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「職責」の意味と使い方、類語「職務」との違いを例文付きで解説

「職責」の読み方は「しょくせき」で、意味は「仕事や役目を果たす上で、生じる責任」です。一般的には、位の上の人に対して使います。今回はそんな「職責」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。「職責」を含む言葉や、類語・対義語・英語も紹介します。是非参考にしてみてください。

「職責」とは

「職責」の読み方は「しょくせき」

「職責」の読み方は「しょくせき」です。 「しょっせき」ではありません。

「職責」の意味は「職務上の責任」

「職責」の意味は「職務上の責任」です。 職務の「職」と、責任の「責」で「職責」となります。 仕事や役目を果たす上で、生じる責任を表します。 社会人であれば、誰もが持つべき責任です。

職責は立場によって大きく違い、職責一覧がある会社も

「職責」は働いている以上、すべての職務に発生します。 ただ、細かい職務まで含めると、ひとりひとりの責任がどこからどこまでなのか不明である人も多いかと思います。 そのため大企業であったり、人事制度がしっかりしている会社では「職責一覧」を作っています。 部長の職責、課長の職責、など役職ごとの職責がひと目で分かるようになっています。 会社から与えられる役割と責任をそれぞれが把握出来ます。

職責は位の上の人に対して使うのが一般的

「職責」は主に、位の上の人に対して使うのが一般的です。 権限があるからこそ責任が発生するのであり、役職のない平社員に対して使うとやや大げさに感じてしまうことがあります。 もちろん平社員の方々が行う職務にも責任はありますが、部下の責任を上司が取るように「職責」は役職のある人たちに使うことが多くなっています。

「職責」の使い方と例文

「職責を全うする・果たす・担う」などが定型句

「職責」の言い回しはたくさんあります。

  • 職責を全うする
  • 職責を果たす
  • 職責を尽くす
  • 職責を担う
  • 職責を負う
  • 職責を超える

などです。 「職責を全うする」「職責を果たす」はよく使われ、「きちんと行う」「やり遂げる」ということです。 自分が責任を持つ仕事を最後までやり遂げる、責任を持ち続けるといった意味合いになります。

例文

  • 部長として、職責を全うしたまでです。
  • ついに昇進をすることが出来、職責を果たすためにより尽力したい。
  • 役職についているのだから、平社員よりも職責を担うのは当たり前のことだ。
  • 彼は職責を超える仕事をするんだといつも意気込んでいてる。

「職責が大きい」より「職責が重い」が一般的

「職責が重大」「職責が大きい」とも言います。 これは「職務上の負うべき責任が大きいこと」を表します。 ただし、「職責が重い」の方が「職責が大きい」より一般的です。 というのもニュアンスとして「責任」に対する「大きい」は「範囲の広さ」であったり「これから期待されること」に対して使われることが多くなっています。 「重い」は「すでにある事柄や出来事に対して負うこと」に対して使われることが多くなっています。 「職責」はすでにある職務に対する責任であり、範囲よりも取るべき責任の深さが重要となります。 そのため一般的に「職責が重い」と使われることが多いです。

例文

  • 職責が重いのは、仕方のないことだが心労がひどい。
  • 重い職責で低賃金…もう心が折れそうだ。
  • 職責が重ければ重いほど、身も引き締まりやり甲斐がある。

「職責の自覚」は松下幸之助の言葉

「職責の自覚」は、パナソニックを一代で築き上げた経営者である松下幸之助の言葉です。 その全文を記載いたします。

「職責の自覚」 お互いに欠点というものはたくさんあり、何もかも満点というわけにはいかない。だから、自分の足りないところは他の人に補ってもらわなければならないが、そのためには自分自身が自分の職責を強く自覚し、その職責に対して懸命に打ち込むという姿勢が大切である。 仕事に熱心であれば、おのずから職責の自覚が高まるし、職責の自覚があれば、人はまた常に熱心である。そうした自覚、そうした熱意は多くの人の感応を呼び、協力も得られやすくなる。 そういうことから、みずからの職責を自覚し、全身全霊を打ち込むという心がけだけは、お互いにおろそかにしたくないと思うのである。

働くうえで、とても大切なことですよね。 それぞれが責任を持って行動をしていれば士気も上がり、協力し合え、自分にとっても周りにとっても良い結果をもたらすということです。 社会人として「職責の自覚」は持っていたいものです。

「職責」の誤用に注意

「職責をかける」ではなく「首をかける」「職をかける」

「職責をかける」という言葉はありません。 職業関連で「かける」と使われているのは「首をかける」「職をかける」です。 「首をかける」と「職をかける」の意味は「職を失う覚悟で事にあたる、成就に努める」「命がけで物事にあたる」です。 「かける」の漢字は「賭ける」です。 同じ漢字で同じ意味を持つ「賭す(とす)」という言葉もあり、「職を賭す」とも使います。 「命を賭ける」とよく使われますよね。 「命を賭ける」の同義語には「身命を賭す(しんめいをとす)」などがあります。

「職責を遂行」ではなく「職務を遂行」「業務を遂行」

「職責を遂行」とも使いません。 正確には「職務を遂行」「業務を遂行」です。 「遂行」は「すいこう」と読み、意味は「物事をなしとげること。最後までやり終えること」です。 「職務を遂行」「業務を遂行」は「職務・業務をやり通して、最後まで完成させる」という意味になります。

「職責」を含む言葉

「職責手当」「職責給」は責任のある仕事をしたことに対する給与

給与明細に「職責手当」や「職責給」と記載されている人もいるのではないでしょうか。 これは、「職責に対する手当」「職責に対する給料」のことです。 基本給とは別で、責任のある仕事を任されている場合の給与を表します。 企業によって、どの範囲で手当を渡す職責としているのかはそれぞれ異なりますが、責任のある仕事をしてくれたことに対する給与・報酬となります。 役職が上がるほど、責任も重くなっていくので金額も上がります。

「職責者」は職責を負っている人

「職責者」は「職責を負っている人」を表します。 この業務の責任者を指して使います。 社内ではなく、社外や顧客など外部に向けて誰が責任者なのかを示すためにも用いられます。 企業によっては「職責者一覧」などがホームページに載っていることもあります。 ○○:総務部部長・渡辺一郎 △△:人事部部長・渡辺二郎 などとなります。

「職責欄」は職種や実績を書く欄

書類などで「職責欄」というものがあります。 この場合は職種とそれにおける実績を書くことが多くなっています。 営業部長:「○○に貢献」や「○○をして業績の好転に寄与」などと書きます。 書類によって詳細は異なるため、指示に従って書きましょう。

「職責証明書」は地方公共団体における組織認証基盤において発行された証明書

「職責証明書」は「地方公共団体における組織認証基盤において発行された証明書」のことです。 「職責証明書」は他の地方公共団体や住民・企業向けに発信する公文書への電子証明や、電子行政サービスを利用して地方公共団が国などに提出する申請書への電子署名などに利用します。 これは職責者による電子署名が付与されていることによって、職責者による公文書であることが確認できることと内容が改ざんされていないことを保証できます。

「職責印」は代表者印

「職責印」は「代表者印」のことです。 主に「丸印」と言われています。 これは印面が二重になっており「円の中心が役職名、外側に社名」が入るので、社内の誰が押印したのかが分かるようになってる印鑑です。 会社の代表者や役職についている人が、他社との契約など重要な場面で使う印鑑であるため「職責印」と言われることがあります。

「職責」と似た言葉との違い

「職務」は仕事として各自が受け持っている任務

「職務」は「しょくむ」と読みます。 意味は「仕事として各自が受け持っている任務」です。 各社員が担当している仕事を表します。 例えば、販売部でもAさんは店舗の維持、Bさんは在庫の管理、Cさんはイベントの企画など、各々仕事が異なります。 このように、販売の中でも細かく仕事が分かれることを「職務」と言います。

例文

  • 彼女が職務を怠ったせいで、他の人の仕事が増えてしまう。
  • 前日のミスに関してかなり怒られたが、屈することなく職務を遂行した。

「職位」は仕事上の地位

「職位」の意味は「仕事上の地位」です。 また「仕事上の地位のある人がやるべき業務」を指して使われることもあります。 主な職位は

  • 会長
  • 社長
  • 副社長
  • 専務
  • 乗務
  • 監査役
  • 部長
  • 次長
  • 課長
  • 係長
  • 主任

などです。 他にも「○○代理」や「○○補佐」などがありますが、これらが「職位」となります。

例文

  • 彼の職位は部長です。
  • 私の職位は主任です。

「職制」は職務の分担に用いる制度

「職制」の意味は「職務の分担に用いる制度」です。 例えば職員の身分や指揮監督の系列などの制度を「職制」といいます。 また、「労働者を管理する役付の職員や管理職」のことを指して使うこともあります。

例文

  • 職制に従って、指示をあおいでください。
  • 職制で決められているが、彼が指揮監督なのは困る。

「職能」は仕事を全うする能力

「職能」は「しょくのう」と読みます。 意味は、

  • 役目を成し遂げる能力
  • 組織の中である職業が果たす能力
  • ものの機能。果たす役割

です。 「職能」は「仕事を全うする能」を表していて、「職能を有する」「職能を磨く」などと言えます。 また、「職能」は「ものの機能」という意味で、「機械の職能」「語法の職能」などと言えます。

例文

  • もっと上を目指せるように、職能を磨きたい。
  • 自分の職能を生かせる会社で働きたいものだ。

「職域」は各業務の範囲

「職域」の意味は「各業務の範囲」です。 また「受け持つ仕事の領域や持ち場」を指して使います。 職場そのものを表す場合もあります。 特に店舗や職場が様々な地域にある場合に「わたしの職域では」などと使います。

例文

  • わたしの職域はここまでです。
  • こっちの職域では、連携が取れてなくてそのように出来てません。

「職責」の類語・言い換え

責務

「責務」の意味は「責任と義務」です。 また「果たさなければならない務め」といった意味もあります。 ビジネスシーンで使われる場合は、「力を尽くしてやらなければならない仕事、任務」ということになります。 「職責」は「仕事に対する責任」のことですが、「責務」は「責任を持つべき仕事」となります。 似た意味ですが、ニュアンスが異なります。

例文

  • 私には大事な責務があるので、明日は休めません。
  • 重大な責務を任されて、今から緊張している。

責任

「責任」の意味は「当然追わなければならない任務や責務」のことです。 また「ある行為の結果をして負わなくてはならない責めや償い」の意味を持ちます。 例えば、自分が「明日までに必ず◯◯をします」という発言をしたとして、その自分の発言をきちんと守ることが「責任」です。 「責任を重んじそれを果たそうとする気持ち」を「責任感」と言い、「責任感を持って」「責任感が強い」などと使います。

例文

  • 今回の件は会社として説明する責任がある。
  • 全ての責任を負う覚悟でやっています。

「職責」の対義語

自由

「責任」の対義語は「自由」です。 「自由」の意味は「自分の意のままに振る舞うことが出来ること」「他からの強制・拘束・支配などを受けず、自らの意思や本性に従っていること」です。 自分の心のままである様子を指します。 「やるべきことをやらなければならない」「言ったことを守らなければならない」といったことは一切なく、勝手気ままであることを表します。

例文

  • やろうがやらまいが、それは君の自由だよ。
  • 今度のプレゼンのテーマは自由に考えてみてください。

職権

「職権」は「しょっけん」と読みます。 意味は「職務上与えられている権限」です。 職務に基づく正当なものとして、一定の行為をなしうる権限やその範囲のことです。 簡単な言葉で説明すると、責務が「やらなければならない仕事」を指すのに対し、職権は「仕事をするうえでやってもいいこと」となります。 「職権濫用(らんよう)」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。 これは自分の権限を限度を超えてむやみに使い、他の人に義務のないことを行わせたり自らの利害に用いることです。

例文

  • 裁判官の職権による勾留が続いている。
  • ついに職権濫用が指摘されたそうだ。

「職責」の英語

duty

「職責」の英語は「義務」を意味する「duty」で表すことができます。 「discharge my duty」で「職責を果たす」という意味になります。 「do my duty」でも可です。

She has done her duty in saving people's lives.

彼女は人の命を救うという職責を果たした。

He failed in his duty.

彼は職責を果たすことができなかった。

responsibility

広く「責任」というニュアンスで使う場合は「responsibility」を使うこともできます。 「責任をとる」は「take responsibility for...」です。

It's his responsibility to make sure the project gets completed on time.

プロジェクトが時間通りに完了しているか確認するのは彼の職責だ。

まとめ

いかがだったでしょうか? 「職責」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「しょくせき」 ✔意味は「職務上の責任」 ✔位の上の人に対して使うのが一般的 ✔類語は「責務」「責任」、対義語は「自由」「職権」

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