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「すいちょう」ではない「吹聴」の読み方と意味、使い方、類語、英語表現を解説

「吹聴」という言葉をご存知でしょうか。「吹聴」は「すいちょう」と読んでしまいがちですが、これは実は間違いです。また、「来週の予定を吹聴する」といった使い方は誤用になります。このように、意外と「吹聴」について知らないことが多いですよね。「吹聴」は日常的によく目にするほどでもない言葉ではありますが、しっかりと正しい意味を押さえておきた言葉ではあります。そこで今回は「吹聴」の意味や使い方、読み方、類語「流布・喧伝・風聴・拝聴」との違い、類語について解説していきます。「吹聴」の正しい意味を知って、上手く使用できるようにしましょう!

「吹聴」の読み方

「吹聴」は<ふいちょう>と読みます。 「すいちょう」「ふうちょう」と読むのは誤りです。 「吹」を「ふい」と読むケースは日常的に見かけることが少ないため、「吹聴」の読み方が「ふいちょう」であることを知らないと「すいちょい」と読み間違えることが非常に多いでしょう。 「吹」は音読みだと「スイ」、訓読みだと「ふく」と読みます。 「聴」は音読みだと「チョウ」、訓読みだと「きく」「ゆるす」と読みます。 このように、「吹」という漢字自体は常用漢字ですが、「ふい」という読み方は”表外読み”と言われる常用漢字表には記載されていない読み方になります。 「吹聴」の他にも、「吹子(ふいご)」という言葉で「ふい」という読みが使われています。 ちなみに、「吹子」とは「金属の精錬・加工に用いる火をおこすための送風器」のことです。

「吹聴」の意味

「吹聴」の意味は「ひろく言い広めること。言いふらすこと。披露」です。 いろいろな人に言いふらすこと、多くの人に言い広めることを表します。 「吹」は「息をふく・息をふいて楽器を鳴らす」、「聴」は「聞き入れる・聞き取る」を意味します。 「吹く」という言葉には、事実を誇大に言ったり、ありもしない作り話をするといった意味が含まれています。 「実際よりも大げさに言う」という意味の「吹っかける」という表現や「大袈裟なでたらめを言ったり、大言を吐いたりする人」という意味の「ホラ吹き」という表現でも”吹”という字が使われています。 このことから分かるように、「吹聴」は主に批判的な意味合いで使い、良い意味合いはありません。

「吹聴」の使い方と例文

「吹聴」の言い回しは、

  • 吹聴する
  • 吹聴される
  • 吹聴して回る

などとなります。 このように、「吹聴」は「吹聴する」といったように能動的な表現で使われる場合と、「吹聴される」といったように受動的な表現で使われる場合があります。 「吹聴」は主に、自慢話や噂話を言いふらして回るときに使います。 基本的に、「吹聴」は良い意味合いで使うことはありません。 「吹聴」は批判的な意味合いで使うことがほとんどなので、敬語としての使い方はないです。 例えば、「会議の日程を吹聴する」「明日の予定を吹聴する」といったように、事実をありのまま伝え広める使い方はしません。 「得意げに自分の成績を吹聴する」「自慢話を偉そうに吹聴する」といったように、大袈裟であったり、誇張したりするような場合に「吹聴」を使います。

例文

  • 嘘を吹聴された場合は、気にしないことが大事だ。
  • 彼女はいつも嫌いな人の悪口を吹聴している。
  • 彼は自身の優秀な成績を吹聴していた。
  • 有る事無い事を吹聴されて、大迷惑を被った。
  • あの人はいつも自慢話を偉そうに吹聴する。
  • 彼は過去の武勇伝を吹聴して回っている。
  • 自分の手柄を吹聴して回る。
  • 彼女は得意げに息子の成功を吹聴した。
  • 裏切られたことを腹いせに、彼はありもしないことを吹聴して回った。
  • この商品がいかに良いかを吹聴する。
  • 会社の悪評を立てるために、不確かな情報を吹聴する。
  • ◯◯さんは自身の才能を吹聴するようなタイプではないと思っていたのに...、残念です。
  • この事を世間に吹聴されてしまったら、ものすごく困る。
  • 心に留めておくのは良いが、吹聴する必要はない。
  • ◯◯氏はデマを吹聴した。

「流布」と「吹聴」の違い

「流布」は<るふ>と読みます。 「りゅうふ」とは読まないので注意しましょう。 「流布」の意味は「世に広まること・広く知れ渡ること」です。 「噂が流布する」「一般に流布している本」といったように使います。 「流布」は「世に広まること・広く世間に行き渡ること」、 「吹聴」は「ひろく言い広めること・言いふらすこと」を表します。 「吹聴」は「特定の誰かが自発的に言い広めている」という意味なのに対して、「流布」は「話の発生源が誰であるかは定まっていないが言い広まっている」という意味合いになります。 また、「流布」は評判・考え方などといった事柄が広まることを表していて、基本的に「吹聴」のようなマイナスなイメージは含まれません。

例文

  • 良くない噂が流布してしまう。
  • この説は、一般的に流布しているだろう。

「喧伝」と「吹聴」の違い

「喧伝」は<けんでん>と読みます。 「喧伝」の意味は「世間に言いはやし伝えること」です。 とにかく、ありとあらゆる手段を使って、盛んに言いはやして世間に広く知らせること・世間でやかましく言い立てることを表します。「喧伝された事件」「喧伝された逸話」などと使います。 「喧伝」は「盛んに言いはやして世間に広く知らせること」、 「吹聴」は「ひろく言い広めること・言いふらすこと」を表します。 「喧伝」と「吹聴」の違いとしては、”世間に広く知らせる”といった意味合いが含まれているかという点です。 「喧伝」の方が、知らせる大きさが広くなります。

例文

  • 世に広く喧伝された事件を思い出す。
  • 噂が町中に喧伝されてしまう。

「風聴」と「吹聴」の違い

「風聴」は<ふうちょう>と読みます。 「風聴」の意味は、

  • 風のたよりに聴くこと。うわさ。風聞
  • 世間に言いふらすこと

となります。 「吹聴」は「風聴」が変化してできた言葉です。 「風聴」の「言いふらすこと」の意味で、「吹聴」が使われるようになったと考えられています。 「吹聴」といった方が「吹」の意味からして、話を触れ回っている印象がありますよね。 移行する過程で、読みも「ふうちょう」から「ふいちょう」へと変化したものとされています。 「風聴」は「風のたよりに聴くこと」、「吹聴」は「世間に言いふらすこと」を意味します。 「世間に言いふらすこと」という意味で「風聴」を使うことはほとんどありません。

例文

  • どこからともなく風聴を聞く。
  • 彼が留学したことは風聴に聞いた。

「拝聴」と「吹聴」の違い

「拝聴」は<はいちょう>と読みます。 「拝聴」は「聞く」の謙譲語で、「つつしんで聞く」という意味です。 「拝む」は感謝を示す行為のことなので、「拝」が含まれる言葉には「ありがたく◯◯する」という気持ちが込められます。ですので、「拝聴する」は、「ありがたく聞くこと」を表します。 「拝聴」は日常会話ではあまり使いませんが、ビジネスシーンではよく使われる言葉です。 ビジネスシーンでの「拝聴」は主に、目上の相手のプレゼンテーションや講演・取引先の話を聞くときに使われます。「拝聴」は主に書き言葉として使うので、口語ではあまり使いません。 「拝聴」は「つつしんで聞く」という意味の”聞く”の謙譲語、 「吹聴」は「ひろく言い広めること・言いふらすこと」を表します。 「拝聴」と「吹聴」は字面は似ていますが、意味は異なるので、間違えないように気をつけましょう。

例文

  • ◯◯様のお話を直接拝聴できますことを、心から楽しみにしております。
  • 有名なピアニストの演奏を拝聴することができ、幸せを感じています。

正しい敬語?「拝聴」の意味と使い方、類語、例文、英語表現を解説

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「吹聴」の類語

言いふらす (意味:多くの人に広く知れ渡らせる) 「ありもしない噂を言いふらす」 言い広める (意味:広く世間に知らせる。口づてに多くの人に知らせる) 「このレストランはとても美味しいという評判がいい広められた」 触れ回る (意味:大勢の人に告げて歩く) 「彼女の悪口を触れ回る」 噂する (意味:世間で言いふらされている明確でない話をする) 「あの人が犯人ではないかと噂する」 暴露する (意味:悪事、秘密などをあばいて明るみに出すこと) 「事件の真相を暴露する」 吐露(とろ)する (意味:心に思っていることを、隠さず打ち明けること) 「自分の率直な気持ちを吐露する」 ばら撒く (意味:ばらばらに散らしてまく。方々にまき散らす) 「噂話をばら撒く」 バラす (意味:秘密などを人に知らせる。暴露する) 「彼の秘密を周りの人にバラす」 告白する (意味:秘密にしていたことや心の中で思っていたことを、ありのまま打ち明けること) 「自分の罪を包み隠さずに告白する」 しゃべり散らす (意味:思いつくままに何でも喋る。むやみに喋る) 「あることないことをしゃべり散らす」 打ち明ける (意味:人に知られたくない事実や秘密などを、思い切って隠さずに話す) 「自分の考えを打ち明ける」

「吹聴」の英語

「...を吹聴する」の英語表現に一番近いのは「brag about...」です。悪い意味で使います。 「broast about」という堅い表現もありますが、「brag about」とほぼ同じ意味で、より口語的です。 「自慢する、見せびらかす」という意味の英語には「show off」もあります。この「show off」もネガティブなニュアンスを伴います。 逆によい意味で「...は私の自慢だ」というニュアンスならば、「I am proud of...」を使います。 例文です。

He always brags about his academic background.

彼はいつも自分の学歴を吹聴している。

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まとめ

「吹聴」について理解できたでしょうか? ✔︎「吹聴」は<ふいちょう>と読む ✔︎「吹聴」は「ひろく言い広めること。言いふらすこと」を意味 ✔︎「吹聴する」「吹聴される」などと、基本的に良い意味合いで使うことはない ✔︎「吹聴」の類語には、「言いふらす」「触れ回る」「ばら撒く」などがある

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