「収斂」という言葉をご存知でしょうか。「意見を収斂させる」「血管を収斂させる」などと聞いたことがあるかもしれません。しかし、具体的な意味についてきちんと理解しているでしょうか。ビジネス用語?医療用語?生物用語?、などと疑問に思う点が多いですよね。使うからには、明確に使いこなしたいものです。そこで今回は「収斂」の意味や使い方、「収束」との違い、類語・反対語について解説していきます。「収斂」という言葉の知識を深めながら、正しく使えるようにしましょう。
「収斂」は<しゅうれん>と読みます。 「収」は音読みだと「シュウ」、訓読みだと「おさめる・おさまる」と読みます。 「斂」は音読みで「レン」と読みます。 「収」は「物をからめとることや物を手に入れること」という意味で、そこから転じて「取りまとめる・鎮める・取り入れる」を表すようになりました。 倉庫に品物を収める、仕事の成功を収める、実権を握って傘下に収める、といったように使います。 「斂」は「死者を葬る儀礼・死者を棺桶におさめること」という意味で、それが転じて「取り入れる・引き締まる」を表すようになりました。 「斂」を用いた言葉には、「苛斂(租税などを厳しく取り立てること)」「斂葬(死者を墓穴などにおさめ葬ること)」などがあります。
「収斂」の意味は、 1.収縮すること。収縮させること。引き締まること 2.一つにまとまること。まとめること 3.租税などを取り立てること。収税 となります。 「収」も「斂」も「引きしまる」を意味します。 一般的に、「収縮すること」「一つにまとまること」という意味で使います。 「収縮すること」という意味だと「筋肉が収斂する」、「一つにまとまること」という意味だと「意見を収斂する」といったように使います。 「収斂味」ともよく言いますが、これは「清酒を口に含んだ時に口中をしめつけるような感じを与える味」を意味します。”酸っぱくないけど口の中がキューっと締め付けられる様な感覚”というイメージです。 収斂味は、舌・頬の内側・唇の内側・歯茎などの細胞を収縮させることによって感じる触覚に近い感覚のことで、味覚の神経細胞を刺激することにより感じる味とは異なります。
例文 1の意味
2の意味
「収斂」は血管や組織の引き締め作用のことを表します。 「収斂化粧品」とは”肌を引き締める作用を持った化粧品”です。 一般的な化粧品は、”肌を保湿してキメを整える”という役割がありますが、収斂化粧品は、”潤いを閉じ込めて毛穴を引き締める”という役割を持ちます。 「収斂化粧品」の中でも「収斂化粧水」がよく使われています。 収斂化粧水とは、肌を引き締めながら保湿して整える化粧水のことです。 普通の化粧水 ==> 乳液 ==> 収斂化粧品という順番で使うのが適切であると言われています。 収斂化粧品は、毛穴を引き締めて潤いを保つ役割があるので、保湿の後に使うのが効果的です。 また「収斂化粧品」は、引き締め化粧水・トーニングローション・タイトニングローション・アストリンゼントローションなどとも呼ばれます。
数学においての「収斂」は、「ある数列の項がある値に限りなく近づくこと」を意味します。 具体的には、
を表します。 数列の項がある値に限りなく近づくときに、その値のことを数列の”極限”もしくは”極限値”として、「この数列は収束する」と言います。収束しない場合は「発散する」と言います。
生物学においての「収斂」は、「系統の異なる生物同士が近似した形質をもつ方向へと進化する現象」を意味します。 「収斂進化」==> 複数の異なるグループの生物が、同じ態的地位についたときに、系統に関係なく身体的特徴が類似した姿に進化する現象のこと 例えば、魚類のサメと哺乳類のイルカといったように本来は全く系統の異なる生物が、生息する環境が同じであったら種の違いに関わらず、似たような体形を持つようになることを表します。 「収斂作用」==> タンパク質を変性させることにより組織や血管を縮める作用のこと 収斂作用を持つ物質には、止血・鎮痛・防腐の効果があります。
「収斂発火」とは、「凸レンズ状の透明な物体あるいは凹面鏡状の反射物によって、太陽光を収束させ可燃物を発火させる発火法」のことです。 火災の原因ともなり、そのような火災を「収斂火災」と言います。 太陽の光が反射して火が起こる「収斂火災」ですが、発生例は非常に少ないです。 なぜなら、太陽光の角度や可燃物が偶然近くにあるといったように、いくつもの要素が偶然重なりあって初めて発生するものであるからです。 「収斂火災」を防ぐには、長時間外出するときは必ずカーテンを閉める、といったように太陽光を部屋に入れないこと・窓の近くに透明な光を収束させやすいものや光を反射させるものを置かないことが大事になります。
経済学における「収斂」は、「ローソク足と移動平均線が重なるような状態」を意味します。 「ローソク足」とは、日本でほとんど使われている”一番オーソドックスな株価チャート”のことです。 「移動平均線」とは、”ローソク足と同じような流れで描かれる線”のことです。 「収斂」を見つけることで、初心者でも爆発的に上がる株を見つけることができるとされています。
「収束」は<しゅうそく>と読みます。 「収束」の意味は、
となります。 分裂していたり、混乱していたものがまとまって決着することを表します。 「収束」も「収斂」も”まとまること”を意味します。 生物学や数学においての「収斂」と「収束」は同じ意味ですが、一般的な意味が異なります。 違いとしては、 「収斂」は「あらゆるものが一つにまとまる。集約すること」、 「収束」は「ある状況がおさまってまとまること」を表します。 このように、若干ニュアンスに違いがあります。 「収斂」は「一つにまとまる・集まる」、「収束」は「物事が決着する」と覚えておきましょう。
例文
萎縮 (意味:しぼんでちぢむこと。また、元気がなくなること) 「あまりにも寒くて手足が萎縮する」 縮減 (意味:縮めたり、減らしたりすること。計画・予算などの規模を小さくすること) 「開発計画を縮減する」 圧縮 (意味:物質に圧力を加えて容積を縮小すること) 「空気を圧縮する」 縮小 (意味:縮まって小さくなること。また、縮めて小さくすること) 「軍備の規模を縮小する」 凝縮 (意味:こり固まってちぢまること。趣旨・内容などを一点に集中させること) 「作者の思いがこの1ページに凝縮されている」 一括 (意味:一つにまとめること。また、まとめたもの) 「一括で購入する」 統括 (意味:ばらばらのものを一つにまとめること) 「色々な意見を統括する」 集約 (意味:物事を整理して、一つにまとめること) 「調べた結果を集約する」 統合 (意味:二つ以上のものを合わせて一つにすること) 「対立する党派を統合する」
発散 (意味:内部にたまったものが外部へ散らばって出ること) 「運動をしてストレスを発散する」 拡大 (意味:広げて大きくすること。また、広がって大きくなること) 「事業の勢力を拡大する」 伝搬 (意味:伝わること。また、伝えること) 「周りの人に自分の意見を伝搬する」 散開 (意味:広く散らばること) 「舞台を散開させる」 ばら撒く (意味:ばらばらに散らしてまく。方々にまき散らす) 「彼女の噂をばら撒く」 散布 (意味:まきちらすこと) 「農薬を野菜に散布する」 放出 (意味:蓄えていたものを外部に出すこと。持っているものを手放すこと) 「役に立たない選手を放出する」
「収斂」は英語で「convergence」といいます。 動詞は「converge」、形容詞は「convergent」になります。 「converge」の反対語は「diverge(ダイバージ)」になります。
で「...に収斂される」となります。
Five roads in the park converge into two at the main gate.
公園の5つの道は正門で2つに収斂される。
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「収斂」について理解できたでしょうか? ✔︎「収斂」は<しゅうれん>と読む ✔︎「収斂」の一般的な意味は「収縮すること。収縮させること。一つにまとまること」となる ✔︎「収斂」の類語には、「萎縮」「圧縮」「凝縮」などがある ✔︎「収斂」の反対語には、「発散」「散開」「散布」などがある