「心外」という言葉の意味をご存知でしょうか。「そんなこと言われるなんて心外だ」というように怒っていたり、残念に思っている場面でよく耳にする表現ですよね。今回は、「心外」の意味と使い方を例文付きで解説します。また、「心外」と類語との違いや英語表現も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「心外」は「しんがい」と読みます。 「心」は、音読みで「シン」訓読みで「こころ」と読みます。 「外」は、音読みで「ガイ・ゲ」訓読みで「そと・ほか・はずれる・はずす」と読みます。
「心外」の意味は、「思いもよらないこと」です。 つまり、こんなことが起きるなんて思いがけもしなかったという驚きです。 「心外」は、「心の外にある」「心から外れている」と書くように、「思っていた範囲を超えていること」を表します。 ただし、ただ「びっくりする」というニュアンスで使用されるわけではないので注意が必要です。
というネガティブな意味合いで使われます。 よって、人に対して使う場合は注意が必要です。
「心外」は、「しんげ」と読むと「心のほか・心の外」という意味になります。 「外(げ)」は、仏語にあたり、「心の外」「外鏡」といった意味です。 古語では「予想外」といった意味や「自分の思うままにならない」といった意味もあります。
「心外(しんげ)」は医療用語では「心臓外科」「心臓血管外科」の略です。 「しんげ」といった場合、「心の外」という意味より、「心臓外科」「心臓血管外科」の略である医療用語の意味の方が一般的です。 「ドクターX〜外科医大門未知子〜」といった医療系のドラマなどでも、よく耳にするのではないでしょうか。
「心外」という言葉は、「心外だ」「心外である」「心外な結果」と一般に使います。 例えば、
といったように、怒りや悔しさ、残念さという感情を抱く場面で使用されます。 かなり強意的な表現なので、基本的には使用しないほうが良いでしょう。
例文
「心外」はビジネスシーンなどかしこまった場面で使用することも可能です。 「心外」をビジネスシーンで使用する場合は、
といったように、「です」をつけるなど丁寧な表現にして使用します。 「至り」は「ある物事が最高の状態に達していること」「極み」です。 「〜の至り」で「それが最高の状態であること」を意味すので、「心外だ」という気持ちをさらに強調しています。 不本意な結果に抗議したり残念な気持ちを表現するときに使用することが多い表現です。 また、「心外ですよね」は、相手になにかあったときに同情をする表現になります。
例文
「意外」は「いがい」と読みます。 「意外」の意味は「思っていたことと、実際に起きたことが大きく異なること」です。 物事の結果が、自分で考えていたり予測していた範囲を超えていることを表します。 例えば、 「不味そうだと思ってだけど、意外と美味しいね」 「美味しそうだと思ってたのに意外とまずかったわ」 というように「意外」は実際の結果が思っていたよりも良かった場合にも、悪かった場合にも使うことができます。 この「良かった場合にも悪かった場合にも使うことができる」という点が心外との違いになります。 心外の「思っていたのと違う予想外の結果」というのは、ネガティブな場合のみです。 「意外」のように、「こんなに美味しいなんて心外だ」といったポジティブな表現で使用することはできないので注意しましょう。
例文
「遺憾」は「いかん」と読みます。 「遺憾」の意味は、「思い通りにいかず心残りなこと、残念なこと」です。 「誠に遺憾です」という表現を聞いて、「怒り」の気持ちを表現しているように受け取る人も多いようですが、「遺憾」という言葉に「怒り」の感情は含まれていません。 「遺憾」は「心残りなこと、残念なこと、そういった気持が残ること」といった意味です。 例えば組織の中で不祥事が起きてしまい、計画していたことがダメになってしまった…というように、進行していたものが上手くいかない不本意な結果になってしまったというような場面で「誠に遺憾です」と使用します。 「心外」は、「そんなことを言われるのは心外です」などと使うように怒りの気持ちが含まれています。
例文
「侵害」は、「しんがい」と読みます。 「侵害」の意味は「他人の所有・権利をおかすこと」です。 「侵害」は、他人の物を無許可で使用するなど他人の権利侵害したり、阻害した場合など「権利を侵害する」と言える場合に使用します。 例えば「プライバシーの侵害」など他人のプライバシーに関することを公開して、不安を与えるといった法律に触れる形で何かをした場合に使用する言葉です。 つまり「侵害」は、「心外」と同じ読み方の言葉ですが、意味が全く異なります。
例文
「思いがけない」という意味での類語・言い換え表現は、
などになります。 どの言葉も、仮定されていなかった・思っていなかったという意味があるので、「心外」の類語であると言えます。
例文
「残念」という意味での言い換え表現は、
などになります。 よっぽど相手に非がない限り、「心外です」は「残念です」と言い換えるのが無難です。
例文
「心外」の対義語は「心内」….ではありません。 これといって、「心外」のいう言葉対義語があるわけではないのですが、強いて言うのであれば 「思いがけない」の対義語ならば、「想定の範囲内」「予想通り」「思い通り」・・・ 「残念」の対義語ならば、「幸甚」「僥倖」「換気」「満足」・・・ などが対義語にあたると言えるでしょう。
例文
「心外」は「予想とは違い残念だ」という失望感を表現する言葉なので、英語では「disappointed」「disappointing」がぴったりです。 「disappoint」が他動詞で「〜をがっかりさせる」という意味です。 よって「disappointing」で「(物事が)がっかりさせる」という意味の形容詞になり、「disappointed」で「(人が)がっかりした」という意味の形容詞になります。
What a disappointing result.
心外な結果だ。
I'm disappointed to hear you say such a thing.
君がそんなことを言うなんて心外だ。
「hear + 人 + 動詞の原型」で「人が〜するのを聞く」という意味になります。
「心外だ」という日本語を英語で表すなのに、「I don't know why...」を使うこともできない。 「君が〜するのは理解できない」「私が〜させるのは意味不明だ」というニュアンスになり、「心外」に近い怒りの感情を表現することができます。 また、「心外」の原義である「思いもよらない」という意味合いも含まれているので、かなり意味が近いフレーズといえます。
I don't know why I should be blamed for what happened last night.
昨夜起こったことに関して私が責められるのは心外だ。
単に「予測していない。意外」という意味ならば「unexpected」です。
His resignation was tottaly unexpected.
彼の辞任は全くの心外でした。
「心外」という言葉について理解していただけたでしょうか。 ✓「心外」の読み方は「しんがい」 ✓「心外」は「思ってもいない裏切りや期待に反した悪い結果に対して腹が立ったり悔しく思う」「予想に反したことになり残念な気持ち」を言い表した言葉 ✓「心外だ」「心外である」「心外な結果」と一般に使う ✓ビジネスで使用する場合は「心外です」「心外でなりません」「心外の至り」「心外ですよね」 など