多用しないよう注意しましょう。
「念のため」は「念のために◯◯する」といった形で使います。 社内連絡や報告をするときは、「念のため」がよく使われます。 特にビジネスメール内で、業務の進捗状況や取引先との話し合いで出た事柄について、連絡もしくは報告するときに使います。 「とりあえずご報告まで」「取り急ぎご報告まで」の代わりに、「念のためご報告まで」とします。 必ず伝えなければいけない事柄ではないけれど、上司の耳に入れておきたい内容を伝えるときにも用います。
例文
「念のためご確認〜」といった場合は、自分以外の人にも確認をしておいて貰う場合や、一度確認したことを繰り返し確認する際に使用します。 また、送ったメールや書類が相手に届いているかなど、相手からの報告がない場合に確認をするときにも用います。 「念のため」を用いることで、「確認しなくても良いことですが」と相手が報告していないことを指摘しているわけではないと伝えることができます。
例文
送ったメールなどに相手から返事がなかった場合に「念のため」を用いて、相手に返信や対応の催促をすることもできます。 直接的に催促するのではなく、メールの誤解や不調があった可能性を考慮して「念のために再送します」といったように使われます。
例文
体調不良の治りかけや、風邪の引き始めの時に「念のためお休みさせていただきます」を使います。 相手にうつしてしまう可能性がある場合や、悪化してしまう可能性がある場合に用いられています。
例文
「とりあえず」の意味は、「たちまちに」「まず」です。 「本来とるべき対応は後に回して、今現在できることを最優先にすること」を表しますが「できることだけをしておく」といったニュアンスもあります。 そのため「とりあえずやっておきます」などと使うと「やるはやるけど、ちゃんとはやらない」と伝わってしまうことがあります。 ビジネスシーンでは使わないようにしましょう。
例文
「一応」の意味は「ひととおり、ひとまず」です。 十分とは言えないものの、最低限の条件は満たしているさまを表しています。 「一応」は「いい加減」というニュアンスが含まれているため、ビジネスシーンでは使いません。 目上の人に向かって「一応確認しました」などと言ってしまうと、「テキトーに確認した」と捉えられる可能性があります。
例文
「さしあたって」の意味は、「先のことはともかく今のところ」「当面」「とりあえず」です。 「変わる可能性はあるが、今は」といったニュアンスです。 すでに結論が出ている事柄であったり、物事の方向性が決まっている事に対しては使いません。 ビジネスシーンでも使われますが、結論を避けるためや直接的な返事を避けるために使われることも多く、ネガティブな印象を与えてしまいます。
例文
「万一のため」意味は「何か重大な事態のために備えるさま」です。 万一とは、「万の中に一つくらいめったにないこと」といった意味で「何かあったときのために」といったニュアンスで使われています。
例文
「万が一に備えて」の意味は「不測の事態に備えて準備しておくさま」です。 「万が一」と「万一」は同じ意味となります。
例文
「念押しして」の意味は「年を押すこと、注意して確かめること」です。 「念を押す」とも使います。
例文
「念のため」「念のため確認ですが」などの英語表現を見ていきましょう。
などと表現します。
Just to be sure, why don't we buy one more.
念のため、もう一つ買っておきましょう。
I'll take my jacket too, just in case.
念のため私もジャケット持っていきます。
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「念のため」について理解できたでしょうか? ✔︎「念のため」は「いっそう注意を促し、確かめる」を意味する ✔︎ ビジネスシーンでは、「一応」「とりあえず」といった曖昧な表現の代わりに「念のため」を使う ✔︎「念のため」は敬語ではないが、目上の人に使っても問題ない ✔︎「念のため」は連絡するとき、確認するとき、催促するときなどに使う