「望外」という言葉をご存知ですか?「望外の成功」「望外の結果」という表現を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。少々堅苦しくて難しい表現ですよね。今回は、「望外」という言葉の意味と使い方を例文つきで解説します。また、「望外」と似ている表現や、英語表現などもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「望外」は、「ぼうがい」と読みます。 「望」は、音読みで「ボウ・モウ」訓読みで「のぞむ」と読みます。 「外」は、音読みで「ガイ・ゲ」訓読みで「そと・ほか・はずす・はずれる」と読みます。
「望外」の意味は、「望んでいた以上であること」です。 「望外」という言葉を分解して見てみると、「望外」は「望」と「外」の2つの漢字から成り立っているということがわかります。 「望」には、「のぞむ」という意味があり、「外」は「そと」という意味があります。 つまり、「望んでいたもののを外をいく」という意味になります。 この場合の「外」は、「予想外」「思いの外」といった使い方と同じで「望外」は「望んでいた以上の」という意味となります。 自分の思っていた以上の成果や結果が出たという場合や、自分の想像していた以上に良いことがおきたという場面など嬉しさを表現する言葉で、「思いがけず良いことがあった」という非常にポジティブな意味をもつ言葉です。
「望外」の語源は、文明9年に室町時代に成立された『史記』の注釈書である『史記抄』にあります。 この『史記抄』に、 「かかる思いもよらぬ、望外となる事じゃとて」 という一文があります。 この一文が由来となって、現代でも使用されるようになったと言われています。
「望外」は、「望外の僥倖」という慣用句で使用することができます。 「僥倖(ぎょうこう)」ってなかなか聞き慣れない言葉ですよね。 「僥倖」は、
という意味で使用する言葉です。 したがって、「望外の僥倖」は「思いがけず偶然得る、望んだ以上の幸運」という意味です。 予想以上の思いがけない幸せを得た大きな喜びを表現する言葉です。
例文
他人からの褒め言葉に対して「望外の喜びです」「望外の喜びでございます」と返すと謙虚な気持ちを表すことができます。 「望外の喜び」とは、「思いがけない喜び」を表現しています。 つまり、「自分のしたことがそこまですごいとは思っておらず、喜ぶことは予想していなかった」というニュアンスです。 想像以上の結果を出すことができて謙虚な姿勢で喜びを伝えたいという場合に「望外な喜びと感じています」などと使います。 「です」でも敬語(丁寧語)ですが、「ございます」の方がより丁寧な敬語(丁寧語)です。 目上の人に対しては「望外の喜びでございます」を使うといいでしょう。
例文
「望外の結果」は、将棋業界でよく使われる表現です。 「望外」という言葉を使用すると謙虚な表現になり、勝負で負けた対戦相手に不快な思いをさせずにすみます。 そのため、自分が勝ったことに対して「望外な結果」といった謙遜な表現をする人が多いです。 最年少の14歳でプロデビューしたことで有名になったプロ棋士藤井聡太七段も、この「望外の結果」という表現使用し、それがきっかけで多くの人に知られる表現をなりました。
「望外」という言葉は、基本的に「望外の◯◯」といった使い方をします。 例えば、
といった使い方があります。 思いがけず予想以上の良いことや、成果があらわれたような場面で喜びを伝えるのに使用される言い回しです。 詳しい使い方は例文を参考にしてください。
例文
「望外」は、「望外だ」「望外です」といった形で使用することもできます。 「〜だ」という助動詞の「だ」をつけることで、「望んだ以上の幸運が嬉しい」とはっきり断定する言い方になります。 さらに「〜だ」を丁寧な言い方にして「〜です」として丁寧語にすることも可能です。 ただし、丁寧さにかけるので、ビジネスシーンなどで使用する場合は、やはり「望外の喜びでございます」といった敬語表現にすることが望ましいでしょう。 「〜ございます」などでは堅苦しすぎるという場合は「望外だ」「望外です」でも良いでしょう。
例文
「望外」と非常に似ている表現に「法外」という言葉があります。 「法外」の意味は、「誰もが認める基準から外れたこと」です。 「法にはずれている」という意味でも使用されますが、法に触れていなくても、「普通では考えられない」といった基準を超えていることを表現する言葉として使用されることが多いです。 「望外」と「法外」は間違えられやすく、例えば「望外な値段」と、度々使用されているのを見かけますが、これは誤用です。 正しくは「法外な値段」で、これは「普通では考えられないほどの値段」という意味です。 例えば、転売品など、元値をはるかに超える値段をつけて売られている商品に対して使用します。 「望外」はポジティブな言葉ですが、「法外」はネガティブな意味を含むので、誤用に注意しましょう。
例文
「存外」には2つの意味がありますが、主に1の「思いがけないこと」という意味で使います。 2つめの「非常識な言動をする。無礼」という意味ではほとんど使いません。 あらかじめ予想していた事と、実際に起こった物事の程度が異なっていることを表す場合に「存外」を使います。 「存外の△△」「存外な■■」と形容動詞として使います。 「存外◯◯だ」と副詞的に使う場合もあります。 例えば、「存外の代償」だったら「予想していたよりも多い代償」、「存外面白い」は「思っていたよりも面白い」という意味になります。このように、「存外」は予想していた事よりも、程度が上回っている状態を表します。 なんとなく「望外」と似ている気がしますが、「存外」は喜びを表現する言葉ではないという点で違いがあります。 「存外」は比較的堅い表現なので、日常会話で使うことはほとんどないでしょう。
例文
「心外」の意味は、「思いもよらないこと」です。 「心外」は、「心の外にある」「心から外れている」と書くように、「思っていた範囲を超えていること」を表します。 単に「思いがけないことが起きて驚いた」というよりは、
という意味があり、基本的に残念な気持ちになったり、腹が立っているような場面で使用される言葉です。 「思いの外」というニュアンスを含む点で言えば、非常に似ている言葉であると言えますが、「心外」にはネガティブな意味しかありません。
例文
「望外」の同音異義語に「妨害」があります。 「妨害」の意味は「さまたげをする。じゃまをする」です。 「◯◯を妨害する」の形で使います。
「望外」の類語には
などがあります。 どの言葉も、自分自身の思っていた範囲を超える…という意味で使用される表現です。
例文
「望外」の対義語は、
などとなります。 自分の思っていた範囲内といった表現、もしくは自分の思っていたものを下回る…というニュアンスのある表現が、対義語になります。
例文
「望外」の英語表現は、「予想してたより〜だ」と表現します。 比較級 + than I expected で表現することが可能です。 比較級の箇所に入る形容詞は文脈によって変わります。
She achieved greater success in her life.
彼女は人生で望外の成功を収めた。
「望外の」を形容詞で表現するなら、
などと表現することが可能です。 「unlooked-for」は、「look for」で「〜を探す」で、それの過去分詞形「looked-for」に否定を意味する接頭詞「un」を付けたものです。
It was an unexpected honor to win a Nobel Prize.
ノーベル賞を受賞したのは望外の光栄であった。
いかがでしたが? 「望外」の意味を理解していただけたでしょうか。 ✓「望外」の読み方は「ぼうがい」 ✓「望外」の意味は「望んでいた以上であること」 ✓「望外の僥倖」は「偶然得る、望んだ以上の幸運」という意味で使用される慣用句 ✓「望外の喜びです」「望外の喜びでございます」で謙虚な気持ちを表す ✓「望外の成功」「望外の幸い」「望外の幸せ」など使用することもできるなど