「穿つ」という言葉をご存知でしょうか。「穿ったことを言う」「穿っている」などと聞いたことがあると思います。では、「穿った見方」と聞くとどんな意味をイメージするでしょうか。マイナスな意味を推測する人が多いのではないでしょうか。実は「穿つ」は誤用されていることが多い言葉です。「穿つ」は間違った意味合いで使われていることが多いので、正しい意味を知っておく必要があります。そこで今回は「穿つ」の意味や使い方、類語、ことわざについて解説していきます。「穿つ」を適切に知って、上手く使いこなせるようにしましょう!
「穿つ」は<うがつ>と読みます。 「穿」は音読みだと「セン」、訓読みだと「うがつ・はく」と読みます。 「穿」は「穴をあけて通す。うがつ」を意味します。 「穿つ」の意味は、 1.孔をあける。穴を掘る。つきぬく 2.せんさくする。普通には知られていないところを暴く 3.凝ったことをする 4.中に体を通す。衣服、履物などを身につける です。 「穿つ」は主に、 1の「穴をあける」と2の「詮索する」という意味で用います。 物事の本質を上手く的確に言い表すこと・人情の機微を巧みにとらえることを表します。 「穿つ」の元々の意味が「穴をあける」で、それが転じて「深掘りして本質に迫る」という意味になりました。
「穿く」は<はく>と読みます。 「穿く」は「腰から下の部分を覆う衣類を身に付けること」です。 「ズボンを穿く」「スカートを穿く」「靴下を穿く」などと言いますよね。 ただ「穿く」は常用外漢字のため、あまり使われません。「はく」と言うと、「履く」という字が多く使われます。 「穿つ」は「物事の本質を上手く的確に言い表すこと。穴をあけること」 「穿く」は「衣類などを、足先から通して下半身につけること」 このように、「穿く」と「穿つ」では意味が異なります。読み方が変わると意味が変わるので注意しましょう。
「あなたはうがった見方ばっかり。うんざりだ」といったように「うがった」は否定的な意味合いで使われることが多いですが、間違いになります。 「疑ってかかるような見方」という意味で使われていますが、実際は「物事の本質を捉えた見方」という意味です。 「穿つ」が「疑う」に似ていることから、誤用されるようになったのだと思われます。 「穿つ」は「物事の本質を深く捉えている」という肯定的な意味なので、「うがった見方をするね」などと言われた場合は自身の考え方や洞察力といったものを高く評価してくれていることになります。 「うがった」には「疑う」「ひねくれている」「浅く考える」というマイナスな意味は含まれません。 文化庁が発表した「国語に関する調査」でも、「うがった見方」を本来の意味「物事の本質を捉える見方」で使う人が26%、間違った意味の「疑ってかかるような見方」で使う人が48%という結果が出ています。 「うがった見方」を勘違いしている人も多いですが、正しく使えるようにしましょう。
物事の本質を的確に捉える、隠れた真相を見抜くという場合に「穿つ」を使います。 例えば、「彼は事態を穿つような質問には答えなかった」といった場合は「彼は事態の本質を捉えるような質問には答えなかった」という意味になります。 「穿つ」を「穴を掘る。つきぬく」という意味では、「壁に穴を穿つ」「トンネルを穿つ」といったように使います。 「穿つ」が「本質を捉える」か「穴をあける」か、どちらの意味で使われているかは前後の文脈から判断しましょう。 言い回しとしては、
などとなります。 「穿ち過ぎ」の意味は「人情の機微や物事の本質をうまく捉えているようで、実はそれが行き過ぎ事実から外れていること」です。 それでは例文を見ていきましょう。
例文 「穴をあける。つきぬく」という意味
「詮索する。知られていないところを暴く」という意味
抉る<えぐる> (意味:刃物などを突き刺して回してくり抜くこと) 「木を抉って穴をあける」 穿孔<せんこう> (意味:孔をあけること。孔のあくこと) 「穿孔して釘を打つ」 刺し通す (意味:突き刺して貫く。突き通す) 「針を突き通してところどころに穴をあける」 突き抜く (意味:つきとおす。つらぬく) 「槍で板を突き抜く」 ボーリング (意味:孔をうがつこと)
詮索<せんさく> (意味:細かいところまで、調べ求めること。たずねさがすこと) 「彼のことを根堀り葉掘り詮索する」 核心をつく (意味:物事の最も重要な部分をピンポイントに攻めること) 「物事の核心をつく事実を発見する」 正鵠を得る<せいこくをえる> (意味:物事の要点などをうまく捉えていること) 「彼女の意見はだいぶ正鵠を得ていた」 本質を突く (意味:物事の根本的な性質や要素を攻めること) 「本質を突くようなことを言ってくる」 見極める (意味:事理の奥底をきわめる。本質をはっきりとみる) 「事故の原因を見極める」 ハッキリさせる (意味:物事を確実に明らかにする) 「白黒をハッキリさせる」
的外れ (意味:肝要な点を外れていること) 「あなたの質問は的外れだ」 筋違い (意味:道理にはずれていること。見当ちがい) 「私のせいにするのは筋違いだ」 とんちんかん (意味:物事がゆきちがい前後すること) 「なんてとんちんかんな答えだろう」 ぼんやり (意味:色・輪郭・意識・記憶などがあ明瞭でなく薄く霞んでいるさま) 「ぼんやりとあの時のことを思い出してきた」 漠然 (意味:ぼんやりとしていて、はっきりしているさま) 「彼の説明は漠然としていてよくわからなかった」 取り留めのない (意味:際限がないさま。しまりがないさま) 「取り留めのない話を延々と聞かされる」 何となく (意味:とりたてて何ということもなく。どことなく) 「彼女は昨日から何となく様子がおかしい」
「点滴岩を穿つ」は「てんてきいわをうがつ」と読みます。 「点滴岩を穿つ」の意味は「努力を続ければ、やがて成功するというたとえ」です。 水滴でもずっと同じ位置に落ち続けていれば、固い石に穴をあけることができるという意味からきています。 別名「点滴穿石」とも言います。 「点滴」は「一滴のしずく。したたり」、「穿石」は「石に穴をあけること」を意味します。 また、「雨垂れ石を穿つ」という言葉がありますが、同じ意味になります。
例文
「小水石を穿つ」は「しょうすいいしをうがつ」と読みます。 「小水石を穿つ」の意味は「何事も怠らず励めば、どんな困難なことでもやり遂げることができるというたとえ」です。 少しの水であっても絶えずに流れ続けていれば、いつかは石がすり減り、穴をあけるという意味からきています。 別名「水滴穿石」とも言います。 「水滴」は「水の滴り。しずく」、「穿石」は「石に穴をあけること」を意味します。
例文
「渇して井を穿つ」は「かっしていをうがつ」と読みます。 「渇して井を穿つ」の意味は「前もって準備をせずに、必要な時だけ準備するのでは間に合わないこと」です。 喉が乾いてから井戸を掘っても遅いという意味からきています。 別名「渇に臨みて井を穿つ」「渇に臨みて井を掘る」とも言います。
例文
「微に入り細を穿つ」は「びにいりさいをうがつ」と読みます。 「微に入り細を穿つ」の意味は「非常に細かいところまで入りこむさま。細かいところまで気を配るさま」です。 「微に入り細を穿った説明」「微に入り細を穿った報告」などと使います。 ちなみに、アイドルマスターというゲームでは「美に入り彩を穿つ」という楽曲が出てきます。 同じ読みですが、正しくは「微に入り細を穿つ」ですので間違えないようにしましょう。
例文
「穿つ」の英語表現を見ていきましょう。 「穴をあける」は英語で、
の2つになります。 「詮索する」は英語で、
などになります。 「真相を暴く」は「uncover the truth」になります。
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「穿つ」について理解できたでしょうか? ✔︎「穿つ」は「うがつ」と読む ✔︎「穿つ」は「穴をあけること。物事の本質を上手く的確に言い表すこと」を意味 ✔︎「うがった見方」は「疑ってかかる見方」と誤用されがちだが、正しくは「物事の本質を捉える見方」という意味 ✔︎「穿つ」の類語には、「抉る」「詮索」「本質を突く」などがある