「くれぐれもご注意ください」「くれぐれもご自愛ください」などと声をかけられたことはありませんか。「くれぐれも」はビジネスシーンで頻繁に使われる言葉です。ただ、「くれぐれも」はどういった場面で使うのか、どの言葉につけるのが適切なのか迷うことが多いと思います。そこで今回は「くれぐれも」の意味や使い方について、例文を交えながら解説していきます。
「くれぐれも」は、
を意味する副詞です。 「くれぐれも」は「心を込めて忠告する」「心を込めて懇願する」という意味で使われることが多いです。
「くれぐれも」は漢字で、「呉々も」「呉呉も」と書くことができます。 「呉」は音読みだと「ゴ」、訓読みだと「くれ」「くれる」と読みます。 「呉」は「中国から伝来した事物に冠していう語で他の名詞の上に付いて複合語をつくる」ことを意味します。 「呉々」は同じ漢字を重ねることで、意味をさらに強調しています。 また、同じ「くれぐれ」と読む言葉に「暮れ暮れ」という言葉があります。 「暮れ暮れ」は「日が暮れようとするころ」「夕方」を意味しています。 意味は全く異なるので間違わないようにしましょう。 ただ、「くれぐれも」はひらがなで表記することが多いです。
「くれぐれも」の語源には二つの諸説があります。 一つ目の説は、相手にお願いをするときに「◯◯してくれませんか」「◯◯しておくれ」などと言うことがあります。この「してくれ」の「くれ」を2回使うことによって、お願いの度合いを強める効果を持たせた言葉であるそうです。 二つ目の説は、「くれぐれ」は「繰れ繰れ」であると言われています。ですので「くれぐれ」は「繰り返し繰り返し言いますが〜」を略した言葉であるというわけです。
「くれぐれも」自体は敬語ではありませんが、フォーマルな言葉なので上司などの目上の人に使用しても問題ありません。
「くれぐれも」を使う場面としては、基本的に「注意を促す」ときです。 例えば「くれぐれも忘れないように」と言った場合は、「忘れないように」と念を押して注意を促すことができます。 ある程度の危険があるため完全に避けることは不可能という場合でも、注意すれば何とかなるというときに「くれぐれも」を使います。 何か不測の事態が起こる可能性がある場合や、多くの人々に念押しする場合にも使うことができます。 注意を促すときの「くれぐれも」は、
などのフレーズで使うことが多いです。
例文
「くれぐれも」は相手の体調をいたわるときに使います。 「くれぐれも〜」と使うことで「どうぞ〜」と言うよりも、相手のことを気遣っている、本当に体調を労ってほしいと思っていることを伝えられます。 「くれぐれも」は「ご自愛ください」という言葉とセットでよく使います。 「ご自愛ください」は「あなた自身の体を大事にしてください」という意味の労りの言葉です。 「ご自愛ください」は、手紙やメールの末尾で、相手の健康を気遣う結びの言葉として使われます。 「ご自愛ください」は男性・女性、目下・目上など老若男女関係なく使うことができる表現です。 ちなみに、「お身体をご自愛ください」だと重言になってしまうので誤用です。 また「ご自愛ください」は、「体調を崩さないように健康を保ってください」という意味合いが込められているため、すでに怪我で入院している人や、病気で治療中の人、体調を崩している人には使うことができないので注意しましょう。
例文
「くれぐれも」は注意を促すときだけではなく、問題のない言動をお願いするときにも使うことができます。 例えば「くれぐれもご確認のほどお願いします」などといった場合は、確認してもらうことについて念を押す言い方になります。 お願いするときの「くれぐれも」は、
などのフレーズで使うことが多いです。
例文
「くれぐれも」は、相手にお礼や感謝を伝える際にも使うことができます。 お礼を伝える際は「くれぐれもよろしくお伝えください」と使うことが多いです。 「くれぐれもよろしく言っておいてね」は話し手と聞き手以外の第三者にお礼・感謝を伝える意味にもなります。 感謝を伝えるときに「くれぐれもありがとうございます」「くれぐれも感謝申し上げます」などと使うことはできませんので気をつけましょう。
例文
「くれぐれも」は物事について検討をしてほしいとき、念押しする場合に使うことができます。 「ご検討お願いします」というよりも「くれぐれもご検討お願いします」といった方が、相手に念押ししている感じが伝わります。 相手にとってメリットがあるため、それを理解してもらいたい、好機を逃してほしくない場合に誠意を持って伝えることができます。
例文
「くれぐれも」は「心を込めて懇願する」という意味で使うことが多いイメージですが、「くれぐれも」には「念を入れる」「何度考えても」という意味も含まれます。 ただ「念を入れる」「何度考えても」という意味で使うことは少ないですが、覚えておくと良いでしょう。
例文
▶くれぐれも・・・「心配」を表す
▶どうぞ・・・「許し」を表す
「どうぞお召し上がりください」、「使っても良いですか」「どうぞ」 ▶どうか・・・「お願い」を表す
「どうか悪く思わないでください」、「どうかお召し上がりください」
「ぜひ」は「心を込めて、強く願うさま」を意味します。 「ぜひ」は何かを相手にお願いするときに、それを強調した表現として使います。 例えば「ぜひよろしくお願いいたします」といった場合は、「必ずよろしくお願いいたします」という意味になります。 「ぜひ」の使い方としては、
などとなります。 「ぜひ」は敬語ではありませんが、目上の人に対して使うのは問題ありません。
例文
「何卒(なにとぞ)」は「相手に対して強く願い望む気持ち」を表します。 「何卒」は改まった場面で使うことが多いです。時代劇などでもお偉い方に対して「なにとぞ〜、なにとぞ〜」とお願いしているのを見たことがあると思います。 ただ「何卒」と単体で使うことはなく、「何卒お願いします」「何卒ご理解ください」といったように使うことがほとんどです。
例文
「願わくは」は「願うところは」「望むことは」を意味します。 「願わくは」は、相手に対して自分の希望を述べる場合に使います。 よく「願わくば」と言うこともありますがこれは誤用になります。正しくは「願わくは」なので、間違わないようにしましょう。
例文
「くれぐれも」は英語では何と言えばよいでしょうか? 「繰り返し」という意味では「repeatedly」「over and over again」などと言うことが可能ですが、強調の意の「くれぐれも」は英訳が必要ないことが多いです。 相手への依頼・お願いの強調では「please」を二度繰り返して言うことはあります。
Please, please be careful out there.
くれぐれもあちらでは気をつけてください。
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「くれぐれも」について理解できたでしょうか? ✔︎「くれぐれも」は「心を込めて懇願すること」を意味 ✔︎「くれぐれも」は、何かを念押しする時に使う ✔︎「くれぐれも」は敬語ではないが、目上の人に使っても良い ✔︎「くれぐれも」の類語には、「何卒」「ぜひ」などがある