「不肖」という言葉をご存知でしょうか。頻繁に使う言葉ではないため、「不肖」と聞いてもいまいちピンとこないという人も多いかと思います。「不肖」は自分自身をへりくだって表現したり、才能がない様子を表す場合に使います。では、「不肖」はどのような場面で用いるのでしょうか。「不肖」は誤って使ってしまうと、相手にわざとらしい印象を与えてしまうため、しっかりと確認しておく必要があります。「不肖」は日常会話で使うことはほとんどありませんが、知っておくといざというときに便利です。そこで今回は「不肖」の意味や使い方、類語、対義語について解説していきます。
「不肖」は<ふしょう>と読みます。 「不」は音読みだと「フ・ブ」、訓読みだと「ず」と読みます。 「不」は「〜しない。〜でない。否定を表す語。よくない」を意味します。 「肖」は音読みだと「ショウ」、訓読みだと「にる・あやかる」と読みます。 「肖」は「もとのものに似る。似せる」を意味します。 「不肖」の意味は、 1.(似ていない意)父に、あるいは師に似ないで愚かなこと 2.愚かなこと。取るに足りないこと 3.運の悪いこと。みじめなこと 4.自分の謙称 です。 優れているはずの親や師匠に似ないで愚かなこと・未熟で劣っていることを表します。 「不運や不幸である」という意味ではあまり使いません。
「不」は「お花の雌しべの子房の象形」から「花房」を意味する「不」という漢字ができました。 「肖」は「小さな点の象形」+「切られた肉の象形」から成り立ちます。骨肉の間の小さいものを表していて、そこから「小さい。似る。材を細くして新たな形を形成する」を意味する「肖」という漢字ができました。 「肖」という字は「似る・似せる」という意味で「優れている天子に似ない・賢人に似ていないということ」から、転じて「未熟で劣っていること・愚かであること」を表しました。 父や師に似ていないことから、それらを汚してしまうような劣っている子に対しても用いるようになりました。 自分のことをへりくだる意で使うようになったのは、「似ていない」という意味から「劣っている」という意味が前面に出たことによる変化を遂げた近代からです。
「不肖」は人に対して使う場合と自分自身に対して使う場合があります。 「不肖」を人に対して使う場合は、未熟であることや取るに足りないということを表すときです。 例えば、「あの家の子は不肖で...」「不肖の息子でね〜」などと言うことができます。 「不肖」は、自分自身をへりくだっていう語として使うことが多いです。 「不肖私は.....」「不肖山田花子、」などと「不肖+名前」といった形で使います。 「不肖」は控えめというよりも、少々自虐的な意味合いになります。 例えば、「不肖ながら、私が司会を務めさせていただきます」といった場合「まだまだ未熟ですが、私が司会を務めます」と謙遜のニュアンスを含んだ言い方となります。 他にも、「不肖田中が申し上げます」だったら「取るに足りない田中が申し上げます」ということを表します。 「不肖」の言い回しとしては、
などとなります。 「不肖」は口語というよりも、文章語として用います。口語としては、冠婚葬祭やスピーチと改まった場で使うことが多いです。
例文 「親や師匠に似ないで愚かなこと。才能のないこと」という意味
「一人称。自分のことをへりくだる」という意味
「不肖」は本来「親や師の才能を受け継がずに愚か」という意味なので、親が「不肖の息子ですが....」などと言ってしまうと違和感が生じます。 親が子に対して使ってしまうと、「私のような素晴らしい才能を継がない息子ですが...」といった意味合いに聞こえ、自画自賛しているようになってしまいます。 自分の子や弟子を控え目に表したい場合は、女性であったら「不束者(ふつつかもの)」、男性であったら「愚息(ぐそく)」と表現するのが良いでしょう。 「不束者」は「無骨な者。行き届かない者」、「愚息」は「自分の息子の謙称」です。 ただ、「不束者」という表現も状況や相手によっては女性を軽んじていると捉えられてしまう可能性があるので注意してください。
会議や何かの祝いの場で紹介された時も「不肖」は使うべきではありません。 例えば、結婚パーティーで指名された人が「不肖ながら、私が司会を務めます」などと言うことがあります。 決して間違った表現ではないものの、こういった場面で「不肖」と言ってしまうと、「あんな人を司会にするなんて指名した人もどうなの」などと思われてしまいます。 また、「不肖の身ですが、このような高い位置からご挨拶を...」といったように言ってしまうと、自分だけでなく他の人たちも低いところにいると言っていることになります。 自分をへりくだるつもりで「不肖」を使っても、他人まで低めているというニュアンスになりかねません。 「不肖」などの謙遜を表す表現は、多用過ぎずほどほどに使うようにしましょう。
小生<しょうせい> (意味:男性が自分をへりくだっていう言葉) 「小生まで連絡をお願いいたします」 拙生<せっせい> (意味:男子が自分をへりくだっていう語) 「拙生は変わらず元気に暮らしております」 拙子<せっし> (意味:男子が自分をへりくだっていう語) 「何かご不明な点がございましたら、拙子まで」 拙老<せつろう> (意味:老人が自分をへりくだって言う語) 「拙老はほそぼそと元気に過ごしていますよ」 下名<かめい> (意味:自分のことをへりくだっていう語) 「下名はまだまだ未熟ですが、今後もよろしくお願いします」 愚生<ぐせい> (意味:(多く手紙で)男子が自分を指す謙称) 「愚生は相変わらず体調も良く元気です」 私め (意味:自分を指すへりくだった表現) 「私めをお許しください」
稚拙<ちせつ> (意味:子供じみて、下手なこと) 「なんて稚拙な字だろうか」 未熟 (意味:学問や技芸などのまだ熟達していないこと) 「未熟者ですが、よろしくお願いします」 分不相応 (意味:その人の身分や能力にふさわしくないこと) 「彼は分不相応な暮らしをおくっている」 至らない (意味:行き届かない。不十分である) 「まだまだ私の力では至らないです」 不慣れ (意味:慣れていないこと。習熟していないこと) 「不慣れなもんで上手に運転できません」 ふつつか (意味:つたないこと。ゆきとどかないこと) 「ふつつかではありますが、お許しください」
貴殿<きでん> (意味:他人の殿舎の尊敬語) 「貴殿のご尽力のおかげと感謝申し上げます」 貴方<きほう> (意味:あなた。相手の居所・住所の尊敬語) 「貴方はどうお考えですか」 貴兄<きけい> (意味:対等の、またはそれに近い男性の相手に対して敬意をこめて呼ぶ語) 「貴兄に置かれては、ご清栄のこととお慶び申し上げます」 貴台<きだい> (意味:あなた。高台) 「貴台のご意見もお聞きしたく存じます」 貴公<きこう> (意味:そこもて。おてまえ。きさま) 「全て貴公のおかげです」 貴姉<きし> (意味:年上の女性を呼ぶ尊敬語) 「貴姉のご健闘をお祈り申し上げます」 御身<おんみ> (意味:相手の体を敬っていう語) 「御身ご大切になさってください」
熟練 (意味:よく慣れていて、上手なこと) 「熟練した腕前で進めていく」 巧妙 (意味:優れていてたくみなこと) 「巧妙な手口で成功させる」 精通 (意味:くわしく知っていること) 「彼女は情報に精通している」 賢い (意味:才知・思慮・分別などが際立っていること) 「とても賢い判断だと思う」 抜け目ない (意味:自分の利益のために十分気を配っており、抜けたところがない) 「抜け目ない性格をしている」 利発 (意味:かしこいこと。役に立つこと) 「彼は本当に利発で頼りになる」 賢明 (意味:賢くて道理に明らかなこと) 「すぐに引き上げたのは賢明だ」
不肖・・・親や師に似ないで愚かなこと。未熟で劣っていること 例:「不肖ながら、お願いします」「不肖の子だ」 不詳・・・詳しく分からないこと。つまびらかでないこと 例:「作者不詳」「年齢不詳」 不祥・・・縁起の悪いこと。不吉なこと。良くないこと。災難。不運 例:「A社の不祥事」「不祥な出来事」 不承・・・承知しないこと。不満ながらも承知すること 例:「不承とあれば仕方がない」「しぶしぶ不承する」
4つの言葉はそれぞれ全く意味や使い方が異なります。 「不肖・不詳・不祥・不承」以外にも「ふしょう」と読む言葉はたくさんありますが、意味が異なるのでしっかりと使い分けましょう。
「不肖」の英語表現を見てみましょう。 「...に値しない」は「do not deserve...」になります。 「不肖の子」は「a son who does not deserve his father」になります。 「不肖の弟子」は「a pupil who does not deserve his teacher」になります。
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「不肖」について理解できたでしょうか? ✔︎「不肖」は「ふしょう」と読む ✔︎「不肖」は「親や師に似ないで、愚かなこと。取るに足りないこと」を意味 ✔︎「不肖の身〜」「不肖ながら〜」などと言うことで、謙遜した意味合いとなる ✔︎「不肖」の類語には、「小生」「拙生」「愚生」などがある