「お目汚し」という言葉をご存知ですか?「お目汚し」は、何かを見てもらうという場面で、「たいしたものではありませんが」というニュアンスで謙遜する意味で使用する言葉です。今回は、「お目汚し」の意味と使い方を例文付きで解説します。また、「お目汚し」の類語や言い回し、英語についても紹介しますので参考にしてください。
「お目汚し」は、「おめよごし」と読みます。
「お目汚し」の意味は、「見苦しいものを見せる」です。 「お目汚し」は、「見苦しいものを恐縮しながら披露する」という自分の見せるもの・披露するものを謙遜していう場面で使用する言葉です。 手土産をわたすときなどに「たいしたものではありませんが」というニュアンスで、「つまらないものですが」という言葉を使用するのと同じです。 例えば、自分の作品を見てもらうというような場面「出来がいいものではありませんが」というような意味で使用します。 本当に見せられないほどに出来が悪いという意味ではなく、あくまでも自分を謙遜して、恐縮しながら相手に見せるという意味です。
「お目汚し」の「お」は敬語の接頭語です。 接頭語「お/ご」の敬語は、文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「お目汚し」の「目」は目上の人の「目」を指しているので、「お」は尊敬語と解釈するのが妥当です。 よって、「お目汚し」は尊敬語となります。
「お目汚し」は、ビジネスシーンでも使用される言葉です。 例えば、「自分の作成した企画書をみてもらうとき」や、「自社商品のパンフレットを取引先の相手にみてもらうとき」など、場面は様々です。
「お目汚し」は、何かを見せる前に「お目汚し失礼いたします」「お目汚しですが、~」と前置きして使用します。 「出来の良いものではないのにご覧いただいて恐縮です」というニュアンスの前置きをしていることになります。 「見せるもの」は、自分が歌う歌やダンス、作成した作品や書類など様々ですが、家族の写真やペットとの写真なども含まれます。
「お目汚し」は、何かを見てもらった後に「お目汚し失礼いたしました」と使用することもできます。 何かを見てもらった後に「お目汚し失礼いたしました」と使用する場合も、前置きで使用するのと同様に、「つたないもの見ていただいて恐縮です」というような、謙遜する意味合いになります。 例えば、人前で出し物をするような場面で歌を歌うなど、何かを披露したときなどに使用します。
「お目汚し」は主にビジネスシーンなどでは、目上の人に自分自身が制作した資料や企画案を提出するときなどに使用されます。 自分が作成した資料などを提出する前に、「出来はわるいかもしれませんが」「素晴らしいといえるものではないけど」というように、謙遜する意味で使います。 「お目汚しかとは思いますが~」というように冒頭で伝えてから提出します。
「お目汚し」は、商品を取り扱っている会社などであれば、自社製品の新商品などのパンフレットやカタログを送るときにも使用されます。 「商品を買ってもらいたい」というような場合には、謙虚な姿勢で「見てください」とお願いすることが必要です。 カタログや、パンフレットを送付した際に、「お目汚しではございますが、新製品のパンフレットを送付させていただきました」など、一言添えると印象がよくなります。
「お目汚し」は、職場で結婚式などプライベートの写真を見せるといった場面にも使用することができます。 職場など、ビジネスシーンで自分のプライベートな物を相手に見てもらうといった場面では、特に「お目汚しですが」謙虚な姿勢を見せてから見てもらうことが必要であると考えられます。 謙虚な姿勢を見せつつプライベートな写真を見てもらうことは、相手との良い関係づくりに役立つことでしょう。
手紙で写真や創作物などを同封するといった場合も、「お目汚し」を使用することができます。 手紙で写真や創作物を同封する場合は、手紙の挨拶文に「お目汚しでございますが、ご高覧いただければ幸いです」などというように、一言添えると印象がいいです。
自分が何かを見せてもらうという立場のときに、相手に「お目汚し失礼します」「お目汚し失礼しました」と言われた場合は、相手が謙遜して言った言葉であるため、いちいち否定したり反応する必要はありません。 例えば、「お目汚し失礼しますが、こちらを見ていただけますか?」などと言われた場合は、「お目汚し」に対する返しはせずに、「わかりました」等の返事をすればいいです。 ただ出来が良ければ褒めるといったように、感想を述べるなどの対応をすれば良いのです。
基本的にはわざわざ返事をする必要がないのですが、あえて一言返すとするならば、
などと言えばよいでしょう。
「お目汚し」は自分を謙遜して使用する言葉ですが、「お目汚し」をむやみやたら乱用することは避けたほうが良いです。 「お目汚しですが」は、「あまり出来はよくないですが」「たいしたものではありませんが」とへりくだった言い方である為、「そんなにたいしたことない物を最初から見せようとするなよ」と、思われてしまう可能性もあります。 また、ビジネスシーンで上司など目上の人アドバイスをもらったり、手を加えてもらったものを発表する・提出するといった場面で「お目汚しですが」と使用してしまうと、上司に対して大変失礼です。 「精一杯努力したのですが」というような言い方で自分の頑張りを伝えたほうが印象が良いという場合もあります。
「お目汚し」の「お」は敬語の接頭語です。 接頭語「お/ご」の敬語は、文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「お目汚し」の「目」は目上の人の「目」を指しているので、「お」は尊敬語と解釈するのが妥当です。 よって、「お目汚し」は尊敬語となります。
「お目汚し」の類義語に「お見苦しい」があります。 「見苦しい」とは「見た感じが不快だ」という意味です。 「お見苦しいもの」「お見苦しいところ」という形で使います。 「お見苦しいもの」は、「お目汚し」とは違い、これから見せるものを謙遜して使うことはありません。 「お見苦しいもの」は相手にとって不愉快なことを見せてしまった後に謝罪するときに使います。 本当に謝罪している場合もあれば、謙遜で言ってる場合もあります。
例文
「つまらないものですが〜」で相手に物を渡すときに使うことができます。 完全な同義語ではありませんが、相手に好ましくないことを想定し謙遜して使う言い回しという意味では仲間です。 「つまらないものですが〜」の詳しい使い方は下記の記事を参考にしてみてください。
「お目汚し」とは、何かを見せるといった場面で、「見てもらうこと」の謙遜した丁寧な言い回しです。 この「見せてもらうこと」の丁寧な言い回しをいくつか紹介します。
「見てください」は、「見てほしい」という意味です。 相手に何か見てほしいものがあるといった場面で使用され、「見て」という言葉に「ください」という丁寧な言葉をつけた言葉です。 「見てください」は、丁寧な言葉ではありますが、相手に何かをお願いする場面では、「尊敬語」を使用することが基本なので、目上の人やビジネスシーンで「見てください」というお願いの仕方をすることはふさわしくないと考えられます。
〇「見てください」を用いた例文 「見てください、この満点の星空を!」 「詳しい事は、先日配ったパンフレットを見てください」 「間違えないようによく見てください」
「ご覧ください」は、「ごらんください」と読みます。 「ご覧ください」は「見る」の尊敬語である「ご覧になる」に丁寧語の補助動詞である「ください」が付随した言葉です。 「見てください」を目上の人に言う場合のフレーズが「ご覧ください」となります。 「ご覧ください」は正しい敬語であり、話者より立場の上の人に対して何かを見てほしいとお願いする時に使うことができます。
〇「ご覧ください」を用いた例文 「こちらの資料をご覧ください」 「新製品のパンフレットを送付させていただきましたので、ご覧いただければ幸いです」 「弊社のホームページのURLを記載させていただきました。ご覧いただければ幸いです」
「ご高覧ください」は、「ごこうらんください」と読みます。 「高覧」は「他人が見ること」を意味する尊敬語で、「ご高覧」の「ご」は尊敬を表す接続語です。 「ご高覧」は目上の人に、文章や商品を見てもらうことをお願いするときに使用します。 言葉の丁寧さとしては、「見ていただく」<「ご覧いただく」<「ご高覧いただく」となります。
〇「ご高覧」を使用した例文 「会議の詳細につきましては、資料をご高覧ください」 「弊社のパンフレットを同封いたしました。ご高覧いただければ幸いです」 「資料を送付いたしますのでご高覧賜りますようお願いいたします」
「お目通しください」は「おめとおしください」と読みます。 「お目通しください」は「全体的に目を通してください」という意味です。 使い方としては、「目通し」に「お」をつけて丁寧語になっていますが、なにか目を通してほしいときは、「~してもらう」の謙譲語である「~いただく」をつけて、相手に敬意を表す敬語にして使用することがほとんどです。 会議の前に見てほしい資料を前もってわたした時や、書類の確認など、目上の人に何かさっとでも見てほしいものがあるときなど、目上の人に対してやビジネスシーンで使用します。
〇「お目通しください」を用いた例文 「前回の会議での決定事項をまとめた資料がこちらです、お目通しください」 「契約時に必要な書類がこちらになりますのでお目通しお願いいたします」 「当日必要なもちものを添付いたしましたのでお目通しいただきたく存じます」
「ご査収ください」は、「ごさしゅうください」と読みます。 「ご査収ください」の意味は、「物品・書類・金額などをよく調べて受け取ること」です。 ビジネスシーンでよく使われる「ご査収ください」は簡単に言うと、「しっかり調べて受け取ってね」ということです。単に”受け取ってください”という意味ではなく、「しっかり内容を確認したり、理解してください」という意味合いになります。 「ご査収」という表現を使う際は、資料など受け取るものがあることが前提で、添付ファイルや同封する資料がない場合、メールの本文のみの場合は使用しません。
〇「ご査収」を用いた例文 「ご依頼いただきました資料をお送りいたしましたので、ご査収ください 」 「本日領収書を発送いたしましたので、よろしくご査収くださいませ」 「新商品のサンプルを郵送いたしますので、ご査収ください」
「ご参照ください」は、「ごさんしょうください」と読みます。 「ご参照ください」の意味は、「照らし合わせてみてください」です。 例えば、機械の説明書などのように、「それを見るとわかりやすいので見てください」というようなニュアンスで、「ご使用方法は、説明書をご参照ください」というように使います。 「参照する」という言葉は、資料や説明書など目に見えるものを対象としています。 目上の人に使用する場合は、尊敬語を使用して「ご参照なさってください」というような使い方をすることもできる言葉です。
〇「ご参照ください」を用いた例文 「詳しい操作方法は、同封の説明書をご参照ください」 「資料について詳しく解説します。それではまず右上の図1をご参照ください」 「弊社の概要はパンフレットの1ページ目をご参照ください」
「ご確認ください」の意味は、「はっきりと確かめてください」「はっきりと認めてください」です。 「ご確認ください」は、尊敬を表す接頭語「ご」+「確認」+丁寧語「ください」で成り立っています。 上司や取引先など目上の人に使っても問題ありませんが、
などと表現すると、より丁寧になります。
〇「ご確認ください」を用いた例文 「注文内容にお間違いがないか、ご確認ください」 「資料を添付しましたので、お手すきの際にご確認をお願いいたします」 「各位、資料をご確認ください」
「お耳汚し」は、「聞き苦しいもの」という意味です。 「たいしたものではないのに聞いていただいて恐縮です」という謙遜の意味のある言葉です。 「お目汚し」は、見てもらう場面で使用する言葉ですが、「お耳汚し」は聞いてもらう場面で使用します。
「お耳汚し」の例文 「お耳汚しではございますが、こちらを聞いていただきたく存じます」 「お耳汚しかもしれませんが、私の歌を聞いていただきたいです」
「お口汚し」の意味は、「少ない量の食べ物」です。 他人に、食べ物をすすめる時に、「口を汚すくらいの少量ではございますが」というニュアンスで使用します。 「お目汚し」や「お耳汚し」と同じような感覚でいくと「お口汚し」は「美味しくないものですが」という意味だと勘違いしてしまうかもしれませんが、「味」ではなく「量」についていっていう言葉なので注意が必要です。
〇「お口汚し」を用いた例文 「ほんのお口汚しではございますが、お召し上がりください」 「お口汚しではございますがデザートはいかがでしょうか」
「お目汚し」の対義語に該当する日本語はありません。
「お目汚し」の直訳の英語はありません。 英語圏のビジネスシーンでは自分の行為などに対して謙遜する言動はあまりしません。 かえって自信がないように思われる可能性が大です。 なので「お目汚し」をそのまま英語にするのは難しいでしょう。普通に「見てもらえますか」という依頼文を英語で言えばよいでしょう。
「お目汚しですが」は
などで代用すればOKでしょう。
英語の依頼文で最も一般的なのは「Could you please...?」になります。
Excuse me. Could you please take a look at the latest document.
お目汚しですが、最新の資料を見てくれますか。
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