「推測」という言葉をご存知でしょうか。「原因を推測する」「動機を推測する」などと使います。日常会話でも比較的使うことが多い言葉ですよね。ただ、「推測」には「推察」「推定」「推量」「推理」などと似た言葉がたくさんあります。それぞれ意味が異なることはだいたい分かりますが、具体的に説明できるかと言ったら、なかなか難しいです。使い方の違いに困惑した経験がある、という方も多いかと思います。しっかりと使い分けするには意味をきちんと理解しておく必要があります。そこで今回は「推測・推察・推定・推量・推理」の意味と使い分けについて解説していきます。違いを適切に知って、上手く使い分けできるようにしましょう!
▶︎「推測」・・・ある事実や情報を基にして、未知の物事について見当をつけること ▶︎「推察」・・・相手の事情や心中、背景に想像を巡らして思いやること ▶︎「推定」・・・ある事実を手掛かりにして、物事を推し量り仮に判断すること ▶︎「推量」・・・全くの想像で、はっきりとしていない物事の状態や人の心中を推し量ること ▶︎「推理」・・・判明している事柄に基づいて、まだ分かっていない事実を導き出すこと
「推測」の意味は「ある事柄に基づいて推し量ること」です。 ある物事や情報を基にして、おしはかって考えること・を表します。 「推」は「考えをおし進める。おしはかる」、「測」は「おしはかる。推量する」を意味します。 「推測」はある事柄に対して『こうではないか』『◯◯では?』とあれこれ考えるという場合に使います。 映画やドラマ内の事件捜査シーンでも、「データから推測する」「動機を推測する」などと言いますよね。 例えば、「私は今日の空を見て、雨が降るのではと推測する」「最近彼女が遅刻しているのは、寝坊が原因であると推測する」などと言います。このように、何かしらの情報があって、このように思うという場合は「推測」が適します。 言い回しとしては、
などとなります。
例文
▶︎「推測」・・・ある事柄や情報に基づいて、推し量って考えること ▶︎「憶測」・・・特に根拠もなく、物事の事情や人の心をいい加減に推し量ること ▶︎「予期」・・・あらかじめ待ち設けること。前もって推測・期待・覚悟すること
「推測」と「憶測」はどちらも「推し量って考えること」ですが、「憶測」には「いい加減」という意味合いが含まれます。 「推測」は「情報や事実を基にして考えること」ですが、「憶測」は「何の根拠もなく考えること」です。 当てずっぽうで考えたという場合は「憶測」が適します。「推測」の方が信憑性が高いです。 「予期」は将来起こることを予め予想しておき、それが実現することを待ち受けることを表します。 「推測」と違って、「予期」には期待感が込められています。
例文 「憶測」の例文
「予期」の例文
「推察」の意味は「事情や相手の心中を推し量ること。思いやること」です。 相手の気持ちや事情、背景などについて想像を巡らすこと・を表します。 「推」は「考えをおし進める。おしはかる」、「察」は「おしはかる。思いやる」を意味します。 相手の置かれている立場から『こう思っているだろう』などと、事情や心情に見当をつけることを表す場合に「推察」を使います。相手からしたら触れられたくないことや、察してほしいということを避けるという時に使うのが適します。 「ご推察」という形にすると、「推察」の尊敬語として使えます。「ご推察の通り」「ご推察の上」などと言います。 言い回しとしては、
などとなります。
例文
「推定」の意味は、
です。 事実に基づいて、あれこれと考え判断すること・はっきりと分からない事について根拠を基に決めることを表します。 「推」は「考えをおし進める。おしはかる」、「定」は「物事を決めて変えない。さだめる」を意味します。 「推定」はある事実や資料に基づいて、推し量るという場合に使います。例えば、「あの人は30歳過ぎであると推定される」と言います。これは「正しいかは分からないけれど、見た目や持ち物から判断するに30歳過ぎだと思われる」という意味です。 言い回しとしては、
などとなります。
例文
「推量」の意味は「推し量ること。思いやること」です。 はっきりとしていない物事の状態や程度、人の心中などを推し量ること・根拠なしに見当をつけることを表します。 「推」は「考えをおし進める。おしはかる」、「量」は「思いはかる」を意味します。 『だいたいこうだろう』と見当をつけることを表します。「推量」は「当てずっぽう」という意味合いが込められます。 「当て水量」という言葉があります。これは「根拠もなしに推し量ること」を意味します。 言い回しとしては、
などとなります。 よく国語で「推量の助動詞」が出てきます。これは「実現していないことや確かでないことを予想的に言う言葉」です。 例えば、「う・よう」「らしい」「だろう」「らむ」「べし」などがあります。
例文
「推理」の意味は、
です。 判明している事柄に基づいて、まだ分かっていない事についての結論を出すことを表します。 「推」は「考えをおし進める。おしはかる」、「理」は「物事に備わった筋道」を意味します。 よく「推理小説」「推理漫画」「推理クイズ」などと言いますよね。ドラマの中でも、刑事や探偵などが、分かっている情報から、未知である企みやトリックなどを公にすることを「推理」と言います。 言い回しとしては、
などとなります。
例文
「推測する・推察する・推量する」の英語表現は、
などになります。「guess」が日常会話では最も頻繁に使用される単語です。名詞として使い、「take a guess」と言ったりもします。 「推定する」は「estimate」です。 名詞は「estimation」になります。 「推理する」は「reason」になります。 「reason」は名詞で「理由」という意味で覚えている方が多いと思いますが、「reason」は動詞で「推理する」という意味もあります。 ちなみに、「推理小説」は「detective novel」になります。
I guessed that she didn't come home last night.
昨夜彼女は帰宅していないと推測した。
「推測・推察・推定・推量・推理」について理解できたでしょうか? 全部「推」を用いているということもあって、判断しにくいですが、それぞれ意味が異なります。 違いを正しく知って、上手く使い分けできるようにしましょう!
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