「艱難辛苦(かんなんしんく)」とは「困難な目にあって、つらく苦しい思いをすること」を意味する四字熟語。語源は、「艱難」は苦しみ、悩み、また、悩むことの意で、「辛苦」はからさとにがさ、転じて、つらく苦しいことを指す。「艱難辛苦を共にする」などと使う。
「艱難辛苦」の読み方は「かんなんしんく」です。 「艱」という字が難しいですが「かん」と読みます。
「艱難辛苦」の意味は「つらい目や困難な目にあい、苦しみ悩むこと」です。 「たいへんな苦労」そのものを指して使うこともあります。
「艱難辛苦」は仏教でよく使われる言葉です。 由来は類語である「艱難」と「辛苦」で、組み合わせて意味を強調しています。 「艱難」の意味は「非常な困難にあい苦しむこと、そのさま」です。 「艱」は「むずかしい」「なやみ、くるしみ」といった意味を持つ漢字です。 「辛苦」の意味は「辛い目にあって苦しむこと、そのさま」です。
「艱難辛苦」は、様々な辛いことに使うことが出来ます。 ただ非常に困難である状況を指すため、つらい気持ちになるとは言え試験勉強や筋トレなどに使うには大袈裟になります。 逆境であったり、死別であったりと、すぐには乗り越えられないようなことに使います。 主な言い回しは
などの形で使われています。
例文
「我に艱難辛苦を与え賜え」は、戦国時代の武将「山中幸盛:通称鹿介(しかのすけ)」の言葉です。 鹿介は尼子氏の家臣であり、尼子三傑・尼子十勇士のひとりです。 尼子氏が毛利に敗れた際に、尼子家再興のため「願わくば、我に艱難辛苦を与え賜え」と三日月に願いました。 「自分に困難を与えてくれ、それを乗り越えてもっと強い武士になってやる」という意味です。 現代でも名言として有名で、座右の銘としても人気です。
「艱難辛苦」を「困難辛苦」とするのは誤記です。 「困難」は「こんなん」と読むため、「かんなん」と間違えやすくなっています。 意味も「困難にあい苦しむこと」であるため、「困難」でも違和感がありません。 しかし、正しくは「艱難辛苦」ですのでしっかりと覚えておきましょう。
「艱難辛苦汝を玉にす」とするのは間違いです。 「困難汝を玉にす」とするのもよくある誤用なので注意してください。 正しくは「艱難汝を玉にす」です。 「かんなんなんじをたまにす」と読みます。 西洋のことわざ「Adversity makes a man wise.(逆境は人を賢くする)」の意訳で、「人は困難や苦労を乗り越えることによって、初めて立派な人間に成長する」という意味です。
例文
「艱難辛苦をなめる」もよくある誤用です。 正しくは「辛酸をなめる」です。 「しんさんをなめる」と読みます。 「なめる」の漢字は、物理的に舌でなめるわけではないため「舐める」ではなく、「嘗める」とするのが正しいです。 「辛酸をなめる」は「苦しくつらい経験をする」という意味です。
例文
「艱難辛苦」と同じ意味の言葉には
もあります。
その他「艱難辛苦」の類語には
「櫛風沐雨」の漢字を「疾風」とするのは誤りです。 「四苦」…「生苦」「労苦」「病苦」「死苦」の4種類の苦しみ 「八苦」…「四苦」に「愛別離苦(あいべつりく)」「怨憎会苦(おんぞうえく)」「求不得苦(ぐふとっく)」「五陰盛苦(ごおんじょうく)」の4種類の苦しみを加えたもの 「七難」…「火」「水」「羅刹(らせつ)」「刀杖(とうじょう)」「鬼」「枷鎖(かさ)」「怨賊(おんぞく)」の7種類の災い
「塗炭の苦しみ」は「とたんのくるしみ」と読みます。 意味は「ひどい苦しみ」です。 「塗」は「泥水」、「炭」は「炭火」のことを指しています。 泥水にまみれ炭火で焼かれるような苦しみということを表しています。
「順風満帆」は「じゅんぷうまんぱん」と読みます。 意味は「物事が順調に進むこと」です。 「順風」の意味は「進む方向に吹く風」です。 「満帆」の意味は「帆をいっぱいに張ること」です。 それらが組み合わさり「順風満帆」は、帆を張った船が追い風を受けぐんぐんと進んでいくことを表現しています。 船が順調に問題なく目的地に向かって進んでいく様子から、「順調に進んでいること」を意味する四字熟語として使用されるようになりました。
例文
「大願成就」の読み方は「たいがんじょうじゅ」です。 意味は「大きな願いが叶うこと」です。 「大願」の意味は「大きなことを成し遂げようという願い」です。 「成就」の意味は「願いが叶うこと」「望み通りに成し遂げること」です。 それらが組み合わさり「大きな願いが叶うこと」「大きな望みを計画通りに成し遂げること」を表します。
例文
「艱難辛苦」つまり「苦しむ」の英語は「suffering」です。 その他にも「difficulties(困難)」「hardship(苦難)」などの英語もあります。
They lived together in suffering.
彼らは艱難辛苦を共にした。
I had a rough time when I started a company.
会社を始めたとき、艱難辛苦した。
「試練」を意味する英語には「trial」「tribulation」があります。
Oh God, give me trials to overcome.
神よ、我に艱難辛苦を与えたまえ。
「艱難辛苦」は「つらい目や困難な目にあって、苦しみ悩むこと」また「へいへんな苦労」を意味する四字熟語です。 「かんなんしんく」と読みます。 「艱難」の「艱」と「難」はどちらも、苦しみ悩むという意味です。「辛苦」は、つらくて苦しいの意です。