「破天荒」という言葉をご存知でしょうか。よくテレビのバラエティ番組や漫画などでも、見聞きする機会が多いと思います。「破天荒」という字面から何となく、「破天荒な人」と言われている芸能人をみて、大まかに意味を理解しているという人もいると思います。しかし、この「破天荒」という言葉、間違った使い方をされていることが多いです。そこで今回は「破天荒」の正しい意味や使い方、語源、類語、破天荒な性格について解説していきます。意味を正しく知って、上手く使いこなしましょう!
「破天荒」は<はてんこう>と読みます。 「破天荒」の意味は「今まで誰もしなかったことをすること」「未曾有」「前代未聞」です。 「破」は「相手を打ち負かす」「枠から外れる」「終わりまでやり抜く」を意味します。 「天」は「大空」「自然界」「高い所」を意味します。 「荒」は「土地があれはてる」「あらっぽい」「あらあらしい」を意味します。 「天荒」は「天地未開の時の混沌たるさまで、これを破りひらく意」を表します。 「天荒を破る」と書くことから、「前人未到の境地を切り開くこと」という意味になります。 「破天荒」は、とても立派である様を表す言葉でポジティブなニュアンスがあります。
「破天荒」は中国・宋代の説話集『北夢瑣言(ほくむさげん)』の記述に由来しています。 中国の唐時代、王朝成立から100年以上経った後も荊州(現:湖北省)から官吏渡洋試験である科挙の合格者が出ず、世の中の人はこの状況を「天荒」と称しました。 「天荒」とは、「未開の荒れ地」もしくは「凶作などで雑草が生い茂る様子」を表します。 やがて、劉蛻(りゅうぜい)という人物が荊州から初めて科挙に合格すると、人々は「天荒を破った」と言いました。このように、劉蛻が初めて合格して、天荒を破ったことが「破天荒」の由来とされています。 ここから、誰もが思いもよらないような驚くべきことをする、偉業を達成するという意味で「破天荒」が使われるようになりました。
「破天荒」の意味は「前人の成し得なかったことを初めてすること」です。 「誰も成し遂げていない」というと、「大胆」「突飛」、「型破り」などといったことをイメージしますよね。 このように、「破天荒」を「豪快」「大胆不敵」「無茶なことをする」といった意味で認識されていることが多いですが、これは間違いです。 「破天荒な女」「破天荒な奴」といった使い方は誤りになります。 テレビなどでもよく「破天荒芸人」などと使われていますが、誤用です。 ちなみに、文化庁が発表した『国語に関する世論調査』では「彼の人生は破天荒だった」を、本来の意味の「誰も成し得なかったことをする」で使う人が16%、間違った意味である「豪快で大胆な様子」で使う人が64%という逆転した結果が出ています。 このように、間違った意味で認識されていることが多いですが、誤用なので注意しましょう。
「誰も成し得なかったことを初めてすること」を表しているので、「破天荒の試み」「破天荒な記録」「破天荒な大事業」といったように用います。 例えば、◯◯高校から某有名大学に合格する人は今までいなかったが今年初めて合格者が出たというときや、何かのスポーツで日本人がランクインしたことはなかったが初めて上位に入ったなどと、今まで誰もしなかったことをする、偉業を達成した場合に使います。 このように、「破天荒」は本来、「前人未到の境地を切り開く」などと、見事な行いに対して使う言葉です。
例文
未曾有<みぞう> (意味:今までに一度もなかったこと。また、非常に珍しいこと) 「未曾有の災害が発生する」 前代未聞 (意味:これまでに聞いたこともないような珍しく変わったこと) 「前代未聞の出来事が起きる」 画期的 (意味:これまでとは時代をくぎるほど目覚ましいさま) 「画期的なフライパンを発明する」 エポックメーキング (意味:ある事柄がその分野に新時代を開くほど意義をもっているさま) 「エポックメーキングな発明をする」 空前 (意味:今までに例を見ないこと) 「その映画は空前のヒットを成し遂げる」 記録的 (意味:従来の記録に並ぶ、また、それを上回るほど程度が甚だしいさま) 「記録的な大雪となる」 歴史的 (意味: 歴史上、特記されるべき重要な意味のあるさま) 「歴史的瞬間を見届ける」 前人未到 (意味:今までだれも足を踏み入れていないこと。また、だれもその境地に到達していないこと) 「前人未到の記録を達成する」
「破天荒な人」というのは、今まで誰も成し得なかったこと、偉業を達成した人ということになります。 しかし、「破天荒」は非常に誤用が多いです。「大胆不敵」「豪快」といった意味であると認識されているので、「破天荒な人」というのも「型破りな人」「乱暴者」といった意味で捉えられる可能性があります。 確かに、前代未聞のことを達成したので、そういった意味では「型破りな人」かもしれません。 ただ、「破天荒な人」はあくまでも「今まで誰もできなかったことをする人」なので間違えないようにしましょう。 「破天荒な人」の性格としては、
などとなります。
⚠︎「破天荒な人」とは良い意味です。 しかし、「破天荒」は誤用が多いため、相手に誤解を生んでしまうことがあります。 相手が何か初めてのことを成し遂げたときに、「あなたはとても破天荒な人ですね」と褒めたとしても、相手は「乱暴な人ですね」と悪い意味として受け取ってしまうかもしれません。 面と向かって相手を褒める場合は、「前代未聞の」「前人未到の」「先駆者」「パイオニア」などと言葉を言い換えてみるのも良いでしょう。
「破天荒」の英語表現は、
などになります。最初の2つはポジティブな意味で使い、後半の3つはネガティブな意味で使います。「crazy」は褒め言葉になることもあります。褒め言葉の場合は「good crazy」と言うこともあります。
He was a crazy guy.
彼は破天荒な男だった。
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
職場で英語が必須な方や海外留学を検討している方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きました!興味のある方はぜひご覧ください。↓
「破天荒」について理解できたでしょうか? ✔︎「破天荒」は<はてんこう>と読む ✔︎「破天荒」は「今まで誰もしなかったことをすること」を意味 ✔︎「破天荒」を「大胆不敵」「無茶なことをする」という意味で使うのは誤用 ✔︎「破天荒」の類語には、「未曾有」「画期的」などがある