「伏線」と「布石」という言葉をご存知でしょうか。「この小説は随所に伏線が張られている」「発展のために布石を打つ」などと聞いたことがあると思います。どちらも「後のことのために何かをする」という意味です。ただ、よく聞く言葉ではありますが、「伏線」と「布石」は具体的にどのようなことを表しているのか、何の場面で使うのか、疑問に思うことが多いですよね。同じような印象を持つ言葉ですが、実は意味や使い方に違いがあります。そこで今回は「伏線」と「布石」のそれぞれの意味や使い分けについて解説していきます。違いをしっかり理解して、上手く使いこなしましょう!
▶︎「伏線」・・・物語で後で起こることをを予めほのめかすこと。後で起こることに前もって備えること ▶︎「布石」・・・将来のための用意をすること。先々に備えて予め打たれた手くばり
「伏線」も「布石」も、どちらも「先の事に対して準備する」という意味です。 2つはとても似ていますが、違いがあります。 「伏線」は「後に起こることを仄めかす」という意味合いが強いです。 はっきり”これは後にこうなるための準備です”と言っているのではなくて、それと分からせないためにそれとなく暗示させることを表します。「後で起こることに前もって備えること」という意味もありますが、この意味で使うのは稀です。 一方で、「布石」は「将来に向けての準備」を意味します。 先々、計画通りの物事を進めていけるように準備をすることで、何かの事業・プランに関して言う場合に使う言葉になります。
「伏線」は<ふくせん>と読みます。 よく「ふせん」と読まれがちですが、「ふせん」だと「付箋(注意すべき事柄などを書く小さな紙片)」ということになってしまうので注意しましょう。 「伏線」の意味は、 1.小説、戯曲、詩などで、後の方で述べる事柄を予め前の方でほのめかしておくもの 2.後の事の準備として、前もってひそかに設けておくもの となります。 「伏」は「隠れて表面に現れない・ひそむ」を表しているので、「伏線」は「線を見せないように伏せる(隠す)」という意味になります。事を進めるために線を敷いているけれど、隠していることを表します。 映画やドラマ、小説など物語に関して多く「伏線」が使われています。 何か事が起こったり、事件が解決したときに「あぁ、あれはこのことだったのか!」と後からわかるような内容を「伏線」と言います。 サスペンスやミステリー小説の評価などでも「あの場面で巧みに伏線が張られていた」などとよく見ますよね。 主に、「伏線を敷く」「伏線を張る」といった表現を使います。 創作物であったら後の展開は作者が決めることができるので「敷く」、現実で後に起こることは不確定で自分で敷いて用意することはできないので「張って待つ」ということになります。 内容が明らかになった場合には「伏線回収」などと言います。 「伏線を引く」とは言わないので気をつけましょう。
例文 1の意味
2の意味
「布石」は<ふせき>と読みます。 「ぬのいし」と読んでしまうと、建築用語で「布敷にした敷石。布敷石」という意味になってしまいます。 「布石」の意味は、
となります。 将来のことを考えて、前もって準備をしておくことを「布石」と言います。 このように、「布石」は新たに物事を始めるための土台作り・基礎作りを表します。 一般的に多く使われるのが、「布石を打つ」という表現です。 これは「将来のために予め手はずを整える」という意味になります。 例えば、「新事業への布石を打つ」といった場合は「新事業を成功させるために、前もって必要なこと準備しておくこと」を意味します。 時々、「布石を投じる」「布石を敷く」といった表現が使われますが、不適切です。また、「布石を置く」「布石を作る」という表現もありますが、あまり使うことはありません。 「布石」は元々は囲碁用語で、「序盤戦の石の配置」という意味です。序盤(碁を打ち初めのころ)戦ということなので、先の中盤戦や終盤戦のことを考え石を配置します。 これが囲碁以外でも、「先々のために前もって整える手はず」を「布石」と言うようになりました。
例文
「伏線」は英語で、「foreshadowing」や「hit」などと言います。
"The Matrix" has a lot of foreshadowing in it, so it will make more sense if you watch it many times.
『マトリックス』は伏線がたくさんあるので、何度も見るともっと意味がわかります。
「布石を打つ」は「準備する」という意味の「prepeare」を使えばよいでしょう。
You should prepare for it now.
今のうちに布石を打っておくべきだ。
「伏線」と「布石」の違いについて理解できたでしょうか? 同じような印象の言葉ですが、結構意味が異なります。 2つの言葉の意味と使い方をしっかり覚えて、自信を持って使えるようにしましょう!
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