「承りました」はどんな意味なのでしょうか?「承りました」はビジネスシーンでも使用して問題ない正しい敬語なのでしょうか?今回はビジネスの場面でよく見聞きする「承りました」という表現の正しい意味と使い方を類語や英語表現などと共に解説していきます。
「承りました」は「うけたまわりました」と読みます。
「承りました」は「受ける」「聞く」「伝え聞く」「引き受ける」の謙譲語で、「謹んで聞く」「謹んで受ける」という意味になります。 「承」には、「前のものを引き継ぐ」「相手の意向・意図を受け入れる」といった意味があります。 つまり「承りました」は、目上の相手の話を
という意味で使われます。
「承りました」は、相手の話に対して「しっかり聞いた・理解した・対応した」という言葉になります。 「承りました」は主に社外の取引先や顧客などと電話やメールで使用することが多いです。 例としては、電話で目上の相手が伝言をお願いしてきたときに、「はい、確かに◯◯が承りました」といったように使います。 「◯◯が承りました」と使うことによって、自分が責任を持ってしっかり依頼を引き受けたという印象を相手に与えることができます。 また、メールで取引先などから要望や依頼の返信で「ご要望を承りました」と使うことができます。 すぐに要望や依頼の対応が出来なかったとしても、「メールを受け取り確認しました」といった意味で「承りました」と返信はなるべく早くするようにしましょう。 相手はメールを読んでくれたのかどうか分からずに不安になってしまうことがあります。
ただ「承りました」には「対応しました」の意味で使われることもあるので、「対応はまだ出来るか分からないけど話は分かりました」という場合の使用は注意しましょう。 例えば「○○の件で、○○さんと15日にお話させていただきたいのですが」などと言われた場合、「今の話しっかりと聞き、○○さんに伝えます」といった意味で「承りました」と言ったとしても、相手は「15日のアポを取れた」と勘違いしてしまうかもしれません。 この場合は「かしこまりました、○○にお伝えします」などと答えましょう。
「承りました」は社外の相手に対して頻繁に使われますが、社内の上司や先輩に対して使うことは少ないです。 社内の相手に対して使う場合は、「承知しました」や「かしこまりました」などの方が頻度が高くなります。 社内の相手に対して使うことは少ないですが、社内でも役員クラスの相手に対してはより丁寧な「承りました」を使うのが良いでしょう。
「承りました」・・・電話やメールなどにおけるやりとりで用いられる 「受け賜りました」・・・物の授受があるときに用いられる
「承りました」と同じ読みの言葉に「受け賜りました」があります。 「受け賜る」と「承る」の違いとしては、「受け賜る」はモノの授受があるときに使うことが多い言葉ですが、「承る」はコトのやりとりで使われることが多い言葉です。
「受け賜りました」は「受ける」+「賜る」で成り立っています。 「賜る」は、
の2つの意味があり、
の2通りの使い方ができます。 「受け賜りました」の「賜る」は「もらう」の謙譲語です。 「受ける」と「もらう」では意味が重複した熟語になっています。 元々は「受け賜りました」が多く使用されていましたが、「受け賜りました」は畳語(じょうご:同一の単語を重ねた言葉)にあたり、現在一般的にはあまり使用されません。時代とともに徐々に「承りました」が一般的に使われるようになりました。
◯「受け賜りました」の例文
「承りました」と同じような意味を表す言葉はたくさんあります。 その中でもよく使われるフレーズを紹介します。
「かしこまる(畏る)」は「つつしんで目上の人の言葉をお承る」という意味の謙譲語で、「相手の言ったことを理解し、その言葉に従う」という意味になります。 「かしこまりました」は、謙譲語「畏る(かしこまる)」+丁寧語「ます」なので丁寧な言葉になります。 「かしこまりました。その件は○○に伝えておきます」のように、「かしこまりました」の後にその後の対応などを伝えるように使うのが一般的でしょう。 「かしこまりました」はとても丁寧な表現なので、主にお客さまや取引先などに対して使うことができます。 「かしこまりました」は「承知」を表す言葉のなかで最も丁寧な言葉に当たります。 相手に敬意を示したいときは「かしこまりました」を使うのが良いでしょう。
◯「かしこまりました」の例文
「承知」とは「旨をうけたまわって知ること」「聞き入れること」といった意味があります。 「承知」は「承る」と「知る」で成り立っています。 「承る」は謙譲語ですが、「承知」は厳密には謙譲語ではありません。 しかし「承知」は「承」という文字を含むため丁寧な表現になっています。 返答するときに、「承知」のみだけでは失礼ですが、「承知しました」「承知です」といったふうに丁寧語をつけることで、目上の相手やお客様に使用するのが適切になります。 ビジネスシーンなどでも、何か依頼を受けたり、相手の話を理解したことを伝えたいときに自然と「承知しました」という言葉を使うのが良いでしょう。 「承知しました」をより丁寧にした「承知いたしました」があります。 「する」の謙譲語「いたす」と丁寧語「ます」の過去形を加えたものです。 謙譲語+丁寧語は敬語のなかで、最上級に当たるのでより丁寧な言葉になります。二重敬語ではないので、そのまま使用しても問題ではありません。
◯「承知しました」の例文
「了解」とは「物事の内容や事情を知り、納得すること」「理解すること」といった意味です。 「了解」という言葉は、尊敬語でも謙譲語でもないので、同等もしくは目下の相手に使うようにしましょう。 「了解しました」は「了解」+「しました」で丁寧な言い方になりますが、軽い印象を与えてしまうため、目上の相手に「了解しました」と使うのは失礼にあたります。「了解」「了解です」も然りです。 目上の相手に使ってはいけない言葉ですが、親しい間柄であれば目上の相手に使っても許される場合があります。
◯「了解しました」の例文
ビジネスシーンや日常生活などで使われることが多いのが「わかりました」という表現です。 「わかりました」という言葉は、元々「わかった」を丁寧に言い換えた言葉です。 「了解しました」と同じように、目上の人に「わかりました」と言っても失礼にはありませんが、少し砕けた印象を与えてしまいます。
◯「わかりました」の例文
「了承しました」は「相手の申し出や事情を納得し、承諾する」という意味になります。 「了承」も「承知」と同じ「承」が使われていますが、謙譲語ではありません。 「了承」には「許可する」「承諾する」という意味合いがあるため、上から目線のニュアンスが含まれてしまいます。 目上の者が目下の者に使うのが一般的です。 「了解しました」と「了承しました」は、どちらも同等や目下の者に使う言葉ですが、使用する場面に違いがあります。 「了解しました」は「理解した」ときに使い、「了承しました」は「承諾した」ときに使うと言った部分です。
◯「了承しました」の例文
「御意(ぎょい)」とは「目上の人の考え・ご意向」「おっしゃる通り・お考えのように」といった意味です。 「御意」の「御」は、尊敬語を意味する接頭語になるので、厳密には「御意」は尊敬語の一種と考えられます。 「御意」単体でも使えますが、正式には「御意の通り」「御意にござります」などの形で「おっしゃる通りです」のように目上の人に相槌を打つときや返答の意味になります。 時代劇などで聞いたことがある人もいるかと思いますが、「御意」は鎌倉時代あたりから使われているかなり古い言葉です。 ただビジネスシーンや日常生活では意味が伝わらない可能性があり、敬意を示せない場合があるので、あまり使用するのはおすすめしません。
◯「御意」の例文
「承りました」の英語表現を見ていきます。 日本語の「承りました」と「了解しました」のような違いは英語にはありません。 英語にはそもそも謙譲語という概念がないためです。 「承りました」を意味し、ビジネスシーンでも使える丁寧な英語表現は、
など。 ビジネスシーンでも使えますが、もう少しカジュアルな表現だと、
などがあります。 これらの表現は「了解」「わかりました」くらいのニュアンスです。 取引先やまだ関係性が深くない上司などには、これらの英語表現は少しライトすぎるかもしれません。 それでは例文を見ていきましょう。
"Can you make a copy of this document?" - "You got it."
「この資料コピーしてくれる?」-「承りました」
I understand that you can't make it to the meeting today.
会議に間に合わない件、承りました。
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「承りました」について理解できたでしょうか? ✔︎「承りました」は「謹んで聞く・謹んで引き受ける」という意味 ✔︎「承りました」は謙譲語 ✔︎「承りました」は、主に社外の相手からの伝言を受けた際に使う言葉 ✔︎「受け賜りました」という言葉もあるが、使用頻度は低い ✔︎「承りました」の類語としては、「承知しました」や「かしこまりました」などがある