「及第点」という言葉をご存知でしょうか。少し古めかしい言い方ということもあり、あまり聞く機会がない言葉ですよね。スポーツに関するニュースやビジネスシーンで結構「及第点」は使うことがあります。「及第点」だけ見ても、読み方だったり、意味は分かりにくいです。正しく使うためには、「及第点」の意味や使い方についてしっかりと覚えておく必要があります。また、似ている言葉に「次第点」や「合格点」がありますが、これらの違いについてもきちんと覚えておきましょう。そこで今回は「及第点」の意味や使い方、類語、対義語について解説していきます。
「及第点」は<きゅうだいてん>と読みます。 「しだいてん」と読んでしまわないように注意しましょう。 「及第点」の意味は「試験や審査などに合格するのに必要な点数。合格するために必要な最低限の点数」です。 「及第」は「試験に合格すること。一定の基準に達していること」を意味します。 「ギリギリ合格」「まあまあ合格」などと、なんとかギリギリで合格の点数や合格ライン表します。 100点中70点で合格のテストなら、70点〜79点くらいなら「及第点」ということができるでしょう。 具体的な数値に関しては、厳密な決まりはありません。話者の感覚に寄ります。
「及第」とは元々中国の言葉です。「第」は「古代中国の官吏登用試験もしくは大きな屋敷」を意味しています。 当時の中国では科挙(中国で行われた官僚登用試験)に合格したら、高級官僚(スーパーエリート)となって、大きな屋敷(人が住むような家ではなく政府が使う家)で働くことになっていました。 「大きな屋敷に手が届く=第に及ぶ」ということから、「及第」という言葉ができました。 「及第」するために必要なのが、「及第点」ということです。 今では「ベストではなく、ギリギリの合格」という意味ですが、当時は「文句なしの合格。最大限の結果」という意味で「及第点」が使われていました。
「及第点」は、スポーツ選手を評価する場合に使うことが多いです。 新聞やニュースではよくサッカー選手や野球選手に関して、「A選手に及第点の評価」「B選手の投球に及第点」などと使っています。監督や解説者のインタビューでも、「及第点ですね」と言っているのを聞きますよね。 スポーツだけでなく日常会話でも使いますが、学校の試験に関しては「合格点」という言葉を使うことが多いでしょう。 ベストとは言えないが、まずまずの出来だというときに「及第点」を使います。 例えば、「急に依頼した仕事にも関わらず、及第点の出来栄えであった」といった場合は「急にお願いした仕事にも関わらずに、合格ラインに達している出来であった」という意味になります。 また、「君の働きは及第点だ」といったように、働きぶりに関しての評価として使う場合もあります。 可もなく不可もなくという意味なので、「及第点」は褒め言葉として使うことはできません。 上司から「及第点だね」と言われた場合も、「まずまずの結果だね」という意味で決して褒めているとは限らないのです。 ただ、もっと努力すればもう少し上に行けた、良い結果を残せたといったことが含まれているので、「頑張れよ」と勇気付けられていると捉えられます。 言い回しとしては、
などとなります。
例文
「次第点」という言葉は存在しません。 「及第点」を「きゅうだいてん」ではなく、「しだいてん」とよく読み間違えられたことから「次第点」が同じように使われるように浸透していますが、実際にはないので注意してください。 「次第」は「物事または事柄の成り行き。いきさつ。由来。経過。上下や前後の並び」を意味します。 「事の次第を話す」「ここからどうするかはあなた次第だ」「手当たり次第探す」などと使います。 意味からわかるように、「次第点」としてしまうと訳がわからなくなってしまいます。
「御の字」は<おんのじ>と読みます。 「御の字」の意味は、
です。 「御」という漢字は尊敬を表す接頭語で、優れているものや極上のものを表す場合に用います。 そこから、”御”の字を付けたいぐらいものすごくありがたいことを「御の字」と言うようになりました。 「及第点」は「試験や審査などに合格するのに必要な点数」 「御の字」は「望みが叶って満足なこと。極めてありがたいこと。大変結構なこと」 「御の字」を「まあまあ悪くない」という意味で誤用している人が多いです。つまり「及第点」と「御の字」を同じ意味で使用している人がいますが、本来の「御の字」の意味は異なります。 「御の字」と「及第点」では意味が違うので、しっかりと使い分けましょう。
例文
「妥協点」は<だきょうてん>と読みます。 「妥協点」の意味は「双方が互いに歩み寄って一致できるところ。折り合いのつくところ」です。 「妥協」は「対立している双方(または一方)が折れ合って一致点を見出し、事をまとめること」を意味します。 「及第点」は「試験や審査などに合格するのに必要な点数」 「妥協点」は「対立している双方が互いに歩み寄って一致できるところ」 このように、「及第点」と「妥協点」では意味が全く異なります。 「妥協」は例えば、「うな重が食べたかったが、給料日前だったので親子丼で妥協した」といったように使います。 我慢や諦めることによって一致点を見出して、事をまとめることを「妥協」と言います。妥協できる部分が「妥協点」です。
例文
「合格点」の意味は「試験などで、出来が一定の水準に達して合格と判断できる点数」です。 「合格点」には「及第点」のように「ギリギリ合格」というネガティブな意味合いはなく、「しっかり合格」している響きがあり、ポジティブで褒め言葉として使うことができます。 また、「及第点」はスポーツの評価を表すときに使うことが多く、「合格点」は試験や審査などの結果を表すときに多く使われます。 「及第点」の類語には他にも、
などがあります。
例文
「落第点」の意味は「試験や審査に合格できない点数。試験結果から進級することができない点数」です。 試験に合格しないときに、「試験に落第する」「こんなに悪い成績だと落第だ」などと言います。 「及第点」と使い分けるには、「第に及ぶのか」「第から落ちるのか」と考えると覚えやすいです。 「赤点」の意味は「(赤色で示すことから)落第点。欠点」です。 よくテストの点が悪いと「赤点をとった」などと言いますよね。 「及第点」の対義語には他にも、
などがあります。
例文
上記でも説明しましたが、「及第点」はスポーツに関して評価する場合に使うことが多いです。 中でも、サッカー選手に対してよく使われています。 ヨーロッパの解説者やスポーツ紙などから、日本人のサッカー選手が6点の評価をもらうと、日本では「及第点」を用いてそのことが報道されます。 満点が10点で、平均的によかった場合に6点を得ることができます。試合の中で好プレーを発揮したときは、7〜9点ほど得られます。何にも活躍できなかったりすると1点しかもらえません。 日本での感覚であればだいたい7〜8点が合格のような感じがしますが、他国では6点が合格ラインとなっています。
「及第点」の直訳である英語は存在しません。 「合格点」は英語で、「passing grade」「passing score」といいます。 「及第」つまり「ぎりぎり合格した」「かろうじて合格した」と英語で表現することは可能です。
などと表現することができます。
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「及第点」について理解できたでしょうか? ✔︎「及第点」は「きゅうだいてん」と読む ✔︎「及第点」は「試験や審査などに合格するのに必要な点数」を意味 ✔︎「及第点の評価をもらう」「及第点をとる」「及第点に届く」などと使う ✔︎「及第点」の類語には、「合格点」「並み以上」「まずまずの結果」などがある