「申し伝える」という言葉をご存知でしょうか。「◯◯に申し伝えます」などと使われることがあります。「申し伝える」はビジネスシーンにおいて使われることが多い表現となっています。では、「申し伝える」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。普段から使っているという方も、今一度使い方について見直してみるとよいかもしれません。そこで今回は「申し伝える」の意味や使い方、類語について解説していきます。正しく覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「申し伝える」は「もうしつたえる」と読みます。 「申」は音読みで「シン」、訓読みで「もうす・さる・かさねる」と読みます。 「伝」は音読みで「デン」、訓読みで「つたわる・つたう」と読みます。
「申し伝える」は「言い伝えること」を意味します。 人を通じて相手に用件を伝えることを表します。第三者に用件を伝える場合に使う表現です。 「言い伝える」は物語や話を他人や後世に伝えることも表しますが、「申し伝える」はこの意味では基本的に使いません。 「申し伝える」は「言い伝える」の敬語表現ですが、敬語の種類は何でしょうか?どのような場面で使うことができる表現なのでしょうか? 解説していきたいと思います!
「申し伝える」は丁重語(謙譲語の仲間)です。
⚠実は、謙譲語には、「謙譲語(謙譲語I)」と「丁重語(謙譲語II)」の2種類あります。 「謙譲語」は目上の人に対する自分の動作をへりくだり、動作対象に敬意を示す敬語です。 「丁重語」は動作ではなく、自分がそのことを目上の人に話す場合に、話し相手に敬語を示す敬語です。
「申し伝える」は、その「丁重語」にあたります。 なので、「申し伝える」は「言い伝える」対象に敬意を示しているのではなく、「言い伝える」ことを話している相手に対して敬語を示します。 例えば、社外の人から電話があり、「社長によろしくお伝えください」と言われたら、「はい、そのように申し伝えておきます」と答えます。 社長は自分にとっても目上の存在ですが社内の人間(身内)にあたるので、社外の人と話すときに社長に対して敬語を使うのは不適切です。 しかし電話のくれている方は社外の人なので、目上の人にあたり敬語を使う必要があります。 よって、「申し伝える」を使うのが適切となります。
「申し伝える」は丁重語ですが、実際に使う場合は丁寧語である「ます」と一緒に使います。 「申し伝えます」「申し伝えておきます」の形で使います。 ちなみに「申し伝えさせていただきます」は誤った敬語表現です。 「申し伝える」は言い伝える対象には敬意を示さない敬語ですが、「いただく」という謙譲語を使うと言い伝える対象に敬意を示すことになり矛盾してしまいます。
例文
「お伝えする」は丁重語ではなく、謙譲語です。 なので、「言い伝える」対象に対して敬意を示します。話し相手ではありません。 ビジネスシーンで「お伝えする」を使う場面は大別して3つあります。
例えば、部下から社長への伝言を頼まれた場合、「了解。お伝えしておきます」と言うことができます。この「お伝えします」は伝言を頼んだ「部下」に対して敬意を示しているのではなく、「言い伝える」対象である「社長」に敬意を示しています。 社外の人に対して社長に敬意を示すのは不適切ですが、社内では目上の人に対して敬語を使うのは適切です。
「お伝えする」は謙譲語なので、自分が顧客や取引先など目上の人に対して何かを伝えるときにも使えます。 「今回のお見積りの内容をお伝えします」などと使えます。伝えている対象に敬意を示しています。 これは謙譲語の最もオーソドックスな使い方になります。
目上の人に対する伝言を誰かにお願いするときにも「お伝えする」は使えます。
など。伝言をお願いしている相手も目上の人ならば、「ます」「ください」などの丁寧語を付ければよいでしょう。 伝言をお願いしている対象が目下の人ならば、丁寧語を付ける必要はなくいわゆる「タメ語」でもよいでしょう。
「伝える」は「相手に知らせる」という意味なので、「言う」以外のコミュニケーション手段も含まれ、「申し伝える」よりも広い意味になります。 極端な例を挙げれば、愛を「伝える」には、「愛してる」と言うだけではなく、ハグするなどの手段も含まれます。メールや手話、アイコンタクト、ボディーランゲージなども「伝える」に含まれます。 また「伝える」には「海外の文化を日本に伝えた人物」などと「文化や価値のある物事を、離れた場所や後世の人に受け継ぐ」という意味でも使うことができますが、「申し伝える」はそのようには使いません。 他にも、「金属は熱を伝えやすい」と「 ある作用が他のところに移動するように仲立ちする」ということも表しますが、「申し伝える」はこのように使うこともできません。
例文
「伝え申す」は「伝えることを言う」という意味です。 「申し伝える」は「言って伝える」という意味なので、意味は同じです。 「申す」は「言う」の丁重語(謙譲語II)なので、「伝え申す」と「申し伝える」は使い方も全く同じです。 しかし、「申し伝える」の方が一般的によく使われますので、「伝え申す」を使用する場面はほとんどないでしょう。
例文
「伝言」は「相手を仲介して、他人に用件を伝えること」を意味します。 「伝言」に「伝える」という意味が含まれているため、「伝言を伝える」は重語にあたります。 重語とは、同じ意味を重ねた表現のことです。 「伝言を伝える」でも意味は通じますが、重語なので「伝言をする」「伝言です」「伝える」と使うのが適切です。
「申し伝える」の類語にはその他にも、「連絡する」「伝達する」「知らせる」「教える」などがあります。 これらの表現は「相手に必要な事柄を伝達する」という意味で使われます。 例えば、第三者に伝えてくださいと頼まれた場合に「◯◯に連絡しておきます」「◯◯に伝達しておきます」と言うことができます。 「申し伝える」を使うと堅苦しく感じてしまう場面では、「連絡する」や「知らせる」などの類語に言い換えるのもよいでしょう。
例文
「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。 「申し上げる」は謙譲語Iで、「申す」は謙譲語IIの丁重語です。少し複雑ですが、覚えておきましょう。 「申し上げる」は「言う」という意味なので、必ずしも「伝える」という意味は含まれません。(言ったとしても相手に伝わらない可能性はありますよね) ビジネスシーンでも「申し上げます」という形で、謝罪・感謝など様々な場面で使われます。
例文
「申し添える」は「言葉を添えること」を意味します。 「申し添える」は「言い添える」の謙譲語IIの丁重語です。 目上の相手に何かを伝えた後に、言い足りなかったことや付け足したいことを言う場合に使います。 ビジネスシーンでも「念のために申し添えますが」という形で、何か言い足りないことがあった場合に使われることが多いです。
例文
「申し付ける」は「言い付ける」の丁重語です。 「言い付ける」とは「命令する」という意味になります。 「申し付ける」は「お申し付けください」という形で使います。 「お申し付けください」は「何かご要望がある場合は、私に命令してください」という意味です。 丁重語なので、「お申し付けください」と言っている対象に敬意を示しています。 「何なりとお申し付けください」「いつでもお申し付けください」などと言ったりします。
例文
「申し送る」は「相手に伝えること」を意味します。 「申し送る」も丁重語です。 例えば、「メールで企画の詳細を申し送る」ならば「メールで企画の詳細を伝える」という意味になります。「申し送り事項」という言葉もあります。これは「伝えるべき事柄」を意味します。 他にも、「申し送る」には「後任者に仕事を引き継ぐ時に、必要なことを言い伝える」という意味でも使われます。
例文
「申し伝える」は英語で、使役動詞「let」を使って表現できます。 「let+人+know」で「人に知らせる」という意味になります。
OK. I'll let him know about that.
分かりました。その件は彼に申し伝えておきます。
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「申し伝える」について理解できたでしょうか? ✔︎「申し伝える」は「もうしつたえる」と読む ✔︎「申し伝える」は「相手に言い伝えること」という意味 ✔︎「申し伝える」は丁重語で、身内に言い伝えることを目上の相手に言う場合に使う ✔︎「申し伝える」の類語には「連絡する」「伝言する」「知らせる」などがある