「主客転倒」という言葉をご存知でしょうか。「主客転倒する」「主客転倒な話」といったように使います。「主客転倒」は日常会話でもビジネスシーンでも多く使う言葉でないので、初めて聞いた、意味が分からないという方が多いと思います。「主客転倒」と聞いただけでは、意味をイメージすることは難しいですよね。正しく使うためには、意味についてしっかりと知っておくことが必要です。そこで今回は「主客転倒」の意味や使い方、語源、「本末転倒」との違い、類語について解説していきます。適切に覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「主客転倒」は<しゅかくてんとう>と読みます。 「しゅきゃくてんとう」と読むこともできますが、一般的には「しゅかくてんとう」と読みます。 「主客転倒」の意味は「主な物事と、付き従っている物事の関係が逆になること」です。 物事の優先度・大小・軽重・順番などが逆になることを表します。「主客顛倒」と記入することもあります。
「主客」は「主人とお客(支配する人と従属する人)」、「転倒」は「逆になること」を意味します。 「主客転倒」とすることで「主と客の力関係が逆転する、重要度が逆さまになること」を表します。例えば、客を立てなくてはいけないのに、自分が高揚してお客さんを困らせてしまう状態などを指します。 「主客」は「主と客」という立場だけではなくて、「大事な物事とそれに関する物事」も表します。 主人がお客、お客が主人と立場が変わるように、物事の優先度や順序が本来と逆になるという意味で「主客転倒」が使われるようになったのです。 「主客」と「転倒」、それぞれ別の意味を持つ熟語を組み合わせて使われ始めた言葉になります。
物事の優先度や、相手との関係が逆になってしまうことを表す場合に「主客転倒」を使います。 「主客転倒」は人に対しても、ものに対しても使うことができます。 例えば、「最初は私が彼女に色々と教えていたが、いつの間にか主客転倒して私が彼女に指導されている」といったように使います。「物事を進めていくうちに、立場が変わってしまったこと」を表します。 人に対しては立場が逆になったという意味で使うことが多く、ものに対しては優先度が逆になったという意味で使うことが多いです。 「主客転倒」は「残念な結果に終わる」とマイナスな意味合いだけではなくて、「最後は良い結果となった」とプラスな意味合いで使うこともできます。 使い方としては、
などとなります。
例文
「本末転倒」は<ほんまつてんとう>と読みます。 「本末転倒」の意味は「根本的で重要な事柄と、どうでも良い事柄を取り間違えること」です。 「本末」は「基本的な重要なものと、どうでも良いもの」「転倒」は「ひっくり返ること」を意味します。 肝心なことを忘れ、つまらないことに熱中してしまうことを表します。例えば、語学を勉強するために留学したのに、現地で日本人とばかり話して全く身についていないことを「本末転倒」と表現できます。 「主客転倒」は立場や優先度が逆になることで、「本末転倒」は大事な事柄を疎かにして些細な事柄を重視することを表します。 似ていますが、大事なものとそうでないものが単に逆になっている場合は「主客転倒」、大事でないものの方を重んじている場合は「本末転倒」を使います。 また、「主客転倒」はマイナスな意味合いだけではなくてプラスな意味合いでも使いますが、「本末転倒」は「残念な結果に終わる」とマイナスな意味合いのみで使われることが多いです。
例文
冠履転倒(かんりてんとう) (意味:物事の立場や優先度が逆になること) 「私が教えるつもりが、いつの間にか冠履転倒して彼に指導されている」 釈根灌枝(しゃくこんかんし) (意味:大事ではないものに心を奪われて、基本を忘れてしまうこと) 「そんなことに力を入れているなんて、釈根灌枝も甚だしい」 舎本逐末(しゃほんちくまつ) (意味:物事の基本を重視しないで、大事ではないことに心を配ること) 「舎本逐末な事ばかりしているから、上手くいかないのだ」 道理に合わない (意味:筋道が正しくないこと) 「彼女は道理に合わないことばかり言っている」 そうは問屋が卸さない(そうはとんやがおろさない) (意味:自分が思っているほど、物事は上手くいかないこと) 「そうは問屋が卸さないと言うように、成功するとは限らないよ」 筋が立たない (意味:筋道にあっていないこと) 「彼の言っていることは筋が立っていない」 屁理屈(へりくつ) (意味:筋が通っていない考え) 「彼女は屁理屈ばかり言っていて信用できない」 形勢逆転(けいせいぎゃくてん) (意味:優劣や上下が逆になること) 「形勢逆転で、誰も予想していなかったチームが優勝した」 意味を履き違える (意味:意味を間違って覚えること) 「意味を履き違えているのか、彼の考えはよく分からない」 石が流れて木の葉が沈む (意味:物事の筋道逆になっていること) 「石が流れて木の葉が沈むと言うように、彼のやり方は間違っている」
「主客転倒」は英語で、 put the cart before the horse と言います。 「cart」は馬車のことで、馬の前に馬車を置いていしまう、という文章から「主客転倒」という意味になります。
It's like putting the cart before the horse that college students devote themselves into part-time jobs and neglect their studying.
大学生がバイトに没頭し学業を怠るのは主客転倒の話だ。
その他にも、
などと表現することも可能です。
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「主客転倒」について理解できたでしょうか? ✔︎「主客転倒」は「しゅかくてんとう」と読む ✔︎「主客転倒」は「主な物事と、付き従っている物事の関係が逆になること」を意味 ✔︎「主客転倒」はものに対しても、人に対しても使うことができる ✔︎「主客転倒」の類語には、「冠履転倒」「道理に合わない」「屁理屈」「形勢逆転」などがある