「いみじくも」という言葉をご存知でしょうか。古典の授業で習ったという方が多いのではないでしょうか。やや古めかしい言葉ということもあって、「いみじくも」は普段はなかなか使われることはありませんが、ビジネスシーンでは時々使われることがあります。では、「いみじくも」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。知っていたという人もいれば、今まで知らなかったという人も多いと思います。正しく使えば評価されるかもしれませんが、間違った使い方をすると恥をかいてしまいます。そこで今回は「いみじくも」の意味や使い方、類語、「いやしくも」との違いについて解説していきます。
「いみじくも」の意味は「まことにうまく、適切に」です。 「いみじくも」は「要点をちゃんと捉えて上手に表現できる」というニュアンスで使う言葉です。
「いみじくも」は、形容詞「いみじ」の連用形「いみじく」+係助詞「も」で成り立っています。「いみじ」は動詞「忌む(いむ)」が由来です。 古語「いみじ」は、「忌み避けたい感じ」を表すのが原義ですが、そこから転じて「不吉なほど程度が甚だしいさま」を表します。元々はネガティブな意味でしたが、「ポジティブにも程度が甚だしい」=「素晴らしい、上手だ」という意味でも使われるようになりました。 よって、副詞「いみじくも」は「素晴らしく」=「巧みに」という意味で使われるようになりました。
「いみじくも」は、動詞「忌む」が語源なので、漢字では「忌じくも」となります。 「微妙くも」と書く場合もありますが、これは当て字です。 「微妙なり(みようなり)」が古語では「素晴らしい」という意味で、「いみじ」と同義語であることから、「微妙」という感じが使われる場合もあります。しかし、現代では「微妙」は「びみょう」としか読まないため、ほとんど使われません。
「忌」という漢字は、「忌引」「忌避」「嫌忌」「禁忌」などの漢字からも分かるように負のイメージが強く、「いみじくも」を「巧みに」という意味で捉えられないことも多いようです。そのため漢字表記は避けた方がよいでしょう。
「いみじくも」を「偶然にも」「恐れ多くも」などの意味で誤用している人が一定数見受けられますので、注意しましょう。 例えば、「ありがたいお言葉、いみじくも感謝申し上げます」「いみじくも、ここで彼と久しぶりに会うとは考えていなかった」などとは言いません。
「いみじくも」は難しい日本語であり、そもそも相手が知らない場合も多いと思います。 基本的に相手の知らない言葉を使うと相手はよい気分はしないので、特にビジネスシーンでは注意する必要があります。 使用する場合はせめて書き言葉に留めておきましょう。
「いみじくも」はことわざや慣用句を引用するときによく使われます。 「◯◯はいみじくも言い得てもので、〜」「△△はいみじくも言い表したものだ」などの形で使います。 「■■とは言い得て妙だ」と同じように使うことができます。
例文
ビジネスシーンでは、上司やお客様などが何か適切に指摘したときに「いみじくも」を使うことが多いです。 「見事に」「上手に」などの言い換えが可能ですが、これらの表現は上から目線だと捉えられてしまう可能性があるので、堅い表現である「いみじくも」を使うのが最適です。 「いみじくも仰るとおりです」などと使います。
例文
「いみじくも」の同義語は「巧みに」になります。 厳密には「いみじくも」は、「巧みに」をより強調した表現で、「非常に巧みに」という意味です。
「いみじくも」の類語には「上手に」「見事に」などがあります。 「上手に」「見事に」などの言葉の方が広い意味で様々な動詞を修飾して使うことができますが、「いみじくも」は「論理的に整理し要点を伝えることが巧みだ」というニュアンスが強いです。 「いみじくも言い得る」「いみじくも論破する」などと使います。 その他にも「首尾よく」「的確に」「美しくも(いしくも)」「ばっちり」「立派に」「適切に」なども類語にあたります。
「いやしくも」の意味は「仮にも、かりそめにも」です。 漢字は「苟も」です。 「いみじくも」と「いやしくも」は音は似ていますが、意味は全く違います。
例文
「くしくも」の意味は「ふしぎにも、偶然にも」です。漢字は「奇しくも」と書きます。 上記でも触れましたが、「いみじくも」と「くしくも」は混同している人が多いですが、意味が全く違います。 「くしくも」は普通では考えられないようなこと、想像していなかったことが起きたときに使います。 主に、「奇しくも◯◯だ」「奇しくも◯◯である」などと言います。
例文
「いみじくも」は英語で「suitably」「aptly」などと表現します。 「smart way」で表現することも可能です。
As he aptly stated,
彼がいみじくも言ったように、
That's a smart way to express the idea.
その言葉はこの考えをいみじくも言い表している。
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「いみじくも」以外にも意味の分かりづらく誤用されがちな日本語がありますので、最後に紹介します。
「やぶさかではない」は漢字では「吝かではない」と表記し、「喜んで〜する、〜する努力を惜しまない」という意味です。 「やぶさかではない」は、「仕方なくやる」「どちらかといえばやってもいい」という意味で誤用されることがあるので、注意してください。 「〜するにやぶさかではない」の形で「喜んで〜する」という意味になります。 「渡辺さんに協力するにやぶさかではない」ならば、「渡辺さんに喜んで協力する」という意味になります。
「よしんば」の意味は「仮にそうでも」になります。 「よしんば◯◯としても〜」「よしんば◯◯であっても〜」「よしんば、そうなっても〜」の形で使います。 例えば、「よしんば一人揃わなかったとしても、何も困ることはない」などと使います。
「いみじくも」について理解できたでしょうか? ✔︎「いみじくも」は「まことにうまく。適切に。上手に」という意味 ✔︎「いみじくも」は相手の行動や、順調に進んでいるものごとを褒める場合に使う ✔︎「いみじくも」を「恐れ多い。偶然にも」という意味で使うのは間違い ✔︎「いみじくも」の類語には、「首尾よく」「立派に」「見事に」などがある