ビジネスシーンでの敬語として使われる「おこがましい」という言葉をご存知ですか?今回は「おこがましい」の意味や英語表現、また類語の「厚かましい」「差し出がましい」「図々しい」との使い方の違いを紹介します!
「おこがましい」は2つ意味があります。
ひとつは「生意気である、思い上がっていてしゃくにさわる」など身の程をわきまえないといった意味があります。 現代では主にこちらの意味で使われています。
もう一つは「ばかげている、みっともない」という意味があります。 本来はこちらの意味で使われていました。 しかし「生意気」「身の程をわきまえない」といった意味にも転じて使われるようになってからは、あまり使われないようになりました。
「おこがましい」は漢字で<痴がましい><烏滸がましい><尾籠がましい>と3つの書き方があります。 それぞれに諸説があると言われていますので、解説していきます。
「痴がましい」の語源は「痴」という時には「愚か」という意味があったためです。 「おこがましい」の元々の表記は「をこがましい」と書いていました。 「をこ」は「ばかばかしい」「愚かな」といった意味があります。 それにより「痴がましい」となりました。
次に「烏滸がましい」となった語源ですが、「をこ」が「愚か」という意味なのは、昔の中国で揚子江や黄河のほとりで騒ぐ烏の様子を「烏滸(をこ)」と言っていました。 それが転じて、そのように馬鹿騒ぎをする愚かな人たちを「烏滸(をこ)」と呼んでいたことから、「烏滸がましい」と表記されるようになったというものです。
さらに、この「をこ(おこ)」に、当て字をしたのが「尾籠がましい」です。 この「 尾籠」は、「びろう」と読み替えられ、「汚いもの、便、わいせつな」などを指す言葉として転じていきました。 「愚か」や「馬鹿馬鹿しい」という意味だった「おこがましい」が、現代の「不相応な」という意味で使われるようになったのは近世以降で。
「おこがましさ」は「おこがましい」を体言化したものであり、相手の生意気な様子を「○○のおこがましさ」と表すことができます。 目下の人が目上の人に対して生意気な言動をした場合に指摘することができます。 ただ、ビジネスシーンでは主に次に説明する自分自身の言動を謙遜した表現として使います。 相手に対して「おこがましい」と言うのは失礼になるので気を付けましょう。
「おこがましいですが」「おこがましいようですが」などと使うと「自分の立場において、出過ぎた発言や行動」といったニュアンスを含み使われている言葉です。 特にビジネスシーンで、年齢や役職などが目上の人に対して身の程をわきまえずに発言したり行動したりする場合に使われています。 つまり、自分自身の言動を謙遜している表現として使われています。 目上の人が間違った解釈をしていたり、納得できないことを言っていたり行動したりしている場合など、目下の立場でありながら意見をする際に用います。 ただそういったことに対して発言や意見をすると「生意気だ!」と思われてしまうため、まず自分から「おこがましいですが」と使うことで謙遜していることを伝える事ができます。
目上の人にお願いや依頼をする際に「おこがましいお願いですが」「おこがましいお願いをしてすみません」などと使うことができます。 私の身分でこのようなお願いは生意気ですが、とへりくだった表現となります。 ただ「お願いがあります」というよりも、丁寧な印象を与えます。
「お忙しい中、おこがましいお願いをして申し訳ありません」 「このようなお願いをするのは大変おこがましいのですが」 「おこがましいお願いをしてすみません、何卒よろしくお願いします」
▶「おこがましい」・・・「生意気である」 ▶「厚かましい」・・・「図々しく、慎みや遠慮がない」 ▶「差し出がましい」・・・「必要以上におせっかい、出しゃばり」 ▶「図々しい」・・・「自分勝手で無遠慮」
「厚かましい」は「行動や態度に慎みがない、図々しく遠慮がない」という意味です。 「おこがましい」と同様、目上の人に意見などをする時に自分自身のことを「厚かましいですが」と表現します。 「おこがましい」と「厚かましい」の違いは、「おこがましい」が「身の程をわきまえないさま」を表すのに対して、「厚かましい」は「遠慮がないさま」を表す点です。 「厚かましいですが」と使う場合は「遠慮がないのですが」「図々しくありますが」となります。 「おこがましいですが」と使う場合は「目下である私が言うのは申し訳ないのですが」といったニュアンスになります。 そのため、目上の人に対して謙遜していることを強調して伝えない時は「おこがましい」を使うことが適切です。 お願いごとをする時は「厚かましい」を使い、上司に対して意見などをする時は「おこがましい」を使うなど、シーンによって使い分けましょう。 ただ、こういった自分を謙るために使う言葉をたくさん使うと「そんなに悪いと思ってるなら言うな」「逆に嫌味っぽい」と感じられてしまうために気をつけましょう!
○「厚かましい」を使った例文
「差し出がましい」は「出しゃばるような、度を越えて他人のことに関わるような」といった意味があります。 「必要以上におせっかいなことや厚かましいことなどをするさま」といった表現で使われています。 語源は、古語の「でしゃばる」「出過ぎたことをする」という意味の動詞「差し出づ(さしいづ)」に、「〜らしい」「〜みたい」という意味の接尾語「がましい」が付いたものです。 それが現代ではひとつの単語になり、読み方も「さしいでがましい」から「さしでがましい」になりました。 「おこがましい」は身分不相応な様を表し自分自身の行動のみを指して使うのに対して、「差し出がましい」は、自分と相手の行動についての内容に対しても使います。 そのため、目上の人だけではなく部下などの言動を注意する際にも使う事ができます。 ビジネスシーンでは「おこがましい」と「差し出がましい」がよく使われています。
○「差し出がましい」を使った例文
「図々しい」は「他人の迷惑を顧みず、自分勝手で無遠慮である」という意味があります。 「図々しい」の語源は、漢語の「図」から来ています。 「図」には「計画」とか「企み」などを意味します。 その「図」を「図」を重ねて形容詞化し、「図に乗る」とか「図に当たる」という意味になりました。 無神経な人、平気で列に割り込みをする人、人の物をもらおうとする人のことを「図々しい人」と言いますよね。 ビジネスシーンなどでは、「図々しいですが」と使うと「遠慮がないのですが」「自分勝手ではありますが」となります。 「おこがましい」などと同様に自分のことを謙りながら意見やお願いを言う時に使います。 しかし「図々しい」という言葉のイメージがあまり良くないので、目上の人に対して謙遜を表する場合は「おこがましい」や「差し出がましい」を使うことをオススメします。
○「図々しい」を使った例文
(意味:自分の身分や資格を超えて、出過ぎたことをするさま)
「僭越ではございますが、再考された方がよろしいのではないでしょうか」 「お誘いいただき、ありがとうございます。僭越ながら、お邪魔させていただきたいと思います」
(意味:相手に迷惑をかけたり厚意を受けたりして申し訳なく思うこと)
「お忙しいところ大変恐縮ですが、明日の会議の資料の確認をお願いします」 「この度はご丁寧なお中元の品を賜り、大変恐縮です」
(意味:柄でもないのに意気がった言動をすること、出過ぎた言動をすること)
「最近の彼の態度は随分と生意気である」 「あまり生意気なことばかり言っていると、足元すくわれるよ」
(意味:自分の身分や能力などの程度・限界をわきまえないこと)
「私はなんて身の程知らずなことを言ってしまったのだろうか」 「部長に物申すなんて、彼は身の程知らずだ」
(意味:ちょっとした才能や才気があって生意気なこと、こざかしいこと)
「部長に歯向かうような、猪口才な真似はよろしくない」 「あいつは猪口才なやつだ」
(意味:さしでがましく利口ぶっているさま、なまいきであるさま)
「勝つためにはあらゆる手段を使う彼のやり方は、とても小賢しい」 「小賢しいことばかり言っていないで、仕事をしてください」
(意味:身分や地位などを越えていること)
「分不相応を承知の上で、申し上げたいことがございます」 「素敵なパーティーにお呼ばれして、分不相応な気がしてならないけど楽しみます」
(意味:しゃれたまねをする、生意気である)
「彼は入社したばかりなのに、洒落臭いことばかり言う」 「本当にしゃらくさい人ですね」 「しゃらくせーーー!」
(意味:でしゃばる人のこと、余計なことをするさま)
「突然話に入ってきた彼女がでしゃばり、空気が悪くなってしまった」 「今日はAさんが主役なのに、Bさんは出しゃばりすぎだ」
(意味:あつかましいこと、恥知らずで図々しいこと)
「以前の私の態度は厚顔であったと反省した」 「彼は本当に厚顔無恥である」
「おこがましい」を意味する英語は、
など。 ビジネスメールなどで「おこがましいとは存じ上げますが」は
などを使うとよいでしょう。
・I know I'm asking too much, but could you please send me the document?
おこがましいことは存じ上げますが、資料を送っていただけないでしょうか?
He is such a impudent guy.
彼はなんておこがましい奴なんだ。
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「おこがましい」について理解できたでしょうか? ✔生意気である、思い上がっていてしゃくにさわるといった意味 ✔目上の人に対して謙遜していることを強調して伝える表現のひとつ ✔ビジネスシーンでは「差し出がましい」と合わせてよく使われている ビジネスシーンでは、言葉の使い方も大切なスキルのひとつです。 お互いが気持ちよく過ごせるように言葉ひとつひとつに気をつけましょう!