「拝命」という言葉をご存知でしょうか。「拝命」は、「任命される」という意味のある非常にかしこまった表現で、日常生活ではあまり耳にすることがないと思います。今回は、「拝命」の意味と使い方を、例文付きで将暉あします!また、類語である「任命」との違いや英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「拝命」は、「はいめい」と読みます。
「拝命」は、「任命されること」の謙譲語表現です。 目上の人か何か役割を指示された場合に、任されたことを「謹んで引き受ける」という謙遜した表現が「拝命する」という表現になります。 主に、役職を与えられた場合の決意表明といった場面で使用される非常にかしこまった言い回しです。
「拝命」は、上述したように「任命されること」の謙譲語表現です。 謙譲語は、自分の行動をへりくだって表現することによって、相手に対して敬意を示す敬語表現で、会社の上司といった、敬意を示すべき目上の人に対して使用することができます。 したがって、「拝命」を使用するときの主語は必ず自分になります。 他人が「拝命する」という場合には使用することができませんので注意してください。
「拝命」は、社内での昇進や移動の挨拶で「拝命することになりました」「拝命しました」というような言い回しで使用されることがほとんどです。 つまり、「部長になりました吉澤です」「営業部長を任せてもらうことになりました齋藤です」というように挨拶をする場合に、「拝命しました」と表現することができるということです。 挨拶文の例文や、挨拶をするときのポイントや注意点は後述しますので、参考にしてください。
スピーチ例文
このような大きなプロジェクトのリーダーとなりますこと、身の引き締まる思いです。皆様に安心して頼っていただけるようなリーダーになることを目標としております。まだまだ未熟ではございますが、どうかご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
メール例文 件名;プロジェクトリーダー就任のご挨拶とお礼 広報部 高橋殿 拝啓 いつもお世話になっております。営業部の狩野でございます。 この度、新規プロジェクトのプロジェクトリーダーを拝命しました。 プロジェクトリーダーをいう大役をおおせつかり、大変恐縮でございます。 これも高橋さんのご支援の賜物だと思っております。厚く御礼申し上げます。 微力ではございますが、プロジェクトリーダーとして納得のいく業績を残すべく、日々邁進してく所存であります。 まだまだ若輩者ですが、精一杯力を尽くしてまりますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。 略儀ながらまずはご挨拶申し上げます。 令和元年 3月15日 営業部 狩野
昇進や就任の挨拶では、「若輩者」「浅学非才」「不束者」などの自分をへりくだる言葉を使用することが基本です。 それぞれの言葉の意味と使い方について簡単に説明します。
「若輩者」は「じゃくはいもの」と読み、「経験が浅く未熟な者」「年が若い者」を意味します。 ただ「年齢が若い」といった意味がありますが、ビジネスシーンでは主に「経験が浅い」「経験が未熟」という謙遜の意味で使用されます。 例文
「浅学非才」は「せんがくひさい」と読みます。 「浅学非才」は「学問が浅く、才能にも乏しいこと」という意味で自らを謙遜していう語で、「自分は無知無能である」というニュアンスになります。 「自分の知識はまだまだである」「自分はまだまだ勉強すべきである」と意味合いを込めて、挨拶やお礼をしたい場合に使います。「浅学非才」と言葉と共に意欲を表すことによって、自身の向上心を示すことができます。 例文
「不束者」は「ふつつかもの」と読みます。 「不束者」の意味は「無作法な者、行き届かない者」で、「不束」とは「能力が劣っていること。配慮や気遣いが不十分であること」を表します。 「不束者」は自分のことに精一杯で、人に配慮できなかったり、気が使えないことを謙遜する場合に使います。 例文
自分を謙遜した表現とともに、「ご指導ご鞭撻」などの言葉を使用して、教えを請うとさらに丁寧な文章になります。 「ご指導ご鞭撻」の他にも、
といった言葉も教えを請う表現として使用することが可能です。
<教えを請う例文>
「拝命」は、「任命してもらう」という組織に対する敬意を示した言葉であるため、社外の人に移動の挨拶で使用することはできません。 つまり、「この度、横浜支店勤務を拝命しました」というように社外の人に挨拶をしてしまうと、自分の勤めている会社を自分で立てる表現をしてしまっているということになるのです。 社外の人に移動の挨拶をする場合は、「この度○月○日付けで岡崎支店へ移動することになりました」というように挨拶をするのが一般的です。
「拝命」を履歴書で使用する人がしばしば見受けられます。 しかし「拝命」を履歴書で使う必要はありません。 履歴書で「拝命」を使うのは前職での役職を任命されたことを示すときですが、入社を検討している会社の前で前職に対してわざわざ敬意を示す必要性は低いでしょう。
「承りました」は「受ける」「聞く」「伝え聞く」「引き受ける」の謙譲語です。 したがって、「拝命承りました」の場合の「承りました」は、「謹んで引き受けました」という謙譲語として使用されているため、謙譲語+謙譲語で二重敬語となります。 二重敬語とは、同じ種類の敬語を重複して使用することであり、誤った敬語として使用を避けられる表現です。
「拝命いたしました」は、品詞分解すると「拝命」+「いたし」+「まし」+「た」となります。 「拝命」は謙譲語です。 「いたし」は「する」の丁重語「いたす」の連用形です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱともいわれ自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示すという点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは違い聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「まし」は丁寧語「ます」の連用形です。 「た」は過去を表す助動詞です。 したがって、「拝命いたしました」は謙譲語+丁重語+丁寧語の正しい敬語表現です。 「拝命いたしました」は、二重敬語ではありません。 「拝命」と「いたす」の2つの謙譲語が使われているため二重敬語といわれることがありますが、「いたす」は丁重語であり、謙譲語ではないので、二重敬語にはあたりません。 「拝命たしました」の「いたす」は漢字で「致す」と書き、本動詞で使う場合は漢字で表記し、補助動詞はひらがなで表記するという決まりがあります。 この場合の「いたす」は補助動詞なので「拝命いたしました」と表記するのが正しいです。
「拝命」という謙譲語に、さらに謙譲の意味で接頭語の「ご」を使用してしまっているため、「ご拝命」も二重敬語になります。 「拝命」がすでに、自分の行動をへりくだって表現している謙譲語なので接頭語を使用する必要がないということを覚えておきましょう。
「拝命致しました」は二重敬語ではない、という意見もあります。 「二重敬語」の厳密な定義は、「同じ語に対して複数の同じ種類の敬語を使うこと」を指します。 「拝命」は「命(めい)を受ける」の謙譲語で、「致す」は「する」の謙譲語なので、それぞれ別の言葉を敬語化している、というのが二重敬語反対派の見解です。 しかし、「拝命する」で一つの動詞と捉えると、この理論が不自然であることが分かります。 「拝命する」という一つの謙譲語の補助動詞の部分だけ、さらに謙譲語化するのは、明らかに不自然です。 よって、「拝命致しました」は二重敬語だという解釈で間違いでしょう。
「拝命」は、上述しているように「任命される」「謹んで引き受ける」という意味の謙譲語として使用される言葉であり、使用する場合の主語は「自分自身」となります。 したがって、「拝命なさる」「拝命していただく」というように他人が「任命される」「引き受ける」という行為を尊敬語を組み合わせて使用することはできませんので注意してください。
「任命」は、「にんめい」と読みます。 「任命」の意味は、「ある官職や職務につくように命令すること」です。 したがって、「任命」は、する側が使用する表現であり、「拝命」は、される側が使用する表現であるという違いがあります。
例文
「引き受ける」は、頼まれた役割や、仕事を責任をもって受け持つという意味で、何かを頼まれたり、任されたりした場面で、「お引き受けします」というように使用します。 例文
「任される」は、「任す」の未然形である「任さ」に、助動詞の「れる」がついた言葉です。 「任す」は、「自分の権限などを他に人に譲って、仕事を代行してもらう。委ねる」という意味があり、そこに、受け身・尊敬・自発・可能の助動詞の「れる」をつけると「目上の人や組織から、任務などを受けること」を意味する言葉になります。 例文
「仰せつかる」は、「おおせつかる」と読みます。 「言いつかる」という「目上の人から指示・命令をうけること」という意味の言葉を、へりくだって表現した言葉で、謙譲語にあたります。 例文
「拝命」の対義語とされるものとして、明確な言葉はありません。 しかし、「拝命」を「目上の人から任されること」「謹んで引き受ける」という意味だと解釈すると、「命令」「解任」などが、反対の言葉をしてあげられます。
「命令」の意味は、上位のものから下位の者に言いつけることです 例文
「解任」は、「いまついている任務をとくこと」という意味があります。 自らの意志ではなく、周りからの意志により、任務を離れなければいけないときに、使用されます。 例文
「〜を拝命する」の英語表現は、「be appointed as 役職 」となります。 「be appointed to 職場」の形だと「〜勤務を任命される」という意味になります。
I was appointed as a director. And I am very pleased to be able to be part of the management team in this company.
取締役を拝命しました。当社の経営陣に参画できることを大変嬉しく思います。
I've decided to appoint you to the headquarters in Tokyo.
あなたを東京本社勤務に任命することを決定しました。
職務ではなく仕事やタスクを割り振るときは「assign」という動詞を使います。 「assign 人 to 仕事」の形で使います。
Every engineer was assigned for fixing the DNS server not responding with pictures.
画像表示不良を起こすDNSサーバーの修繕にすべてのエンジニアが割り振られた。
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「拝見」は<はいけん>と読みます。 「見る」の謙譲語で、自分が見る動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝見する」はメールや書類を「見る」「読む」「目を通す」という意味になります。 「内容や目的を理解した」というニュアンスも含まれています。 「拝見」は「拝見します」という形でよく使われます。 例えば、目上の相手に「見せていただいてもよろしいでしょうか」だとくどい言い方になりますが、 「拝見してもよろしいでしょうか」と言い換えることでスマートな印象を与えられます。 「拝見いたします」「拝見させていただきます」は二重敬語になりますが、ビジネスシーンでは慣習的によく使う表現なので、ほとんどの人にとってそこまで違和感のある表現ではありません。
例文
「拝聴」は「聞く」の謙譲語で、「つつしんで聞く」という意味です。 また「拝」は「拝む(おがむ)」ことを表す言葉なので、謙遜の気持ちを表すときによく使います。 「拝む」は感謝を示す行為のことなので、「拝」が含まれる言葉には「ありがたく◯◯する」という気持ちが込められます。 つまり「拝聴する」は、「ありがたく聞くこと」を表しています。
例文
「拝承」は「聞くこと」「承知すること」の謙譲語です。 「つつしんでうけたまわること」という意味で、 「承知しました」よりも堅い表現になります。 「拝承」の使い方としては
などとなります。
例文
「拝察」は「察すること、人の心中などを推測すること」の謙譲語です。 相手の状況を推察する場合と相手の気持ちを思いやる場合に、「拝察します」というような言い回しで使用される言葉です。 「お(ご)拝察」や、「拝察される」「拝察いたします」「拝察しております」といった言い回しは誤用ですので中押してください。 「拝察」はかしこまった場面で使うことが多く、式典の挨拶やお役所関連の文書、お礼状やお悔やみ状などでも用います。
例文
「拝読」は<はいどく>と読みます。 「読む」の謙譲語で、自分が読む動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝読する」は「メールや書類を読んだ」という意味になります。 例えば目上の相手に「こちらの資料は拝読されましたか?」と聞くと、逆に相手を下げて自分を高めているという表現になってしまいます。 「拝読」はその読み物を書いた本人に対してへりくだる意味があります。 例えば上司からのメールは「拝読しました」と言いますが、 上司から借りた本を上司に「拝読しました」と伝えるのは、上司に敬意を払っていないことになります。 「拝読」はメールや手紙、資料を読んだことを、相手に伝えるときに使うのが一般的です。 「拝読しました」「拝読します」といったように使うことができます。
例文
「借りる」の謙譲語で、自分が借りる動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「お手を拝借!」と聞いたことがある方もいると思います。「拝借」は基本的には「御本を拝借してもよろしいでしょうか」といったように物を借りる時に使うことが多いですが、他にも「◯◯様のご意見を拝借したいです」といったように使うこともできます。 また「借りる」の謙譲表現には「恩借(おんしゃく)」という言葉もあります。 「恩借」の意味は「人の好意によって金銭や品物を借り受けること。また、その金品」になります。 「恩借」は「経営難や借金などで知人や親族などに金を借りる」という意味で使われることが多いです。 「拝借」と「恩借」では意味が全く違うので間違わないように注意しましょう。
例文
「拝覧」は、「見る」の謙譲語で、自分が見る動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝覧」は「拝見」と同義語になります。 「拝見」は見ること全般に使うことができる言葉です。 一方「拝覧」は主として宗教関係の建物や美術品などを観覧・鑑賞する場合に使用します。 「拝覧」は基本的にはあまり使わない表現で、「拝覧」と「拝見」では「拝見」の方が多く使われます。
例文
「拝命」という言葉について理解していただけましたか? ✓「拝命」の読み方は「はいめい」 ✓「拝命」の意味は「任命されること」の謙譲語 ✓「拝命」は謙譲語なので、会社・上司に対して自分をへりくだるために使う ✓「拝命しました」「拝命することになりました」の形で社内の昇進・異動の挨拶で使う ✓「拝命」を使用する場合は、二重敬語に注意!など