「取り急ぎ」というビジネス表現をご存知ですか?「取り急ぎ」は「取り急ぎご報告まで」「取り急ぎお礼まで」などの形で使います。「取り急ぎ」は目上の人に対して使う場合は失礼な場合もあるので注意も必要です。今回は「取り急ぎ」の意味と使い方を例文付きで、また類語や英語表現も解説していきます!
「取り急ぎ」は「とりいそぎ」と読みます。 「取」という字は「取る(とる)」でよく使われおり、「手に取る、選び出す」といった意味で使います。 「急」という字は「急ぐ(いそぐ)」でよく使われおり、「目的を達するように早く行動すること、早く進むこと」といった意味で使います。
「取り急ぎ」は「とりあえず急いで」を意味しています。 「取り急ぎ」は「急な事態が起きたため、十分な準備や対応はできないが、急ぐべきこととして」といったニュアンスになります。
「取り急ぎ◯◯まで」は、至急連絡することが必要な場合にだけ使用するのが適切です。 「取り急ぎ」は、急ぎで対応することを表しています。「取り急ぎ」を使うときは急ぎで伝えなくてはいけない用件のみを伝えて、他の連絡事項や用件は入れないようにします。 例えば、「取り急ぎ」は「他にもたくさんお伝えしたいことがありますが、いったんこの連絡で報告したいことのみお伝えいたします」といった意味合いのため、たくさん報告が書いてある文章で使用するのは不自然になります。 しかし、どうしても他の用件も伝えたい場合は、別途連絡する旨を伝えるようにしましょう。 また「取り急ぎ」は本当に急を要する用件にだけ使用せずに、普段なんとなく多用してしまうと、本当に急ぎの用件だとしても、取り扱ってくれない場合が出てきてしまいます。「取り急ぎ」は本当に急を要する場面だけに使用するように気をつけましょう。
「取り急ぎ」は、本来詳しく説明すべきところを省略して、とりあえず用件のみを伝える場合に使います。つまり、「とりあえず急いで何かを連絡する必要があり、細かい説明は省略するが用件のみを伝える」ときに使用する表現です。 「取り急ぎ◯◯まで」は、手紙やメールの末文で使われることがほとんどです。
「取り急ぎ」は「とりあえず」という意味なので、お礼をするときには不適切な表現になります。 例えば、「取り急ぎ御礼まで」という言い方もできますが、この場合は「とりあえず、時間がないけれど感謝いたします」といったニュアンスになるので、大変失礼なイメージになってしまいます。 お礼は本来心を込めてすることなので、「取り急ぎ」を使ってしまうとお礼を簡略化しているようで気持ちが全く伝わらないです。 また「取り急ぎ謝罪まで」「取り急ぎお詫びまで」といったお詫びするときも同様です。 誠意を込めてお礼や謝罪をするときは、「取り急ぎ」の使用は控えるようにしましょう。
「取り急ぎ」はビジネスメールでも使われることがあります。 他にも伝えるべきことがある中で、今すぐに伝えたいことだけを連絡する場合に用いられます。 主に、何かしらの結果の報告や資料などを受け取った場合、さらに日時の変更などがあった場合に使います。
主にビジネスメールでは「取り急ぎのご連絡にて失礼いたします」がよく用いられます。 これを使うことで、取り急ぎの連絡になってしまって申し訳ないといった意味合いを伝えることが出来ます。 ただ簡潔すぎるメールを送ると、相手に失礼となってしまいますが、この一文を入れることでひとまず要件だけ送っておきますといった意図を相手に伝えることができます。
「取り急ぎ◯◯まで」とした場合は、「本来は◯◯すべきところをとりあえず連絡いたしました」といった意味合いになります。 「取り急ぎ◯◯まで」は、「とりあえず◯◯する」と、本当に急いで伝えたいことだけを伝えるいう意味なので、後に伝えたいことの詳しい内容を伝えることが前提になる表現になります。 「取り急ぎ」を使用した場合、相手としては、あらためて連絡が来ることを待っている場合があります。そのため連絡を再度しないと相手に失礼なので、あとで正式な連絡を入れるようにしましょう。
「取り急ぎ◯◯まで」という言葉は非常に便利な言葉ですが、目上の人に対して使えるのでしょうか。 「取り急ぎ◯◯まで」は文末を省略した言い方なので、なるべく目上の人には使用を避けた方が良いでしょう。 「取り急ぎ◯◯まで」は、詳しく説明をすべきところを略して伝えていることになるので、相手によっては失礼な印象を与えてしまいます。また、なぜ省略するのかという疑問を持たれてしまう可能性があります。 目上の人、特に、取引先やお客様に対しては使用するべきではありません。 目上の人に対して使う場合は、「取り急ぎ◯◯まで」ではなく、「取り急ぎ◯◯します」「取り急ぎ◯◯いたします」といったように完結した文章にするのが適切になります。 ただ、相手によっては「取り急ぎ」自体に失礼だと感じる人もいますので、はじめてやり取りする相手や位の高い相手に対しては使わないようにしましょう。
「取り急ぎ」連絡した場合は、「本来は◯◯すべきところをとりあえず連絡いたしました」といった意味合いになります。 「取り急ぎ」は、「とりあえず◯◯する」と、本当に急いで伝えたいことだけを伝えるいう意味なので、後に伝えたいことの詳しい内容を伝えることが前提になる表現になります。 「取り急ぎ」を使用した場合、相手としては、あらためて連絡が来ることを待っている場合があります。そのため連絡を再度しないと相手に失礼なので、あとで正式な連絡を入れるようにしましょう。
相手になにか結果や決定事項などを伝える場合に用いられます。 その他、細かい内容などは後から連絡することは伝えるようにしましょう。 ただお礼同様、報告も本来は取り急ぎするものではありません。 しかし、その報告を今すぐにしなければならない場合に使うことがあります。 日時の変更や、まず結果を伝えるときなどに用いられます。 その場合は「取り急ぎのご報告失礼いたします」などと「まで」で終わらせずに丁寧な文章に変更すると良いでしょう。
○日時変更の報告をするときのメール 「○○部各位 お疲れ様です。 来週15日の会議ですが、日時が変更となりました。 変更した日時は下記の通りになりますのでご確認ください。 当日の資料は後日配布いたします。 よろしくお願いします。 取り急ぎ、日時変更のご報告失礼いたします。 英語部 ○○」
ご報告と同様に、相手に今すぐ伝えるべきことがある場合に使います。
○見積書を送ってもらったことを連絡するときのメール 「○○部 ○○様 お疲れ様です。英語部の○○です。 この度は見積書を早急に送っていただき、誠にありがとうございます。 関連資料もお送りいただき、お手数おかけしました。 とても参考になり、心より感謝しています。 引き続きよろしくお願いいたします。 取り急ぎ拝受のご連絡、失礼いたします。 英語部 ○○」
感謝をする際に「取り急ぎ」は避けるべきです。 ただ、どうしても他の要件を差し置いてお礼を先に述べておきたい時があります。 その場合は「取り急ぎ」に続く言葉で敬意を払い丁寧な文章を作るように心がけましょう。 しかし、ビジネスシーンや目上の相手にお礼をする際は「取り急ぎ」といった言い回しは避けましょう。
○仕事を手伝ってもらったことへのお礼メール 「人事部 ○○さん お疲れ様です。英語部の○○です。 先日は会議の資料作成のお手伝いありがとうございました。 お陰様で見落としていた部分に気付くことが出来ました。 今後は、そういった見落としがないよう精進を重ねて行く所存ですが、 私一人では不安なことがありましたら その時はお力をお貸ししていただけたら嬉しいです。 取り急ぎお礼まで。 失礼いたします。 人事部 ○○」
○お土産をもらったことへのお礼メール 「○○さん お疲れ様です。英語部の○○です。 先日はお立ち寄りいただきありがとうございます。 私はお目にかかれず残念でしたが、 久しぶりにお話出来たこと、職員一同喜んでおりました。 よろしければ、またお立ち寄りください。 お土産もいただきありがとうございます。 とても美味しかったです。 取り急ぎのお礼失礼いたします。 ありがとうございました。 英語部 ○○」
・取り急ぎ、略儀ながらメールにてお祝い申し上げます。
○昇進のお祝いメール 「渡辺様 このたび○○部 部長にご栄転されましたとのこと、 心よりお祝い申し上げます。 これもひとえに、渡辺様の平素のご努力とご精励によるものと 改めて敬服いたしております。 なお、お忙しいことと存じます。 くれぐれもご自愛ください。 取り急ぎ、略儀ながらメールにてお祝い申し上げます。 株式会社 英語部 ○○」
「取り急ぎ」はビジネスシーンで使うと失礼だと感じる人もいます。 「取り急ぎ」の別の言い方をいくつか紹介します。
「まずは」は、「はじめに」「最初に」「とりあえず」「ともかく」を意味しています。 「まずは」は漢字で書くと、「先ずは」となります。 「取り急ぎ」は「まずは」に言い換えることができます。 例えば、「取り急ぎご報告まで」を「まずはご報告をいたします」と省略せずに言うと、気持ちが伝わりやすくなります。 ただ「まずは」も「取り急ぎ」と同様に、「まずは◯◯まで」と省略してしまうと、失礼な印象を与えてしまうので、「まずは◯◯いたします」といったように文章を繋げて書くようにしましょう。 「まずは」は「取り急ぎ」と比べると、急いでいるというニュアンスが薄くなるので、本当に急を要する要件の場合は「取り急ぎ」を使用する方が良いでしょう。
例文
「略儀(りゃくぎ)」は、「正式な手続きを省略したやり方」を意味しています。 「ながら」は「〜ではあるが」「〜にもかかわらず」という意味になります。 つまり「略儀ながら」は、「簡単なやり方ですが」という意味になります。 例えば「略儀ながら書中まで」といった場合は「直接会って伝えるべきことですが、手紙で失礼します」といった意味合いになります。今後直接会う予定がない場合にも使うことができます。 「略儀ながら」は「取り急ぎ◯◯まで」の言い換えとして使用することができます。 「略儀ながら」は急ぐというよりも、簡単ですがといった意味なので、急ぎであることを伝えたい場合は「取り急ぎ」を使用するのが良いでしょう。
例文
「恐縮ですが」は、謝罪や申し訳ない気持ちを表すことができます。 「恐縮」の元々の意味は「身もちぢまるほどに恐れ入ること」です。「恐」は「恐れ多い」という意味で、「縮」は「身が縮こまる」という意味なので、イメージは簡単につくと思います。「恐縮」は堅い表現なので日常会話ではあまり使いませんが、謙譲語ではありません。 「恐縮ですが」というフレーズは「感謝」のニュアンスはほとんどありません。「謝罪」の意味すら薄く、単に申し訳なさを表現してるだけの場合が多いです。 例えば「要件のみのご報告で大変恐縮ですが」と使えば、「要件だけのご報告で大変申し訳ありませんが」となります。
例文
「第一に」は、「物事の一番はじめであるさま」「真っ先に挙がるさま」「何よりも重要であるさま」を意味しています。 「第一に」は「取り急ぎ」とは少しニュアンスが異なりますが、「最初に」「真っ先に」という意味合いで使用します。 ただ「第一に」はビジネスシーンではあまり使用されない表現ではあります。
例文
「末筆ながら」は「まっぴつながら」と読みます。 「末筆」は、手紙やメールの結びの言葉として使われる言葉の一つです。 「末筆ながら」は「これで手紙を書き終えますが」「これで筆を置きますが」といった意味になります。 「末筆ながら」は手紙の結びでの書き出しの言葉として、末文に使う言葉になります。 「末筆ながら」は、手紙文で結びの言葉の書き出しとして使用するフレーズです。 結びの言葉の内容として最も一般的なのが、相手の健康や幸福を祈念する言葉です。その他にも、相手の成功・活躍・発展などの言葉もよく書かれます。いずれにしろ形式的な部分なので、構えて書くようなものではなく、さらりと簡潔にまとめた方がスマートです。相手や相手の家族の健康を願う気遣いがあると、読んでいる相手に良い印象を与えることができます。 「末筆ながら」は非常に丁寧な表現なので、手紙やメールで使用することができます。 ただ「末筆ながら」は「急いでいる」というニュアンスは含まれないので、本当に急いでいることについては「取り急ぎ」を使用するのが良いでしょう。
○例文
上記で「取り急ぎ◯◯まで」は、お礼を述べるときは使用しない方が良いと言いました。 「取り急ぎ御礼まで」は、手紙でメールでお礼を述べる場合に、「本来は言葉で尽くすべきですが、とりあえずお礼だけでも急いで申し上げます」といったニュアンスになります。 とりあえずお礼を言うときに「取り急ぎ御礼まで」と使うことが多いですが、これだけだとなんだか素っ気ないイメージがあります。 「御礼」についてはしっかりと伝えるべきなので、「取り急ぎ」の意味とは一致しないため不自然な言い方になってしまいます。 ただ「取り急ぎ御礼まで」に一言足すだけで、丁寧な言い方にすることができます。 例えば、「取り急ぎ御礼のみで失礼いたしますが、のちほどご連絡します」といったように、「とりあえず連絡だけで申し訳ありませんが、また連絡します」といったような文を付け足します。 他にも、「取り急ぎお礼だけで申し訳ありませんが」「取り急ぎお礼のみで申し訳ございませんが」といった文を足すだけでも印象は違ってきます。
「取り急ぎ」を英語で直訳することは難しいですが、様々な表現で伝えることは可能です。
などの表現ができます。
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