「云々(うんぬん)」は引用文や伝言などそれ以降を省略する時に使います。「云々する」の形で「あれこれいう」という意味もあります。「云」で「ものをいう」の意で、それが二回繰り返されて「ものをいう、そしてまたものをいう」という意味が語源です。
「云々」の読み方は「うんぬん」です。 「云々」で「しかじか」と読む場合もあります。 「云」は「うん」と読みますが、踊り字である「々」を使い二連続になった時は「うんぬん」と発音します。 これは「連声(れんじょう)」という発音のルールに起因します。 「連声」とは前の音節の最後の音が、後の音節の頭母音に影響して変化することです。 ローマ字で書くとわかりやすいです。 「うんうん」は「unun」となり、nとuが重なり「nu(ぬ)」という音が生まれます。ただし、「うぬん」となるわけではありません。 「連声」の他の例では「因縁(いん+えん→いんねん)」「銀杏(ぎん+あん→ぎんなん)」「天皇(てん+おう→てんのう)」「反応(はん+おう→はんのう)」などがあります。 ちなみに、かつて安倍総理が「云々」を「でんでん」と読み間違えてしまい、ニュースになったことがあります。 「伝」と似ていますが、読み方は違うので注意しましょう。
「云々」は引用した文や短く言えないことなどを中断して省略する際に使います。 引用文については、主にことわざや誰かの名言、また誰かからの伝言など他人の言ったことの中心部分だけを明確に話し、それ以外を省略する時に使います。 例えば「部長がAとBとC云々については明日の朝礼で話すと言ってたよ」と使います。 これは部長がAとBとC以外についても話していたことが分かります。ただ今はAとBとCについて話が出たためにその3つの部分以外を省略しています。 他にも「社長も、お客様も社員も同じくらい大事云々…と言っていたし」などと使います。 社長が長く話していた中で、今相手に伝えたい部分だけをピックアップして後は「云々」で省略しています。
例文
言うに言えないことを伏せるために「云々」を使うこともできます。 例えば「それに関しては云々の事情がありまして」「まだ云々の問題があるみたい」など使います。 「言えない事情がある」「言えない問題がある」といった意味合いになります。 また、ことわざや有名な言葉を用いる際に「さすがに許せなかったよ、仏の顔も云々って言うでしょ」などと使います。 これは言うに言えない事情というよりも、誰かの愚痴や相手に指摘をする際に言いづらいことからちょっと言葉を濁すのに用いられています。 「仏の顔も三度までだよ!」とはっきり言うよりも、濁すことで感情をやや抑えて伝えることが出来ます。
例文
また「云々」を使うことによって、引用文や伝言、また人の発言であることを示すことが出来ます。 この場合は引用や伝言の文章の最後に「云々」を使います。 例えば「今すぐ会議室に集まってほしいと云々」と使います。 こうすることで、自分発信ではなく第三者の発言であることを伝えることが出来ます。 この場合「部長からの電話で、今すぐ会議室に集まってほしいと云々」と、誰の発言であるのかを最初に付けることも出来ます。
例文
「云々する」とした場合は「あることについて、あれこれいう」「議論や批評する」といった意味になります。 とやかく言う様子や、ああでもないこうでもないと言う様子を表します。 この場合は「今さら云々するつもりはない」「云々したって仕方がない」といった使い方をします。 「今さら議論するつもりはない」「ああだこうだ言ったって仕方がない」という意味になります。
例文
「云々かんぬん」もよく使われている表現ですよね。 これは「云々」を強調した言葉となります。 「かんぬん」という言葉には意味がありません。 同類の音を並べて語調を整えただけの言葉となります。
「云」は「心に思ったことを言葉で表現する」つまり「いう」という意味です。 「言」「謂」と同じ意味の漢字です。 「云」は元は雲がたちのぼる様子を表した漢字です。 人が発言をすると、雲がもくもくたちのぼるように、物事が広がりをみせることから、「云」で「いう」の意味が生まれました。 「云々」の「々」は踊り字の一つで、「同の字点」「ノマ点」などと呼ばれ、同じ漢字を繰り返すの意味です。 「云々」で「いう、そしてまたいう」という意味です。 そこから転じて「云々する」という動詞の形では「あれこれという」「批評する」という意味になりました。 また「云々」の形では、人が言ったことを引用する際に省略するときに使われるようになりました。
「云々」は書き言葉では使いません。 LINEなどプライベートで口語的に使う文章では問題ありませんが、ビジネスメールなど文語では「云々」は使用しません。 また、LINEなどの場合でも「云々」は読めない人もいるので注意です。 「云々」は口語で使われる表現です。
「云々」は口語で使うと上述しましたが、ビジネスシーンで目上の人に対して使うことは避けるべきです。 「云々」はカジュアルな響きのある言葉です。 あまり印象のよい言葉ではないので、注意です。 お客様や取引先、上司などに何かを省略して伝える必要がある場合は、「など」「等」などかしこまった表現を使うようにしましょう。
たとえ丁寧な表現をしたとしても、ビジネスシーンでは極力省略したり短縮して表現しない方が無難です。 省略に限らず、会社では曖昧な表現や隠語、カタカナ語なども意思疎通を阻害する可能性があるので注意が必要です。 誤解を招いてしまわぬよう、面倒であっても、省略せず全ての内容を具体的にかつ明確に伝えるのがベストです。 会議であってもメールであっても同じことがいえます。 ただ、具体的に書かれた資料を配布したうえで、読み上げる際に省略する分には問題ありません。 「2枚目の資料にAについては○○などと書かれていますが、それについて意見ある方はいますか」などと使うことができます。
「云々」の類語として「など」の意味は ① 類似の物事の代表例として挙げる ② 他にもあることを含みつつ、特に一つを取り上げる ③ 引用句を受け、大体そのようなことを、といった意味を表す となります。 ①の意味の場合は、体言もしくは活用語の終止形付きます。 「野菜や果物などを買った」「明日は映画を観るなどをして過ごす」と使います。 これは「たとえば」といった意味が込められています。 ②の意味の場合は、体言に付きます。 「花などを買っていた」「Aさんなどが言ってた」と使います。 ③の意味の場合は、引用文にあとに付きます。 「彼は明日やるなどと言っていた」と使います。 などを使うことによって「明日やる」が彼の発言であることを表します。
「以下略」の意味は「途中まで話し、それ以降を略して言うこと」です。 ちなみに昨今ではネットやSNSでは「以下略」を「(ry」と使われています。 これは「略」をローマ表記にした「ryaku」の「ry」を用いています。 「今日の推しまじでやばいやばいやば(ry」などと使います。 「今日の推しがまじで良すぎてやばい」気持ちが抑えきれず「やばい」が永遠に続くので以下略といったような意味になります。
「その他諸々」という表現も使うことができます。 「諸々」の意味は「多くのもの、さまざまなもの、いろいろなもの、多くの人」です。 「諸々」に関しては下記の記事に詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「かくかく」「しかじか」「かくかくしかじか」「これこれしかじか」「あれこれ」「てんやわんや」なども言うことを省略する時に使われる表現です。 「かくかく」の漢字は「斯く斯く」です。 「しかじか」の漢字は「然々」または「云々」です。 「しかじか」の漢字に「云々」も当てられることから、意味が同じであることが分かります。 「云々」との違いは、これらには「云々」のように言うに言われぬ事情があって省略するという意味合いはない点です。
例文
「云々」に最も近い英語表現は「things like that」です。 直訳すると「そのような物事」です。 「A and things like that」とすると、「Aとそれに関する他のことも」というニュアンスになります。 「A or things like that」ならば、「Aまたはそのようなこと」というニュアンスになります。
I'll explain how to carry out the plan and things like that.
計画の実行方法云々は後ほど説明します。
2つ以上列挙した後に省略する場合は、
が使えます。
Leaving aside the question of cost or things like that, how many people do we need to hire on this job?
費用云々は置いといて、この仕事には何人採用する必要があるのか。
The critics always say, "There's no emotion, the words are superficial, blah blah blah."
批評家はいつも、感情が感じられない、文章が薄っぺらい云々言っている。
「云々」は「うんうん」「でんでん」ではなく、「うんぬん」と読みます。 「云」は「いう」という意味で、「云々」は「云」が二回繰り返されており、「いう、そしてまた、いう」という動作を表しています。 そこから転じて、「云々」で人の発言を引用する時に省略するために使ったり、「云々する」の形で「あれこれ批評をする」という意味になります。