「準じる」の読み方は「じゅんじる」で、意味は「ある基準や根拠に対応すること」です。正しい送り仮名は「準ずる」なんです。今回はそんな「準じる」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。「応じる」などとの違いや類語「則る」「準拠」なども紹介していきます。英語も解説しますので是非参考にしてみてください。
「準じる」は「じゅんじる」と読みます。
「準じる」の意味は3つあります。 ①ある基準や根拠に従う ②能力や経験に釣り合った扱いをする ③あるものと対等に扱う 先例に基づき、それと同じように対応することを表しています。また、スキルやキャリアに見合った扱いをすることも意味します。 「準じる」は基準となるものや、具体的な数字が明らかになっている場合に使用する表現です。 基準と比べて物事を判断する場合に、「◯◯に準じる」「◯◯に準じるもの」などと用います。
例文 ①「基準や根拠に従う」という意味
②「釣り合った扱いをする」という意味
③「対等に扱う」という意味
広辞苑などの国語辞典では「準ずる」がメインで解説されています。 しかし「準じる」も正しい日本語として扱われています。 「準じる」と「準ずる」はどちらも同じ意味です。「準じる」の方が一般的に使われることが多いですが、法的な文書などでは「準ずる」が使われます。
「準じる」は法律用語でも用いられます。 「準ずる」は、法律やルールにならうことを意味します。 また法律の文章内にも、例えば『所得税法161条6号』には「貸付金(これに準ずるものを含む)」などと書かれています。 この場合は「貸付金と、それに対等とするもの」となります。 このような「準ずるもの」の範囲がどこまでを指しているのかが文言からは分からず、訴訟では範囲が争いになることもあるようです。 だいたいが「類似、同質のもの」といった解釈がされますが、明確には記載されていないため判断が難しいこともあります。
「準じる」は「准じる」と表記することもあります。 「準」は音読みで「ジュン」「シュン」、訓読みで「なぞらえる」と読みます。 「準優勝」「準決勝」と使われているように、「それに近いものであること」を意味します。また「めあて、物事をはかるめやす」という意味で「標準」「基準」と表すこともできます。 「準」は正式なものに次ぐが、あと少し及ばないという意味が含まれます。 「准」は音読みで「ジュン」「シュン」、訓読みで「なぞらえる」と読みます。 「准」は「准教授」「准后」などと、「あるものに近い」という意味があります。
「順じる」と漢字表記するのは間違いです。 「準じる」と同様「じゅんじる」と読みますが、「順じる」という言葉はありません。 「順じる」は「準じる」の誤用として使われることが多いので注意してください。
「殉じる」は「じゅんじる」と読みます。 「殉じる」の意味は
です。 「殉ずる」が正式ですが「殉じる」でも間違いではありません。 「殉」は「あることのために命がけで取り組む」という意味が含まれます。「殉ずる」はある人に次いで同じ行動をしたり、身を捧げて物事を達成することを表す場合に使います。「君主の死に殉ずる」「先輩に殉じて仕事を辞める」などと言います。 読み方は同じですが、「準じる」と「殉じる」では意味が異なるので注意してください。
「従う」は「したがう」と読みます。 「従う」の意味は、
です。 このように「従う」は意味が多くあります。 例えば、「ルールに従う」とした場合は「決められたことに反抗せずに、しっかりと受け入れて守る」という意味で使います。 「随う」「順う」「遵う」と表すこともできますが、「従う」と表記することが一般的です。 「準じる」は「あるものを基準として従う」という意味なので、「準じる」の方が意味が狭いです。 「従う」は「あるものを基準として」という条件はなく、ただ単に「あとに続く」という意味合いです。
例文
「応じる」も正しい送り仮名は「応ずる」となります。 意味は、
です。 「応じる」は相手からの呼びかけや働きかけがあった場合にこたえることを指します。 「相手の要望に応じる」「相談に応じる」「取材に応じる」などと使います。 相手の依頼や要請を受け入れるといった意味合いが強くなります。 さらに「状況に応じた対応」と使った場合は「状況に適した対応」となります。 「準じる」には「こたえる」といった意味合いがなく、その点が大きな違いとなります。
例文
「沿う」の意味は「方針や基準となるものに従い、それから離れないようにして何かを行う」といった意味もあります。 漢字は「添う」「副う」とも書きます。 この場合は「要求に沿う」「希望に沿う」と使います。 「準じる」とはこの意味で類語となります。 「準じる」の方が範囲が狭く、「希望に準じる」などとは使いません。 また「長く続いているものに、離れないように付き従う」といった意味もあります。 なにかに並行した形で続いている様子も表します。 「道に沿う」「流れに沿う」といった形で使います。
例文
「基づく」の意味は「それを根拠・基盤とする」です。 「従う」というよりも、「立脚する」といった意味で使います。 立場を決めてそれをよりどころとすることです。 「ルールに基づいて」とした場合は「ルールを基盤として」となります。 そのため完全に従うというよりも、「それをもとに」「土台として」といった意味合いが強くなります。
例文
「則る」は「のっとる」と読みます。 意味は「規準・規範とする、手本としてそれに従う」です。 「法律に則る」「伝統に則る」などと使われています。 ちなみに同音異義語の「乗っ取る」と意味は異なります。 「乗っ取る」は「自分の支配下に置く」「攻め入って自分のものとする」です。
例文
「倣う」の意味は「すでにある物事を真似てその通りにする」です。 手本として真似をすることを「倣う」と言います。 現代でいう「パクる」というよりも「お手本とする」といった意味合いが強くなります。 「〜に倣う」という言い回しが主になっており「先人に倣う」「伝統に倣う」などと使います。 「〜を倣う」とは使用しないので注意しましょう。
例文
「準拠」の意味は「よりどころまたは標準としてそれに従うこと。また、そのよりどころ・標準」です。 「準拠」は、「頼みとなるものにならう」という意味の「拠り所に準じる」を略した言葉です。 ですので、すでにある規格や基準、標準に従うことを表します。 公的な場面で使われることが多くなっています。
例文
「踏襲」は意味は、「前人の経験したものややり方をそのまま受け継ぐこと」「元のまま伝えること」となります。 ビジネスシーンで使う場合は、前人いわゆる前任者や先輩・上司など今までその業務や作業を行っていた人のやり方・思想を受け継ぐことを表しています。「やり方や方針を継続すること」「受け継ぐこと」といったことを幅広く意味する表現です。 文脈としては、主に動詞の「する」と組み合わせて「踏襲する」「踏襲した」などと使います。
例文
「適用」の意味は「(法律・規則などを)あてはめて用いること」です。 法律や規則を具体的な事例にあてはめて、効力を発揮させることを表します。 規則や法律に合った条件に当てはめること・施行された法律を、ある対象に当てはめることを「適用」と言います。 例えば、「開店10周年を記念して、この商品には30%の割引が適用される」といった場合は「開店10周年を記念し、この商品には30%の割引をあてはめて効力を発揮する」という意味になります。
例文
「のっとる」という意味の「準じる」の英語表現は、
などになります。 「follow suit」で「先例に従う」という意味のイディオムです。
When one company reduced the price, its competitors followed suit.
一つの会社が価格を下げた時、競合他者もそれに準じた。
「同等の」を意味する英語に「equivalent to...」があります。
In this company, the part-time staff is paid the equivalent amount of money to the full-time employees.
この会社ではアルバイトに正社員に準じる額の給与が支払われている。
「準じる」について理解していただけましたか? ✔︎「準じる」は「ある基準や根拠に見合っていること」を意味する ✔︎「準ずる」が正式なふりがなではあるが、「準じる」が一般的に使われている ✔︎「準じる」は「従う」よりも意味が狭い ✔︎「準じる」の類語には「則る」「倣う」「適用」などがある