「面映ゆい(おもはゆい)」とは「恥ずかしい。照れくさい。きまりが悪い」を意味する言葉。褒められた時や恋愛でドキドキする時に「面映ゆい気持ち」「面映ゆい思い出」などと使います。語源は漢字から分かる通り「相手の顔を見ると眩しく感じる」の意。
「面映ゆい」の読み方は「おもはゆい」です。 漢字「映」は、「見映(みば)え」「出来映(できば)え」「インスタ映え」などの使い方もありますが、 「めんばえゆい」と読むのは間違いですので注意しましょう。 送り仮名は「面映い」とする場合もあります。
「面映ゆい」の意味は「照れくさい」「恥ずかしい」「きまりが悪い」です。 「面映ゆい」という表現の由来ですが、「顔(面)を合わせることが、まぶしく(映)感じる」から「照れくさい」という意味になりました。 「映ゆ(はゆ)」とは「映える(ほえる)」の文語的な言い回しで、意味は同じです。 「映える」の原義は「光に照らされて輝く」です。 この言葉を使った表現には「まばゆい」があります。「まばゆい」は現在では「眩い」と漢字を当てることが多いですが、元は「目映い」でした。「まばゆい」の意味は「光すぎて眩しい」「光輝くように美しい」です。
「面映ゆい」は聞き慣れない表現のため方言ではないか?と思う方もいらっしゃいますが、違います。 「面映ゆい」は古くから使われている大和言葉です。 言葉の成り立ちは既に上述しましたが、古語でも同じです。 「面映ゆい」の語源は古語「映ゆし」です。 「映ゆし(はゆし)」の意味は「光が強すぎてまぶしい(=まばゆい)」です。 そこから転じて、「決まりが悪い」です。 そこに「顔」という意味の「面」が接頭語として付き、「顔を合わせることと決まりが悪い感じがする(=恥ずかしい)」といった意味になりました。
「面映ゆい」は、恥ずかしさで相手の顔を直視できないような場面で使用します。 怒られているばかりの上司から褒められた、好きな人と初めて二人っきりで話す、親に久しぶりに感謝の手紙を書くなど、が当てはまります。 「面映ゆい」の品詞は形容詞です。「〜は面映ゆい」の形でも、「面映ゆい◯◯」の形でも使うことができます。 「面映ゆがる」で動詞、「面映ゆげ」で形容動詞、「面映ゆさ」で名詞となります。
例文
「面映ゆい」は「自分が悪いことをしてしまって恥ずかしい」という意味では使うことができません。 「ついカッとなり暴言を吐いてしまい面映ゆい」「相手の名前を忘れてしまい面映ゆい思いをした」などは誤用です。 「照れくさい」は「面映ゆい」の同義語で、悪いことをした場合に使うことはできません。 「恥ずかしい」「決まりが悪い」という言葉ならば、悪いことをした場合でも褒められた場合でも広く使うことができます。 「決まりが悪い」とは「心のおさまりが悪い」の意です。 ちなみに「きまりが悪い」は他人に対して使うことはできません。「彼はいつもミスばかりして、決まりが悪い人だ」などと使うのは誤用です。 また「決まり悪い」と一語で使うこともできます。
例文
堅い語なので使用頻度は低くなりますが、ビジネスシーンなどかしこまった場面や目上の人と話す時に使うことが出来ます。 例えば上司に仕事っぷりを褒められた時に「面映ゆいですが、光栄です」などと使います。 「面映ゆい」はなかなか使われる言葉ではないので、丁寧かつ知的な印象を与えます。
「恥ずかしい」という言葉が今回紹介する類語の中で一番意味が広いです。 良いことでも悪いことでも、とにかく他人の前に出ることができないような感情を指します。 他人と比べて自分が劣っているように感じるという意味が込められています。 「褒められて恥ずかしい」ならば、「自分はそんなに人より優秀ではないから気後れする」というニュアンスです。 「失敗をして恥ずかしい」ならば、ストレートに「自分の至らなさを意識して気後れする」という意味です。
「恥ずかしい」の類語に「体裁が悪い」「きまりが悪い」「ばつが悪い」があります。 「体裁が悪い」「きまりが悪い」「ばつが悪い」も褒められたときにも使うことができます。 自分が悪いことをしてしまったときにも使うことができます。 「恥ずかしい」との違いは、「体裁が悪い」「きまりが悪い」「ばつが悪い」の方が「自分の名誉が傷つけられる」というネガティブな意味合いが強いです。
「体裁が悪い」「きまりが悪い」「ばつが悪い」の類語で、悪い意味でのみ使う言葉に、
などがあります。 「褒められて面目が立たない」は誤用です。
「面映ゆい」と最も意味が近い言葉は「照れくさい」です。 「照れくさい」の意味は「照れてしまってなんとなく恥ずかしい」です。 「こんな成績では照れくさい」などは誤用で、「面映ゆい」と用法が同じです。 「気恥ずかしい」「小恥ずかしい」「心(うら)恥ずかしい」は「恥ずかしい」が含まれていますが、「うれしい反面、なんとなく照れくさい」の意で、「面映ゆい」「照れくさい」の同義語です。 「恥ずかしい」とは違い、悪い意味では使えません。 「人前で自作の曲を披露するのは気恥ずかしい」「褒められると気恥ずかしい」などと使います。
「面映ゆい」の類語は「こそばゆい」があります。 「こそばゆい」の意味は「褒められたりして照れくさい」です。 また「くすぐられたようにむずむずする、くすぐったい」といった意味もあります。 「こそばゆい」が由来で「くすぐったい」を意味する方言には「こしょばい(関西)」「こちょばい(九州)」などがあります。 「こそばゆい」は褒められたとき限定で使うため、「面映ゆい」よりも意味が狭いといえます。
例文
「恥ずかしい」の英語は、「embarrassed」「shy」「ashamed」があります。 「embarrassed」には「shy」「ashamed」のどちらの意味もあります。 embarrassed(恥ずかしい、決まりが悪い)=shy(照れくさい、面映ゆい)+ashamed(面目ない) と覚えておきます。
日本語の「恥ずかしい」と同じく、良いことにも悪いことにも使う英語は「embarrassed」です。
I was so embarrassed to sing in front of so many people.
大勢の前で歌を歌うのはとても恥ずかしかった。
「ashamed」は「良心に照らして恥ずかしい」という意味です。
I felt so ashamed of myself for saying such a word.
あんなことを言ってしまい面目ない。
「shy」は「内気な」という意味で、「面映ゆい」「照れくさい」に近い英語表現です。 「shy」の同義語には「bashful」があります。
I was too shy to ask Ann out.
面映ゆくて、アンをデートに誘えなかった。
「面映ゆい」は「おもはゆい」と読み、「恥ずかしい。照れくさい。きまりが悪い」という意味です。 「面映ゆい」は「あることをしたり、されたりする場合に面と向かってそうするのがなんとなく恥ずかしい」というニュアンスです。 褒められたり、好きな人に直接話しかけたり、親に「ありがとう」と言ったりする時の感情がそれです。 悪いことをして人前に立つのが恥ずかしいという意味では使いません。 類語の「こそばゆい」は「面映ゆい」よりも意味が狭く、「実力以上の評価を受けて恥ずかしい」という意味のみで使う言葉です。