「ご多忙」と「ご多用」という言葉は日常生活でもよく耳にすると思います。「ご多忙」の「ご多用」も「忙しい」という意味のある言葉になりますが、この二つの言葉の違いはご存知でしょうか?今回は、「ご多忙」と「ご多用」の意味と使い方の違いを例文つきで紹介します。また、類語も紹介しますので参考にしてみてください。
▶「ご多忙」・・・「非常に忙しいこと」 ▶「ご多用」・・・「用事がおおいこと」
「ご多忙」も「ご多用」も「忙しい」という意味の言葉です。 「ご多忙」と「ご多用」は「ご多忙」は「仕事で忙しいということ」を言い表した言葉であり、「ご多用」は「仕事以外のプライベートなど公私ともに忙しい」ということを言い表した言葉であるというニュアンスの違いがあります。 また、「多用」よりも「多忙」のほうが忙しさを強調している意味合いになります。
「ご多忙」は「仕事で忙しい」ということであり、「ご多用」は「公私ともに忙しい」ということであるという違いを説明しましたが、ビジネスシーンでの使い分けは必要ありません。 使い分ける必要がない理由としては、ビジネスシーンで「仕事が忙しい」のか「公私ともに忙しい」のかという忙しい理由は関係ないということが挙げられます。
ビジネスシーンでの使い分けは必要ないとされていますが、結婚式・年賀状などでは「ご多忙」ではなく「ご多用」を使用します。 「ご多忙」の「忙」は「心」を「亡くす」と書く漢字で、「亡くなる」という漢字が含まれていることから、忌み言葉とされている言葉です。 忌み言葉は縁起の悪さを連想させるとして敬遠される言葉である為、「結婚式」「出産」「お見舞い」といった場面では使用することを避けるべき言葉です。 よって、「結婚式」や「年賀状」では「ご多忙」ではなく「ご多用」を使用しましょう。
「ご多忙」は「ごたぼう」と読みます。 「多」は音読みで「た」訓読みで「おおい」と読みます。 「多」には「おおい・たくさん」という意味があります。 「忙」は、音読みで「ぼう」訓読みで「いそがしい」と読みます。 「忙」の意味は「いそがしい・せわしい」という意味です。
「ご多忙」の意味は「非常に忙しいこと」です。 「ご多忙」は、「多忙」という言葉に丁寧語の「ご」を付けた言葉です。 「多忙」とは非常に忙しいという意味の言葉で、何かと忙しくしている様子を表現しています。 例えば、「〇〇さんは非常にご多忙のようで」というような使い方をすると、「〇〇さんは非常に忙しいようなので」という意味合いになります。
「ご多忙」の使いかたはビジネスメールなどで要望・依頼をするときのクッション言葉として使用されます。 「ご多忙とは存じますが・・」や「ご多忙のところ申し訳ありませんが」というように、「忙しいとは思いますが」というクッションになる言葉を一言入れるといきなりお願いの言葉を述べるよりも要望を伝えやすくなります。 相手に何かをお願いする際に、直接的な表現を使ってしまうと、相手に不快感を与えてしまうことがあるので、そういったことを避けるためにも、依頼をするときは「ご多忙〜」を使うのが良いでしょう。
「ご多忙」は、頼み事をする前のクッション言葉や、「お忙しい中~」というような前置きをすることで、相手の状況に配慮して、行ってくれたことに対しての感謝の気持ちを強く表すことができます。 「ご多忙の折」など「ご多忙」には様々な言い回しがありますので、代表的なものを紹介します。
言い回し
使い方は例文を参考にしてください。
「ご多用」は「ごたよう」と読みます。 「多」は、音読みで「た」と読み、訓読みで「おおい」と読みます。 「多」には「おおい・たくさん」という意味があります。 「用」は、音読みで「よう」訓読みで「もちいる」と読みます。 「用」には「もちいる・役たてる」や「使い道」「しなければならないこと」といった意味があります。
「ご多用」の意味は「たくさん用事があること」です。 「ご多用」は「多用」という言葉に尊敬を表す接続語の「ご」をつけた言葉です。 相手に「やるべき沢山の用事がある」ことを敬意を払って言う言葉になります。
「ご多用」も、「ご多忙」と同じようにビジネス文書やメールなどで要望・依頼をするときのクッション言葉として使用することができます。 「ご多用とは存じますが・・」や「ご多用のところ申し訳ありませんが」というように、「忙しいとは思いますが」というクッションになる言葉を一言入れるといきなりお願いの言葉を述べるよりも要望を伝えやすくなります。
「ご多用」は、「ご多用中恐縮中ですが」などの言い回しがあります。
使い方は例文を参考にしてください。
「お忙しいところ」は、
というように、何か物事をお願いするときに使用するクッション言葉です。 相手に手間をかけ、時間を費やしてくれたことに対して申し訳なく思う気持ち・謙虚な気持ちを「お忙しいところ」を使うことによって表すことができます。 また、「お忙しいところありがとうございます」というように、感謝の気持ちを伝えるときにも使用することができる言葉です。
「ご繁忙」は「ごはんぼう」と読みます。 「ご繁忙」は、「繁忙」という言葉に、尊敬を表す接続語の「ご」をつけた言葉です。 「繁忙」は「用事が多くて忙しい事」という意味です。 尊敬を表す接頭語の「お」がついてるので、相手の敬意を示す表現で「目上の人が用事が多くて忙しくされていること」を言い表します。
「繁多」は「はんた」と読みます。 「繁多」の意味は「用事が多くて忙しいさま」です。 「煩わしいほど物事やう王子が多くて忙しい」というニュアンスがあります。
「せわしい」とは、「することが多くて暇がない」という意味です。 「忙しい・多忙である」といった場合に使用される言葉です。 また、「バタバタと動き回りせわしない」といったように「落ち着きがない」という意味合いでも使用されます。
「ご多忙」と「ご多用」の意味の違いと使い分けについて理解していただけましたでしょうか? ✓「ご多忙」の意味は「非常に忙しいこと」 ✓「ご多用」の意味は「用事が多い事」 ✓「ご多忙」「ご多用」はビジネスシーンで使い分ける必要はない ✓「ご多忙」「ご多用」の使い方もビジネス文書やメールなどで要望・依頼をするときのクッション言葉として使用できる言葉である など
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