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「くれぐれも」は目上の人に使える?正しい意味と使い方、類語、漢字を解説

「くれぐれもご注意ください」「くれぐれもご自愛ください」などと声をかけられたことはありませんか。「くれぐれも」はビジネスシーンで頻繁に使われる言葉です。ただ、「くれぐれも」はどういった場面で使うのか、どの言葉につけるのが適切なのか迷うことが多いと思います。そこで今回は「くれぐれも」の意味や使い方について、例文を交えながら解説していきます。

「くれぐれも」の意味

「くれぐれも」は、

  • 念をいれるさま、何度考えても、返す返す
  • 相手に念を押すさま、何度も心をこめて依頼・懇願したり、忠告したりするさま

を意味する副詞です。 「くれぐれも」は「心を込めて忠告する」「心を込めて懇願する」という意味で使われることが多いです。

「くれぐれも」の漢字

「くれぐれも」は漢字で、「呉々も」「呉呉も」と書くことができます。 「呉」は音読みだと「ゴ」、訓読みだと「くれ」「くれる」と読みます。 「呉」は「中国から伝来した事物に冠していう語で他の名詞の上に付いて複合語をつくる」ことを意味します。 「呉々」は同じ漢字を重ねることで、意味をさらに強調しています。 また、同じ「くれぐれ」と読む言葉に「暮れ暮れ」という言葉があります。 「暮れ暮れ」は「日が暮れようとするころ」「夕方」を意味しています。 意味は全く異なるので間違わないようにしましょう。 ただ、「くれぐれも」はひらがなで表記することが多いです。

「くれぐれも」の語源

「くれぐれも」の語源には二つの諸説があります。 一つ目の説は、相手にお願いをするときに「◯◯してくれませんか」「◯◯しておくれ」などと言うことがあります。この「してくれ」の「くれ」を2回使うことによって、お願いの度合いを強める効果を持たせた言葉であるそうです。 二つ目の説は、「くれぐれ」は「繰れ繰れ」であると言われています。ですので「くれぐれ」は「繰り返し繰り返し言いますが〜」を略した言葉であるというわけです。

目上の人に使える?「くれぐれも」の正しい使い方と例文

「くれぐれも」自体は敬語ではありませんが、フォーマルな言葉なので上司などの目上の人に使用しても問題ありません。

「くれぐれも」は注意を促す時に使うのが基本

「くれぐれも」を使う場面としては、基本的に「注意を促す」ときです。 例えば「くれぐれも忘れないように」と言った場合は、「忘れないように」と念を押して注意を促すことができます。 ある程度の危険があるため完全に避けることは不可能という場合でも、注意すれば何とかなるというときに「くれぐれも」を使います。 何か不測の事態が起こる可能性がある場合や、多くの人々に念押しする場合にも使うことができます。 注意を促すときの「くれぐれも」は、

  • くれぐれも注意してください
  • くれぐれも気をつけてください

などのフレーズで使うことが多いです。

例文

  • 雨で大変滑りやすくなっているので、足元にはくれぐもご注意ください。
  • 風邪などお引きにならないようにくれぐれもご用心ください。
  • 台風が近づいていますので、お帰りの際にはくれぐれもご注意ください。
  • 作品にお手を触れないように、くれぐれもご注意ください。

相手の体調をいたわる

「くれぐれも」は相手の体調をいたわるときに使います。 「くれぐれも〜」と使うことで「どうぞ〜」と言うよりも、相手のことを気遣っている、本当に体調を労ってほしいと思っていることを伝えられます。 「くれぐれも」は「ご自愛ください」という言葉とセットでよく使います。 「ご自愛ください」は「あなた自身の体を大事にしてください」という意味の労りの言葉です。 「ご自愛ください」は、手紙やメールの末尾で、相手の健康を気遣う結びの言葉として使われます。 「ご自愛ください」は男性・女性、目下・目上など老若男女関係なく使うことができる表現です。 ちなみに、「お身体をご自愛ください」だと重言になってしまうので誤用です。 また「ご自愛ください」は、「体調を崩さないように健康を保ってください」という意味合いが込められているため、すでに怪我で入院している人や、病気で治療中の人、体調を崩している人には使うことができないので注意しましょう。

例文

  • ぐっと気温が下がり冷え込む毎日が続きます。くれぐれもご自愛ください。
  • 最近はインフルエンザが流行っているそうですので、くれぐれもご自愛ください。
  • 季節の変わり目で体調を崩しやすくなっているので、くれぐれもご自愛ください。
  • 夏の疲れが出やすい時期となっています。くれぐれも風邪など召しませぬようご自愛ください。

目上の人への「ご自愛ください」の使い方と正しい返事の仕方

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問題のない言動を依頼・お願いする

「くれぐれも」は注意を促すときだけではなく、問題のない言動をお願いするときにも使うことができます。 例えば「くれぐれもご確認のほどお願いします」などといった場合は、確認してもらうことについて念を押す言い方になります。 お願いするときの「くれぐれも」は、

  • くれぐれも◯◯してください(命令文)
  • くれぐれもお願いします

などのフレーズで使うことが多いです。

例文

  • くれぐれも先方に失礼のないように挨拶しなさい。
  • くれぐれもオフレコでお願いします。
  • 先日の◯◯の件について企画書を作成しました。至らない部分も多いとは存じますので、くれぐれもご確認のほどお願いいたします。
  • この件に関してはくれぐれも内密にお願い申し上げます。

「オフレコ」の意味と使い方

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お礼・感謝を伝える

「くれぐれも」は、相手にお礼や感謝を伝える際にも使うことができます。 お礼を伝える際は「くれぐれもよろしくお伝えください」と使うことが多いです。 「くれぐれもよろしく言っておいてね」は話し手と聞き手以外の第三者にお礼・感謝を伝える意味にもなります。 感謝を伝えるときに「くれぐれもありがとうございます」「くれぐれも感謝申し上げます」などと使うことはできませんので気をつけましょう。

例文

  • くれぐれもお父様によろしくお伝えください。
  • ◯◯さんからもくれぐれもお礼を申し伝えるように言われました。
  • 近いうちにご挨拶に伺うつもりですので、くれぐれも奥様によろしくお伝えください。
  • お力添えいただきました先生に、くれぐれもお礼をお伝えくださいませ。

相手に検討を求めるように念押しする

「くれぐれも」は物事について検討をしてほしいとき、念押しする場合に使うことができます。 「ご検討お願いします」というよりも「くれぐれもご検討お願いします」といった方が、相手に念押ししている感じが伝わります。 相手にとってメリットがあるため、それを理解してもらいたい、好機を逃してほしくない場合に誠意を持って伝えることができます。

例文

  • 今回のプロジェクトは弊社が総力を挙げて考え出した企画です。御社にとって非常にプラスになることであると存じます。ですので、くれぐれもご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 皆様にもいろいろお考えがあろうとは存じますが、この機会にくれぐれもご検討いただきますようお願いいたします。
  • 先日話し合った企画については資料を同封いたしますので、くれぐれもご検討いただき、ご返事を暘りますようお願いします。
  • この機会に当社製品△△のご導入について、くれぐれもご検討をいただきますようお願いいたします。

念を入れる・何度考えても

「くれぐれも」は「心を込めて懇願する」という意味で使うことが多いイメージですが、「くれぐれも」には「念を入れる」「何度考えても」という意味も含まれます。 ただ「念を入れる」「何度考えても」という意味で使うことは少ないですが、覚えておくと良いでしょう。

例文

  • くれぐれも言って聞かせる。
  • 将来のことをくれぐれも頼む。

「くれぐれも」「どうぞ」「どうか」の違い

▶くれぐれも・・・「心配」を表す

  • 「こちらの気持ちやお願いを強く念押しする」ということを意味

▶どうぞ・・・「許し」を表す

  • 「丁重にお願いしたり、承知・許可を与える気持ち」ということを意味

「どうぞお召し上がりください」、「使っても良いですか」「どうぞ」 ▶どうか・・・「お願い」を表す

  • 「困難なことではあるが、それを承知でお願いする」ということを意味

「どうか悪く思わないでください」、「どうかお召し上がりください」

「くれぐれも」の類語

ぜひ

「ぜひ」は「心を込めて、強く願うさま」を意味します。 「ぜひ」は何かを相手にお願いするときに、それを強調した表現として使います。 例えば「ぜひよろしくお願いいたします」といった場合は、「必ずよろしくお願いいたします」という意味になります。 「ぜひ」の使い方としては、

  • ぜひお使いください
  • ぜひお試しください
  • ぜひお読みください

などとなります。 「ぜひ」は敬語ではありませんが、目上の人に対して使うのは問題ありません。

例文

  • 明日までにお返事をいただけますよう、ぜひよろしくお願いします。
  • ぜひ一度お会いして、お話を伺いたいと思います。

何卒

「何卒(なにとぞ)」は「相手に対して強く願い望む気持ち」を表します。 「何卒」は改まった場面で使うことが多いです。時代劇などでもお偉い方に対して「なにとぞ〜、なにとぞ〜」とお願いしているのを見たことがあると思います。 ただ「何卒」と単体で使うことはなく、「何卒お願いします」「何卒ご理解ください」といったように使うことがほとんどです。

例文

  • ご多忙の中、申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。
  • ◯月△日まで休業日としますので、何卒ご了承ください。

願わくは

「願わくは」は「願うところは」「望むことは」を意味します。 「願わくは」は、相手に対して自分の希望を述べる場合に使います。 よく「願わくば」と言うこともありますがこれは誤用になります。正しくは「願わくは」なので、間違わないようにしましょう。

例文

  • 願わくは今年も健康に一年過ごせますように。
  • 願わくは東京に引っ越したい。

「くれぐれも」の英語

「くれぐれも」は英語では何と言えばよいでしょうか? 「繰り返し」という意味では「repeatedly」「over and over again」などと言うことが可能ですが、強調の意の「くれぐれも」は英訳が必要ないことが多いです。 相手への依頼・お願いの強調では「please」を二度繰り返して言うことはあります。

Please, please be careful out there.

くれぐれもあちらでは気をつけてください。

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まとめ

「くれぐれも」について理解できたでしょうか? ✔︎「くれぐれも」は「心を込めて懇願すること」を意味 ✔︎「くれぐれも」は、何かを念押しする時に使う ✔︎「くれぐれも」は敬語ではないが、目上の人に使っても良い ✔︎「くれぐれも」の類語には、「何卒」「ぜひ」などがある

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