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「ご遠慮ください」の意味と使い方、類語、敬語、「お控えください」との違い

「ご遠慮ください」という言葉は、「やめてほしい」とお願いをするときに使用する言葉ですが、使用する際には相手に失礼のないよう注意が必要な言葉です。今回は、「ご遠慮ください」の正しい意味と使い方を例文つきで紹介します!また、「ご遠慮ください」のその他の表現や、英語表現も紹介しますのでぜひ参考にしてください。

「ご遠慮ください」の意味

「ご遠慮ください」の意味は「慎んでください・控えてください」

「ご遠慮ください」の意味は「慎んでください・控えてください」という意味で使用される表現で、相手に何かを「やめてほしい」とお願いをする場面で使用される言葉です。 例えば、目上の人やお客様にたいして「やめてください」と注意するのは勇気がいりますよね。 そんなときに、お互いが不愉快な思いをすることなく注意できる表現が「ご遠慮ください」という言葉です。

「ご遠慮ください」の本来の意味は「禁止」ではない

「ご遠慮ください」には、本来「禁止」という意味はありません。 「遠慮」という言葉には「行動や言動を控えめにする」という意味があるため、「できれば控えてください」というのが本来の意味合いになります。 つまり、「ご遠慮ください」は遠回しに相手に抑制を促す表現であるということです。

「ご遠慮ください」は「遠慮」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた敬語表現

「ご遠慮ください」は、「遠慮」という言葉に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけて、さらに「くれ」の丁寧語である「ください」をつけた敬語表現です。 この場合の「ご〜ください」は、相手に要望・懇願する意をして使用されています。 つまり、「遠慮してください」というお願いをする丁寧な表現が「ご遠慮ください」であるということがわかります。

「ご遠慮ください」の使い方と注意点

「遠慮」は本来自分に対して使用する言葉なので、誤用という意見も

「ご遠慮ください」という表現を使用することは、誤用であるという意見もあります。 理由としては、「遠慮」という言葉は「自分自身の言動や行動を慎む・控える」という意味であり、本来は自分に対して使用する言葉であるということがあげられます。 したがって、相手に対して「控えてほしい」という意味合いで使用することは本来誤用であると言えるのです。 しかし、現代では広く使われている表現であるため、一概に間違いだから使うべきではないとは言えないのです。

「〜ください」は強い命令口調に感じられてしまうことも

「ご遠慮ください」の「〜ください」という表現は、「くださる」の命令形となります。 「くださる」は、元々、相手に物や何かを請求する意を表す「くれ」の尊敬語であるため、相手にお願いをする場面で使用すると強い命令口調に感じられてしまうのです。 したがって、「ご遠慮ください」とお願いする場合は、相手に不快な思いをさせてしまうことがないよう注意を払う必要があると言えます。

目上やお客様に使用する場合はクッション言葉を使用する

目上の人やお客様に「ご遠慮ください」と伝える場合は、クッション言葉を使用しましょう。 クッション言葉とは、主に

  • 恐れ入りますが
  • 大変申し訳ありませんが
  • 失礼ですが
  • せっかくですが

といった相手への配慮や思いやりを示す言葉のことをいいます。 「やめてください」とストレートに言ってしまうと、きつい印象を与え相手に不快な思いをさせてしまうことがありますし、お願いをする側もとても言いづらいものです。 しかし、クッション言葉を使用することで、「やめてください」のような、きつい言葉を和らげることができます。

「ご遠慮ください」と言われたら「やらない・やめておく」ことがマナー

「ご遠慮ください」と言われた場合は、「控えてください」というニュアンスであっても遠回しに「やめてください」とお願いをされていることと同じであるため、「やらない・やめておく」ことがマナーです。 「控えめにしてください」「控えめであればやってもよい」という意味で使用されているわけではありませんので注意してください。

「ご遠慮ください」の丁寧な敬語表現・例文

「固くご遠慮願います」

「固くご遠慮願います」の「固く」は、「心が動揺したり、用意に変わったりしない」という意味合いで使用される言葉です。 つまり、「固くご遠慮願います」という言い回しをすることで、「禁止」の意味合いを強めている表現です。 また、「願います」は「願う」の丁寧語ですが、相手を敬う表現ではありません。 お願いをするには少々丁寧さにかける表現であるため使用する場面には注意が必要です。

例文 「未成年のお客様のご入店は固くご遠慮願います」 「上映中の携帯電話のご使用は固くご遠慮願います」 「喫煙所以外での喫煙は固くご遠慮願います」 「プログラム途中での入退室は固くご遠慮願います」

「ご遠慮くださいませ」

「ご遠慮くださいませ」の「くださいませ」は、

  • 「ください」=補助動詞「くださる」の連用形「くださり」がイ音便に変化した形
  • 「ませ」=丁寧の助動詞「ます」の命令形

で成り立っています。 「ください」は「相手に何かを要望・懇願する意」を表し、「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」「丁寧な気持ちを込めて挨拶する意」を表します。 したがって、「ご遠慮くださいませ」は「遠慮すること」を丁寧にお願いをしている表現であるということがわかります。

例文 「恐れ入りますがこの場所でのご喫煙はご遠慮くださいませ」 「上映中の席のご移動は周りのお客様のご迷惑となりますのでご遠慮くだいませ」 「現段階ではご質問にはお答えできかねますので、ご遠慮ください」

「ご遠慮いただければと存じます」「ご遠慮いただきたく存じます」

「ご遠慮いただければと存じます」「ご遠慮いただきたく存じます」は、「ご遠慮してもらえたらと思います」「ご遠慮してもらいたいと思います」という意味合いで使用される言い回しです。 「いただければと存じます」は「〜してもらえたらと思う」と願望を表す言い回しであり、「いただきたく存じます」は「◯◯してほしいと思います」という意味で、どちらも同じく目上の人にたいしてお願いをする場合に使用する表現です。

「ご遠慮いただければと存じます」の例文 「この先の関係者以外の立ち入りはご遠慮いただければと存じます」 「こちらでのご飲食はご遠慮いただければと存じます」 「店内への飲食物のお持込はご遠慮いただければと存じます」

「ご遠慮いただきたく存じます」 「開始1時間前より前の場所とりはご遠慮いただきたく存じます」 「フラッシュ撮影は、ご遠慮いただきたく存じます」 「こちらにあります資料の持ち出しはご遠慮いただきたく存じます」

「ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」「ご遠慮のほどお願い申し上げます」

「ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」「ご遠慮のほどお願い申し上げます」は、「遠慮してくれるようお願いします」という意味の言い回しです。 「くださいますよう〜」と「〜のほど」を使用することによって、「〜してくれるよう」という意味合いになり、断定を避けて表現を和らげることができます。 また、「申し上げます」は「言わせていただきます」という意味で、目上の人など敬意を払うべき相手に対して、”うやうやしく言う”というニュアンスになります。 したがって、「ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」と「ご遠慮のほどお願い申し上げます」はともに、とても丁寧な表現であるといえます。

 「ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」の例文 「本日の会議内容の口外はご遠慮くださいますようお願い申し上げます」 「申し訳ございませんが、こちらでのご飲食はご遠慮くださいますようお願い申し上げます」 「恐れ入りますが、会場内の撮影はご遠慮くださいますようお願い申し上げます」

「ご遠慮のほどお願い申し上げます」の例文 「チラシの投函はご遠慮のほどお願い申し上げます」 「こちらに使用されております画像の無断転載はご遠慮のほどお願い申し上げます」 「お部屋での喫煙はご遠慮のほどお願い申し上げます」

「ご遠慮いただければ幸いです」

「ご遠慮いただければ幸いです」は、「遠慮してもらえると嬉しいです」というニュアンスになります。 「幸いです」は、ビジネスメールなどで相手に何かを依頼するときに用いることが多い言葉で「幸いです」をお願いをするときに使う場合は、「〜してくれるとありがたい」という意味になります。 「〜してください」と頼むよりも「〜していただけると幸いです」「〜していただけたら幸いです」などといった方が、柔らかい印象になるため、「ご遠慮いただければ幸いです」とすることで、かなり柔らかくお願いをすることができます。

例文 「こちらでの写真撮影はご遠慮いただければ幸いです」 「お一人様5つ以上のご購入は他のお客様のためにもご遠慮いただければ幸いです」 「未成年のお客様のご入場はご遠慮いただければ幸いです」

「ご遠慮ください」と「お控えください」の違い

「お控え下さい」の意味は「配慮して自分の行動を抑えてください」

「お控えください」は、「控える」という言葉に接頭語の「お」に、「くれ」の丁寧語である「ください」をつけた言葉です。 「控える」には、

  • 分量や程度をおさえて度を越さないようにする
  • あることを配慮して自分の行動を抑える
  • 差し控える

といった意味がある、相手に「抑制してほしい」と禁止を促す表現です。

「遠慮」は漢語で「控える」は「和語」

「ご遠慮ください」も「お控えください」も、「やめてください」という意味の言い回しです。 「ご遠慮ください」は「漢語」で、元々は中国で使用されていた言葉 「お控え下さい」は「和語」で、元々は日本で使用されていた言葉 であるという種類の違いがあります。 「漢語」はストレートに物事を伝える言葉であるため和語に言い換えて表現を柔らかくするという場合がります。 例えば、 〈漢語〉  謝罪  〈和語〉 お詫び 〈漢語〉  希望  〈和語〉 望む といった例があげられ、同じように「ご遠慮ください」と表現するよりも和語である「お控えください」を使用したほうが印象が柔らかくなります。

「お控え下さい」の例文

例文 「公演中に席をお立ちになることはお控えください」 「喫煙所以外での喫煙はお控えくださいますようお願い申し上げます」 「映画の内容に関する口外はお控えくださいますようご理解とご協力お願い申し上げます」 「開場前のご来園は、お控えいただければと存じます」 「選手に関するご質問はお控えいただきたく存じます」 「お子様のみでのご利用は危険ですのでお控えください」

「ご遠慮ください」のほうが禁止の意味合いが強く感じる

どちらにも「おやめください」というニュアンスを含んで使用されることが多いですが、上述したように「漢語」である「ご遠慮ください」のほうがどちらかというと禁止の意味合いが強く感じられます。 「控えてください」はかなり柔らかい印であるのが一般的なイメージであるため、強制的なニュアンスを含めて伝えたいのであれば「ご遠慮ください」と使用するのがいいでしょう。

「しないでください」という禁止の意味がある敬語表現

「おやめください」

「おやめください」は、「止め」という言葉に接頭語の「お」と「ください」をつけて丁寧語にした表現です。 「やめてください」と伝えるよりは丁寧な表現にはなりますが、かなりストレートな表現であるため、目上の人に使用する場合などは注意が必要です。 「やめていただけませんか」「おやめくださいますか」といった表現のほう柔らかいニュアンスになります。 例文

  • 駆け込み乗車は大変危険ですのでおやめください。
  • タバコのポイ捨てはおやめください。

「ご容赦ください」

「ご容赦ください」の「容赦」は「ようしゃ」と読みます。 「容赦」の意味は「許す、大目に見る」で、「ご容赦ください」は「許してください」「大目に見てください」の尊敬語になります。 「ご容赦ください」は尊敬語ですので、目上の人に対して使うのが正しい使い方です。 立場が同じもしくは下の人に使うと過剰な敬語使用とみなされてしまいます。ビジネスシーンでは企業が顧客や取引先に対して使うのが一般的で、また口語より文章で使うことの方が多い言葉となります。 例文

  • 会場内は走らないよう、何卒ご容赦ください。
  • この場所での喫煙はご容赦くださいますようお願い申し上げます。

「お断りいたします」

「お断りいたします」は、人の申し出、依頼、希望を受け入れない際に使う言葉で、「辞退する」「拒否する」といった意味があります。 直接的な響きのある言い回しなので、目上の人に対して使用すると失礼だと感じる人もいるかもしれませんが、「お断りいたします」は敬語として全く問題ない正しい表現です。 例文

  • 家庭ごみのお持ち込みはお断りいたします。
  • ペット同伴でのご入店はお断りいたします。

「ご遠慮ください」の英語表現

標識では「PLEASE DO NOT... 」が一般的

英語圏の街中の標識などでは「〜はご遠慮ください」という意味で「PLEASE DO NOT...」と書いてあることが多いです。 命令文ですが、「please」がついていますので、丁寧な言い回しになっています。

PLEASE DO NOT SMOKE.

喫煙はご遠慮ください。

「refrain from... 」を使うことも可

「refrain from...」で「...を控える、慎む」などの意味になります。 この動詞を使い、「〜はご遠慮ください」と表現することが可能です。

Please refrain from touching sleeping animals.

[動物園で]眠っている子を触るのはご遠慮ください。

You are requested to refrain from sleeping in the car in this parking lot.

この駐車場では車内で寝るのはご遠慮ください。

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まとめ

「ご遠慮ください」について理解していただけましたか? ✓「ご遠慮ください」の意味は「慎んでください・控えてください」 ✓「ご遠慮ください」は強い口調に感じられる場合があるので注意 ✓「ご遠慮ください」というときはクッション言葉を使用すると良い ✓「ご遠慮くださませ」「ご遠慮くださいますよう〜」などの言い回しがある など

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