「至らない」という言葉をご存知でしょうか。ビジネスシーンでは、時折耳にすることが多いと思います。実は「至らない」は挨拶や謝罪など、様々な場面で使うことができます。あまり意味を知らずに「至らない」を使っている、何となく雰囲気に合わせて時々使う、という方も多いのではないでしょうか。間違った使い方をしてしまうと、恥をかいてしまうので、今一度意味についてしっかりと確認をしておきましょう。そこで今回は「至らない」の意味や使い方、類語、「到らない」との違いについて解説していきます。
「至らない」は「いたらない」と読みます。 「至」は音読みだと「シ」、訓読みだと「いたる」と読みます。 「至」は「ぎりぎりのところまで行き着く」「この上ない」「いたる」を意味します。
「至らない」の意味は、
となります。 「未熟」という意味では、”十分に配慮ができていない、十分な到達点まで及ばない未熟者”と解釈できます。 ちなみに「至らない」を「至らぬ」としても、「ぬ」と「ない」はどちらも”否定”を表しているので、意味は変わりません。好みで使い分けることができます。
「至らない」はお祝いの場から、謝罪の場まで様々な場面で使われています。 それぞれの場面における使い方と例文を紹介します。
「至らない」は自己紹介やスピーチの締めなどに用いられることが多いです。 ビジネスシーンでは、新任の挨拶・新卒の配属挨拶・年賀状の挨拶などで用いられます。 挨拶での「至らない」は「未熟である」という意味で使われることがほとんどで、例えば「至らない私ですが〜」といった場合は「未熟な私ですが〜」という意味で謙遜のニュアンスが含まれます。 新人・新任挨拶では自己紹介をした後に、「(この場所では)右も左もわからない未熟者」という意味で「至らない」を用います。 年賀状では「未熟な者ですが、今後もよろしくお願いします」という意味で使います。 「至らない」だけでも、謙遜のニュアンスが含まれますが、さらに謙遜の意を強調したい場合は「まだまだ至らない」とします。
言い回し
例文
また、「至らない」は結婚式のスピーチでも使います。 「まだまだ至らない私どもですが」といった場合、「礼儀や世間を知らない未熟者ですが」という意味合いになります。 「至らない娘」「至らない嫁」という表現も、結婚式の際に使われます。 結婚披露宴の際、新婦からの手紙は大体は両親に向けた感謝の言葉ですが、途中で新郎側の両親に宛てたメッセージもあります。 そのときに、「お義父さん、お義母さん、至らない嫁ではありますが、これからよろしくお願いいたします」などと言葉を添えると、前向きな印象を与えられます。 また、「至らない娘」は「◯◯くん、至らない娘だが、どうかよろしくお願いします」といったように、新婦の父が挨拶をする際の言葉として使われます。
言い回し
例文
「至らない」は相手に迷惑をかけたときのお詫びとして使われます。 自分の注意不足や配慮不足で起こしてしまった失敗やトラブルに対して、”自分の力不足で”という意味で「至らない」を使います。ここではお詫びの言葉と一緒に用いられます。 例えば、「私が至らないばかりに、ご迷惑をおかけし申し訳ありません」といった場合は、「自分の注意不足でご迷惑おかけして申し訳ありません」「自分が未熟なせいでご迷惑をおかけして申し訳ありません」という意味合いになります。 「至らない」を使った謝罪は、会社の不祥事が発覚して謝罪会見を開く際に使われることが多いです。 ビジネスシーンでは、納期に間に合わなかったり、何かクレームがあった場合の謝罪として使います。 謝罪をするときは「至らないばかりに」という表現を使うことが多いです。 「至らないばかりに」は「物事の原因をあるものが不十分だったから」を意味します。
言い回し
例文
「至らない」は感謝やお礼をするときにも使います。 お礼の場面としては主に、退職の挨拶や他人からの協力があって何かを達成した時などに使うことができます。 例えば、相手が手助けしてくれることに感謝をしたいときに「いつもご協力ありがとうございます」というところを、「至らない私にいつもご協力くださりありがとうございます」ということができます。 「至らない私に〜」ということで謙遜する気持ちを表せます。
言い回し
例文
「至らない」は「不十分である」という意味以外にも、「行き届かない」「到達できない」を意味します。 例えば、「目的地には至らなかった」「注意が至らなかった」などと使います。 ビジネスシーンだけでなく、日常会話でも「至らない」は多く使用できます。
例文
上記でも紹介しましたが、「至らない点」について解説していきたいと思います。 「至らない点」は「注意不足な部分」「未熟な部分」を意味します。 「至らない点」は挨拶・お礼・お詫びをするときに使うことができます。 「至らない点」を使った挨拶文は、年賀状・手紙やスピーチなどで使います。 主に、新任の挨拶や異動の挨拶や結婚式のスピーチなどで多く使われます。 「至らない点もあるかとは思いますが〜」ということで「未熟な部分が多い自分ですが〜」と謙遜した意味合いになります。 お礼の場面としては主に、退職の挨拶や他人からの協力があって何かを達成した時などに使うことができます。 例えば「至らない点が多い私を支えてくれてありがとうございます」と謙遜することによって、相手を高めることができます。 「至らない点」を使った謝罪は、会社の不祥事が発覚して謝罪会見を開く際に使われることが多いです。 ビジネスシーンでは、納期に間に合わなかったり、何かクレームがあった場合の謝罪として使います。
例文
達しない (意味:物事を成し遂げられなかった、ある状態にならなかった) 「募金が目標額に達しなかった」 届かない (意味:及ばなかった、達することができなかった) 「残念ながら、目的地まで届かなかった」 たどり着かない (意味:尋ね求めながら、行き着かなかった) 「車でもたどり着かないほど、彼は急いでいた」 到達しない (意味:ある状態・目的に行き着かなかったこと) 「話し合っても同じ結論には到達しなかった」 叶わない (意味:思い通りに実現しなかったこと) 「夢は簡単に叶わなかった」
不束<ふつつか> (意味: 気のきかないさま。行きとどかないさま) 「不束な点に関しては、お許しください」 未熟 (意味: 学問や技術などの経験・修練がまだ十分でないこと) 「まだまだ、やり方が未熟である」 若輩<じゃくはい> (意味:未熟なこと。また、未熟者) 「若輩ですが、一生懸命頑張ります」 稚拙<ちせつ> (意味:幼稚で未熟なこと) 「なんて稚拙な文章であろうか」 下手 (意味:物事のやり方が巧みでなく、手際が悪いこと) 「あの人はとても絵が下手だ」 拙劣<せつれつ> (意味:技術などが劣っていること) 「随分と拙劣な文章である」
▶「至らない」・・・「ある場所や事態に行き着かない」 ▶「到らない」・・・「ある場所に行き着かない」
「至らない」は場所や距離だけではなく、事態や物事に行き着かないことを表しますが、「到らない」は場所や距離だけに対して使います。 そのため、「入院するには至らない」「迷惑には至らない」とは使うことができますが、「入院するには到らない」「迷惑には到らない」とは使えません。
「到らない」は「至らない」と同じように「いたらない」と読みます。 使われている漢字も似ているため混同しやすいので、注意しましょう。 「到」という字は「到着」「到来」などに使われていることからも分かるように「目的の場所にたどり着く」といった意味があります。 ただ、現代では「到らない」も「至らない」と同じように事態や状況に対して使われることも多く、はっきりとした区別ができなくなってきています。
例文
「至らない」の英語表現を見ていきましょう。 「行き届かない」という意味では「careless」を、「無能」という意味では「incompetent」を使えばよいでしょう。 注意点としては、日本語では謙遜で使う「至らない点も多々あったと思いますが」「至らない自分ですが」などのフレーズは、英語圏の人はあまり使いません。自分のことを「careless」だ、と言ったら、英語圏の人は不自然に感じるでしょう。 なので、上記で紹介したようなフレーズは、あえて英語でいう必要はないでしょう。
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正しいxxxxの使い方
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「至らない」について理解できたでしょうか? ✔︎「至らない」は「不十分である」「未熟である」という意味 ✔︎「至らない」は謙遜した意味合いになるので、挨拶をするときに用いることが多い ✔︎「至らないばかりに」「至らない私」などと使う ✔︎「至らない」の類語には、「たどり着かない」「不束」などがある