「品行方正」という言葉をご存知でしょうか。「品行方正な人物」「品行方正を心掛ける」などと比較的よく見聞きする言葉ですよね。よく使う言葉であるからなんとなく使っている、という人も多いと思います。普段はあまり意識せずに使うことが多い「品行方正」ですが、正しく意味を理解しているでしょうか。「品行方正」を適切に使うには、しっかりと意味を覚える必要があります。また、「品行方正」の類語や反対語はたくさんありますが、これらも是非知っておきたいです。そこで今回は「品行方正」の意味や使い方、成り立ち、読み方について解説していきます。「品行方正」を知って、言葉の知識を深めましょう!
「品行方正」は<ひんこうほうせい>と読みます。 「ひんぎょうほうせい」とは読まないので注意しましょう。 「品行方正」の意味は「品行が正しくきちんとしているさま」です。 おこないがきちんとしていて正しい様子・おこないや考えが正しくて立派なさまを表します。 「品行」は「道徳の上から見た、おこない」を意味します。 「方正」は「きちんとして正しいこと。端正」を意味します。 この二つを組み合わせることによって、「行動や心が正しく立派である」という意味になります。
中国の春秋時代の書物『菅子』に「身子方正」という表現が出てきます。 「身子方正」の意味は「みずから行うことが正しくて立派であること」です。 「身子方正」が形を変えて「品行方正」になったのではないか、と言われています。 「品行方正」のそれぞれの意味は、 「品」==> 物や人の質によって分けた等級。人がら 「行」==> おこなう。おこない 「方」==> まっすぐできちんとしている 「正」==> 間違いがなくただしい。いつわりがない となります。
行いや人格が正しく立派である様子を表す場合に「品行方正」を使います。 例えば、「品行方正になるのは意外と難しい」「常に品行方正を保つ」「彼女は品行方正だ」などと言います。 他にも、マナーや行儀の良い人を「品行方正な人物」と表現できます。 「品行方正」は単に行儀が良いという場合ではなく、行いと心がともに立派であるという場合に使うのが適します。 「品行方正」は基本的に良い言葉として用いられますが、最近は行いや心が優れている人を「あまりにも真面目だ」と堅苦しいと思う風潮があるため、からかいの気持ちを込めて使用することもあります。 言い回しとしては、
などとなります。
例文
「清廉潔白」の意味は「心が清く、私利私欲を持たないこと」です。 心や行いが清らかで私欲がなく、不正などをすることがまったくない様子・後ろめたいことがないさまを表します。 「清廉」は「心が清くて私欲のないこと」、「潔白」は「潔くて心の汚れていないこと」を意味します。 「清浄潔白(せいじょうけっぱく)」「清廉恪勤(せいれんかっきん)」「恪勤清廉(かっきんせいれん)」でもほぼ同じ意味です。 「清廉潔白な人物」「清廉潔白の身」「清廉潔白なイメージ」「清廉潔白な人生」といったように使います。 例えば、「選挙では、清廉潔白なイメージを持っている人物こそが選ばれる」などと言います。
例文
「方正謹厳」の意味は「行いが正しく真面目で、慎しみ深い様子」です。 非常に真面目で行いが正しくて、差し出がましいところがなく控えめである様子を表します。 「方正」は「きちんとしていて正しいこと」、「謹厳」は「つつしみ深くて厳格なこと」を意味します。 例えば、「方正謹厳な人物」「方正謹厳そのもの」「方正謹厳で面白みに欠ける」といったように使います。
例文
「謹厳実直」の意味は「人柄が、慎み深く真面目であること」です。 きわめて真面目で正直なさま・軽率な行動をすることなく、正直であることを表します。 「謹厳」は「つつしみ深くて厳格なこと」、「実直」は「誠実で正直なこと。律儀」を意味します。 例えば、「謹厳実直な勤めぶり」「謹厳実直な性格」「謹厳実直であると評判だ」「謹厳実直の彼」などと使います。 「真面目すぎる」とからかいの気持ちを込めて、「謹厳実直」を使うことが多いです。
例文
「規行矩歩」の意味は「心や行動がしっかりしていて融通がきかないこと」です。 正しい行動や行いではあるが、古い制度や法則を頑なに守ってばかりいて融通がきかない様子を表します。 「規行」は「行動や判断のよりどころとなる基準」を意味します。 「矩歩」は「軽々しい行動をせず、歩き方一つをとっても規矩にかなっていること」を意味します。 「規行矩歩」は「規則を堅く守る」という意味ですが、「規則にこだわって、融通がきかない」という意味合いが含まれるため、良い意味で使うこともありますが、からかいの気持ちを込めて使うことが多いです。
例文
「聖人君子」の意味は「徳や品位があって、知恵も教養もある非常に優れた人。行いの正しい高潔な人」です。 知識や徳望の優れている理想的な人物・非の打ち所がないほど素晴らしい人物を表します。 「聖人」は「知恵が最も優れ、万人が仰ぎ崇拝する人」、「君子」は「人格が立派な人。徳が高くて品位の備わった人」を意味します。 「聖人君子」は「彼は本当に聖人君子だ」と相手を褒めるというよりも、「まるで聖人君子のような..」「自分で聖人君子だと威張る」といったように皮肉を込めて使うことが多いです。
例文
好青年 (意味:誰からも好感を持たれる、感じの良い青年) 「彼は好青年で誰からも好かれている」 折り目正しい (意味:折り目がきちんとしている。礼儀正しい) 「折り目正しい人物を目指す」 礼儀正しい (意味:社会生活に秩序を保つために人が守るべき行動様式をきちんとしていること) 「あの人は礼儀正しく、とても好感が持てる」 しっかりしている (意味:堅固でゆるぎないさま。堅実で信頼できるさま) 「彼女は年齢の割にしっかりしている」 慇懃<いんぎん> (意味:ねんごろなこと。ていねい) 「どんな質問でも慇懃に受けた」 規律正しい (意味:秩序がきちんとしていること) 「規律正しい生活を送る」 誠実な (意味:他人や仕事に対して、真面目で真心がこもっていること) 「誠実な人柄に惹かれる」 丁寧 (意味:注意深く心が行き届くこと。手厚く礼儀正しいこと) 「分かりやすいように丁寧に説明する」 真っ直ぐな (意味:少しも包み隠さないこと) 「どこまでも真っ直ぐな人だ」
「悪逆無道」の意味は「悪逆で道理にはずれていること」です。 人の道を外れた悪な行い・道理に背いている残虐な行いを表します。 「悪逆」は「道に逆らったひどい悪事」、「無道」は「道理にはずれていること。道徳に背くこと」を意味します。 「悪逆」も「無道」も同じような意味を持ちます。これらを重ねることによって、意味を強めています。 例えば、「悪逆無道な行為」「悪逆無道な振る舞い」「悪逆無道ぶり」「悪逆無道さ」などと使います。 「暴虐非道(ぼうぎゃくひどう)」や「悪逆非道(あくぎゃくひどう)」もほぼ同じ意味です。
例文
「品性下劣」の意味は「人柄が卑しくて、行動や振る舞いなどが下品なこと」です。 品性に欠けていること・人格がおとっていて、態度や行いが下品である様子を表します。 「品性」は「人柄。人品。人格」、「下劣」は「人柄や考え方が卑しいこと」を意味します。 「品性下劣」は意味通り、悪い意味として使います。 例えば、「品性下劣な人物」「品性下劣な男」「品性下劣ぶり」などと言います。
例文
下品 (意味:品の悪いこと) 「なんて下品な人なのだろう」 低俗 (意味:低級で下品なこと) 「低俗な映画で期待外れだった」 卑劣 (意味:品性や行為などのいやしく下劣なこと) 「卑劣な手段で使ってまで上に行こうとしていた」 浅はか (意味:考えが浅いさま。思慮が足りないさま) 「こんなことに引っかかるなんで浅はかだ」 度量の狭い (意味:心が狭く、人を受け入れない性質) 「彼は本当に度量が狭い」 醜い<みにくい> (意味:見ていて嫌な感じがする) 「なんて醜い行為だろう」 野蛮 (意味:無教養で粗暴なこと) 「野蛮な行いばかりしている」 意地汚い (意味:飲食物や金品に対する欲が強い) 「彼はお金に意地汚い」 狭量<きょうりょう> (意味:人を受け入れる心の狭いこと) 「彼女は狭量な小人物だ」
「品行方正」な人の特徴としては、 ◯空気を読むことができる ◯感情を露わにしない ◯悪口を言わない ◯きちんとしたマナーを身につけている ◯前向きに行動できる などとなります。 「品行方正」は「優等生で素晴らしい人物」という意味なので褒め言葉としても使われるが、マイナスなイメージを伴って使うこともあります。 真面目で完璧な人物を「品行方正」と言うことで、「真面目すぎて面白みに欠ける」「優等生で融通がきかない」といった意味合いを表します。 度を超えてしまうと、逆に相手から「堅苦しい」と反感を買ってしまいます。 「品行方正」はとても良いことですが、「つまらない」という印象を抱く人もいるので、はしゃぐ時ははしゃいで、きちんとする時はきちんとする、などとオンオフをしっかりと身に付けるようにしましょう。
「品行方正」の英語表現は、
などがあります。
She is such a polite lady that she is a good example for all of the young girls.
彼女は品行方正な女性なので、すべての少女のお手本である。
She is too polite to point out her boss' mistakes.
彼女は品行方正すぎて、上司の誤りを指摘できない。
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「品行方正」について理解できたでしょうか? ✔︎「品行方正」は「ひんこうほうせい」と読む ✔︎「品行方正」は「おこないがきちんとしていて正しい様子。おこないや考えが正しくて立派なさま」を意味 ✔︎「品行方正な人物」「品行方正だ」「品行方正を心掛ける」などと使う ✔︎「品行方正」の類語には、「清廉潔白」「好青年」「真っ直ぐな」などがある