「つまらないものですが」という表現は、贈り物をする場面でよく耳にする言葉だと思いますが、皆さんは「つまらないものですが」という表現の正しい意味を理解して使用することができていますか?今回は、「つまらないものですが」の正しい意味と使い方を例文つきで解説します!また、「つまらないものですが」の言い換え表現なども紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「つまらないものですが」の意味は、「あなたを前にしてはつまらないものですが」という意味で使われる言葉で、訪問先で手土産を渡す場面や、プレゼントといった贈り物をするときに相手を敬って使用される表現です。 「どうぞ!うけとってください!」と自信満々に渡すよりも、自分の行動を謙遜しながら渡すのが日本人の風潮にあり「つまらないものですが・・・」という謙遜した表現は、古くから受け継がれている言葉です。
「つまらないものですが」は、文字通り「贈りものがつまらないものである」といった意味で使用されているわけではありません。 あなたが立派な方なので、あなたを前にしてしまうと「つまらないもの」なのですがという意味で使用されています。 つまり、単に差し出す物を謙遜した表現なのではなく、相手を「立派な人・素晴らしい人」と立てて謙遜している表現であるということです。
「つまらないものですが」は、相手に対して謙遜した表現であるということを上述しましたが、「謙遜」は、相手を敬い控えめな態度をとることをいいます。 したがって「つまらないものですが」は、自分と同等の人や目下の人に対して使用するというより、主に目上の人にプレゼントやお土産を渡すときに使用する言葉であるといえます。
「つまらないものですが」の語源は「大和言葉」にあります。 「つまらないものですが」という言葉を使用している文献は「新渡戸稲造」の「武士道」です。 この「武士道」で「つまらないものですが」という表現に対して、「どんな贈り物でも立派なあなたにはふさわしい物はありませんので、品物の価値ではなく、私の気持ちとして受け取ってください」という謙遜の気持ちがあるという新渡戸稲造の考えが書かれています。 これが日本人の謙遜する文化に合い、現代でも贈り物をする場面で使用されていると言われています。
「つまらないものですがお受け取りください」「つまらないものですがお納めください」は、贈り物を渡す場面でもっとも多く使用される言い回しです。 「お受け取りください」は、「受け取り」という言葉に尊敬を表す接頭語の「お・ご」をつけて、さらに「くれる」の尊敬語である「くださる」を丁寧語の「ください」にしている敬語表現です。 「ください」という表現が、命令形である「〜してくれ」「してほしい」の丁寧な言い回しであるといったことから、目上の人に対して使用するのはふさわしくないという考えもありますが、敬語表現としては正しいので、使用しても問題ありません。 「つまらないものですがお納めください」は、「どうぞ受け取って下さい」という意味の丁寧な表現です。 「お納めください」は、「納める」という言葉に尊敬を表す接頭語の「お」と丁寧語である「ください」を使用している尊敬語です。 「お納めください」には「中にちゃんとしまっておく」というニュアンスがあるため、正式な場面で登場する価値のあるものを贈呈するときに使う表現です。
「つまらないものですがお受け取りください」の例文 「本日、宅配便にてお見舞いの品をお送りいたしましたので、つまらないものですがどうぞお受け取りください」 「記念の品をご用意しましたので、つまらないものですがどうぞお受け取りください」 「つまらないものですが、どうそお受け取りくださいますよう、お願いいたします
「つまらないものですがお納めください」の例文 「本日お約束の品をお持ちしました。どうぞ先方様へお納めくださいますようお願いいたします」 「日頃の感謝の気持ちを込めてお贈りします。どうぞお納めください」 「日頃のお礼として、お中元の品を送らせていただきました。 よろしければお納めくださいませ」
「つまらないものですがどうぞお召し上がりください」は、お土産などで食べ物を渡すときに「つまらないものですがどうぞ食べてください」という意味で使用される表現です。 「召し上がる」は、「食べる」の尊敬語で、「お召し上がりください」で相手に食べることをすすめる丁寧な言い回しになります。 「もしよかったら」「よろしければ」「是非」などと前に言葉を付け足すことで、より丁寧な印象となりますので覚えておきましょう。
「つまらないものですが、お役に立てていただければ幸いです」とうような使い方をすることもできます。 「お役に立てていただければ幸いです」は、相手にとって何か役に立てれば嬉しいという意味の表現で、日常的に使用できるものであったり相手に役立つようにとえらんだプレゼントを送る場合などに使用されます。 「役立てる」という単語を、「〜してもらう」という謙譲語の「お(ご)〜いただく」にして、さらに「いただく」という謙譲語を仮定形の「いただければ」にしています。 また、「幸いです」は贈り物をする場合に使うと、自分が行ったことに対して「(相手が)喜んでくれたら満足です」といった意味になります。 単に、自分が嬉しいという表現ではなく、あくまでも相手の好意的な反応を期待して使用します。
「つまらないものですがご笑納ください」は誤った表現なので注意してください。 まず、「笑納」は贈り物をする際、「つまらない物ですが笑って納めてください」という気持ちを込め用いる語です。 「ご笑納ください」と言った場合は、「差し上げる品は大したものではないですが、笑って受け取ってください」といったニュアンスになります。 つまり、「つまらないものですが、ご笑納ください」といったように「つまらないものですが」と「ご笑納ください」を同時に使用してしまうと同じ意味の敬語を繰り返して使用している二重敬語となるため誤用となります。 それから「ご笑納」は謙譲語ですが、「つまらないものを笑って受け取ってください」といった意味であるため、比較的冗談を言い合える相手に対してではないと軽々しい印象を与えてしまいます。 したがって、目上の人に対しては、よほど親しい間柄ではない限り、使用しないのが無難です。 ビジネスシーンなどかしこまった場面では使用しないようにしましょう。
「ご笑納ください」だけで「つまらないものですが」という意味が含まれています。
「つまらないものですが・・・」と相手から贈りものをいただいたときは、「いいえ(いえいえ)ありがとうございます」と軽く否定してお礼をするのが無難です。 変に「そんなことないです!」と力説する必要はありませんが、否定をしないということは喜んでもらえなかったのだなと思われてしまう可能性もあるので、軽く否定しつつ「ありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えると、贈り物をしてくれた相手にも失礼ないでしょう。
「頂けて嬉しいです」など、歓びの気持ちを伝えると贈りものをしてくれた相手に対して失礼のない返しです。 「嬉しいです」という喜びの気持ちを伝えたうえで
贈り物をいただいたことに対しての感謝を述べるのも良いでしょう。
「つまらないものですが」、古くから謙遜する表現として使用されてきましたが、現代では「すまらないものですが」を、そのままの意味と捉え「つまらないものなら渡すな!」と思う人も多くいます。 これは「つまらないものですが」の本来の意味とは異なる解釈ですが、誤解をうまないよう現代では使用を避ける傾向にあります。
そもそも、自分が相手を思い贈り物をしているのだから、「謙遜をする必要がない」「謙遜するのは失礼」という風潮が強くなってきています。 自分は謙遜して使用しているのにも関わらず、相手には「失礼だ」と思われていたというようなことにならないように、別の表現に言い換えて使用されることが多くなってきています。
「心ばかり」は、贈り物を差し出すときに使う謙遜した表現で、上司やお客様といった目上に対して使用する表現です。 「心ばかりの品ではございますが」「心ばかりではありますが」などと、自分から相手へ贈り物をする際に使います。 例文
「ほんの」は「小さい」「少ない」「つまらない」など謙遜の気持ちを表す語で、「ほんの気持ちですが」は「ちょっとしたものですが」「つまらないものですが」という意味になります。 贈り物をする際に「ほんの気持ち程度ですが」と言うことによって、「ちょっとしたものですが」と謙遜することができます。 「ほんの気持ちですが」は「心ばかり」よりも砕けた表現になるので、友人や目上の相手でも親しい間柄の相手に使います。 例文
「ささやか」は「わずか」「形ばかり」を意味します。 「ささやかながら」は「大したものではありません」という意味で、立派でないことを謙遜して言う表現です。 「ささやかながら」は贈り物をするときの他に、宴会や発表会など催し物をするときに、招待客に対して謙遜した気持ちで使うことができます。 「さささやかなものですが」「ささやかなものではありますが」などということもできます。 例文
「粗末」は「品質などが上等ではない」という意味で使用される言葉ですが、贈り物をする場合は、本当に粗末なものと思っている訳ではなく、「粗末なもの」ということで謙遜した表現になります。 しかし、「粗末なもの」はあまり良い意味として受け取ってくれることが少ないので、なるべく使用は避けた方が良いでしょう。 例文
「お口に合うかわかりませんが」は、食べ物を贈るときに使う表現です。 「お口に合うかわかりませんが」は「(相手の)好みに合っていると嬉しいですが」という意味になり、「あなたのお口に合うかはわかりませんが、私は美味しいと思うのでぜひあなたにも食べて欲しいと思います」というニュアンスが含まれます。 また食べ物でない場合は、「お気に召していただけると良いのですが」という言い回しで使用することができ、この場合は「気に入っってもらえるかわかりませんが私はとても良いと思ったので、あなたにも使って欲しい」というニュアンスになります。 例文
謙遜する気持ちを全面に出すだけではなく、「お気に召していただけると嬉しいのですが」や、「○○がお好きをお聞きいたしましたので」というように、相手のことを思って贈り物を選んだという気持ちを相手に伝えても印象がいいです。 例文
「つまらないものですが」というのは日本独特な謙譲表現で、英語圏ではそもそも言わない表現になります。
あえて英語表現にするならば、
It’s nothing special, but I hope you like it.
[直訳]特別なものではないですが、気にいることと嬉しいです。
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「つまらないものですが」という言葉について理解していただけましたか? ✓「つまらないものですが」の意味は「あなたを前にしてはつまらないものですが」 ✓「つまらないものですが」は目上にプレゼントをするときに使う謙遜の表現 ✓「つまらないものですが」という表現を失礼だと思う人も増えている ✓「心ばかりの〜」「気持ちばかりの〜」など言い換え表現を使用するほうが無難など