「態々」という言葉をご存知でしょうか。読めないという方も多いかと思います。実は「態々」という言葉は、日常会話でもしょっちゅう使う言葉です。日常以外にも、ビジネスシーンでも頻繁に使われています。「態々ありがとうございます」「態々◯◯する」といったように使います。では、「態々」は一体どのような意味を持っていて、どうやって使うのでしょうか。「態々」は使い方を間違ってしまうと、嫌味に聞こえてしまいます。よく使う表現なので、気をつけたいですよね。そこで今回は「態々」の意味や使い方、読み方、「業々」との違いについて解説していきます。
「態々」は<わざわざ>と読みます。 「くまくま」や「たいだい」と読むのは誤りで、正しくは「わざわざ」です。 「態」は音読みだと「タイ」、訓読みだと「わざ」と読みます。 「態」を用いた言葉は「態度」「状態」「形態」などとほとんど「たい」と読むので、「わざ」と読むのは馴染みがありませんが、注意しましょう。 「わざわざ」は通常ひらがなで記入しますので、「態々」という漢字は見慣れていない人が多いと思います。 「態々」は読めない人が多いので、手紙やビジネスメールで使用する際は、基本的にはひらがなで書くのが無難でしょう。
「態々」の意味は2つあります。 1. その事だけのために、特に行うさま。特別に。とりたてて 2. ことさらに。故意に。わざと となります。 1の意味では「何かのついでではなく、労力を惜しまないで特にそのためだけにするさま」を表します。 2の意味では「自然に偶然にそうなるわけでなく、意図的にそうしようと思っているさま」を表します。 前者は「そのことだけを行う」とポジティブな意味合いで、後者は「しなくてもいいのにする。余計なお世話である」というニュアンスのためネガティブな意味合いになります。
「態々」の語源は、形容動詞の古語「態々し(わざわざし)」になります。 「わざわざし」は、元々「しなくてもよいことをするさま」というネガティブなニュアンスで使われる言葉でした。 上記で説明した意味の2つ目に該当します。 「わざと」も漢字では「態と」と書きます。 本来は2つ目の意味で使われていたのが、時代とともに意味が広がり、1つ目の「その事だけのために、特別に行うさま」というポジティブな意味でも使われるようになりました。 現代においては「態々し」と言っても意味が通じない場合がほとんどです。 また「態々しい」と形容詞のように使っている人をたまに見かけますが、これは誤用です。 「態々しい」という言葉のは日本語には存在しません。
「態々」は基本的には1つ目のよい意味で使うことが多いと思います。 相手の労力に対して、感謝、恐縮する気持ち、申し訳ない気持ち、労う気持ちなどを表現します。 「態々ありがとう(ございます)」のように感謝の気持ちと一緒に使うことが多いでしょう。 この場合は、「その事だけのために、特に行ってくださり、ありがとうございます」という意味合いになります。「わざわざ」の前後の表現に気をつければ、敬意を表すことができます。 2つ目のマイナスな意味では、「わざわざ雨の中来た」「わざわざ注意する」などと使います。 これは、「〜してやった」「そのことをするのに苦労した」というニュアンスになるため、かなり印象が悪いです。
冒頭でも少し触れましたが、「態々」を使う際は2つの点に注意が必要です。 1つ目は、漢字が読めない人が多いので「態々」と表記するよりも「わざわざ」とひらがなにすることです。 2つ目は、プラスとマイナスの真逆の意味合いがあるので、相手や状況によって使うかどうか判断することです。 丁寧によい意味で使ったのに、人によっては「嫌味」に聞こえてしまい失礼にあたる可能性があります。 例えば、相手に「態々お越しいただかなくてもよかったのですが...」と「特別に。とりたてて」という意味で言ったとしても、「しなくてもよいことをしてくれて......」という意味合いに捉えられてしまいます。 このような場合は、「お越しいただいたにも関わらず申し訳ありません」「お越しいただのに、申し訳ございませんが」などと言い換えるのがよいでしょう。 「態々」を使用していいか迷ったときは、他の言葉に言い換えるのが無難です。
例文 「その事だけのために、特に行うさま」という意味
「しなくてもよいことをするさま。故意に」という意味
「わざわざ」の漢字を「業々」と書く人がいますが、この使い方は厳密には誤用です。 「業」を「わざ」と読むときは、「技」と同義で、「行い」または「方法、技術」という意味です。 「業々」は本来「げふげふ」と読みます。室町時代あたりまで使われていた言葉で、「仰々しい(ぎょうぎょうしい)」の語源になった言葉です。よって「業々(げふげふ)」は現代は使われていませんが、意味としては「大げさである」という意味が正しいです。 「態々」はネガティブな意味(2つ目の意味)で、「業々」はポジティブな意味(1つ目の意味)で使うのが正しいと解説している記事もありますが、実際には「態々」を両方の意味で使うことができるので注意してください。
折角<せっかく> (意味:滅多になく、大切であること。特別) 「せっかくの休みなので家でだらだらしよう」 時間をかけて (意味:物事を行うのにある程度長い時間を使うさま) 「時間をかけて作品を作り上げる」 労力をかけて (意味:物事を行うのに労力を費やすさま) 「労力をかけて良い案を生み出す」 汗水垂らして (意味:労苦をいとわず働く) 「汗水垂らして、一生懸命仕事をする」 遠路(えんろ)はるばると (意味:長距離を苦労を押して移動するさま) 「遠路はるばるとお越しになった」 骨折って (意味:精を出して働くさま。尽力すること) 「骨折ってひらすら動く」 手間暇を惜しまず (意味:時間や労力を費やすこと) 「手間暇を惜しむことなく、尽力する」
殊更<ことさら> (意味:考えがあってわざとすること) 「殊更、意地悪ばっかりしている」 故意に (意味:わざとすること) 「何か都合の悪い事情があり、故意にパソコンを壊した」 意図的 (意味:目的や思惑を持って行動するさま) 「全部意図的に計画して行動しているよ」 図って (意味:企てる。もくろむ) 「頃合いを図って、実行に移す」 企図して (意味:くわだてること。もくろみ) 「上手くいく方法を企図する」 あえて (意味:わざわざ。特に) 「あえて早めに出るようにする」
「態々」の英語表現を見てみましょう。 「特別に、とりたてて」という意味の英語は「all the way」になります。 「わざと」という意味の英語は「on purpose」「deliberately」になります。 例文です。
Thank you for coming here all the way.
わざわざここまで来てくれてありがとうございます。
You didn't have to do that on purpose.
さっきのわざわざやらなくていいのに。
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「態々」について理解できたでしょうか? ✔︎「態々」は「わざわざ」と読む ✔︎「態々」は「その事だけのために、特に行うさま。しなくてもよいことをするさま」を意味 ✔︎「態々」は使い方によっては、嫌味に聞こえてしまう可能性がある ✔︎「態々」の類語には、「折角」「手間暇を惜しまず」「殊更」「故意に」などがある