「お申し出」「申す」「申し出る」という言葉をご存知でしょうか。それぞれ、「お客様からのお申し出」「◯◯と申します」「参加を申し出る」などと聞いたことがあるかもしれません。全て、謙譲語の「申す」が含まれているから、目上の人に対して使うと失礼ではないのか、実際はどうやって使うのか、と不安に思う方もいると思います。そこで今回は「お申し出」「申す」「申し出る」の意味と使い方について解説していきます。意味を正しく理解して使えるようになれば、自分の率直な考えを伝えることができます。
「申す」は「言う」の謙譲語です。 ”謙譲語”は、自分や自分の身内についてへりくだって表現する敬語です。謙譲語は、自分や自分の身内の行為や持ち物について述べるときに用います。主語は自分になるため、相手の行為に対して使うことはできません。 「申す」の使い方としては、「私、営業を担当しております△△と申します」とします。「〜と言います」とするよりも「申す」を使うことで丁寧かつ自分を下げた表現になります。 「言う」の謙譲語は「申す」の他に、「申し上げる」があります。 「言う」の尊敬語は「おっしゃる」「言われる」です。 例えば「部長が申しておりました」とは使うことはできません。この場合は「部長がおっしゃっていました」「課長が言われていた」などが適切になるので、気をつけましょう。
例文
「申し出る」は「(希望・要求・意見などを)進んで言って出る」「相手に自らの意図を伝える」を意味します。 「申す」は”言う”の謙譲語で、相手を立てるために自分がへりくだって使います。 一方で「申し出る」は、”単純に自分から言う”ということを表します。 「申し出る」は自分の意見や希望を、目上の人に言うことです。
・(取引先に対して)「部長の◯◯は、そう申しておりました」
この場合は、取引先を立てている言い方になります。 ◯◯部長の話していたことを伝えるときは、部長をへりくだって「申す」を使います。
・今度の飲み会に参加したい方は申し出てください。
この場合の「申す」は謙譲語ではなく、”参加したい人は単純に参加の意を示してほしい”ということを表しています。 「申し出る」は「申す」という言葉が含まれていますが、謙譲の意味は持ちません。
例文
「申し出」は「申し出ること」「また、その内容」を意味します。 よく「結婚の申し出」「参加の申し出がある」などと言いますよね。 「申し出」にはもはや謙譲語のニュアンスはなく、ただの名詞です。 「お申し出」の「お」は尊敬を表す接頭語になります。 「お申し出」は相手の行為に使うことができます。 なので、「お客様からのお申し出」「お申し出ください」といった表現は正しく、失礼に当たりません。 例えば、「お客様からのお申し出」といった場合は、お客様が何かを言う、届け出るということを意味します。 先程も説明しましたが「申す」は謙譲語ですので、「お客様が申す」などと相手の行動に対しては使えません。
例文
「申し出」は自分に対して使うことができます。 自分に対して使う際は「お申し出」ではなく、「お」を取って「申し出」とします。 「申し出」は相手に対して、何かを提案したり、意見を聞いてもらいたい場合に使うのが一般的です。 例えば「この度は、こちらの無理な申し出をお引き受けてくださり、誠に感謝申し上げます」「来月の講習会の申し出をいたします」といったように使います。 自分に対して「申し出」を使用するのは抵抗があるという場合は、「お願いする」「志願する」「リクエストする」などと言い換えることができます。
「申し出」を漢字で表すときに、どのように送り仮名を書いたら良いか迷ったことはありませんか。 ”もうしで”は「申し出」と表す以外にも「申出」と表すことができます。 「申し出」と「申出」はどちらも<もうしで>と読み、意味も同じです。 例えば、「参加の申し出」としても「参加の申出」としても変わりません。 この2つに何か違いがあるのかと言われれば、特にないです。ですので、基本的には「申し出」と書いても「申出」と書いても問題ありません。 ただ、「申し出」と表記するのが一般的に多いため、「申し出」を使うのが無難だと言えます。
「申し入れ」は「意思を進んで先方に言い知らせること」「申し入れること」を意味します。 一方で、「申し出」は「申し出ること」「また、その内容」を意味します。 「申し出」も「申し入れ」も、相手に対して自分の意見を伝えることを表します。 違いとしては、「申し入れ」は「相手にこちらの要望を伝えること・抗議すること、相手に非があり、こちら側が何かを要求する」という意味合いで、比較的ネガティブな用件について使われます。 「申し出」は「相手に自らの意図を伝える」「要求・希望などを進んで言う」という意味合いになります。 「申し出」と「申し入れ」は非常に似ていますが、少々異なるので間違えないようにしましょう。
「依頼」の意味は、
となります。 一方で、「お申し出」は「(希望・要求・意見などを)進んで言って出ること」「相手に自らの意図を伝えること」を意味します。 「依頼」は例えば、「◯◯さんが暇そうなので業務を依頼する」「ご依頼いただきありがとうございます」といったように使います。 「依頼」は”できればしてほしい”というお願いを頼むことを表し、「お申し出」は相手の希望や要求、意図を表します。「お申し出」と「依頼」は意味が異なるので間違えないように注意しましょう。
◯要望 (意味:物事の実現を強く求めること) 「市民の要望に応える」 ◯要求 (意味:必要または当然のこととして相手に強く求めること) 「会社へ待遇改善を要求する」 ◯リクエスト (意味:要求。請求。ラジオ、テレビなどで、聴視者から出す希望) 「リクエストを応募する」 ◯申し込み (意味:申し込むこと。また、その内容や手続き) 「セミナーの申し込みはあちらの方で受け付けてます」 ◯提案 (意味:議案や意見を提出すること) 「問題解決にあたっての具体策を提案する」 ◯オファー (意味:申し込み。特に商取引で、品名・数量・品質・価格を示しての売り手の申し入れ) 「昨日のうちに正式にオファーした」 ◯催促 (意味:物事を早くするように促すこと) 「返事を催促する」
「お申し出ください」の英語表現は、「質問してください、分からないことは聞いてください」を丁寧に言えばよいので、
などと言えばよいでしょう。
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「お申し出」「申す」「申し出る」について理解できたでしょうか? ✔︎「申す」は”言う”の謙譲語で、自分や自分の身内についてへりくだって表現するときに使う ✔︎「申し出る」は「単純に自分から言うこと」を意味しているので、謙譲語ではない ✔︎「お申し出」は「相手の要求や希望、意図」を表している ✔︎「お申し出」の類語には、「要求」「要望」「リクエスト」などがある