「勘案」という言葉をご存知でしょうか。「様々な意見を勘案する」「諸事情を勘案して...」などと聞いたことがあると思います。「勘案」はビジネスシーンだけでなく、公的機関が発表する文章でも多く使われています。日常会話で使うことはめったにないです。では、「勘案」の意味を正しく理解しているでしょうか。また、「考慮」や「鑑みる」などと似たような言葉がたくさんありますが、違いをきちんと区別できているでしょうか。「勘案」と言われても、戸惑ってしまわないように確認しましょう。そこで今回は「勘案」の意味や使い方、類語、「検討・斟酌」との違いについて解説していきます。
「勘案」は<かんあん>と読みます。 「勘」は音読みだと「カン」、訓読みだと「かんがえる」と読みます。 「勘」は「考え合わせる。つき合わせて調べる」を意味します。 「案」は音読みで「アン」と読みます。 「案」は「考える。考えた内容。調べること」を意味します。 「勘案」の意味は「あれこれを考え合わせること」です。 いろいろと考え合わせること・全てをよく調べてから考えることを表します。 「勘」は経験した上で身についた推測なので、「勘案」も「経験豊富ゆえの的確な判断、速やかな判断」ということになります。 「勘案」はもともとはお役所言葉でしたが、今では一般的に使われるようになりました。
様々な条件を視野に入れて判断する、という場合に「勘案」を使います。 例えば、「色々な事情を勘案して、このような結論となりました」といった場合は「色々な事情をあれこれと考え合わせて、このような結論となりました」という意味になります。 他にも、「お店を出すにあたって、資金や建物の立地などと様々な要素を勘案する」といった場合は「お店を出すにあたって、資金や建物の立地などの多くの要素をよく調べてから考えること」を表します。 元々はお役所言葉ということもあって、「様々な意見を勘案した結果...」などと言うと少々堅い響きになります。 かしこまった場面などで好んで使用するビジネスパーソンもいます。 場面や相手によって「勘案」だと堅過ぎると思う場合は、「じっくり考える」「深く考える」などと言い換えるのが無難です。 言い回しとしては、
などとなります。 それでは例文を見ていきましょう。
例文
「勘案」を敬語の尊敬語にするときは、尊敬を表す接頭語「ご」を付けて、「ご勘案」とします。 「ご勘案いただき」「ご勘案ください」などと使うことができます。 相手があれこれと考え合わせてくれたことにお礼を伝えたい場合は「ご考慮いただき、ありがとうございます」と言い、お願いする場合には「ご勘案くださいますよう、お願いいたします」と使います。 また、「勘案」を謙譲語にする場合は「勘案いたす」「勘案させていただく」などとなります。 様々な事情を考え合わせて何かを決めるときは、「◯◯を勘案いたします」「では、勘案させていただきます」と言います。 「ご勘案します」「ご勘案できます」などとは言わないので注意しましょう。
例文
「考慮」は<こうりょ>と読みます。 「考慮」の意味は「考えをめぐらすこと。よく考え合わせること」です。 物事を色々な要素を含めて考えること・判断や行動の前に色々な要素を考え合わせることを表します。 単に”考える”ということではなく、「様々なことに考えを巡らせる」というニュアンスになります。 「勘案」は「あれこれを考え合わせること。よく調べてから考えること」 「考慮」は「判断や行動をする前に、色々な要素を考え合わせること。思いめぐらすこと」 「勘案」と「考慮」はどちらも「深く考えること」を表しますが、使い方が少し異なります。 「勘案」は「考え合わせること」なので、「諸々の事情を勘案して....」と色々な要素・複数のことを考える場合に使います。 「考慮」は「深く考えること」なので、「相手の都合を考慮して...」と考える要素が一つであっても複数であっても使えます。 「勘案」と「考慮」はほぼ同じ意味で使い方もほとんど一緒ですが、一般的には「考慮」を使うことが多いでしょう。
例文
「検討」の意味は「調べたずねること。詳しく調べ当否を考えること」です。 物事を詳しく調べること・良いかどうかを調べ考えることを表します。 ただ調べたり、考えたりすることではなく、「色々な面から詳しく調べて良いかどうか判断すること」になります。 「勘案」は「あれこれを考え合わせること。よく調べてから考えること」 「検討」は「詳しく調べること。様々な面から調べて良いかどうかを判断すること」 「勘案」と「検討」はどちらも「よく調べて考えること」を意味しますが、「検討」はさらに「種々の面から調べて当否の判断を行う」という意味合いが加わります。 「検討」の方が「一つのものを深く考える」というニュアンスが強くなります。 基本的に「勘案」も「検討」も同じように使うことができますが、一般的に「検討」を使うことが多いでしょう。
例文
「鑑みる」は<かんがみる>と読みます。 「鑑みる」の意味は「先例に照らして考えること。他と比べ合わせて考えること」です。 何かを参考にしたり手本にして考えるため、単純に「考える」だけでとは異なります。 「勘案」は「あれこれを考え合わせること。よく調べてから考えること」 「鑑みる」は「先例や規範に照らし合わせること。他を参考にして考えること」 「先例を鑑みる」と言うと「先例を引き合いに出して考える。先例を参考にした上で判断する」という意味になります。 「先例を勘案する」と言うと「先例の方法や結果がどうだったか、先例そのものを考えること」を表します。 このように、比較対象が存在して、それを引き合いに出して考えるという場合には「鑑みる」を使います。
例文
「斟酌」の意味は、
です。 「斟」は「事情をくみとって、手心を加えること」、「酌」は「先方の意見や事情をくみとること」を意味します。 相手の事情や心情などをくみとること・くみとって手加減をすることを表します。 それらが転じて「控えめにする」「遠慮する」「ためらい」といった意味も持ちます。 また、「酒などを酌み交わすこと」「あれこれと照らし合わせて取捨すること」といった意味もあります。 「勘案」は「あれこれを考え合わせること。よく調べてから考えること」 「斟酌」は「相手の事情や心情を十分に配慮して、程よく取り計らうこと」 「斟酌」には「相手の心情を推し量って...」という意味合いが含まれますが、「勘案」には含まれません。 「斟酌」の方が相手の事情を思いやる気持ちが強くなります。
例文
「参酌」は<さんしゃく>と読みます。 「参酌」の意味は「照らし合わせて善をとり、悪をすてること。比べて参考にすること」です。 「参」は「照らし合わせる」、「酌」は「先方の意見や事情をくみとること」を意味します。 他のものを参考にして長所を取り入れること・善だけをとって、悪を捨て去ることを表します。 「勘案」は「あれこれを考え合わせること。よく調べてから考えること」 「参酌」は「他のものを参考にして長所を取り入れること。照らし合わせて善だけをとり、悪を捨てること」 このように、「勘案」と「参酌」では全く意味が異なります。
例文
勘考 (意味:よく考えること) 「各々の事情をしっかりと勘考する」 内省 (意味:深く自己をかえりみること。反省) 「冷静に自身のことを内省する」 思慮 (意味:注意深く考え思うこと。思い巡らした考え) 「あいつはやや思慮に欠けている」 熟考 (意味:よくよく考えること) 「しばらくその件について熟考する」 考察 (意味:物事を明らかにするためによく調べて考えること) 「現代の若者文化を考察する」 思惟<しい> (意味:心に深く考え思うこと) 「物事を進める上では思惟をすることが大切だ」 思索 (意味:物事の筋道を立てて深く考え進むこと) 「一日中思索にふけっている」 忖度<そんたく> (意味:他人の心中をおしはかること) 「相手の気持ちを忖度する」
「勘案する」の英語表現を見ていきましょう。
などの表現を「勘案する」に近いでしょう。 「take...into account」は、that節「take into account that...」の形をとることができます。 「...ということを考慮する」の意味になります。 例文です。
They comprehensively took a variety of perspectives into account in order to solve the problem.
彼らは問題解決のため、様々な観点を統合的に勘案した。
After thinking it through, we decided to choose plan B.
勘案した結果、プランBを選択することを決定した。
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「勘案」について理解できたでしょうか? ✔︎「勘案」は<かんあん>と読む ✔︎「勘案」は「あれこれを考え合わせること。よく調べて考えること」を意味 ✔︎「勘案する」「〜を勘案して」「総合的に勘案する」などと使う ✔︎「勘案」の類語には、「勘考」「思慮」「考察」などがある