「範疇」という言葉をご存知でしょうか。「範疇を超える」「想像の範疇」「自分の範疇」などとなんとなく聞いたことがあると思います。「範疇」と言うと難しそうなイメージを持ちますが、実際にはどのような意味なのでしょうか。また、「範疇」はどういった使い方をすれば良いのでしょうか。色々と疑問に思う点がありますよね。この言葉を知らなかったという方も、いざという時に使えるようしっかりと覚えておきましょう。そこで今回は「範疇」の意味や使い方、読み方、「範囲」との違いについて解説していきます。
「範疇」の意味は「同じ種類のものの所属する部類・部門の意」です。 「範」は「区切られた枠」、「疇」は「同類。たぐい」を表します。 二つを合わせると「同類で区切られる。たぐいで区切られる」となります。 「範疇」は同じ性質を持つものが属する部類・同じような性質のものが含まれる範囲を表します。 簡単に言うと、「範疇」は「範囲内」ということです。「範疇」は「部門」「分野」「分類」「枠組み」などと言い換えることができます。
「範疇」はドイツ語の「カテゴリー」を哲学者の井上哲次郎が訳した語です。 哲学における「範疇」は「最も基本的な認識論上の概念」を意味します。 あらゆる事象をそれ以上分類できないところまでまとめる基本の概念・人が物事を判断したり考えたりする上で、どうしてもそれに依存しなくてはならないような概念を表します。 古代ギリシアの哲学者:アリストテレスは以下の10の基本項目で世の中の概念を表しました。 それが「実体・性質・量・関係・能動・受動・場所・時間・姿勢・所有」です。 ドイツの哲学者:カントは10の基本項目を、人間認識を基礎づける制約の一つである純粋悟性概念と呼びました。
「範疇」は<はんちゅう>と読みます。 「範」は”竹+”車+”わく(枠)”の象形で成り立っています。元々は「車を作るための模型」を意味していて、そこから「わく・かた」を意味するようになりました。 「疇」は常用漢字ではありません。「疇」は「同類。たぐい。仲間」を意味します。元々は「田んぼのうね。畑のうね」を意味していますが、「範疇」の「疇」は「同じ部類。仲間」という意味で使われます。 このように、「範」と「疇」を組み合わせることによって「同じ部類・仲間」という意味を持つようになりました。
「範疇」という言葉は「洪範九疇」という言葉から、「範」と「疇」が組み合わされて作られました。 「洪範九疇(こうはんきゅうちゅう)」は”天下を上手に治めるために、模範となる政治道徳”です。 「洪範」は『書経』の篇名の一つです。 「九疇」は「洪範」で述べられている九つの大法で、天下を治めるための政治道徳を記しています。 九つの大法とは、「五行・五事・八政・五紀・皇極・三徳・稽疑・庶徴・五福」です。
「範疇」は『それは私の◯◯の範囲内です』という意味合いで、自分の考えなどを伝えるような場合に使います。 「範疇」は堅い表現なので、ビジネスシーンで使われることが多いです。日常会話では頻繁に使うことはない言葉です。 例えば、「この種類の作業は私の仕事の範疇にないので今回はお断りします」といった場合は「この種類の作業は私の仕事以外のものなので今回はお断りします」という意味になります。 また、「範疇」がどこまでの範囲・幅なのかという定義は、話者の感覚や使う状況、各企業や業界により異なるので注意が必要です。 例えば、ある俳優が異性のファンにサインをしてあげるというのは「ファンサービスの範疇」とみなすことができますが、異性のファンとどこかに遊びに行くというのは「ファンサービスの範疇」を逸脱していると考えるのが世間一般の見方でしょう。 「範疇」の言い回しは、
などなど
例文
一般的な意味の「範疇」と「範囲」の違いと使い分けを解説していきます。 「範囲」の意味は「一定の決まった広がり。かこい。かぎり。区域」です。 「範」は「区切られた枠」、「囲」は「まわり」を表します。 行動や考えでのある一定の限られた広がり・特定のカテゴリーが「範囲」となります。 「範疇」は、「同じ性質のものが含まれる範囲」を指します。 「範囲」は、ただ単に「ある特定の広がり」を意味するのに対し、「範疇」は「範囲」の中でも同じ性質のものを集めた「範囲」ということになります。 なので、「範囲」は「特定のカテゴリーのものの全て」で、「範疇」は「特定のカテゴリーの中で、さらに分類することができるある一つの枠」ということもできるでしょう。 また、「範疇」は哲学用語として使用しますが、「範囲」はそのような用法はありません。
例文
哲学用語「範疇」と「概念」の違いを見ていきます。 「概念」の意味は「事物の本質をとらえる思考の形式」です。 ある共通した性質がいくつも存在する場合に、共通している点によってそれらを同じ種類のものだと判断できるイメージのことを「概念」と言います。 例えば、犬を見てもうさぎを見てもトラを見ても、動物だと理解できます。また、イラストのうさぎを見ても、アニメになったトラを見ても動物だとわかります。これは動物の概念を理解しているからです。しかし、動物の概念を持っていなければ、犬を見てもうさぎを見ても何が何なのかわかりません。 「概念」は「ある事物の特徴を抽象化もしくは普遍的に捉えた性質」 「範疇」は「その概念によって定められる対象の集団自体」を表します。 例えば、「範疇」が”動物”とすれば、「概念」は”耳やしっぽがある・毛が生えている”などとなります。 このように、「概念」と「範疇」は意味が全く異なります。
種別(意味:種類による区別) 例文:「種別にまとめる」 種目 (意味:種類の名目。種類別の項目) 「競技種目を決める」 分類 (意味:種類によって分けること) 「植物をいくつかの種類に分類する」 階級 (意味:生産関係場での利害・地位・性質などを同じくする人間) 「私は階級が一つ上がった」 部門 (意味:全体を区分けしたおのおのに部分) 「各部門での売り上げランキングを作成する」 種族 (意味:同一種類のもの。ともがら) 「ずる賢さはある種族の特徴である」 部類 (意味:種類によって区分けすること。また、その区分け) 「彼は友達の部類に入れておく」 領域 (意味:学問・研究などで専門とする部門・分野) 「研究領域を広げてみる」
「範疇」は元々、英語「category」の訳語です。 「category」以外にも、「範疇、範囲、種類」などを意味する英語はいくつかあります。
英語「category」の使い方は、日本語の「カテゴリー」に近いです。 趣味の範疇 想定の範疇 などと表現するときは、「category」を使うと不自然な英語になってしまうので注意してください。 これらの言い回しでは「範疇」をわざわざ英訳する必要はないでしょう。 例文です。
That's what I've expected.
それは想定の範疇です。
Running is not just his hobby. Because he is so into it.
ランニングは彼の趣味の範疇を超えている。だって、彼はそれに情熱をかなり注いでいるから。
当サイト「英語部」で一番人気の英会話教室が、NOVAです。 全国展開(270校舎)をしている大手英会話教室の中で圧倒的に価格が低いのが特徴です。 しかも講師は全員ネイティブ!
「格安で週一回NOVAのネイティブ講師と会話し、あとは自習する」という英語学習法が非常におすすめです。 ご興味のある方はホームページから無料体験レッスンをぜひ!
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
職場で英語が必須な方や海外留学を検討している方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きました!興味のある方はぜひご覧ください。
「範疇」について理解できたでしょうか? ✔︎「範疇」は<はんちゅう>と読む ✔︎「範疇」は「同じ性質を持つものが所属する部類・同じような性質のものが含まれる範囲」を意味 ✔︎「範疇」は堅い表現なので日常会話ではほとんど使われないが、ビジネスシーンでは使われることが多い ✔︎「範疇」の類語には、「種別」「分類」「領域」などがある