「忌憚なく意見を述べてほしい」といったように、「忌憚なく」はビジネスシーンでよく使われる表現です。しかし「忌憚」の意味を理解していないと、どんな意見を言ったら良いのか戸惑ってしまいます。そこで今回は「忌憚なく」の意味や使い方、類語について解説していきます。この機会に「忌憚なく」の正しい意味を知って、上手く使うことができるようにしておきましょう。
「忌憚なく」は「きたんなく」と読みます。 「忌憚」は常用漢字ではありませんが、漢字表記することが多いです。
「忌憚」は「いみはばかること、遠慮」を意味しています。 「忌憚なく」は「忌憚」に否定語が組み合わさった表現なので、「遠慮なく」という意味になります。
「忌憚」は「忌」と「憚」と2つの漢字から成り立っています。 「忌」
「憚」
よって、「忌」と「憚」はどちらも「遠慮」という意味で、「忌憚」は同じ意味の漢字から成り立った熟語ということになります。
「忌憚」と同じ読みの言葉に「奇譚」がありますが、意味が全く違うので間違えないようにしましょう。 「奇譚」は「世にも珍しく面白い物語・言い伝え」を意味します。
「忌憚」は、基本的に「忌憚なく」「忌憚ない」「忌憚のない」など否定語を伴って使います。 「忌憚なく」は副詞的に使います。「忌憚なく〜する」「忌憚なく〜してください」などの文章で使うことができます。 「忌憚」は「遠慮」と同じ意味ですが、使い方は違います。 「遠慮」は「遠慮します」というように肯定文でも使いますが、「忌憚」は否定文で使うのが原則で、「忌憚します」などとは言えないので注意しましょう。
「忌憚」は「遠慮」を意味する堅い言葉ですが、「忌憚」自体は敬語ではありません。 「忌憚」に敬語の接頭語「ご」を付けて、「ご忌憚」になります。 しかし、目上の人に対して「忌憚なく〜」という場合は、後に続く言葉を敬語表現にすることで、「忌憚なく」は敬語表現にすることなく使う場合も多くあります。
例えば、「ご忌憚のないご意見」「ご意見なきご指摘」などは、尊敬を意味する「ご」が2つ使われているため、厳密には二重敬語にあたります なので、「忌憚のないご意見」「忌憚なきご指摘」などと言う方が文法的に正しいです。 しかし、慣習的に「ご忌憚のないご意見」「ご忌憚なきご指摘」などと言われることもあり、完全に誤用だと言い切れない部分があります。 「忌憚」は「ご」を付けずに使い、後に続く言葉を敬語表現にすれば、他人に失礼な印象は与えません。 「忌憚」は目上の人に対してもそのまま使えばよいと思います。
「忌憚なく」は、他人に言いにくい意見や感想などを遠慮なく述べるよう求めるときに用いられます。 その場所は、「(ご)忌憚なくお申し付けください」という表現がよく使われます。 上記でも触れましたが、「忌憚なく」はあえて「ご」を付けずに使っても問題ないでしょう。 「お申し付けください」は厳密には謙譲語なので、目上の人に対する命令文で使うのは不適切ですが、慣習的に俗用されています。 「お申し付けください」に関しては、下記の記事で細かく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目上の人が目下の人に遠慮なく意見を述べてもらいたいときは、もちろん敬語のことは意識する必要がなく「忌憚なく」とそのまま使えばよいでしょう。
目上の人に対して、自分が遠慮せずに意見するときにも「忌憚なく」が使われます。 その場合、「忌憚なく申し上げる」という表現がよく使われます。 しかし、目上の人に対して「遠慮せずに話しますよ」と言うのは無礼な印象を与えるので、「大変恐縮ですが〜」「ご気分を害されるかもしれませんが〜」などと頭に置くべきでしょう。
「忌憚なく」を使った例文を紹介します。
「気兼ね(きがね)」は「他人に対して気をつかうこと」「遠慮」を意味します。 「気兼ねなく」は「気兼ね」+打ち消しの助動詞「ない」の形になるので、「他人の思惑に気をつかうことなく」「遠慮することなく」という意味になります。 「気兼ねなく」は、「お気兼ねなく〜ください」という言い回しで、ビジネスシーンでは手紙やメールなどで使われることが多いです。 「気兼ねなく◯◯する」という形によって、「遠慮することなく◯◯する」という意味で使うことができます。 「気兼ねなく◯◯する」は、「何も遠慮することがなく◯◯する」「他人に気をつかうことなく◯◯する」といったニュアンスが強いです。例えば、「気兼ねなく話せる異性」 といった場合は「何も遠慮することのなく話せる異性」という意味になるので「恋愛に発展しない異性」と解釈できます。 こういったように「気兼ねなく◯◯する」はほとんどプラスな意味で使いますが、場合によってはマイナスな意味になることもあります。
例文
「遠慮」は、「人に対して言語・行動を控えめにすること」を意味しています。 「遠慮なく」は、他人に対して遠慮しないでと思いやって使う他に、自分が遠慮なく物事を行うときに使う言葉でもあります。 自分の行為に対しては「遠慮なく」で、相手の行為に対しては「ご遠慮なく」と使います。 もう少し軽い感じであったら「遠慮せず」「遠慮しないで」などと言うこともできます。 ビジネスシーンで「遠慮なく」は多く使われます。「ご遠慮なく」は、目上の相手に対して使える表現ですが、相手によっては失礼な印象を与えてしまう可能性もあるので、そういった場合は「遠慮なさる」を使うのが良いでしょう。「なさる」は「する」の尊敬語なので目上の相手に対して使うことができます。
例文
「気にせず」は、「配慮や心配をしないで」「気にかけないで」「気をつかわずに」という意味です。 「気にせず」は、相手の配慮を優しく断る・気にかけなくて良いことを丁寧に伝える言葉になります。 「気にせず」を敬語表現にすると、
といったようになります。 「気にせず」は主に他人から謝罪されたときに使う言葉です。例えば相手から「大変申し訳ありませんでした」と言われた場合に「とんでもないです。どうぞお気になさらないで下さい」と言うことができます。相手は悪いことをしたと反省しているので、それに対して「大丈夫」という意味を込めて「気にしないで」を使います。 他にも訪問先でお茶を出されたときに、「そこまでしなくて大丈夫ですよ」という意味を込めて、「お気になさらないで下さい」と言うことができます。
例文
「気楽」は、「苦労や心配がなく、のんびりしているさま」「物事にこだわらないこと」「頓着しないこと」「呑気」という意味になります。 「気楽」は主に緊張している場面などで、「気楽に」「どうぞ楽に」と使います。 「気兼ねなく」とほぼ同じ意味ですが、「気兼ね」よりも少しフランクな・気の抜けたような言い方になります。 「気楽に・どうぞ楽に」は目上の相手に対しては失礼に当たりますが、目下の相手や同等には使える表現です。
例文
「気遣いなく」も「忌憚なく」の類語になります。 「気遣う」とは「あれこれと心配する」という意味になります。 目上の人に対して使う場合は「お気遣いなく」とします。「お気遣いなく!」と単体で使うのは目上の人には失礼なので注意してください。 「お気遣いなく」は「お気遣いなさらぬよう」というとより丁寧になります。
例文
「何なりと」は「なんであろうと」という意味になります。 相手の意向に沿う意思を伝えるときにビジネスで使われます。 「何なりと」自体は敬語ではありませんが、ビジネスで使う堅い言葉なので目上の人に対しても問題なく使うことができます。
例文
「忌憚なく発揮」と誤用している人がたまにいるので注意が必要です。 正しいは「遺憾なく発揮」になります。「遺憾なく」とは「申し分なく、十分に」という意味です。 「遺憾」は「残念」という意味になります。
例文
「忌憚」を使った言葉の中で「忌憚のない意見」はよく使われることは上記でも説明しました。 「忌憚のない意見」のことを間違えて「屈託のない意見」と言ってる人もたまに見受けられます。 「屈託(くったく)」は、
を意味します。 「屈託のない」といった場合は「心配や気にかかることがない」という意味になります。 「屈託のない笑顔」「屈託のない表情」などと使い、「屈託のない意見」とは使いませんので注意してください。
例文
「忌憚なく◯◯する」は、 「frank」「frankly」 などと表現すればOKです。 「忌憚なく申しますと」は「Franky speaking,」と表現します。
Franky speaking, I can't agree with you on that.
忌憚なく申し上げますと、この点に関してはあなたに同意できません。
「忌憚なく...してください」は
と表現します。
Please don't hesitate to say your opinions.
忌憚なく自分の意見を言ってください。
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「忌憚なく」について理解できたでしょうか? ✔︎「忌憚なく」は<きたんなく>と読む ✔︎「忌憚なく」は「遠慮してためらうことなく」を意味する ✔︎「忌憚なく」は、立場に関係なく使うことができる表現 ✔︎「忌憚なく」の類語には、「気兼ねなく」「気にせず」などがある